『幻想郷へようこそ47』
『ここは日本や世界の妖怪・怪物・怪人・神様などが住みづらくなった世界から避難してきた避難所。大妖怪ヤクモ・ユカリという人物がハクレイノ・ミコと共同で作り出した世界。でも最近、彼らが言うには「幻想入り」と呼ばれる事象が多発してるみたい。通常、私達の世界とこの世界は、結界というもので遮られてるの。だから基本的には行き来できないのだけど、最近ある人物がその理を突破したの。』
『今回のターゲットはマリー・パルシュ。ルーマニアの呪術研究家よ。彼女は幻想郷の存在を危険視していて、妖怪や怪物、その他UMAの類はこちらの世界にあるべきと考えてる原理主義者。そのため幻想郷を崩壊させるためにこちら側の世界から大量に人を流入させようと画策してるみたい。今は準備のため自分自身幻想入りしてるようよ。』
『彼女は非常に狡猾で、ヤクモ・ユカリやその他の幻想郷の住人たちが自分を消そうとすると結界に大穴が空くように呪術を仕込んでるみたい。ただその呪術、ICAが調べたところによると、幻想郷の住人にしか効果がないみたい。』
『今回の依頼者はその管理者、ヤクモ・ユカリ。幻想郷の人間が手を出せないのであれば外部の人間に、ということのようね。私のところに直接依頼と依頼料を持ってきたのは驚いたけれど、ICAは常に中立。依頼があればこなすだけ。』
『準備は一任するわ』
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ガヤガヤガヤ
ここは幻想郷の中でも比較的人間が多い“人里”というところらしい。
それなりに賑わっているが、ニューヨークやパリに比べればとても少ないと言える。
私は今回、相手が妖怪や怪物の類になることも想定して、経口摂取型の睡眠薬を持参した。バールや鉄パイプ、その他の物で殴っても気絶するかどうかわからないためだ。無論、気絶させるようなことにならないのには越したことはないが万が一ということもある。準備は怠らないほうが良いだろう。
私は手近な喫茶店のような店に入る。と、既に居た客の一人と店主と思わしき男が話している。
「しかし、最近なんか人増えた気がしねえか?」
「ああ、あんちゃんもそう思う?うちの店もよぉ最近客入りが多くてな。儲かりはしてるんだが、ここの土地柄的に大丈夫か不安ではあるんだよな。」
「博麗の巫女さんに祭りのついでに相談してみるか?」
「でもよぉ、異変ってほどかね?ただ単に人が増えてるだけだろう?」
「いやいや、人が増えればそれだけ揉め事も増えるってもんよ。事実、町外れの空き家、最近人が出入りしてるようなんだよ。」
「マジかよ。あんなボロ屋に出入りするとか。まともな目的じゃねえのは確かかもな。」
####情報を入手####
「これからますます治安が悪くなると思うとおちおち商いもできやしねえよ。」
「なにいってんだ、この店は大抵がらんどうじゃねえか。」
「それをいっちゃあおしめえよ!」
ハハハハ
確定ではないがその小屋が怪しいのは確かのようだ。調べてみる必要がある。
私は適当に栗善哉を頼んで食べる。すると別の客が入ってきた。
「おう!おっちゃん!いつものな!」
「何だ魔理沙ちゃん、今日も来たのかい?」
「何だとは失礼なんだぜ。ここの善哉が美味いからって贔屓にしてやってるのにさ。」
「まあそれは嬉しいけどな。ちょっと待ってな、今用意してやる。」
「おう!頼むぜ!」
「魔理沙ちゃん、そんな善哉ばっか食ってっと太るぞ?」
「何だよ呉服屋のおっちゃんも居たのか。余計なお世話だっつうの!」
「ハハハ!あ、そうだそうだ、魔理沙ちゃん博麗の巫女さんと仲良かったよな?」
「霊夢のことか?まあ腐れ縁ってやつだな!」
「じゃあよ、ちょっと頼まれてくんねえかな。東の町外れにあるボロ小屋に最近出入りしてる怪しいやつが居るらしいんだよ。」
「へえ?そりゃあ穏やかじゃなさそうだぜ。」
「でだ、そいつを巫女さんに調べてもらってほしいんだよ。魔理沙ちゃんから頼めないかい?」
「何だそんなことか!それなら私が行ってきてやるよ!」
「ええ?大丈夫かい?」
「心配すんなって!ちゃちゃっと行ってきてやるよ!任せなって!」ドタドタドタビューン
「ああ、オイ!魔理沙ちゃん!?いつもの栗善哉は・・・って行っちまったよ。」
「あの子も猪突猛進なとこあるからなあ。まあ大丈夫だろう。今までもそうだったんだから。」
「だな。」
なかなかに活発な女の子だった。私もそろそろさらなる情報収集を再開しないといけない。私は会計を済ませ、一路東の小屋を目指すことにした。
東の小屋はおそらくアレだろう。何故わかるかと言うと、先程の黒服の女の子と朱と白の巫女装束の少女が立っていたからだ。おそらくあの子がハクレイノ・ミコ、と言われる少女だろう。会話が聞こえてくる。
「なんで霊夢がここに居るのかと思えばそういう話か」
「ええ、紫に頼まれてね。博麗大結界を脅かすものが現れたと聞いちゃ流石に縁側でお茶飲んでる場合じゃないでしょ。」
「でも残念だったな。ここは空振りだぜ。今調べたんだがたしかに人が居た気配はある。だがおそらくもう引き払った後だろうな。もうもぬけの殻だ。」
「そう。じゃあ仕方ないわ。周辺を捜索するとしますか。あー、自己主張しない犯人ってほんと面倒。」
「本来なにかやらかすやつってのはそういうもんだけどな。今までがアレすぎただけだぜ。」
「だからって何の手がかりもないのはどうなのよ。紫も教えてくれないし。」
「手がかりならあるぜ?香霖が最近変な客がよく来るって言っててよ。何でもフードかぶったいかにも「呪術やってます!」って感じの装束した変な奴らしい。」
####アプローチ発見####
「何よそれ。じゃあ香霖堂に行けばそいつがやってきて万事解決ってわけね。」
「いやそうも行かないぜ。香霖、最近よく外出しててな。さっきもここに来る途中に店によったが居なかった・・・あー!!!」
「って何?どうしたのよ?」
「栗善哉頼んだのに食わずに出てきちまった!」
「ハー・・・魔理沙・・・」
「何だよその目は。あそこの栗善哉美味いんだぜ?」
「あんたって危機感無いわよねえ・・・」
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『人里の近くに店を構える香霖堂にターゲットと思わしき呪術装束の人物が出入りしてるみたい。結界を破壊するのに幻想郷の物品を使うのは皮肉な話ね。香霖堂の店主さんは外出中のようだけど、そこで待っていればターゲットが向こうからやってきてくれるかもしれないわ。47,あなた店番はしたことあるかしら?』
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店番をするにしてもまず香霖堂店主の所在がわからなければ待つことはできない。私は一旦町の反対側、西にある大きな店に入った。入り口には大きく「霧雨店」と書かれていた。中はそれなりに人が入っており、私は壁に陳列されている道具を見ながら今入ってきた男とレジに居る年配の男の会話に耳をそばだてた。
「いやしかし、ホント久々だね。何年ぶりだい?」
「かれこれ2年ほどになりますかね。あのときは魔理沙のいたずらによく泣かされたもんでした。」
「ははは、すまんねうちの道楽娘が。今もちょくちょく迷惑かけてるんだろう?」
「いえ、師匠の娘さんですし、それにたまに面白い品を持ってきたりもするんですよ。」
「だがそれ以上にうちの娘が商品を“借りて”行ってるんだろう?うちは構わないから一発ビシッとやってやってもいいんだよ?」
####情報を入手####
「いえ、こちらも半分道楽のようなものですから。っと、そろそろ失礼しますよ。最近常連になってくれた不思議な客が居まして、そろそろ来ると思うので。」
「へえ、香霖堂に常連客ねえ?お前さんの店の常連っつったら妖怪か巫女さんかウチの娘くらいだと思ってたけどそいつも妖怪なのかい?」
「いえ、妖気は感じませんでしたしおそらく人間だと思いますがね。では。」
「ああ、困ったときはまたおいでな。いつでも力になるよ。」
運がいい。香霖堂の店主に会えるとは。しばらく尾行して期を伺うことにする。
「小腹が空いたな・・・まだ時間はあるな。少しお茶でも飲んでいくか。」
彼は一軒の茶店に入っていった。私はすかさず裏口を探し、中に侵入する。店主一人でやってる小さな店のようだ。彼が注文をしている。お茶と、団子だ。注文を受け戻ってきた店主を首絞めで気絶させる。多少物音はたったが気が付かれては居ない。すばやく店主に成り代わり、お茶と団子を用意する。幸い他に客は居ない。お茶に睡眠剤を混ぜて出す。
「あれ?店主さんは?」
「この店で見習いをさせてもらっています。店主は今団子を用意しています」
「そうか・・・ん、このお茶美味しいな。どんな茶葉を…あれ?なんだか目の前が…」
ドサッ
さすがICAが誇る睡眠薬だ。体格のいい大男もすぐに眠らせられる。これで数時間は起きないだろう。私は彼を店の奥に引っ張り込み、本日休業の札を表にかけると、香霖堂店主の服を借りて着替えた。香霖堂の場所自体はブリーフィングでおおよその位置は把握している。私は香霖堂へ向かった。
香霖堂についた。扉を開けようとしたとき、
「あれ?香霖じゃないか!探したんだぞ!」
不意に声をかけられて振り返ったが誰も居なかった。
「上だ上!」
そこにはほうきに乗って空を飛ぶまさに魔法使いと呼べるような先程の娘、魔理沙と言ったか、が居た。
「あれ?でもお前香霖じゃねえか。誰だ?」
「私は香霖堂でお世話になっている見習いのものです。あなたは霧雨魔理沙さんでしたか?」
「お、私のこと知ってるのか。そう、普通の魔法使いの霧雨魔理沙だぜ。よろしくな!あんたの名前は?」
「イイダです。」
「飯田か。平凡な名前だな。まあそれよか香霖見なかったか?さっきから探してんだけど見つからなくてよ。」
「私もいろいろ探してはいますが見つかっていません。朝方、今日は山の方へ行くと言っていた気がします。」
「山・・・てえと妖怪の山か。なんでまたあんな遠くに・・・まあいいや、ありがとう。行ってみるよ!じゃあな!」
そう言うと彼女は文字通り飛んでいってしまった。下をキョロキョロしながら飛んでるところから、少なくとも彼女がここに来るのはしばらく無いだろう。
「あら、遅かったわね。47さん。」
香霖堂の中にはヤクモユカリが居た。依頼主に直接会うのは本来あまりないことだが、ないことはなかったので冷静だ。
「ここで何を。」
「あら?あなたが霖之助さんを昏倒させたからここに来ると思ったまでですわ。なかなかおやりになりますのね。」
「というとやはり彼は。」
「流石に鋭いですわね。そう、彼は妖怪と人間のハーフ。そんじょそこらの人間よりは格段に力も生命力も高いですわ。あなたの使った睡眠薬では持って30分程度が限度でしょう。」
まずい。30分というともう既に起きていることになる。早めにここを離れたほうが良いだろうか。
「でもご安心ください。私がちょっと彼の耐性を弄って後4時間は起きないようにしてあげましたので。ついでに申し上げるとあと30分ほどで例の呪術師が来ますわ。」
「何故そこまで?」
「私は博麗大結界を守り、幻想郷を守りたいだけですの。誰しも自分の作品を荒らされたくはないでしょう?では、健闘を祈りますわ。」
そう言うと彼女は空間の裂け目のようなものに入っていき消えた。世の中には不思議な事もあるものだと感じるとともに、あの裂け目が私にも使えればもっと効率よく仕事をこなせるだろうと考えた。
しばらくすると一人の客が来た。
「すみません、今日も来ちゃいました。買い足りないものがあったので。」
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『アレが、マリー・パルシュ。呪術家であることを隠そうともしない風貌ね。』
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「いらっしゃいませ。」
「あれ?いつもの店主さんは?」
「本日は所要で外出しております。私は代理で店を任された飯田と申します。」
「そうなんですか。まあ売ってくれるならいつもどおりに。今日はこの札とこの薬を買いたいのですが。」
「50円になります。」
「おや、ずいぶんとお安いので。てっきり100円位ふっかけられるかと思いましたわ。では交渉成立ということで。」
「ありがとうございます。」
「あなたは客にとってはいい店主かもしれないけれど、もうちょっと商いを学んだほうがもっと儲けられると思いますよ。ではまた。」
「ありがとうございました。」
彼女が後ろを向いた瞬間、私は隠し持っていたシルバーボーラーの引き金を引いた。
パシュン ガシャーン ギャー!
弾は正確に彼女の頭上にあった棚の支えに当たり、乗っていた重そうな壷は正確に彼女の脳天へ直撃した。壷は粉々になってしまったが、その衝撃を一身に受けた彼女の頭は半分へしゃげており、脈を確認するまでもなく息絶えているのがわかった。香霖堂は人里から少し離れたところにあり、周りには人家もなく、壺が割れる音や断末魔の叫びを聞いたものは誰も居なかった。
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『素晴らしいわ47、ターゲットの死亡を確認。店主には悪いけど後は任せましょう。』
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私はそそくさと店を出て、茶店に戻った。移動は常に徒歩であるため時間的にそろそろヤクモユカリが言っていた4時間になろうとしている。茶店に戻った私はすぐに元の服に着替え、香霖堂店主に服を着せ椅子に座らせた。睡眠薬入りのお茶はすべて床にこぼし、店主も店主の服を着せた後厨房に横たえておいた。
私はそのままヤクモユカリが待つ空き家に向かった。
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~1週間後~
「最近幻想郷に迷い込む人が減ったわね。まあ私はそのほうが楽でいいんだけど」
「あら?霊夢。博麗の巫女がそんなことでいいの?」
「アリス、たまにうちに来たと思ったら説教を述べに来たの?」
「まさか、私は疑問をそのまま口にしただけよ。思えば迷い込む人が多かったのってちょっとした異変だったんじゃない?」
「まあそうだったんでしょうけどね。対応を頼んできた紫も今は「すべて終わったから心配するな」としか言わないし。」
「“終わった”ってことは“なにかがあった”ってことじゃない。調べる気はないの?」
「全部終わったって言ってるのにそんな面倒なこと私がすると思う?」
「思わないわ。」
「おーい、お前らー。」
「あら?魔理沙。この前のボロ小屋のときから見てなかったけど何してたのよ?」
「ちょっと香霖がな。店の中で死亡事故が起きたってんでちょっとふさぎ込んじまっててよ。」
「最近行ってなかったけどそんな事があったのね。今度菓子折りでも持っていってあげようかしら?上海がたまにお世話になってるみたいなのよね。」
「ふうん?この前の事件絡みかしら。まあ何にせよ一度顔を出してあげましょうか。」
「あら、珍しく霊夢が優しいじゃない。変なものでも拾い食いした?」
「どういう意味かしら?アリス。」
「まあまあ、行くんならこれから行かないか?ちょうど香霖の好きな茶葉も手に入ったんだ。」
「まあ丁度暇してたし、ちょっとちょっかいかけに行きますか。」
「そうね。あ、ならちょっと家によるわ。美味しいクッキーがあるから。」
「お、そいつは私も食べたいぜ!じゃあ決まりだな!」
「まったく、世話のやける人妖さんだこと。」
「でもそれも好かれてる理由のひとつなんじゃない?」
「まあね。」
ミッションコンプリート
・「看板商品」+2000 『香霖堂の品物を使ってターゲットを暗殺する』
・「行きはよいよい帰りもよいよい」+1000 『八雲紫のスキマを使って離脱する』
・「高級茶葉」+1000 『幻想郷の住人に睡眠薬入りのお茶を飲ませる』
・「道楽の魔法使い」+1000 『霧雨店に入り霧雨魔理沙の情報を得る』
・「ずさんな管理」 +2000 『博麗霊夢に気付かれないようにターゲットを暗殺する』
47は仕事人なので幻想郷に興味はなく、仕事を終えたらさっさと元の世界に帰ったようです。もったいない。
個人的には紅魔館か地霊殿を出したかったですがそこまで行く経路が思いつかなかったのでボツにw
次回は別アプローチです。