「……にしても、遠坂は和服も似合うんだな」
「なっ……何よ突然。でも和服かぁ…そういえば浴衣なんて着たこと無かったわね。私が着るとこんな感じなのか。自分で言うのも何だけど意外と似合ってるかも」
「そりゃあ私は美の……こほん。ところで士郎、貴女他に何かなかったの?セイバーだって雨合羽なんて着ちゃってるし…」
「今、露骨に話を逸らそうとしてませんでしたか?」
「そ、そんな訳ないじゃない!」
「…まぁ良いでしょう。今腹の探りあいをするのは得策ではありませんから」
「言われてみればそうね…私の家まで行けばセイバーにもちゃんとした服を着させてあげられるけど…」
「う……悪かったな。俺は服とかには興味なかったから、家には本当に最小限しか無かったんだよ……でも、流石にセイバーのはもう少しちゃんとしたものにするべきだったよな…」
「何を言うのです、シロウ。私がこれで良いと言ったのですから、貴方が気に病む必要はないのです」
「ありがとな、セイバー」
「いえ、感謝されるようなことは何も」
「……っと、着いたわよ。ここが冬木教会、聖杯戦争の監視役を担うエセ神父がいる所よ」
「……リン、申し訳ありませんが私はここで。何かあればすぐに呼び出してください」
「えぇ、分かったわ。……アーチャーはどうするの?」
「そうね……私も此処で良いわ。何かこう…その神父って奴をを一発殴ってやりたい感じがするけれど、今は士郎に聖杯戦争について理解して貰わないとだし」
「その気持ちには概ね同意するわ。じゃあ外は二人に任せて行きましょうか」
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「アーチャー」
「どうしたの?セイバー?」
「貴女は並行世界のリンでもあるという……そこで、聖杯戦争はあったのですか?」
「────ええ。あったわ」
「それでは────いえ、やはり何でもありません」
「結末でも気になったのかしら?貴女が聖杯戦争を勝ち抜いたのかどうか」
「………」
「…世界と契約してまで聖杯を手にして、貴女は一体どうするというの?」
「何故そのことを!?」
「ふふっ、それは教えない。……でもそうね、一つ話をしましょうか。えぇ、セイバーになら話しても良いわ」
───それは、ある男の話。
ただ、誰かの涙を止めるために。
ただ、名も知らない誰かを守るために。
そうやって、大切な人たちを泣かせて。
そうやって、大切なものを切り捨てて。
誰にも認められず、誰にも愛されず。
一度の勝利も無く、敗北すらも無く。
気がつけば世界に裏切られ、
己の理想にすら裏切られた。
────そんな、大馬鹿者の話。
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「アーチャー、セイバー。戻ったわ」
「リン、無事で何よりです」
「無事って……いくらあいつでも流石にそこまで乱暴なことはしないわよ」
「いえ、その神父とやらは信用ならない。それに、聖杯戦争は始まっているのですから、如何なる時であれ十分に警戒すべきです」
「ま、それもそうね」
「アーチャー」
「士郎……覚悟は決めたみたいね」
「ああ。俺は聖杯戦争に参加する。無関係な人が傷つくのを黙って見ている訳にはいかないからな」
「────えぇ、貴方らしい理由ね」
「だから……改めて、頼りないマスターだけどこれからよろしく頼む、アーチャー」
「私が私である以上、目指すのは勿論頂点よ。聖杯戦争を止めたいという貴方の考えとは相反するかもしれない。それでもいいの?」
「それはまたそのときに考えれば良いさ。それに、アーチャーは聖杯を手に入れても悪いことには使わないだろ?」
「…ふぅん。随分と信頼されてるのね、アーチャー」
「私が信頼されてるってことはある意味貴女を信頼しているのと同義なのよ?」
「な、何言ってるのよアーチャー!!大体、これから士郎と私は敵同士で……」
「?俺は敵対する気はないぞ?俺、遠坂みたいな奴は好きだ」
「~~~!」
「やったじゃない、凛。まさか両想いだったなんてね」
「ばっ、そんな訳ないじゃない!!なんで私が士郎みたいな朴念仁を……」
「ちょっと待ってくれ。なんていうか……その……さっきから俺のことを名前で呼んでるんだけど…」
「そういえばそうですね。以前は『衛宮くん』などと呼んでいたのに。一体何故なのでしょう?」
「あー!!もうっ!うっさいわね!貴女達が士郎って呼び捨てなのに私だけ衛宮くんなんて可笑しいからよ!文句ある!?」
「い、いや」
「わかったなら良いわ。借りもあるから、とりあえず家へ見送るまではしてあげる。けどその後はもう敵同士なんだから!」
「ありがとな、遠坂」
「あ~もう!調子狂うんだから…」
「そういえば、アーチャーの聖杯に託す願いって何なんだ?」
「私の願い?……うーん、何かしらね……えぇ、やっぱり宝石かしら」
「「宝石?」」
「…………その手があったか…」ボソッ
「そ、私の魔術って宝石を使うのだけれど本当に最近カツカツでね…うっかり宝石を使い過ぎたりしたらそれはもう大変なんだから」
「……それはまた、堅実な願いごとだな…」
「本当にそれだけなのですか?」
「ん~そうね。後の願いは聖杯にかけるよりも自分の力でどうにかしたいものばかりだしね」
「そうですか。……アーチャー、私にはどうしても聖杯で叶えなくてはならない願いがある。そのようなことで聖杯を使わせる訳にはいかない。そうですよね、リン」
「え!?えぇ、そうね…」ギクッ
「ま、私も士郎もそんな大それた願いはないってところね」
「そうだな。俺の願いは自分の力で叶えなくちゃいけないものだからな」
「────士郎」
「アーチャー?」
「誰かを助けるのは良いわ。それは正しいことだから。でもね、貴方はその前に大切な人のことを考えてあげなさい」
「それは、どういう───」
「────ねぇ、お話は終わり?」
「な!?」
「あれは!」
「こんにちは、お兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね」
「君、は……」
「────バーサーカー……」
「初めまして、リン。私はイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えば分かるでしょ?」
「アインツベルン……」
「ふふっ、何だか妙なサーヴァントを連れているのね。マスターにそっくりなサーヴァントだなんて聞いたことないわ」
(イリヤスフィールは、私がアーチャーのマスターだと思っている?……それもそうね。ここまで似ているのだから普通は私の方がアーチャーのマスターに見えるか)
「貴女のアーチャー、気になるけれど……まぁいいわ。やっちゃえバーサーカー!」
F説が濃厚だったりしますが、とりあえずこのイシュタ凛はUBW基準で。
凛要素がやや強まってるのは冬木かつ知り合いばかりいるからって感じです。カルデアのイシュタルはどのくらい凛としての記憶を持っているのかは不明ですが。