迂闊な拾い物   作:猫茶屋

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クッソ久しぶりの同日に二話ぶち込み。


初めてに失敗はつきもの

「ふふふ・・・遂に来たわよ・・・本州に!!私は上陸した!!」

 

 下船し本州の土地に降り立ち、雀躍が諸手を上げそのまま伸びをする。身体を大きく反らすことにより、彼女の豊満なワガママボディが周囲の男たちは暴力的に見せつけられる。

 

「こないだ放送してたテレビの影響受けすぎだろ」

 

「テレビは良い文明よ?」

 

 元が付くこの悪の親玉の内の一人は、健吾と過ごすうちに確実に現代に適応しきっていた。いや、それどころか、現代日本に染まりきった。下手をすればネット界隈のネタなどは健吾よりも雀躍の方が詳しいだろう。

 

「課金はちゃんと自分のお小遣いで賄ってるんだろうな?」

 

「当たり前よ!!それよりほら、漸く夢にまで見た、本州なのよ?エスコートよろしくね鬼神さん?」

 

「はいよ、おまかせあれ」

 

 健吾に腕を伸ばし、これから始まるデートに心躍らせている雀躍を見て健吾はその腕を取り、町へと足を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ、最初はどこに行くのかしら?」

 

「最初は映画館に行こうか、今なら午前中だからそんなに人もいないだろ」

 

 あれから主要な駅まで直行するバスに乗り、駅に辿り着いた。道中のバスでは景色が良く見える窓側の席を雀躍に譲る。雀躍は田舎から都心へと向かう景色に頻りに目を輝かせていた。彼女からの何気ない質問から、時には調べないと分からないような質問に健吾は一答一答答えていった。今日は何て言ったって彼女との初デートなのだ、思う存分彼女は勿論の事、健吾も楽しもうと考えていた。

 

「はい!私買い物したい!」

 

「買い物したら荷物が嵩張って、映画を見るのに邪魔なるだろ。我慢しなさい」

 

「はーい・・」

 

 渋々といった雀躍に、健吾は仕方ないなと笑いながらチケットを二枚見せる。

 

「あ、それ前から私が見たかった映画のチケット!!」

 

「お前、CMで見るたびに散々見たいって言ってただろ?」

 

「うん、そうだけど良くチケット取れたわね!ネットでは直ぐ売り切れて見れないって言ってたのに」

 

「今日は平日だし、この映画館は穴場で余り人も入らないからな。予約してて正解だったよ」

 

「流石健吾!なら善は急げよ、早く行きましょ!」

 

 言うや否や雀躍は健吾の了承も得ずに健吾の腕を掴み、そのまま映画館へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 —————映画の上映が終わり、シアタールームから雀躍と健吾が現れる。片方は落胆し、片方は神妙な面持ちをしている。

 

「あんなに、席が動くものだったのね」

 

「だから言ったじゃないか、始まる前に或る程度食べておけって」

 

「だって勿体なかったもの!あぁ、ポップコーンが・・・」

 

 彼らはアクション映画——4DXを体験した。4DXとは簡単に言えば身体全体で映画を楽しむものである。映画のシーンで主人公が水に掛かれば、此方も前方から水しぶきを受けたり、風を感じたりする。更に大きな特徴が椅子が上下に揺れるという点だ。

 

 雀躍と健吾が指定した席に座り、本編が始まる前の注意事項等を伝えるシーンが流れている。健吾が買ったポップコーンと飲み物に一向に手を付けない雀躍。それを見た健吾が不審に思い尋ねると本編が始まる前に手を付けたくないと雀躍がごね、健吾が説得して不承不承とした感じで少しずつ口へと運ぶ。普段の健啖家ぶりはどこに行ったのかと見紛う程だった。健吾が手伝おうとするが時すでに遅し。本編が始まり、アクション映画なだけあっていきなり席が大きく上下に動いてしまった。

 

 いきなり席が上下に動いたことに驚く雀躍。宙を舞うキャラメル味の大量のポップコーン。哀れ、ポップコーン達は雀躍の胃に収まることなく冷たい床に落ちていった。三分の二をロストした雀躍は意気消沈したまま楽しみにしていた映画を見ることになった。

 

「映画終わった後床に落ちたポップコーン拾ったのはいいが、いつまで恨めし気に見てるんだよ」

 

「むうううう」

 

「今すぐとはいかないが、また映画見に行こう。その時は始まる前に予め食っておけばいいだろ」

 

「・・・約束よ」

 

「おう」

 

「所でずっと元気無かったけど、ちゃんと映画の内容頭に入ったか?」

 

「・・・入らなかった・・・」

 

「・・・リベンジだな」

 

「うん・・・」

 

 そういうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、では気を取り直して」

 

「お昼ご飯ね!?」

 

 すっかり元気に元通りになった雀躍。お腹を空かせたのだろうか、先程から頻りにお腹をさすっている。

 

「昼飯食いたいか?」

 

「ええ。もうお昼よ?」

 

「そっかあ」

 

 確かに腕時計を確認すれば時計の針は0の数字を指すところだった。本当は服でも見に行きたかったが、今日の主役が昼飯を所望しているのならそれに従うまでだった。

 

「私ラーメンが食べてみたいわ!」

 

「イタリアンとかじゃなくていいのか?」

 

「んー、正直悩んだのだけれどイタリアンなら健吾が作ってくれるし。美味しいし。それなら食べたことのないラーメンを食べたいの」

 

「・・・中々嬉しいことを言ってくれる。雀躍に対する好感度が10上がりました」

 

「おお!中々上がったわね。上限はいくらで今の私のポイントは?」

 

「上限は1万点で今のお前は、さっきのポイントが加点されて50点だ」

 

「あんまりだ!!」

 

「さ、ラーメン屋に行くぞー」

 

「え、健吾。私が50点って冗談よね?ねえ健吾?」

 

「・・・行くぞー」

 

「ねえってばあぁあああ!!」

 

 逃げる健吾に、涙目で追う雀躍。この後二人は仲良くラーメンを堪能した。あ、雀躍が噴き出してラーメンが鼻に入って涙目になったのは秘密である。

 




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