迂闊な拾い物   作:猫茶屋

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お待たせしました。難産過ぎてモチベが下がってしまい時間が掛かってしまいした。完結目指して頑張りますので長い目で見てやって下さい。


表面と裏面

雀躍の唐突なカミングアウトに驚く健吾。健吾に大きな爆弾を投下した当の本人は、羞恥と困惑が入れ混ざった様な複雑な表情を浮かべ、両手の人差し指をちょんちょんとつつき健吾を上目に見やる。よく見ると羞恥の方が強いのだろう。僅かに頬の赤らみが分かる。

 

 

「いや~・・・うん。その~・・・ね?」

 

 

――可愛い。話の途中だが、雀躍は狙ってやっているわけではない事を予め前述させて頂く。

 

 

今、雀躍は両腕を縦に構え人差し指を互いにつつきあっている。という事は必然的に雀躍が持つ脅威な胸囲装甲は胸部の上で人差し指をつつくのが行われているお陰で、胸部が両腕で挟まれている状態になる。そればかりか雀躍の立派な胸部が逃げ場を見失い、人差し指をつつく度に上下に動いている。

 

 

健吾は無意識のうちに雀躍の胸部に目が行き――離せなくなった。雀躍がつつくと胸部が上に。離すと下に。その繰り返し。健吾の視線も上下に動く。

 

 

平均、或いはそれ以上の胸囲がある女性ならばこんな事は起こらないだろう。しかし雀躍のそれは、男性は勿論の事。女性すらもマジマジと見て思わず驚嘆し、呆れる程の胸囲を持つ。

 

 

健吾も巷では鬼神だなんだと謳われ、畏怖の対象とされているが、それ以前に歴とした人間であり男である。故に欲を持っている。当然目前で男を駆り立てる仕草をすれば、情欲が生まれてくるのは致し方ない。むしろ情欲のままに雀躍に求めることを賞賛すべきである。ただでさえ、圧倒的な胸囲が目前で艶めかしく動いている。それに加えて、雀躍の上目遣いが非常にこちらの庇護欲を駆り立てている。

 

 

このまま情欲に身を任せ、雀躍の豊かな肢体を堪能したい。だがそれは自身を信頼している彼女を裏切る行為。健吾は情欲に負けそうになった己を猛省し、拳で己自身の右頬を強く打ち付ける。

 

 

「健吾!?」

 

 

いきなり自分の頬を容赦なく殴りつけた想い人に驚く雀躍。すぐにティッシュで健吾の口元から滲む血を優しくふき取る。

 

 

「ありがとう、そしてすまない」

 

「本当よ!なんで貴方って人は突拍子も無しにこんな馬鹿な事するのよ!!」

 

 

「・・・・・・すまん」

 

 

目を伏して、しょんぼりと大人しく雀躍の手当を受ける健吾。普段から常にしゃんとした姿からは掛け離れた姿に雀躍は表面上は自傷した健吾を諌め、心密かに喜んでいた。

 

 

(~~~~っハア!!ダメダメダメダメダメ!!!我慢よ!!我慢よ私!!普段は俺様でツンツンデレな健吾が!あの健吾が!!捨てられた子犬みたいにしょぼくれてる!!!可愛い!!すぐに家に持ち帰ってシャワー一緒に入って思い切り抱き締めたい!!嫌がって抵抗するけど結局適わなくて不貞腐れて諦める姿を見てみたい!!!・・・だけど、しょぼくれる度に健吾が傷付くのは見たくないわね。今回は自分自身でやった事だから怒るしか出来ないけど、もし私の健吾を傷つける奴がいたら徹底的に徹頭徹尾、悉くを私の持てる力を全てでオ・イ・タしてあげなきゃねぇ。)

 

今も尚、軽く眉を顰めている表情をキープし健吾に説教を続けながら治療をする雀躍。健吾は自省の念から大人しく正座し雀躍からの説教を聞き、治療を受けている。よもや、雀躍がフィーバーしているとは夢にも思わないだろう。健吾が雀躍はどのくらい怒っているのだろうかとチラリと視線を上げ見やる。未だに眉を顰めている。・・・大分怒っているなぁ。大人しくなすがままにされよう。視線を下に向ける。

 

 

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!私生きてる?何あれ?今の何?ちょっと、不意打ちとか狡くない?それは卑怯よ。いくら大好きな健吾でもいきなりのそれは戴けない。戴けないわ。上目遣いやるなら前もって言ってくれないと、私にも心構え?気構え?なんかそんなサムシングがあるのよ。お母さん、お姉さんにも言われなかった?そんな乙女のガード無効化攻撃とかチートよ、狡っこいわ。だから何でもするからもう一回やって下さいコノヤロー!!あ、やる時はちゃんと教えてね、カメラ回して録画して永久保存して私とせっちゃん、くぅちゃん、ちーちゃん、こうちゃん、りっちゃんのオカズ(意味深)になるから、だからもっかいこっち向いて。向きなさい。向きやがれ健吾ーーーーー!!」

 

 

いつの間に装備したのか、雀躍の手にはビデオカメラがある。尚、彼女から勢い良く溢れ出す鼻血のお陰で乙女とは掛け離れた様相なのは言うまでもない。

 

 

(・・・・・・俺が自省の念でいたっていうのに。当の本人は訳の分からない言葉をピーチクパーチク喚いてんのかぁ・・・・・・業が深いな・・・)

 

 

ゆらりゆらりと酷く緩慢な動きで立ち上がる。思いの外時間が経っていたのだろう、足に微かな痺れを感じる。しかし、正座に慣れている健吾はこの痺れをものともせずに雀躍に歩み寄る。視線を床に向けたまま。雀躍の足元に赤い点が連なっている。

 

 

のそり・・・のそり・・・と雀躍に歩み寄る。その姿はさながら幽鬼の如く。余りにも普段の、先程の萎れた姿とは掛け離れた健吾にさしもの雀躍も恐れを抱く。

 

 

「け、健吾ー・・・まだ私のお話終わってないんだけどなー・・・。あ、あと、怖いからそれやめて戴けるとありがたいかなー?」

 

 

「んー?」

 

 

勢い良く顔をバッと上げる。口は緩やかな弧を描くが目は描いておらず。光もない。口元に乾いた血が付いているのが更に恐怖を増している。

 

 

「ピッ!!」

 

 

自身の恐怖のキャパシティを超えたのか、後ずさりして尻もちを着いてしまう。

 

 

「こっちを向けって言ったのに、その反応は酷いんじゃないか?んー?」

 

 

「な、何でそのセリフを・・・」

 

 

「いきなり、ブツブツ独り言喋ったかと思ったらいきなり叫ばれたらな。」

 

 

「・・・・・・はっ!!」

 

 

咄嗟に雀躍は自身の口を両手で塞ぐ。すぐさま目の前の阿呆の頭をとっ捕まえ、何時ものアイアンクローをキメる。

 

 

「ピャッ!!・・・・・・あいたたたたたた!!!痛い!痛いわ健吾!!」

 

 

「痛くしてるんだから当たり前だろう?」

 

 

何当たり前の事を言ってるんだ?そう言わんばかりに首を傾げる。

 

 

「最低だこの人!!」

 

 

ギニャ~~~~!!と猫の叫び声をあげながら、今も尚キリキリと自身の頭を締め付ける腕を振り払おうとしても、何故か振り払えない。何とか抜け出そうと四苦八苦している。

 

 

「ところで、せっちゃん、くぅちゃん、ちーちゃん、こうちゃん、りっちゃんとは誰だ?」

 

 

先程の抵抗が嘘かのようにピタッと止まる。

 

 

「・・・私そこまで喋ってたの?」

 

 

「俺が聞いたのは『私生きてる?』から。」

 

 

「最初からじゃないのよ!!」

 

 

思わず、頭を抱え床にうずくまろうとする。が、健吾のアイアンクローのせいで途中で低頭した状態で止まる。

 

 

「ここまでやる!?うずくまらせなさいよ!」

 

 

「その前に、情報。はよ。はよ。」

 

 

「鬼!悪魔!健吾!・・・・・・その四人は前に言った戦艦棲姫、防空棲姫達のことよ。」

 

 

更に雀躍は説明を続ける。一応真面目な話になる為アイアンクローは外した。

 

 

「戦艦棲姫のせっちゃん。防空棲姫のくぅちゃん。駆逐棲姫のちーちゃん。港湾棲姫のこうちゃん。離島棲鬼のりっちゃん。この五人ね。」

 

 

「それはまた随分なメンバーだな。・・・・・・ん?それは俺に会いたいとか言ってた娘か?」

 

 

「そうよー。あの娘達ったら私達の集会に会う度に、早く鬼神に会いたい!早く私を使ってほしい!とか言うのよ。・・・・・・いや、あの娘達なら健吾に会わせてもいいかしら・・・・・・」

 

 

「最後呟いてて聞こえなかったけど、その娘達は雀躍の友人なんだな?」

 

 

「ええ。私と同じ周りに馴染めなかったイレギュラー。更に北方棲姫のぽっちゃんも加えて六人よ。」

 

 

「そうか、雀躍がお世話になったのなら挨拶に行かなきゃな。」

 

 

「ええ。健吾、忘れてると思うけど呉さんの艦娘達に会ったのは十中八九その娘達だと思うわ。」

 

 

 

「やっぱり?深海棲艦側でわざわざ敵である艦娘を助けるなんて事はしないだろうしな。ふむ。顔見知りの艦娘助けてくれてありがとうだな。」

 

 

「ふふふ。そのセリフはあの娘達に会って伝えてあげなさい。泣いて喜ぶわよ」

 

 

それは流石に冗談だろう?と思った健吾だったが雀躍は自分が褒められたのかの様に、嬉しそうに微笑むばかり。あながち冗談ではないのだろうな。健吾は雀躍の頭を撫でる。雀躍も健吾の腕に頬を擦り寄せ言外にもっと撫でろと強請り、健吾もそれに応える。

 

「・・・・・・・・・問題は呉さんがセッティングしたお見合いと、この件をどうやって説明するかだなー・・・・・・」

 

 

――まだまだ健吾の苦悩は続く。




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