迂闊な拾い物   作:猫茶屋

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お待たせしました。リアルが忙しくて中々書く暇がなく、せっせと書いてたらノートパソコンのキーボードが反応しなくなり、ひたすら焦りました。幸いノートパソコンの裏側の蓋を開けて放電させたら復活しました。・・・データ飛んで無くてよかった


夜空の下で

おばさん乱舞事件から数刻経ち、夜の帳が下ろされる。

 

 島民は健吾の家から庭へと場所を移し、地面にブルーシートを敷き酒盛りをしている。既に酒をたらふく飲み、皆が顔を朱に染め上げそれぞれの話題に大げさに相槌を打ち、話のオチには呵々大笑が起こりいたって普段通りである。ただし今回の飲み会の当初の目的は空母棲姫ちゃんを迎える会という名目だったが、空母棲姫が島民に一通り挨拶に回り終わるとなし崩し的に今の状態になった。

 

 空母棲姫はゲストである己をそっちのけで酒盛りを始める島民たちに嫌悪感は感じてなどいなかった。むしろ好感を持った。深海棲艦側である自身がいてもいつも通りの光景が行われている。その事実こそが島民が彼女を迎え入れてくれた証明であるのだから。

 

 尊いものを見るように島民の酒盛りを見つつ、おばさんから渡されたぐい吞み。その中に入った日本酒をちびりちびりと大事そうに飲む。初めて人間から酌をしてくれたお酒だ。このお酒を一息で飲むのはとても勿体ないことだと感じ、先程から少量のお酒を飲んでいる。

 

 そんな感傷的な気分に浸っている彼女のもとに男が歩み寄る。

 

 「よ。お隣いいかいお嬢さん」

 

 「あら、健吾じゃない。貴方なら何時でもいいわよ。さ、どうぞ」

 

 空母棲姫は声を掛けたのが健吾と知ると彼が座る場所の用意をし、手で軽く砂をほろう。そんな彼女の何気ない優しさにほっこりする。

 

 「ありがとう空母棲姫。どうだい飲んでるか?あまりお酒が進んでいないように見えたがもしかして日本酒が苦手だったか?苦手ならジュースもあるが」

 

 「どういたしまして。お酒は大好きよ、ただ人間から酌をされる時が来るとは思ってなくて。皆から受け入れてもらえた証拠でもあるこのお酒を飲むのが勿体なくてゆっくりとのんでいたの」

 

 空母棲姫はぐい吞みをとても愛おしそうに彼女の黒い指でなでる。

 

 「そうか。皆もお前の酒があまり進んでいないようだったから心配してたんだ」

 

 「そうなの?・・・ふふっ。本当にここの人たちは優しいのね」

 

 「まあな。身寄りの無くなった俺と妹を育て上げてくれた方達だ。時に厳しいがそれ以上の優しさで俺たちを育て上げてくれた方達さ。冷たい人はいないさ」

 

 「それもそうね。ね、ねえ健吾?」

 

 空母棲姫が躊躇いがちに健吾を見る。身長差で健吾の方が背が高いため、必然的に彼女は上目遣いになる。

 

 空母棲姫を月明かりが優しく照らす。月光で優しく照らされる彼女の美しい白い髪。眦に雫を溜め、両頬が日本酒で仄かに朱に染まる。元の肌が白いため淡い朱色は尚更彼女の魅力を十二分に引き出していた。

 

 艶めかしい彼女にドキリとしつつも彼女に悟られないように平静を保ち、彼女に続きを促す。

 

 「いつかでいいから、健吾のお話聞いてもいい?」

 

 「聞いてもつまらんぞ?」

 

 「つまらないなんてことはないわ。貴方を知りたいのよ」

 

 「・・・わかったよ。お前の話を聞くのに俺の話はしません。なんてのは筋が通らないというかフェアじゃないよな」

 

 頭をポリポリと掻き、両腕を上げ降参のポーズをとる。

 

 「本当に!?話してくれるのね!!ありがとう健吾!!」

 

 嬉しさのあまり健吾に強く抱き着く空母棲姫。すぐさま周りから怨嗟の声や二人を揶揄う声が広がる。

 

 じつは島民は二人の様子を肴にして酒を飲んでいた。健吾ならあの綺麗なねーちゃんの寂しそうな笑顔を何とかしてくれる。そう信じて密かに固唾を飲み見守っていたが、綺麗なねーちゃんが明るい笑顔になって健吾に抱き着いたのを見て、やんややんやと騒ぎ立てたのである。

 

 美人が嬉しそうに笑う。センチな表情もいいけど俺らはその笑顔を見たかったんだ!けど、やっぱ美人が抱き着いてる健吾に嫉妬ファイヤーも少なからずある訳で。それが怨嗟の声になってしまう、彼には申し訳ないがそれは税金としてもらおう。なに、そんだけ綺麗なねーちゃんに好かれてるんだ。文句はないだろう。

 

 「またこのパターンか!おま、お前自分の力量と容姿考えろ!当たってるし苦しいから!!」

 

 羞恥もあり、空母棲姫から逃れようともがく。なんの拍子か彼の手が空母棲姫の横胸に触れてしまう。

 

 「ぁん!!」

 

 思わず嬌声を上げる空母棲姫。その嬌声を聞き思わず前かがみになる男の島民たち。

 

 「あ!えと、そ、そのですね空母棲姫さん?」

 

 両腕で自身の豊満に育った胸を隠し健吾をジロリと涙目で睨む。横では男たちが女たちに睨まれている。

 

 「け、健吾の馬鹿!エッチ!スケベ!おたんこなす!!」

 

 羞恥と怒りの思いを込めて放ったビンタは空気を切り裂く音を発し、的確に健吾の右頬に当たり振りぬいた。健吾の裂帛が夜空に響く。そのビンタはおばさんに酌をして貰ったときに教えてもらったおばさん直伝のビンタであった。

 

 

 

 「酷い目にあった・・・」

 

 右頬にくっきりと紅葉が付いた健吾が冷えたビール缶で未だにじんじんと熱を持った頬に当てて冷やす。

 

 「酷い目にあったのは私のほうよ!」

 

 健吾が自身の胸に触れた事を思い出したのか、再び顔を真っ赤に染めて健吾を糾弾する。

 

 「確かにお前の胸に触ってしまったのは申し訳ないが、このビンタはどうかと思うんだ」

 

 「うっ。し、仕方ないでしょ咄嗟に手が出ちゃったんだから」

 

 「元提督だった俺じゃなかったら死んでたぞ」

 

 半眼の眼差しで空母棲姫をジトっと見る健吾。形勢逆転である。

 

 「ううっ。ご・・」

 

 「ご?」

 

 「ごめんなさい」

 

 「いいよ。こっちもごめんな」

 

 空母棲姫が初めに頭を下げ、健吾も空母棲姫に頭を下げる。そして二人同時に頭を上げたのが面白く二人で笑いあった。

 

 「あ、あのビンタ禁止だから」

 

 「そんな!?」

 

 「当たり前だ!」

 

 空母棲姫はふらふらとおばさんの元に寄り、おばさんからの講座を受けていた。お願いしますから彼女に変な入れ知恵をしないでください。ふと横から視線を感じたのでそちらを振り向くとおっさんが尊敬の目で健吾を見ていた。

 

 「あのビンタをすぐさま封じ込めるなんてたいしたもんだな健吾」

 

 「あれは二度と食らいたくない。なまじ空母棲姫の力があるから洒落にならん」

 

 健吾は食らった痛みを思い出し悲痛な顔になり、おっさんは普段食らってるビンタの数倍の痛みを想像しカタカタと震えるのみだった。

 




話が進まねえよー。進ませたいけど、もう少し空母棲姫とイチャついていたい。
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