2回目転生者達が切り開くIS世界   作:影鴉

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前期に続いて今期のアニメも可愛らしいヒロインが多いと感じた影鴉です。
頭を撫でながら愛でたい娘が多いですね。
今回、ようやく原作であるISが出てきます。
とは言っても設計図段階ですが…

それでは、『2回目転生者達が切り開くIS世界 第4話』始まります。



 インフィニット・ストラトス(無限の成層圏)と束の思い

 車を使って篠ノ之宅へ向かう。自分との会話を止めてまで熱中して書いていた設計図が遂に完成したのだ。いつもは安全運転を心掛けているのであるが、ついスピードを飛ばしてしまう。

 

 

「わくわくが止まらないねぇ…♪」

 

 

 篠ノ之神社には駐車場が無いため、近くのパーキングエリアに車を停める。そのことを束に伝えていたのだが…

 

 

「げ~んさ~ん!!」

 

 

 大声と共に束がセグウェイ擬きに乗って猛スピードでこちらに向かって来ていた。セグウェイ擬きは急停止し、束は慣性の法則に従い、源之丞の胸の中へと飛び込んでいった。

 

 

「ヒャッホー♪ 会いたかったよ~!」

「束ちゃん、今日は随分とアグレッシブだね?」

 

 

 勢いがあったためによろけながらも、しっかり受け止めた源之丞は言葉とは裏腹に嬉しそうに尋ねる。束は源之丞にギュッと抱き着いているために、成長期の豊満な胸がふにゅっと彼の胸元に当たって潰れているが気にしている様子は無い。

 

 

「んふ~ふ♪ 源さんに久しぶりに会えたんだから当然なのさ!」

 

 

 束はにっこり微笑んで答えた。源之丞は束を降ろして頭を撫でる。それをいつものように束は目を細めて心地良さそうにしているのであった。

 

 

「取り敢えず、設計図の完成おめでとう」

「えへへ~、有難う♪」

「ここ数か月ずっと掛かりきりだったのかい?」

「うん、早く完成させたくって寝る間も惜しんでやっちゃった」

「無理はしなかったかい?」

「大丈夫だよ。学校へはちゃんと行ってたし、ご飯やお風呂も忘れてないよ♪」

「学校で居眠りはしてないかい?」

「それは……ちょっとは…しちゃったかな?」

 

 

 束は少し気まずそうにする。その様子を源之丞は笑いながら見つめる。

 

 

「ははっ、しょっちゅうじゃなければいいさ。わたしも教師の話ばかり聞くような授業では居眠り していたからね」

「源さんもなんだ?」

「知っていることなら尚更だからね、数学とか理科系はそうだったな。逆に国語とかは話を聞くだ けでも楽しかったね」

「それは束さんもそう思うよ。でも登場人物や作者の気持ちを考えろって無理があると思うな、考 え方なんて人それぞれなんだし」

「所詮、文字でしか表現できないからねぇ」

 

 

 そんな談笑をしていると束の自宅へ到着した。玄関には束の妹である箒と千冬の弟である一夏がいた。

 

 

「あ、源さん」

「やあ、こんにちは箒ちゃん。久しぶりだね、柳韻さん達は居るかい?」

「父と母は出掛けています」

「そっか、」

「源さんこんにちは!」

「一夏君、こんにちは。これから遊びに行くのかい?」

「うん! 公園でみんなと遊ぶ約束をしたんだ!」

「怪我をしないようにね、2人共」

「「は~い! (はい!)」」

「箒ちゃん、いっくんいってらっしゃい♪」

 

 

 挨拶を済ませ、箒達を見送った源之丞達は束の部屋へ向かう。兎のぬいぐるみが所々に置かれている以外は少々女の子の部屋っぽくは無く、研究者の部屋と言った方が近いかもしれない。PCやワークデスク等小奇麗に片づけられていた。

 

 

「片付けはきちんとしているようだね」

「間違って大事なデータ書類とか捨てたくないからね♪」

 

 

 そう言って束は机の横に丸めて纏めていた設計図らしき大きな書類を取り出す。

 

 

「んふ~ふ♪ それではイッツ、ショータ~イム!」

 

 

 くるくると廻りながら源之丞の近くへ寄ると図面をバッと広げて見せた。

 

 

「これは…」

 

 

 広げられた設計図を受け取り、源之丞は眺める。束が考案したパワードスーツの図面、その左上には『Infinite Stratos (インフィニット・ストラトス)』と書かれていた。

 

 

「『インフィニット・ストラトス』、『無限の成層圏』か…」

「うん! 束さんの思いが込められた渾身の発明品となるモノだよ!!」

「対応域は何処を想定しているんだい?」

「宇宙だよ。これから間もない未来の為の『宇宙開拓用パワードスーツ』。それがこれ♪」

「既存の宇宙服より装甲が薄めだね? 此処に書かれている『ISコア』がポイントなのかな?」

「そう! ISコアはAI、エネルギータンクといった様々な用途を一つに担う大事な部分なんだ♪」

 

 

 束からISの機能について聞いた源之丞は只々驚いた。独自進化するコアAI、『PIC』による浮遊飛行、パワードスーツでありながら高速飛行を可能とし、コアのエネルギーによってシールドを展開、『絶対防御』によって物理衝撃を和らげる。また、ハイパーセンサーによって360度の広範囲を索敵でき、そしてなにより物質を粒子化し一定空間内に格納する機能である『拡張領域(バススロット)』。ISが完成すれば補給は必要ながらも自由に、そして安全に宇宙空間内での作業が可能となる。シールドや『絶対防御』によってデブリ等の衝突による死傷が無くなり、格納機能で道具の持ち運びが格段に遣り易くなる。正に、宇宙開拓の革命に成り得る発明である。

 

 

「コアだけが多くの機能を持つのはもしもの際に少し怖いかな?」

「やっぱり? 機能を積み込めるだけ詰めてみたんだけど…」

「保険にサブコアが欲しいかな? 出来ればエネルギータンクは別途で積みたいものだが…、この  『絶対防御』の緩和率は確実なものかい?」

「理論上は、ダメージは防ぐけど衝撃は完全には防げないから装甲が必要になるんだ。今後の課題 かな?」

「『拡張領域(バススロット)』は物だけ格納するのかい?」

「これについてはディスクとかの容量を想像するといいかな? 機能データとか機体に付け加えても 領域を占めるから」

「今後更に改良は必要だな…それでもこれは…」

 

 

 大体の質疑応答を終え、源之丞は頷くと顔を束へ向けた。

 

 

「素晴らしい、素晴らしいの一言だよ、束ちゃん。これは今まで無かった、世紀の大発明だよ。で もこれは…」

「うん、分かってるよ。ISは兵器としてもすごいモノになるであろうってこと」

 

 

 束は悲しそうに答える。戦争や闘争の中で新たな発明は起きてきたとある者は言った。別に、発明したモノは必ずといって良い程戦争に利用できないか試されると言った者もいる。それは狩りの為に造られた弓矢であったり、害虫を駆除する為に造られた農薬であったり…。今回、束が設計したISも公表すれば確実に兵器として軍事利用しようとする者が現れるであろう。『拡張領域』に武器を大量に搭載、これによってオールレンジの攻撃が可能となり、大量破壊兵器による殲滅戦もIS1機だけで可能となる。

 また、シールドと『絶対防御』による防御も脅威だ。対人戦ならロケットランチャーやグレネードといった高火力で無い限りまともなダメージは禄に通らないだろう。かといって、戦闘機や戦車等の高火力武装を用いても小回りの利く高速飛行による翻弄や、パワードスーツで人間大という攻撃する側にとって余りに小さすぎる的相手には当たる筈が無い。奇襲すらもハイパーセンサーによって無力だ。既存の兵器では多数による物量・波状攻撃でなければとても勝てないであろう。

 

 

「源さん、束さんにはね、夢があるんだ」

 

 

 ふと、束が呟く。

 

「源さんと初めてあった時、源さんが言ってたよね? 「空に夢を馳せている」って…」

「言っていたね」

「束さんもね、あの時から空に憧れるようになったんだ。飛行機みたいな大きな乗り物でなくて、 肌に風を感じながら飛べるようになりたいなって、だから色々と沢山勉強した」

 

 

 机の上に積まれた本に手を置く、航空力学や宇宙開発といった学術書が置かれている。彼女が宇宙に興味を持っていたことは今迄してきたの会話やメールでのやり取りの中で分かっていた。そしてそこ(宇宙)へ夢を抱いていたことも…

 

 

「勉強しているうちにね、もっと高い処へ憧れるようになったんだ」

「成層圏の向こう、宇宙(そら)か…」

「SF映画みたいに縦横無尽に宇宙(そら)を飛びまわれるモノを、宇宙船ではなくって宇宙服で自由に、安 全に飛び回れるモノを造りたい。そう思って、そんな夢を持ってISを考えたの…」

 

 

 そう言って束は黙り込む。源之丞は彼女を唯見つめていた。数分が経ち、束は溜まった思いをぶちまけた。

 

 

「束さんは宇宙(そら)を飛びたいからISを造るの! 戦争の道具にするために造るんじゃないもん!!」

 

 

 初めて2人が出会った時のように、束の瞳から涙がポロポロと溢れ出す。

 

 

「ISコアには自己AIが組み込まれるんだよ、ヒトみたいに考えたり悩んだりするようになるんだ よ、殺し合いをさせるために造る訳じゃないんだよ!」

「束ちゃん…」

「自分の造ったモノが、束さんの夢が兵器として利用されるなんて……嫌だよ…」

 

 

 零れる涙を拭くことなく束は思いを告げた。その姿に源之丞は、

 

 

「束ちゃん、わたしが今日、此処に来たのは君の設計図を見るだけでは無いのだよ」

 

 

 そう言って彼は束の前に畳まれた書類を差し出す。束は渡された書類を広げた。

 

 

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推薦状

 

篠ノ之 束 殿

 

 

貴殿を『ヤマト重工宇宙開発部門研究・開発主任』

に推薦する。

 

 

ヤマト重工総合開発主任 光浦 源之丞

 

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 書類にはそう書かれていた。束は大きく目を開く。

 

 

「源さん、これって…?」

「見ての通り、わたしからの推薦状だよ。篠ノ之 束、ヤマト重工は近いうちに宇宙産業へ手を伸ば す予定だ。そこで…」

 

 

 源之丞は束を見つめる。いつもとは違う真摯な表情に束も顔を引き締める。

 

 

「我々、『ヤマト重工』は君の溢れる才能を認め、君を宇宙開発部門の研究・開発主任として招き 入れるつもりだ。まぁ、義務教育を終えた後で試験に合格した上の話になるのだが…君なら大丈 夫だね。君が入社した暁には宇宙開拓の要になるであろうISの研究・開発に我が社は全力を持っ て支援することを誓う。そして…」

 

 

 源之丞は束の肩に手を置き、にっこりとほほ笑む。

 

 

「君のISを軍事利用させないように手を尽くすことを誓うよ」

 

 

 涙腺が崩壊したのかもしれない、束はその時そう思った。とっても嬉しいのに、涙が止まらない。推薦状を握り潰し、涙と鼻水でぐしょぐしょになった顔で、わんわんと泣きながら源之丞に抱き着いた。それを彼は優しく抱きしめ返すのだった。

 

 

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「それじゃあ、そろそろ帰るよ」

「源さん、聞いてもいい?」

「何だい?」

 

 

 束が泣き止んだ後、時間が来たために源之丞は帰ろうとした時、束は気になっていたことを尋ねた。

 

 

「その…、どうして束さんにここまでしてくれるの?」

 

 

 自分と出会ってから彼は何かと自分に気にかけていたことを束は気付いていた。

 

 彼は自分のことを本当の意味で理解してくれた。

 

 他人との付き合い方を教えてくれた。

 

 開発をしたい時、必要な資材を与えてくれた。

 

 両親の態度が変わったのもきっと彼が何かしてくれたのであろう。

 

 そして今回………

 

 

 何故彼がここまでしてくれるのか解らなかった。だから束は尋ねたのだ。彼女に尋ねられた源之丞は目を細める。

 

 

「そうだね…同じ後悔をしたくなかった、過去の失敗をあの時の君を見て思い出したからかな?」

「後悔?」

「わたしは君のような天才をもう1人知っている。天才であったが、少し変わった人だった。でも その人とわたしは兄弟のような関係だった」

「源さんと…」

「その人とわたしは色々と語り合ったり共に新たな発明品を開発したりして毎日が楽しかった。で も、」

 

 

 源之丞の表情が暗くなる。

 

 

「わたしはその人を本当の意味で理解していなかった。ある事件で彼は心に大きな傷を負ってしま ったのにわたしは意味の無い慰めしか掛ける事が出来なかった。救うことが出来なかったのだ  よ…」

「……」

「そして…その人は壊れてしまった」

「え…、壊れた…?」

 

 

 束は息を呑み、そして理解した。彼は自分の姿にその人の姿が重なって見えていたことを。そして思った、彼とあの時出会っていなければ、その人の様に自分もきっと壊れてしまっていたのだと…

 

 

「もう語り合うことも、共に研究をすることも出来なくなってしまった」

 

 

 辛そうな表情で源之丞は語る。束は唯、話を聞くことしか出来なかった。

 

 

「原因はどうであれ、あの時の束ちゃんもその人に似ていた。だから救いたかった、あの時の後悔 をもうしたくなかった」

「源さん…」

「その時の後悔を少しでも紛らわす為の自己満足なのかもしれない、身勝手な行動かもしれない、 それでもわたしは…」

「源さん!」

 

 

 束は駆け寄って源之丞を抱きしめる。強く、強く抱きしめた。

 

 

「源さんは束さんを、私を救ってくれたよ、独りぼっちだった私の心を救ってくれた。他にも   色々、いっぱい救ってくれた! だから…」

 

 

 顔を上げて束は彼を見つめる。

 

 

「だから自己満足とか言わないで」

「束ちゃん…」

「源さんと会うまで毎日がつまらなかった、おもしろくなかった。そんな日々を変えてくれたのは 源さんなんだよ? だから悲しいことは言わないで、私は源さんに救って貰ったんだから」

「有難う…」

 

 

 源之丞は微笑みながら感謝の言葉を告げる。束もそれに笑顔で返した。

 

 

「束ちゃんの御蔭で吹っ切ることが出来たかな?」

「うんうん、元気じゃなかったら浪漫も追えないよ?」

「それは浪漫を追う者(ロマンチェイサー)としていけないな」

「ふふっ♪」

 

 

 辛そうな顔が消え、いつも通り微笑む。

 

 

「さて、束ちゃんも後1年程で中学校を卒業だ。入社試験は高校受験前に行われるからしっかり勉 強しておくんだよ?」

「試験内容はどうなるの?」

「詳しいことは後日また連絡しよう、束ちゃんは推薦枠だから面接がメインかな?」

「うえ~、面接か~」

「先生とかに頼んで練習すると良い」

「うん、頑張る。後…」

「何だい?」

「ちょっとしゃがんでくれるかな?」

「構わないが?」

 

 

 言われるままに源之丞は腰を下げる。束と視線が合う位の高さになる。

 

 

「目を閉じて」

 

 

 目を瞑る。すると……

 

 

「んっ♪ (ちゅっ!)」

「む!?」

 

 

 束は源之丞の頬にキスをした。頬に感じた感触に源之丞は目を開く。

 

 

「束ちゃん?」

「えへへ~♪ 束さんからの気持ちだよ」

 

 

 いたずらが成功したような、嬉しそうな表情で束が言う。源之丞は少し呆けてしまったが、すぐ微笑む。

 

 

「そうか、有難う束ちゃん」

「それは束さんのセリフ、いつも有難う源さん♪」

 

 

 互いに笑いあい、源之丞は篠ノ之宅を後にした。

 

 

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「うふふっ♪ 源さんにキスしちゃった」

 

 

 部屋に戻った束はベッドに倒れこむと枕に顔を埋めた。顔は見えないがにやにや顔が止まらないようだ。

 

 

「源さんがいる会社、『ヤマト重工』かぁ…」

 

 

 源之丞がヤマト重工に勤めていることは束も知っている。ニュースやCM、広告といった情報媒体からほぼ毎日のように見かけるし、自分でヤマト重工のサイトにアクセスして調べもした。元々は工場レベルの会社であったのだが源之丞が入社する手前から一気に急成長を遂げ、世界に通用する大企業となっている。結果、ヤマト重工に就職できた者は人生の勝者とまで言われるようになった。開発・研究におけるプロやエリートが集まるトップ企業、勿論倍率も凄まじいことになっている。それだけ凄い企業に成長させた1人が源之丞であると思うと束はわくわくしてくる。そんな彼と共に開発・研究が出来る場所……

 

 

「頑張らなくっちゃ!」

 

 

 絶対合格してみせる! と束は奮起するのであった。




如何でしたでしょうか?

源之丞と束にフラグが建ちました。
束ファンの方はお許し下さい。
次回は束がヤマト重工の入社試験を受けることになります。

それでは次回『束と入社試験』お楽しみに。
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