原作の性格のせいでその可愛らしさも粉微塵だけどな…
今回、束ファンの方にとっては激高しかねないシーンがあります、どうかご容赦ください。
それでは、『2回目転生者達が切り開くIS世界 第9話』始まります。
「VA(ヴァリアント・アーマー)?」
「そう、さっき見せた大型ロボットもこのパワードアーマースーツもそう呼んでいるよ」
そう言って源之丞は束に待機状態のゲイツを手渡した。束はそれをまじまじと見る。普通のキーホルダーの様だった。
「ISの展開システムと同じ?」
「そうだよ、メタトロンの空間圧縮を利用したものだからね。でも見て欲しいのはこっちでね」
源之丞は近くのデスクから金属の塊を取り出した。
「これは?」
「VAを構成している素材でね、『ヴァリアブルメタル』と言う。最近精製したんだ」
近くの机にヴァリアブルメタルを置き、それにパソコンから延びる電線を繋ぐ。
「見ていて」
源之丞はそう言ってパソコンに何かを打ち込んで入力する。するとヴァリアブルメタルはアメーバの様にうねうねと動き出し、形状が変化した。
「形が変わった!?」
「ヴァリアブルメタルは設定した電気信号を送るとその設定した形状に変化する事が出来るんだ」
「金属に形状変化の設定が出来るの!?」
「そうだね、分子レベルでマイクロチップを埋め込んだ形状記憶合金のような物質と思ってくれれば良いよ」
「ぶ、分子レベル!?」
束は唯、驚愕するしか出来なかった。分子レベルのサイズになったマイクロチップなど誰も造れていないのだから。自分でも造るのは無理だと束は思った。
「そうだね、『ターミネーター2』に登場した『T-1000』の液体金属を想像してくれれば良いかな?」
「はえ~、束さんでもフィクションの領域だと思っていたのに…」
「見た方が早いかな?」
源之丞は緑色のカードの様なモノを取り出す。
「ガルディン、セットアップ」
【Set Up】
再び源之丞の周りが光に包まれ、今度は等身大のガルディンが現れた。
【アームチェンジ、ドリルアーム】
源之丞が命令するとガルディンの右アームがドリルアームに変形した。
「おお~、」
束は感嘆の声を上げる。
【ロングドリルモード】
更に命令すると、太いドリルは見る見る内に伸びていく。ドリルを軽く回転させて見せた後、源之丞は元のアームに戻す。
【レッグチェンジ、4脚】
新たな命令でトレッズだった脚部が4脚へと変形する。
【こんなものかな?】
源之丞は展開を解除した。
「どうだったかい?」
「
「設定要領には限界はあるけどね、これがヴァリアブルメタルの一番の特徴なんだけど」
源之丞は束に此処へ連れて来た理由を説明する。
ヴァリアブルメタルの特徴を用いればISの問題を解決出来るのではないかという事だった。ヴァリアブルメタルは分子レベルのマイクロチップが集まったような素材である。このマイクロチップ部位を形状変化に容量を回さずに、ISコアのプログラム設定の補助に当たらせれば根本的な解決にはなら無いものの、男性でもISを起動させることが出来るのではないかという事らしい。
「まぁ、成功したとしても説明した通り、ISコアのプログラムを誤魔化して作動させる事になる訳だから、ちゃんとした解決にはなってないけどね」
「装甲素材自体が一種のコンピューターになる訳だね? でも衝撃とかでマイクロチップ部位が壊れたりしないの?」
「そこでメタトロンのシールド展開が役に立つのさ、それにヴァリアブルメタル自体は頑丈な上に軽いからねフレームボディの素材としても一級品だよ」
「結果はどうあれ、フレームボディの改良として済む訳だね?」
「そうだよ」
「う~ん、実験しない事にはどうなるか分からないって事かぁ」
「とりあえずこの方法を試すとして、わたしに反応した理由も調べないといけないね」
「そうだね」
腕を組んで束と源之丞は考える。しかし、これといった理由は思いつかなかった。
「わたしの生態データについては後で纏めて君に渡そう。手掛かりが見つかるまではわたしに反応した事は機密にした方が良さそうだ」
「うん、変な機関が「解剖させろ!!」 なんて言ってきそうだし…」
「わたしもそれは勘弁願いたいね」
そう言って源之丞達は格納庫を後にした。
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「諸君、今回はまず言うべき事がある」
沢山のモニターに囲まれて源之丞は言葉を発する。
「篠ノ之 束博士が開発したISが女性にしか扱えないという問題が発生した」
【うげぇ…】
【どういう欠陥だそれは…】
周りから戸惑いの声が広がる。
【公表はするのか?】
「いや、その予定は無い。本人自身、この問題を解決しない事には発表する気は無いと言った」
【それが妥当だろうさ】
【愚かな女性権利者共が騒ぎ出すのが目に見えている】
【どうする
「ISについてわたしが口出しする権利は無いよ、彼女自身が決める事だ」
【大丈夫なのかい?】
「信じられないかね?」
【いや、失言だったな、ドクターの言葉が信じられないという訳では無い】
【でもよぉ、宇宙開発の計画はどうすんだよ?】
【計画ニハぱわーどすーつモ入ッテイル筈デスヨネ?】
ヤマト重工の今後の方針についての疑問が挙がる。
「その件については機体にヴァリアブルメタルを用いてもう一度試してからだ」
【成功する確率は?】
「はっきり言って50、いや、20%も無いと予想している」
【失敗が前提か?】
「わたし自信がISコアを理解し切れていない以上、どうなるかはまったく分らないからね」
【
「それが彼女、篠ノ之 束の才能だ、わたしとしては未知となる技術を理解する浪漫となるから嬉しい事なのだがね、」
源之丞は嬉しそうに答える。
これが彼のスタンスである。難解な問題であればある程意欲を燃え上がらせ、そして解いてしまう。
【それで、失敗した時はどうする気だ…?】
「ISは欠陥を解決する為の研究を続ける。そして代わりとなるパワードスーツを製作して貰うよ」
【代わり?】
「彼女が入社する前に計画されていたパワードスーツを彼女なりに改良してもらう。ISの前任となる存在になる訳だ」
【束博士はそれを了承しますかね?】
「それだけは聞かない事には分からないね」
源之丞は分からないと首を振る。
【そういえば例のモノはどうするのだ?】
【ISト共二発表ヲ遅ラセルノデスカ】
「その件もだが、ISで更に問題が発生してね、」
【まだあるのか!?】
更なる問題の発生という言葉にメンバーは騒がしくなる。
「わたしにはISが起動した」
【は?】
【ドウイウ事デスカ?】
「わたしというか…転生者なら男性でも反応する事実が判明した、その原因は未だ不明だけどね、」
【oh…】
【ドクター束は知らないんだよな? 転生者関係だし】
「そうだ、この件に関しては連盟が独自に究明することにしたい、ISの発表はまだ先であるが男性転生者諸君はISに触れない様に、後で誤魔化す為のデバイスを配布する」
【ばれたらどうなるんだ?】
「下手したら解剖コースかな?」
【おい、馬鹿、止めろ…】
「この件も大きな問題なのだが…」
源之丞はモニターの一つに視線を向ける。
「未登録の転生者達の動きが最近活発になっているときいたが、蛇?」
【俺っちに聞くのかい?】
【てめぇ、昨日もそれ関連の事件調べてたろ?】
【まぁ、そうなんだけどね…】
呼ばれた蛇こと、キールは後頭部を掻く。
【連中、最近やたらと物資の輸送をしてやがる】
「行先は?」
【いずれもアメリカだ、調べてはいるが行先以降、まったく不明だ】
【尋問をしても吐かないのか…?】
【連中は下っ端だ、運んで船やらに乗せるまでしか聞いていない。おまけにクライアントも知らない】
「ふむ…」
源之丞はは顎に手を当て考える。
嘗て真助に依頼して現場を押さえたが、未登録の転生者やチンピラなどが何処かへ物資の輸送を行っているのだ。
武器は勿論の事、機械の部品や素材等も運ぼうとした荷物に混じっており、中にはヤマト重工製のパーツが含まれている事があった。
パーツに関してはヤマト重工は厳しく管理していた為、会社内では大きな問題となった。調べた結果、買収された輸送業者が横流ししたらしく、ヤマト重工は即、制裁した。
【目的は何でしょうか?】
【武器があるんだ、兵器転用が一番考えられるだろう】
【厄介なことになったな、こりゃあ…】
【ドクター、例のモノについての件ってもしかして…】
「そのもしかしてだよ」
モニターを見回して源之丞は答える。
「謎の勢力の動きが活発化していると考えられる、例のモノ、VAは近い内に公表する予定だ」
【まさか、もう抑止力という存在として発表するのですか?】
「半々だな、最初は作業用のパワードスーツとして発表し、連中の動きが更に本格的になったなら新たな方針として発表する」
【それで良いのですか、ドクター?】
「転生者混じりの勢力だ、油断すれば即世界大戦勃発もあり得るだろう? 戦う術は無くてはならない…」
【それはそうですが…】
「比較的平穏な時代が終わる可能性が高くなってきた、今後も諸君には調査を依頼したい」
源之丞は締めの言葉を紡ぐ。
「それではこれで議会を終了する」
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数週間後、ヴァリアブルメタルを加えたISの試作機『零式 β版』が完成した。テストルームには男性のテストパイロットがスタンバイしている。
「準備できました」
「それでは起動してください」
テストパイロットはISを起動しようとする。しかし……
「駄目です、反応しません…」
「そっか…、戻って良いよ」
「分りました」
テストパイロットはテストルームから退室した。
「男性にも反応するように設定しても駄目か…」
「ISコアに根本的な問題があるって事でしょうか?」
「それしかないよね、」
結局、起動試験は失敗。ヴァリアブルメタルによって得られた恩恵はシステム伝達速度の高速化とフレーム等の機体の強度が上がった位であった。
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「束ちゃん、元気を出して、」
「うん、有難う…。御免ね源さん、折角、新素材を用意してくれたのに」
「わたしに謝らなくても良いよ。君が一番悔しいだろう?」
「うん、」
ヴァリアブルメタルという新素材を用いても問題は解決せず、源之丞の生態データから彼が起動でいた理由も調べたがその理由も不明のままであった。
「束ちゃん…」
「何?」
「悲しい?」
「うん、」
「泣きなよ」
「ううぅっ…」
束の瞳から涙がポロポロと零れ出す。源之丞は黙って彼女を抱きしめた。
「源さん、悔しいよぉ…」
「うん、」
「束さんの…、私の夢が…漸く叶う筈だったのに…」
「………」
「皆が手伝ってくれたのに…」
「………」
「ふぐっ、うえぇぇぇぇっ!!」
源之丞の胸の中で束は泣き喚いた。今迄とは違う、悲しさと悔しさだけの苦しい想いだけを溢れさせ、大きく泣いた。2人しかいない研究室に泣き声が響く中、源之丞は優しく束の背中を撫でながらも強く抱きしめた。
「うわああぁぁぁぁぁぁ!!」
「いっぱい泣けば良いよ、わたしは此処にいるから」
目を細め、源之丞は愛おしく抱きしめていた。
どれ程時間が経ったであろうか、まだ嗚咽をしている束を源之丞は撫でていた。
「ぐすっ、有難う、源さん」
「ん、束ちゃんはこれからどうする?」
「ISコアの調査を続ける、束さんは諦めないよ」
「そうか」
源之丞は束の頭を優しく撫でた。
「そういえばこのISの欠陥と関係している機能は何なんだい?」
「ISコアの根底部である独自のAIと進化能力だよ」
「成程、ISコアの魂とも言える所か…」
「それと…『単一能力(ワンオフ・アビリティ)』」
「ワンオフ・アビリティ?」
「うん、ISが機体毎に持つであろう単一の能力。どんな能力になるかは束さんも分からない」
ISの特徴はメタトロン技術を応用したものが殆どであるが、さらに束の独自のAIプログラムによってISは人の様に進化する可能性を持ち合わせている。人と共に活動する事により、機体は自身の性能やAI思考能力を上げる事が出来るのだ。そして進化し、『1次移行(ファーストシフト)』、『2次移行(セカンドシフト)』へと至る。更に、機体毎に独自の能力、『単一能力(ワンオフ・アビリティ)』を持つ。
「進化の可能性が詰まっている訳か……ふふっ」
「源さん?」
源之丞が笑う。
面白いと彼は思った。はっきり言ってISは機械人間と言っても良いだろう、搭乗者が共に活動するという条件はあるが既存のAIを超える思考能力を持ち、更に機体性能等が成長、進化していくのだ。
「道具がヒトとして進化していく、素晴らしいよ。浪漫溢れる…だからこそ」
源之丞は再び束を抱きしめた。
「君の夢を潰えさせる訳にはいかない。やろうじゃないか、この問題は絶対に解決しよう」
「源さん…」
「久々の難題になりそうなんだ、腕が鳴るよ♪」
「でも宇宙開発の為のパワードスーツはどうするの? LEVだけじゃ…」
「それなのだがね、ランダーを束ちゃんなりに改良して欲しいのだけど良いかな?」
「ランダーを?」
「宇宙開発用パワードスーツは束ちゃんに任せている。ISが登場する迄の替わりという聞こえは悪いだろうけどね、頼めるかい?」
「………」
束は黙り込んでいた。そして、
「VAは使わないの?」
「VAかい?」
「源さんのことだし宇宙でも転用できるんじゃないの?」
「………」
束の問いに今度は源之丞が黙り込む。確かに、VAは陸、海、空、宇宙のどの環境でも利用できるよう造られた。しかし、源之丞はそれを望まない。
「そうだね、確かにVAは宇宙用として利用は可能だよ」
「それならどうして?」
「VAはね、軍事転用の
「身代わり?」
「ISの力は圧倒的だ、それは設計図を見せて貰った時にも話したね?」
「…うん」
「細かい機能は違えど、性能で並ぶパワードスーツを出せばどちらか一方は確実に利用される。宇宙における兵器開発はまだ殆ど行われていない、もしVAが軍事転用され、VAが宇宙でも転用が可能であるなら、地球上でも宇宙でも兵器として利用されるのはVAだけになる」
「それって…」
「ISは軍事転用はされず、宇宙開発の花形としてのみ扱われる。一部は利用されるだろうが、わたしとヤマト重工が絶対に止めてみせるさ」
「どうして?」
抱きしめていた腕を放され、体が離れたので、束は尋ねた。
「どうして源さんはここまでしてくれるの?」
何故ここまで彼は自分に気を遣ってくれるのだろうか? 源之丞自身の知識と技術があれば試作機段階であるランダーの性能を遥かに超える機体が造れる筈だ。それにVAがある、自分のISと並ぶどころか越えなかねない程の機体を造れる筈なのだ。
「わたしは言ったよね? 君の夢を全力でサポートすると、その思いはこれからも変わらない」
「それは、そうだけど…」
「何よりも、わたしは君を幸せにしたい」
「ふぇ!?」
源之丞の言葉に束は顔を真っ赤にする。今、彼は何と言った? 私を幸せにする?
「げ、源さん、今のはぷ、プロポーズにしか聞こえないよ?」
「プロポーズか、君がそれで構わないのなら、そう受け取って貰っても構わないよ」
「え!? えええええええええええええ!?」
束は頭がショートしそうであった。つまり、彼も自分に好意を持っているという事?
「束ちゃん、」
源之丞は束の方に手を載せる。彼女の顔は赤いままであった。
「君もわたしも共に天才と呼べる程の知識や技術を持ち合わせているね?」
「うん」
「ヤマト重工内でもわたし達の話についていける者ははっきり言って少ない」
「うん」
「あの時話したね、嘗て兄弟のような仲だった友人を助ける事が出来なかったと」
「うん、その人の影と私が重なったんだよね?」
「君が孤独であったのを見逃せなかった、そしてね」
源之丞は顔を近づける。
「わたしも孤独だったんだよ」
「!!」
「本当に理解し合える存在が、わたしも欲しかったんだ…」
何故、今迄気付かなかったのであろうか? 束はそう思わずにはいられなかった。
当然な事だ、彼も自分と同じく天才であり、彼の周りにも理解者は碌にいなかった筈なのだ。
本当に理解してくれる他者がいなかった、孤独であった筈なのだ。でも彼はそのような素振りを見せなかった。
誰とも話をし、明るく、楽しくしていた。
そのように見えていた。
彼は自分よりも一回り年上だ、どれ程苦しかったのだろうか…?
想像もつかない。
自分が彼と同じ立場なら、いや、自分はあの時既に潰れかけていたて彼に救われたのだ。
でも彼には………
「君と会えた時、心から歓喜したよ。ああ、仲間を漸く見付けたと」
「源さん…」
「嬉しかった、そして失いたくなかった。もう”あの人”を失った時みたいな想いをしたくなかった!」
源之丞は床に膝をつき、頭を垂れた。
「自己満足なのは解っている」
肩に掛けている手は震えていた。
「壊れたり悲しんだりする姿を…、もう見たくないんだ、怖いんだ、嫌なんだよ…」
「源さん!」
今迄見たことの無い源之丞の姿、束は見るに耐えられなかった。
束は源之丞の頭を抱きしめた。その瞳からはまた涙が溢れていた。
「御免、御免ね。源さんも同じ筈なのに気付かなくて」
「束…ちゃん」
「いつも助けて貰っていた、支えてくれていたのに私は何も出来なかった」
「………」
「だから、今度は私が返す番」
「?」
強い表情で束は源之丞を見る。
そして…
束は源之丞にキスをした。嘗てした、唇を重ねるだけのキスでは無いキスを…
「んっ!」
「んむっ!?」
唇を動かし、相手の唇を擦るように擦り付ける。
「はむ、ん…」
「ん…」
2~3分程であろうか…、長めのキスをして顔を離す。
「ぷはっ!」
「束ちゃん…わたしなんかにこん「好き!」…な?」
「好き、大好き。私は源さんが好きなの」
「……わたしを…」
「だから私は源さんを心から支えたいの、ううん、支える!」
「束ちゃん…」
「源さんが私にくれたモノよりもいっぱい、沢山あげる!」
「……」
「大好きだよ」
そう言って束は源之丞の胸に抱き付いた。源之丞は優しく抱きしめ返す。
「束ちゃん、」
「なに?」
「わたしはもう三十路を超えているよ」
「知ってる」
「これからも研究三昧でデートの機会とか作れないかもしれないよ」
「解ってる」
「こんなわたしを好きでいてくれるのかい?」
「源さんだから好きなの」
そう言って束は源之丞を見詰め、また唇を重ねる。
「ちゅむ、はふ……ふぁ」
はむはむと源之丞の唇を優しく食んでいく。源之丞もゆっくりと自分の唇を動かしながら束の唇を揉み返す。
「はむっ、ちう」
「んう、ちゅぷっ、ふう…」
何度も重ね合う内に歯の間から覗いた舌が互いに当たる。
「!!」
突然の事で目を見開き、思わず顔を離そうとする束、しかし離れることは無かった。
「げんさ…、んぷっ!?」
「ちゅくっ、ん、ふちゅ…」
源之丞は束の頭を掴み、放すことなくキスを続ける。
舌を使い、源之丞は束の口の中を無理矢理こじ開ける。そして口内の舌と絡め合った。
「ちゅ…、んっ、ふあ…」
何度も舌を絡ませ合い、漸く源之丞が束の頭を掴んでいた手を放して顔が離れる。離れる際に舌同士を銀色の線が繋いでいた。
「ふぁ、はぁ…、源さん…」
トロンとした表情で束は源之丞を見つめる。源之丞も顔を真っ赤にしながら微笑んで見つめ返していた。
「わたしも好きだよ、束ちゃん」
「本当?」
「ああ、大好きだ」
「嬉しい…嬉しいよ、」
嬉し涙を流し、束もにっこりと微笑んだ。
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更に数週間が経ち、束は新たなランダーを開発する。
独自の進化性や『単一能力(ワンオフ・アビリティ)』等のIS独自の特徴は持ち合わせていないが可能な限りISに近づけた機体。それでも、従来のパワードスーツなどとても及ばない程の高性能である。
将来、欠陥を無くした完全なISを完成させる事を誓い、束は自分が造ったランダーの総称を『ランダー型IS』と名付けることにした。
そして、宇宙開発部門が世界に名を轟かせる時が来た。
『ヤマト重工、宇宙デビュー!!』
この文が世界に広がった。
宇宙開拓用大型ロボット『LEV』と作業用パワードスーツ『ランダー型IS』は瞬く間に世界に認められ、宇宙開発の要となったのであった。
「遂にこの時が来たんだね、源さん♪」
「ああ、宇宙への浪漫が羽ばたくんだよ」
巨大モニターの前に束と源之丞は社員達と共に立っていた。
モニターにはスペースシャトル打ち上げの様子が映されていた。本格的な宇宙開拓の為の機材、LEV、ランダー型ISが積み込まれている。勿論、ロケットもヤマト重工製の特別製である。
【いよいよ、人類の新たな一歩となるロケットが打ち上げられます! まもなく、発進の秒読みが始まるようです】
【9、8、7、】
打ち上げのカウントが開始された。皆がモニターに視線を向けている。
【6、5、4、】
束が源之丞の手を掴み、源之丞も握り返す。
【3、2、1、】
皆が息を呑む、
【0、GO!】
カウント0の合図と共に、ロケットの噴射口から炎が吹き出される。
周囲に爆音を響かせながらロケットが打ち上がっていく。
徐々にその姿が小さくなっていき、小さな点になり、天へと消えた。
社員達から大歓声が挙がる。
【打ち上げが成功しました! 天高く、
中継場所からも盛大な歓声が挙がっていた。
「やったね! 源さん♪」
「ああ♪」
「夢が、浪漫が飛び立ったんだね…」
「君の夢はまだだろう?」
「それでも、
「そうか、」
そう言って源之丞は少し屈むと、束にキスをした。
「!?」
「これからも宜しくね、束ちゃん♪」
「源さんったら…、うんっ、宜しく!」
こうして、ロケットは無事に打ち上がり、開拓計画の1段階目となる月での月面基地開発が始まった。
作業は順調に進み、月面開拓が終えた後の段階になる火星開拓の計画準備も着々と進められている。
これによって、様々な外国の企業が生産提携を結ぼうと技術提供を求めてきた。それに対し、ヤマト重工は提携契約を前もって結んでいた企業を優先に提供した。勿論、裏で連盟が裏切ったりしないかどうか確認した上で、白であると確定した企業である。
宇宙産業が本格的にスタートすると同時に、VAも新世代の重機としてデビューを飾る為の準備が着々と進められていた。
今のところ、世界の流れは源之丞が思い描いた様になった。
しかしこの流れがとある勢力の出現によって大きく変わっていくのを連盟はおろか源之丞自身も知る由が無かった。
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?????
薄暗い部屋の中で、小型テレビだけが輝いていた。
その小型テレビを一人の青年がしゃがんだ体勢で見つめていた。
テレビには打ち上げたロケットに積まれた機材やLEV、ランダー型ISの紹介がされていた。
「LEV……かぁ…」
青年はぽつりと呟く。
「兄さんが見せてくれたのとそっくりだなぁ……」
また呟き爪を噛む。
「この世界にも同じことを考えるモノがいるのかなぁ?」
青年は立ち上がり小型テレビに近づく。
そして、
腕を振り上げて小型テレビを殴り壊した。
「モノの癖に……」
床に落ちたテレビを執拗に踏みつける。
「モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖に、モノの癖にぃぃっ!!」
素手で裸足の筈なのに殴った手や踏みつけた足から血が出ている様子は無く、そのままガラクタと化したテレビを蹴飛ばした。
「モノ如きが兄さんの物真似なんて認めない……」
テレビだったモノへ唾を吐き、座り込んだ。
「そんなにカッカしてよぉ、どうしたんだい?」
部屋の扉が開き、男が一人入って来る。
「何か用?」
青年は不機嫌に尋ね、男は肩を竦める。
「あんたが騒いでたから気になっただけだよ」
「なら出ていって」
「…分ったよ」
傍若無人な物言いを気にする様子無く、男は出て行こうとするが…
「待って、」
「今度は何だい?」
「そろそろ暴れて良いよ」
「!?」
暴れて良いという言葉に驚いた様子で男は振り向く。
「いきなりだな、どうした?」
「別に、兄さんの真似をするガラクタなんていらないから…」
「真似? ああ、今日打ち上がったロケットの事か?」
「ロケット、ロボット、全部」
「確か、ヤマト重工ってジャパンの企業だったな? 俺達と同じ連中が集まったから出来たんじゃねぇの?」
「あのロボット達のアイデアは兄さんのモノだよ、他のモノ如きが真似して良いモノじゃ無い」
「やれやれ、相変わらず
「さっさと行ってよ」
「はいはい了解」
そう言って男は今度こそ部屋から出て行った。
一人だけになった青年は体を床に預ける。
「沙耶はいない、美奈もいない、兄さんもいない………」
青年は右手を天井へ翳す。
「こんなガラクタばかりの世界なんていらない」
その目は深淵の如くどす黒かった…
如何でしたか?
束×源之丞が本格的に成立してしまいました。
最後のシーンで思わせぶりなキャラが出てきましたが、今後の展開にご期待ください。
それでは次回、『声明と狼煙』お楽しみに。