Persona 4-マニアクス-   作:ソルニゲル

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残酷な季節を超えた『皐月』
第2話 This World 5月8日(土) 天気:曇り


キャラクター設定

 

 

 

 

 

 

人修羅

 

 

名前:間薙シン(名ばかりで小説版を知らないので)

 

コトワリ:混沌エンディング。閣下END。

 

外見:人修羅になる前のまんま。

 

内面:

冷静沈着。だが、自分の選んだ『コトワリ』に自信と同時に多少の後悔も感じている。

だが、内面を曝け出すようなことは無く、無表情であることが多い。

 

心は微かに持っている程度である。

(完全な悪魔をルシファ―は望んでおらず、『人間的』強さを持った悪魔を生み出すために彼を選んだという設定。

人間は悪魔よりも悪魔らしいという言葉があるようにそういった場面が出てくるかもしれない)

 

重要な選択に躊躇なく犠牲を払う。大の犠牲より小の犠牲を選ぶ。

 

通常の人以上に好奇心旺盛である。

故に知識はけた外れである。

(それに『混沌』の王となっていた間、暇なので様々な悪魔から話を聞いていた)

 

 

「主な設定」

 

2004年に受胎に巻き込まれてから無論、歳などは取っていない。

 

全ての悪魔(LAWも含め)を使役し『ペルソナ』とは違い、外の世界でも召喚が可能である。(いわば、デビルサマナーに近い。)

召喚の仕方はサマナーとは違い。真女神転生3と同じ感じ。

『王』となったため、ストックなどはなく、何でも召喚できる。

 

スキルは全般使える。

(ルシファ―のスキルも使える。無論、至高の魔弾や王の中の王も。)

 

戦闘時に上半身裸になることはなく、服のまま戦える。

(無論、普通の服なので攻撃を受ければ破れる)

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

俺はこの携帯電話・・・ではなく、スマートフォンというらしいが、これで東京を調べた。

 

 

 

 

ハッキリ言うと、何一つ変わらない東京である事がわかった。

俺の行っていた高校もある、あの始まりの場所『新宿衛生病院』もある。

 

 

ただ、違うことがあった。

 

 

「ここは俺の居場所じゃない」

 

俺はセトに乗り、東京まで来ていた。

無論、気付かれないように色々と悪魔を使って偽装した。

そして、自分が住んでいた筈の集合住宅へ来た。

ここにはろくな思い出が無いし、正直、来ることを躊躇った。だが、俺は知りたかった。

 

そして、俺の住んでいた筈の部屋を上空から覗くと、そこには少し老けた親が居た。

 

だが・・・俺は居なかった。

俺の居たはずの形跡だけが消えていた。

何一つ。何もない。

 

そのほうがよかった。

もうあの場所が無いのだと言うことが少し安心した。

 

 

 

「気付いたか?」

「まぁ、概ね・・・」とシンはセトに乗り、その後ろに乗るルイと話す。

 

 

「ここは受胎の起きなかった世界。君の選択しなかった世界だ。

そして、君もまた無数にある『アマラ』・・・つまり一つの可能性だったという話だ」とそう言うと、髪をかきあげる。

 

「だが、君は円環から外れた。故に君は"君"しかいない。過去も現在、未来もそれが呪われた者の罰だ。」

 

「・・・そうか」と前を見ながらシンは無表情で応える。

 

「・・・まぁいい。謳歌(おうか)するといい」とルイはセトの背中から飛び降り、小さくなり消えて行った。

 

 

 

人目に付かない川辺でシンはセトから降りる。

シンが手を上げると、まるで何もなかったようにセトは消えた。

 

実際に昔と変わりなく使えるのかと改めて手を見つめて、シンは思う。

 

そして、時間を確認する。

 

まだ、時間は午後になったところであったため、シンはパーカーのポケットに手を突っ込み、商店街の方へと向かった。

 

空はどんより曇っている。

だが、シンの身には特に変化はない。気持ちが落ちこむであるとか、そういったことも、シンが少し驚くほどないのである。

 

忘れてしまったのか・・・或いは、もう『無い』のか

 

確かに蟠りの様なモノを感じてはいる。だが、それ以上のモノはない。

 

 

「・・・ん?」とシンは商店街に一部、変な扉があることに気付く。

そのドアの前で立ち止まり、周りを見る。

だが、周りの人間は見えている様子も無い。

 

(・・・入ってみるか)そう思い、シンはドアに取っ手を引き扉を開いた。

 

 

 

 

「・・・鼻は今はいな・・・誰?君」と青い部屋に白のノースリーブシャツにチェックのスカート、白黒縞々模様のニーソックスといったゴスパンク風味の少女が居た。

 

 

「・・・ここは何?」とシンは辺りを見渡し、椅子に座る。

 

「何?知らないの?・・・ってか、キミ誰?」

 

「名前を聞きたいなら、まずは君から名乗るべきだ」とシンは無表情に答える。

「・・・私はマリー」マリーと言う少女はぶっきらぼうに自分の名前を言う。

同時に少しブスッとした表情に変わる。

 

「俺はシン。間薙シン」

「・・・まなぎ、シン・・・変な名前」とマリーは不思議な表情でシンを見る。

 

 

「ヒホー。人修羅は何をやってるホー」と突然、ジャックフロストが勝手に出てきた。

「・・・勝手に出てきたらだめだろ?」

「ヒホー・・・アマラ深界にはオイラにかなうやつがいないんだホー」

「嘘はよくないぞ」

「う、嘘なんだホー」とシュンとジャックフロストがする。

 

 

「かわいい」とマリーはジャックフロストを見て、ジャックフロストを持ち上げる。

 

「ヒホー!キミは誰ホー」

「私はマリー」とジャックフロストを持ち上げ、フニフ二と触る。

「ヒホー!!」

 

 

と、突然、鼻の長い老人が現れる。

 

 

「これはこれは」

「あ、鼻」とマリーはその老人を見て言う。

 

 

 

「改めて言わせて頂きます。ようこそベルベットルームへ」

「勝手にお邪魔しています」

「ヒホー!鼻が長いんだホー」

 

 

「・・・これはこれは・・・我々と同じような者がここを訪れることになるとは。

フフ・・・久しぶりのことでございます」とその老人はすこし不気味に笑いながら言う。

 

「私の名はイゴール。お初にお目にかかります。ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所。本来は何かの形で“契約”を果たされた方のみが訪れる部屋。

ですが、我々と同じ者もまたここを訪れることが出来るということです。」

 

そういうと、イゴールは少し不気味に笑う。

 

「・・・成程。では、おいとましようか、ヒーホー」

「わかったホー」と言うとジャックフロストは消えた。

 

「暇な時に伺います」とシンが言う。

 

「・・・また。ヒーホーを・・・その・・・つ、連れてきて」とマリーは少し恥ずかしそうに言う。

「わかった」とシンは言うと部屋を後にした。

 

ドアが閉じると同時にマーガレットが現れ言う。

 

「・・・これはとてつもないのがこの部屋を訪れましたね」と突然現れた20代後半の青い服を着た女性が言う。

 

それを聞くとイゴールはただ微笑むだけで何も言わなかった。

 

 

 

シンが目を開くと、トビラの目の前であった。

(・・・不思議な空間だった)とシンはぼんやりと思う。

そして、行き慣れた愛屋に足を運ぶ。

 

 

「アイヤー。昨日も来てくれたネ」と愛屋の店主にシンは言われる。

「毎日、来ますよ。恐らく」

「まいどー」と青髪の少女は答える。

 

 

そう、どうも料理というものを忘れている。

これまで人間の食べ物らしい食べ物を食べてもいなかったし、作ってもいなかった。

 

故に昨日・・・

 

「・・・なにか違う」

トウキョウに飛び立つ前にシンはごく普通のハムエッグを作った。

だが、ハムエッグですらなんだが、こんな味だったか・・・という疑問がムクリと出てきたのだ。『悪魔』になってから味覚がおかしくなっていたのだろう。

 

昨日のスペシャル肉丼は気が付くと空になっていたことしか覚えておらず、それがどんな味だったかは不明だ。

それでも、料理を・・・というより、少しは料理をするべきなのだろうか。かつても必要にかられて始めたのだから。

 

だが、始めのうちは面倒だ。そして考え付いた答えは

・・・やはり、外食なら間違いないと考えたのだ。

栄養の偏りは心身に問題だが・・・人間でない俺に、最早関係のない話だった。

そして、やはり料理は面倒だ。

 

故に愛屋。理由は近いから。

コンビニもない。レストランも近くに無い。

あるのは愛屋か惣菜屋・・・

あとは、空から見えた大きなデパート『ジュネス』だ。

 

ジュネスは余りにも遠い。

 

惣菜屋・・・名前は『惣菜大学』・・・あちらも興味をそそる。

 

 

そう考えると、何百年も前に居た世界なのに、酷く新鮮に感じる。

 

『思えば人類の世など、不毛なばかりだった……

(めし)いた文明の無意味な膨張、繰り返される流血と戦争、

数千年を経てなお、脆弱な歴史の重ね塗りだ。

……世界は、やり直されるべきなのだよ。』

 

 

氷川の言葉を思い出す。

 

 

氷川・・・確かにそうだ。

ただ・・・ただ・・・お前の望んだ世界ももう来ない。

 

 

 

 

「おまちー」そういうと、定食を少女が俺の前に置く。

「・・・いただきます」

 

俺は瞬く間に皿を空にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩壊する『カグツチ』が重い声でシンに言う。

 

 

愚かな・・・

闇に染まり我が力を解放したとて何になろうか・・・

・・・心せよかつて人であった悪魔よ。

我が消えてもお前が、安息を迎えることはないのだ。

 

・・・最後の刻は近付いている。

全ての闇が裁かれる決戦の刻が・・・

 

その時には、おまえのその身も

裁きの炎から逃れられる術はないであろう・・・

 

恐れ、慄くが良い、お前は永遠に呪われる道を選んだのだ。

 

 

 

・・・呪われてあれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう。これが俺の選んだ道。

永遠に呪われて、永遠に終わることのない闘争だ。

 

それが正しかったのか。

 

・・・いや。語弊を生んではダメだ。正しい、正しくないではない。

 

俺がそれを選んだ、正しさや正義、悪も無い。

理想でもない、希望も何も含まずに、俺はその道を選んだ。

 

 

何故なら『ボルテクス界』にそんなものはなかった。

 

 

確かに氷川に始まり、勇、千晶、そして、先生・・・

それぞれがそれぞれの理想の為にあの道を選んだ。

 

だが、俺はどうだ?

興味と好奇心だけで『アマラ深界』の最深部まで行った。

 

何度か警告があった。『大いなる意志』の警告だ。

だが、そんな警告も俺の欲深さには何の意味も持たなかった。

 

だから俺は呪われた。

 

そんな呪われた俺がこうして、白い天井を見上げ暖かくなってきた布団の中で寝ているのだ。

 

 

 

実に不思議な話である。

 

 

 

「・・・もう少しこの町を歩いてみよう」

 

 

 

 

 




2014 4/27
タイムパラドックスを修正しました。
2004年で高校生の勇や千晶が何故に高校にいるんだっていうパラドックスです。

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