Persona 4-マニアクス-   作:ソルニゲル

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変わる世界『長月』
第36話 School Excursion 9月8日(木)~9日(金)


 

季節が過ぎ去るのはあまりにも早い。

慣れるまでに時間がかかる。

長い時間…いや、時間と名称してもいいのか分からないが、幾星霜も流れた事だけは確かだ。

そんな世界で過ごしてきたから、どうも時間という感覚を思い出せずにいる。

 

だが、時間は残酷だ。

 

「…結局、見終わらない」

 

海外ドラマというものがあったので、一括購入したが、量もそうだが、どうも、見終わらなかった。

「…まあ、いい」

俺はYシャツに袖を通した。

普段より大きなカバンを持ち上げ、

 

「じゃあ、メリー。行ってくる」

「はい。修学旅行、行ってらっしゃいませ」と頭を下げて、俺を送り出した。

 

 

やはり、この時間のこの町は静かでいい。

通勤の騒がしさも、人の声も少ない。川の流れる音と、風の音がこの耳に聞こえる。

この感覚はあの世界にはない特色。

 

再び喧騒の中へと戻ると思うと、どうも気は落ちるが、それはそれでいいのだ。

 

「…『ラリツクス ラリツクス いよいよ青く

雲はますます縮れてひかり わたくしはかつきりみちをまがる』」

そんなことさえ、呟きたくなる。

 

 

 

 

私立月光館学園玄関前…

 

存外早くつき、それほど距離の無いことを皆は思った。

 

「うはー、なんだこれ…広過ぎじゃね、この学校?

え、広さで負けてたら、ウチ、勝つトコ無くない…?」

 

花村はその大きさにやられたようだ。

 

「えー、あー、次に、この学園都市とこの学園の設立意義について説明しまぁす…

あー、諸君に一つの諺を紹介しまぁす…“文筆頻々、然る後、君子”といいまして…」

 

長い校長の話は続く…

 

「ふぁー…どうでもいいけど、この校長、話長くない…?」

「千枝、聞こえるって!」

天城は千枝を注意した。

 

「うー、今日はぁ、休校日なんですがー、

えー、交流会ということでぇ…

あー、一部の生徒がー、学校をご案内しまぁす。

えー、まずは、生徒代表から、挨拶を…」

 

校長の横に居た、利発そうな女子生徒が前に出てきた。

めがねを掛けていた。

 

「はい。ようこそ、私立月光館学園へ。

初めまして。生徒会長を務めます、3年D組、伏見千尋です。

今日は宜しくお願いします。」

 

「うお…あの子、レベル高ぇ!」

「た…確かに、カワイっスね…」

と完二も珍しく本音で言った。

「やばい、俺史上、空前のメガネ美人だ…」

「そこ!反応しすぎだから。」

と千枝が花村に言った。

 

「他校の方を招いての本格的な学校交流は、我が学園にとっても初めての試みです。

他者を知ることは己を知ることであり、己を磨く第一歩である…と、私は考えます。

この機会が、参加者一人一人の糧となるよう、私達も精一杯、努めさせて頂きたいと思います。

よろしくお願いします!」

 

「やっばい、全てが負けてる…」

千枝も思わず口に出してしまった。

 

「はいじゃあ、クラスごとに分かれてー。」と柏木先生がそれぞれをクラス分けさせる。

 

鳴上のところに集まっていると、先ほどの女子生徒が焦った様子でこちらに来た。

「すみません、ちょっといいですか?これ、皆さんの今日の予定表です。

後で、配って頂けませんか?

渡しそびれちゃって…遠いところお越し頂いたのに、

段取り悪くて、ごめんなさい。」

 

「気にしなくていい」と鳴上が言うと、微笑み「ふふ、ありがとう。」と言った。

 

「ほんと言うと、さっきのスピーチね、一緒に考えてもらったの。

私がここへ入学したときの、生徒会長…すごく素敵で、憧れの人。

後で電話しなきゃ。おかげさまで無事スピーチできましたって!

あっ、ごめんなさい!自分の事ばっかり…緊張してると喋り過ぎちゃうの、直さなきゃ。」

 

「えっと、皆さんの班はこれから特別授業ですね。

教室は2階ですから。

私、そちらの生徒会の方々と打合せがあるので、失礼しますね。」

そういうと校舎の方へと行った。

 

「いまナニゲに"特別授業"つわれた?ここまで来て"授業"!?」

「まあ、"修学"だからな」とシンは言った。

 

「私たちのクラスは、えっと…"江戸川先生"って人ね…内容は、カバラと…」と天城がプリントを読みながら言った。

「カバ?」と千枝は首を傾げた。

 

「知らねんスか?カジノっスよ、カジノ。」と完二は珍しく自信ありげに答えた。

「それはバカラだ。カバラはユダヤ教の伝統に基づいた創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想だ。」とシンは言った。

 

「なんで知ってんだよ…」

「それは…暇な悪魔にグチグチと何百回も説明されれば覚える…」とシンはため息を吐いた。

 

「…で、何時から自由行動?」

「えーとね…」

そういうと、天城の持っているプリントを覗き込み、短い言葉で答えた

 

 

「無い。」

「え?」と花村は思わず驚いた表情で千枝を見た。

 

 

「今日は一日ずっと授業。

今日と明日はホテル泊で…明日と、あさっての昼までは、辛うじて自由行動かな。」

「マジかよ…」

「今日は頑張って"修学"しよ?」と天城の言葉に泣く泣く皆は校舎へと入った。

 

 

結局、江戸川先生の話は『伊弉諾』と『伊弉冉』の話であった。

シンはそれを聞いて、「ふむ…」と言うとその日は夜まで口を開かなかった。

 

 

 

夜…

 

 

 

「はい、ここでぇす。シーサイド・シティホテル"はまぐり"。今日はここにお泊まりよぉ。」柏木先生は明らかに、不審なホテルの前に止まった。

「これ…普通のホテル…?」

一人の女子生徒が思わず口に出してしまった。

 

それもそうだ。ここはホテル街と言われ、いわゆる…"あちら系のホテル"が立ち並んでいた場所である。

今は一応、そうではない。

 

全員に動揺が広がっている。

 

「どぅお?私が見つけたのよぉ、ここ。

最近オープンしたばっかりでぇ、都会っぽいしぃ、しかもお値段もお手頃!

正直、なかなかのチョイスだと思ってるわ。」

 

「ここに泊まんのか…?」

男子学生は疑った様子で言った。

「確かに、看板には、シティホテルって出てるけど、これ…」

「最近開業って…これどうみても、潰れたラブ…「はいそこぉ!立ち止まらないッ!

ど・ん・ど・ん、入ってって。」

柏木先生は急かすように生徒たちをホテルに入れた。

 

 

「ここ…怪しくないか?」

花村は少し焦った様子で言った。

「そう?地元にこういうの無いから、分かんない。」と千枝は首を傾げながら言った。

「ここね、"白河通り"って言って、その…」とりせが言いかけて花村がそれをやめさせた。

 

「り、りせ、いいんだ。なんか、その先、聞きたくねぇ…」

 

 

「あれってか…間薙センパイいなくない?」とりせは辺りを見渡した。

 

 

「ノッフッフッフッ…思ったより早い到着ですね…

それに、なっかなかのホテルです…ボクと会ったら…たとえばヨースケとかは

どんな顔をするでしょうね…?」

「…」

「!?」

クマは無言で誰かに捕まれた瞬間にはその人物と宙を飛んでいた。

 

「うひょおおおおおお!!!」

 

「なんか。もう…いいわ」と花村は疲れた顔で言った。

 

 

クマはバイト代でついてきたそうで、柏木先生も鳴上が咄嗟に効かせた機転でごまかせた。

 

 

 

「…シンはどうしたんだ?」と鳴上がバスローブに着替えている。

「いや。お前のペルソナの事を考えていた。」

「今日の話で?」

「…そもそも、なぜ、お前だけがテレビに入れる能力を有していたか。」とシンは腕を組んで、ひどく赤い照明を見た。

 

「…確かに」

 

「そして、お前の初期ペルソナ」

「イザナギ?」

鳴上はシンに言った。

「何か…関係がありそうだな。お前の能力。」そういうと、シンはチョコ○を食べた。

 

 

次の日の夜…

ポロニアンモール、クラブ・エスカペイド…

 

 

 

「おーすげぇ、これがクラブか…!」

完二はあたりを見渡した。

「やーばい、あたしテンション上がってきた!」

と千枝は軽く飛び跳ねた。

「こういうとこ、地元に無いもんね。」

「いいんですか?高校生がこんな所に来て。」

そう言ったのは白鐘直斗であった。

 

「い、いいんですかって、お前のが先に居ただろ!

てか、そっか、1年もって事は、旅行お前もか…」

花村は白鐘を見て言った。

 

「見たところ、客層は良さそうだし、問題は起きなそうですけどね。」

そういうと直斗は出ていこうとするが「え、帰っちゃうの?」と千枝が言った。

「どう?一緒に。」

 

「一緒にって…僕とですか?」と直斗は言った。

「うん。この間は話せなかったでしょ。」天城は言った。

「この間は、用事があっただけです。」

 

「なら、今は流石にヒマでしょ?

私、話したいと思ってたんだ。

同じ歳で“探偵”なんて、興味あるもん。」とりせは言った。

 

「まあ…構わないですけど。」

直斗は少し恥ずかしそうに言った。

「なんだー?微妙に顔赤くないか?」

「あ、赤くないです!」

直斗は慌てて否定した。

 

「ちょっと待ってて。上、貸し切るから。」

「おう。…おう!? 貸し切る!?」と花村は乗りツッコミをした。

 

 

ポロにアンモール、クラブ・エスカペイド2階…

2階を貸し切り、乾杯をした。

 

 

 

「けど、大丈夫なの?こんなとこ高いんじゃ…」と千枝は言った。

「平気、平気。おととし、ここでシークレットライブした時、

途中で電源落ちて中止になったの。そん時の借りを返したいから、むしろ今日はタダでいいって。」

そういうと、りせは一気に飲み物を飲んだ。

 

「そういう事なら、もっと頼んじゃおっと。」

そういうと、千枝も飲み物を追加で頼んだ。

 

「よぉぉし、クマキュンもエンリョしにゃい!」クマは大はしゃぎで手を上げて言った。

「お前、いつにも増して言葉が妙だぞ…」と完二はクマを見て言った。

 

「ちゅめたいなーん、カンジは…ん、カンジ?

カンジ、カンジ…イイカンジ!なんつって、ブフーッ!!」

「なんで一人でそんなフルスロットルなんだよ…」と花村は言った。

 

妙な空気だとシンは察した。そして、飲み物を飲む…

 

「ソフトドリンクだな。別に」

「?」と鳴上は首を傾げた。

 

 

「王様ゲエーーーーム!

オトナは、こういう場合、王様ゲームするの。

法律で決まってるの…ヒック。なによ…自分らで“りせちー”とかロリっぽい

キャラ付けしたくせに、子供、子供って…ヒック。

知ってんだから…打ち入りも、打ち上げも、私帰ってからの方が盛り上がってんでしょ!

ぶぁかー!今日こそ“王様ゲーム”なんだから!」

 

「な、なんか、よくないカミングアウト始まってんぞ…」

花村は慌てだした。

 

「カァーンジッ!ワリバシ、用意!」

ビシッと感じを指差しりせは完二に準備させた。

 

「あ、あのぉ…王様ゲームって…どんなんだっけ?」

「えっと~、当たりを引いたら王様で~、他のクジには番号があって~…

王様は~、何番と何番はナニしろ~って命令できちゃうの。

でも誰が何番かは~、命令決まるまでヒミツ!」

天城は明らかに酔っている。

 

「さーっすが先輩、話はやーい!」とりせが煽る。

 

そして、皆で引いた。

クマが王様となり「王の名において命ずる!!すみやかに、王様にチッス!!ムチュ~ン!!」

「おう、神よ…女子をお願いします3番!!」

「ウギャー!!」と完二は大声を上げた。

「やっぱ2番…」とクマは完二を見て言った。

 

「変えんな王様!!」

「チッスチッス~!!」と天城が煽る。

 

「カ、カンジ…やっぱりクマの体目当てだったのね!

おっけ、クマの純情あげちゃう!!」とクマは感じに飛びついた。

 

「うわ、イテッ、やめろ!テンメ、シメっぞコラ!

ギャー!いらねーッ!助けて!!」

 

 

 

「さあ…1回戦で早くも脱落者二人よ。」とりせが立ち上がっていった。

「え、そういうゲーム…?」

「続けて、第2回せーんっ!!」

 

次は鳴上が王様になり、皆に煽られ4番が肩車と言った。

「ちょ、三人まで女子なのに俺を当てるかよッ!」

 

そんなことで花村と鳴上は虚しい肩車をした。

 

 

「次!三回戦!!」とりせが大きな声を上げた。

 

そして、王様は白鐘直斗となった。

 

「じゃあ…4番の人の話を聞きたいですね」

「…俺か」とシンは割り箸を見せた。

「…で、では…そ、そうですね…過去でも話してもらえばいいです」と直斗は少し困った顔で言った。

 

 

「過去…そうだな…」

シンはそういうと思い出すように言った。

 

「なんか、すげぇ急速冷凍だな…」と花村が言った。

 

「俺は…ちょっとばかし変な子供だった。

話を聞く限りでは壁を見て笑っていたり、初めて書いた文字は日本語ではなかったとか、そんな話だが…

ただ、子供の頃から映画や本を読むのが好きだった。

親は共働きでいつも俺は家に一人でいることが多かった。そんな変な子供だから友達と言える友達もいないに等しかった。

そのときにやはり本というのがおれの心の支えになっていた。」

「あーだから、頭いいのかなぁ。」

千枝が呟いた。

「さあ?そればかりはそれだけなのか、それともそれ以外の事があるのかはわからない。」

 

シンは話を続ける。

 

「それで…高校生になり、担任の人が病気で数少ない唯一二人の友人と言える人間と、『新宿衛生病院』という病院に見舞いに行った。」

「教員の見舞いって…結構、ないよな。普通」と花村は言った。

「そうだな。昔からの知り合い…というのもある」

 

「そこは人体実験をしているのではないかという噂があった。」

「おっ!面白くなってきたな!」

花村は前のめりでシンの話を聞く。

「その病院に行くと、静寂が建物の中を包んでいた。先に待っていた友人以外、誰一人居なかった。

俺とひとりの友人は先生を探した。

俺は怪しい地下の階へと降りていった。」

 

ゴクリと千枝が唾を飲んだ

「そして、『東京受胎』に巻き込まれた。それくらいだ。」

そういうとシンは飲み物を飲んだ。

 

ガタッという花村がテーブルに頭をぶつける。

「え…?オチは?ってか、なんか、最後のほう端折りすぎじゃね!?」

「過去にオチもクソもないだろ。それに、長くなる。」

 

 

「あははは、おもしろ~い。次は、私、王様~!女王様~!」と天城が突然大声で言った。

「クジひけよ!」と花村は言った。

「よーし、でわぁ~、とても口では言えないハズカシイ~エピソード、語ってもらおー!

じゃ~あ~、そうだな~…あ、直斗くん!」

天城は直斗を指差していった。

 

「何でもアリだな…無視していーぞ、直斗。」

花村は呆れた様子で言った。

「いえ、いいですよ。その代わり、僕が話したら、

皆さんにも“あること”を話してもらいます。」

 

「いいよ~」とりせがふらふらとあたまを揺らしながら言った。

 

直斗の話は自分の家系の話。代々、探偵の家系であること。

祖父の代での警察との太いパイプ、その経緯で今回の事件に呼ばれたことを言った。

 

 

「…え、終わり?直斗もオチなし?」

「間薙さんもいってますが、人の過去にオチなんてありません」

 

「恥っずかし~。ナオト君、恥っずかし~。」と天城は笑いながら言った。

 

「では、次は皆さんの番ですよ。答えてもらいましょう。

皆さんが本当は、事件とどう関わっているのか。」と直斗は真剣な顔で言った。

 

「お前な…空気読めな過ぎて逆にオモシロイよ…」

 

「えっと~、誘拐された人を~、テレビに入って助けに行きま~す!

それで~、うようよしてるシャドウたちを~、ペルソナで"ペルソナァー!"って…」

そういうと天城はペルソナ召喚の構えをした。

 

「ば、ばかおまッ…」

花村は慌てた様子で言った。

 

「ハァ…僕をからかってます?」

直斗は呆れた顔で皆を見た。

 

「ホントらもんッ!ペルソナーっ!」とりせはと天城と同じようにペルソナを召喚する構えをした。

 

「あーもー!この酔っ払いコンビは!」

 

 

「…話す気が無いのは分かりました。大体、何にそんな酔っ払ってるんですか。

コレ、お酒じゃないですよ?」と直斗は飲み物を飲んでいった。

 

「まぁったまた~。」と天城はふらふらしながら言った。

 

「来た時に確認したんです…飲酒運転への抗議で

ここは去年からアルコールを扱ってません。」

「え…みんなして"場酔い"?」と千枝はみんなを見た。

 

「いいじゃらいろ、どっちれも…

うふー、なんか気持ちよくらってきた…

おやすみらさ~い…」

そういうと天城は寝てしまった。

 

その後、直斗に『バカ軍団』という名称を与えられた。

 

 

 

ホテル集合時間前…

 

「東京受胎…とはなんですか?」

 

ホテルの帰りにシンに直斗が尋ねた。

シンは天城を背負っていた。そして、鳴上がりせ、花村がクマを背負っていた。千枝は鳴上と話していた。

 

シンと直斗が一番後ろを歩いていた。

 

 

「…少し前に、祖父の書斎で『ガイア教』という教団の事件を見たことがあります。事実、『代々木公園』での信者の暴徒化で何名かが死亡した事件があり、新興宗教の危険性とニュースが名を打って報道していたのをよく覚えています。」

「それは何年だったか正確に覚えているか?」とシンは直斗に尋ねた。

 

「えーっと…たしか、2004年くらいだったと思われます。」

「そうか…」

(ということは本当に『東京受胎』だけが起きなかった世界なのか?)

シンは厳しい顔で思った。

 

その顔に直斗は気になったが、話を戻した。

 

「…話を戻します。その幹部で、その氷川という過激派があなたの言っていた言葉『東京受胎』などという言葉を口にしているのを思い出しました。」

「…記憶力がいいな。」

「これでも探偵ですから。」

直斗は少し笑った。

 

「…そのうち話すさ」とシンは言った。

 

直斗はシンの顔色を見て言った。

 

「あなたは…いつも壁を張っているですね。」

「ああ。過酷な世界に居たからな。」

シンは天城を背負う位置を直す。

 

「どんな世界ですか?」

直斗はホテルの前で尋ねた。

 

 

「…何もない。月の様な場所だ」

 

その時直斗にはシンの影が嫌に濃く長く見えた。

 

 

 

シンは天城を起こし、微睡状態の天城とりせは千枝に連れて行ってもらった。

 

「…抽象的な人ですね」

「だから、言ったはずだ。俺は変わったやつだと」

 

 

 




先日、友人と黒歴史の話になった。
「流石に過去の俺見てると恥ずかしいわ」と言っていた。
…大丈夫だ!友よ!

「今まさに俺はそんな黒歴史を生成しているのだ!!」
と満身創痍で言いたかったが、恥ずかしがりの俺は言えるはずもなく
「お、おう。そうだな」と辺りさわりなく答えた。

その帰りの電車の中で『死に至る病』という本を読み終わった。

手に取ったきっかけはたまたま。古本屋に言った時にこの本が目について買った。
セイレーン・キルケゴールという人の本だ。
前から気になっていたが本は読んだことがなかった。
「こんなほんなんだ」と思って読んだ。

実はキルケゴールは知っていたし、シンの精神はそこから来ています。
詳しいことは活動報告で書きたいと思います…
ここではなんですので。

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