Persona 4-マニアクス-   作:ソルニゲル

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第x4話 Ideal Energy

 

 

「話をしよう、あれは今から36万…いや、1万4000年前…いや3…いつだったかな…」

「今年のというか、さっきのはなしじゃないか?

警察官がどうとか。というか、なんだ、その格好は」

シンはルイに言った。

ルイは黒い服で黒いズボンを履き、胸元が大きく空いており、黒い髪の男の姿をしている。

 

 

「まぁ、いい。

彼には一通りの名前しかない。当たり前だ。神でも無ければ哀れな人間の話だ。

でも、恐らく彼にとってはあまりにも怖い体験だったといえるのではないだろうか。」

 

「ライホー知ってるホ!"鼻☆塩☆塩"ホー!!」

「?暗号か…鼻…塩…塩?」

「…間に受けるな、混沌王よ。それは違うルシだ。」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

僕は警察官をやってる。

この八十稲羽で生まれて、育ってきたら、この田舎の雰囲気が好きで、警察官になった。

そんな田舎で、僕は難事件をどんどん…といくわけもなく平凡な警察官の仕事をしている。

 

道案内、パトロール、なんか、そんなのばっかり。

同期ももう一人しかいないけど、なんとものんびりとした仕事だった。

警察官と刑事は違うから、新人でも、元エリートの足立刑事なんかとは天と地の差があった。

 

 

けど、今年は恐らくこの警察官人生で最初で最後の過激な年になると思う。

 

 

それが、始まったのは、学生たちが学年を上げ、新学年となった辺りにこの普通の田舎町に殺人事件が起きた。

 

署内が異常に騒ぎになっていたのをおぼえている。

僕こと、西崎と同期の相沢は野次馬が規制線を超えないように警備していた。

すると、足立刑事が側溝に吐きに来た。

 

「足立ィ!てめぇ、いつまで新人のつもりだぁ!!」

「す、すびませ…ウップ…」

そういうと、足立刑事は再び吐いていた。

ツンとするその匂いに僕は思わず、つられそうになるけど、何とか耐えた。

 

そこへ、僕も通っていた八十神高校の生徒が3人来た。

普通に制服を着た男子生徒と緑のジャージと赤いセーターの女子生徒が通りかかった。

 

堂島刑事がその男子生徒が目を合わせると、堂島刑事はため息を吐いた。

 

「校長にここは通すなって連絡したんだけどな…」

 

「お疲れ様です」

男子生徒が堂島刑事に尋ねる。

「…ああ、全く…足立ィ!いつまで、新人だァ!」

「す、すみません」

「お前たちも早く家に帰れ。」

「は、はーい」

緑のジャージの子が少し驚いた様子で言った。

 

それにしてもエリートだって、死体には見慣れないんだろうな。

それに、アンテナに引っ掛けてあるなんて…

しかも、今世間を賑わせてる、山野真由美が被害者。

 

その後の方針とかは正直、地域課の僕と同期の相沢には関係のない話だったけど、2件目が起きてからは話が変わってきた。

 

第一死体発見者が同じ殺され方をされた。

 

そのあと、地域課であった僕たちも捜査に参加するようになった。

でも、本部から探偵の白鐘直斗って高校生探偵が要請されて捜査してた。

 

刑事課の連中は毛嫌いしてたけど、僕はそんな事無くて、寧ろ足を使わないでタバコをふかしている、一部の連中以外よりも、堂島刑事や白鐘直斗の方がよっぽど、僕の理想の警官だと思えた。

 

それに、日に日に同期の相沢が嫌な奴になってきた。

 

アイツは刑事課にいきたいと酔った勢いで言っていた。

…そのチャンスが来たと喜んで捜査に参加していたけど

…何ていうか、初めのウチは

「俺が犯人を捕まえてやるんだ!」

みたいな意気込みだったけど、ちょうど、暴走族の高校生がテレビに出たあたりではもう、上司へのゴマ擦りに必死で捜査なんかしてなかった。

 

そんなある日だ。

 

商店街のマル久さんの孫が有名になって地元に帰ってきた。

と、言ってもあまり良い意味ではなさそう。

 

僕も休みの日だったし、少し覗きに行こうと思ったら、意外な人が交通整理をしてた。

 

 

「あ、足立さん?」

「やぁ、えーっと…誰だっけ?」

「はっ!地域課の西崎学です!」

足立さんは思い出したかのように、唸った。

 

「僕が代わりましょうか?」

「ああ!いいの、いいの。僕はここで人を待ってるんだ。そのついでだし。高校生をね…待ってるんだ」

「はぁ…」

 

恐らく、堂島刑事の所に来ている高校生だとすぐに分かった。

堂島刑事に伝言でも、頼まれたのだろう。

あの人は忙しい…というより、忙しすぎる。

 

時々、仮眠室で疲れた顔で寝ている時を見かける。

悪い人ではないし、寧ろ真面目な人だ。

でも、やはり、所内の連中の一部はよく思ってない人がいる。

本人は何処吹く風だが…

 

僕は足立さんの言葉に疑問が湧いた

 

「あれ?なんで、ここに来ることが分かってるんですか?」

「ほら、高校生だから、こういう所に来るでしょ?実際…」

 

まぁ、確かにそうだ。

本物の芸能人に会えるとなると、この田舎では大騒ぎだ。

事実、足立さんが交通整理をしていなければ、車が止まっていただろう。

なるほど、納得だ。

 

「キミ、今日休みでしょ?」

「ええ。まぁ」

「地域課だからか…いいなぁ。僕も地域課とかにすればよかったな。」

そういうと、足立さんは笑ったが、すぐにボソりと呟いた。

「でも…それじゃ退屈か。」

「え?」

「ああ、いや、なんでもないよ。」

 

 

その時の足立さんの顔が今でも忘れられない。

普段の顔とは少しだけ、違ったからだ。

 

僕は早々に「お疲れ様です」とだけ言うと家に帰った。

 

 

 

相沢は相変わらずのゴマ擦りで、最近は課長に取り入ってるようで…

あいつも足立さんと同じ感じだ思い出した。

 

あいつは隣の大きな沖名市の警察署勤務の予定だった。

でも、手違いというか、正確には沖名市警察署がちょっとした問題で、新人の人数を間違えていた。

それ故に、相沢を含めた3人がこの八十稲羽署勤務に変わった。

 

それで、結局残ったのは相沢だけ。

 

相沢は本当なら刑事課だったらしいけど、今じゃ退屈な地域課。

…出世欲があることはいい事だけど…何か違う様な気がして、僕は平凡な地域課でいいと思う。

それに、今の仕事に充実を感じている。

 

大した事件も起きないし、物凄い達成感もない。

けど、困っている人を助けられる事や、顔なじみになったおじいさん、おばさんに覚えてもらえるのは嬉しかった。

 

 

 

それから、数ヶ月後に三人目の死体が上がった。

それは前回とはあまりにもガサツな犯行現場だった。

 

夜。

野次馬やマスコミの防止のため僕と相沢はその殺害現場を警備していた。

 

 

「ったく、何で俺がこんなこと…」

相沢はだるそうに欠伸をしていた。

 

「仕方ないだろ。それに警官ってのはこういう地味なもんだ。」

 

ふと、街灯が明滅し始めて消えた。

今、思えば、その時の風は嫌に気持ち悪かったのを思い出す。

ふと、その暗くなった闇から何か黒いものが蠢いたのを感じた瞬間には…

 

 

 

いつの間にか眠っていた。

 

 

 

 

気が付けば、警察官達が集まってきていて、何が起きたのか分らなかった。

外傷が無いから僕たちは居眠りでもしていたのではないかと、疑われたが、外に出てわざわざ居眠りはしない。

と堂島刑事が庇ってくれた。

 

それで、納得したのか僕たちはお咎め無し。

それに、堂島刑事が見た少年がなにかしらの方法でやったのだろうと。話はまとまった。

 

その後、すぐに高校生の犯人が捕まり、署内は解決ムードだった。

でも、堂島刑事と白鐘直斗。この二人だけは納得できない様子だった。

 

と言っても、結局、僕は地域課。

それで、相沢は刑事課に異動となった。

 

羨ましくないと言われればウソになる。

けど、僕はのんびりしているのが、にあってるんだ。

 

 

結局僕と事件の直積的関係はここで終わってしまった。

所詮は課が違う。

 

 

それですべてが終わるはずだった。

その後、白鐘直斗が居なくなったことなどがあったが、別にそれも関係のない話だと思っていた。

 

変わらない町が戻ってきたような気がした。

 

 

 

 

気がしただけであった。

 

 

 

 

交通課から突然、国道沿いに検問を張るから手伝ってほしいと連絡がきて、課長が全員を使って検問を張った。

そこに事故があったと、連絡があり、一番近い僕がそこへ急行する。

 

そこには、すでに救急車が来て堂島刑事を運んでいた。

 

「…?」

僕は事故現場に違和感を覚えた。

堂島刑事の車はあるから、堂島刑事が居るのはわかる。

だが、トラックの運転手が居ない。

 

逃げたのだろうと分かった。

 

そして、僕はトラックの前を見ると、何かがつぶれていることが分かった。

「やばっ!」

 

それはバイクだった。

慌てて消防も呼んだ。幸いというべきか、ガソリンに引火する前に消防が来て対処できたから特に問題もなかった。

 

 

結局、この事故も僕の管轄ではないし、どうなったのかも知らない。

 

 

 

 

 

そして、真犯人として、生田目が捕まった。

僕はその警備を担当することになった。

 

そんなある日、忘れもしない12月3日。

 

朝から異常に寒かったこともあり、何だか嫌な気分だった。

僕は夜に生田目の部屋を警備していると、物凄い形相で堂島刑事が来た。

そして、何も言わずに入ろうとしたため思わず止めた。

 

「許可はありますか?」

地域課の相沢に代わって相棒となった、七沢が堂島刑事に言った。

「放せ…ヤツに話がある。」

「ですから、許可が無ければ…」

 

僕が堂島刑事を押さえながら言う。

怪我の事もあり、あまり力を感じられない。

 

「許可だ…?ならアイツは、誰の許可で菜々子を殺したんだ…あ?

フザけんじゃねーぞ…菜々子は死んで、なんでアイツは生きてる!?

菜々子を返せ…返しやがれッ!!

俺には…菜々子しか…ッ!菜々子しか…

いな…ッ!」

 

そんなことをしていると、堂島さんがお腹を押さえて倒れた。

慌てて、僕は堂島刑事を支えた。

 

「い、医者!」

慌てた様子で、七沢が声を出した。

 

「放せよ…俺は、アイツを…」

「うわ、わ、大変だ!早く病室へ運んで!ぼ、僕は、先生に知らせに行くから!」

足立刑事が慌てた様子で、来た為僕たちは警備の事も忘れ、二人で堂島刑事を病室へと連れて行った。

 

 

その後、経緯を聞いた。

なんでも、一旦堂島刑事の娘さんが息を引き取った。

そうした生田目に堂島は刑事は怒りが湧いたそうだ。

それで、あんなことをしたのか…

 

 

僕はまだ結婚もしてないし、そういうのはよくわからないけど、ただ、大切な人が奪われたらきっと僕も同じことをしているかも。

 

 

そして、次の日、12月4日。

 

 

徹夜で警備をしたためか、代わりが来た。

 

 

 

それは相沢だった。

 

 

 

 

「あれ?地域課(・・・)の西崎クンじゃないか」

「…」

 

会ってすぐに分かった。

もうこいつはあの、偉そうに煙草を吸って何もしない連中の仲間入りをしたんだと。

あの、やる気に溢れていた相沢はいなくなっていた。

 

「それで、なんでお前が来るんだ?」

「上司が変われってうるさいからね。お前みたいな地域課なんて暇なんだから代わる必要ないと思うけどね」

「…お前、一人か?」

「いや、もう一人は遅れてるみたいだな」

相沢は余裕だろ?みたいな顔で言っていた。

バカなのかこいつは。昨日の事もあって、警備を強化しろってお達しがあったのに…

「先輩。俺残りますよ」

「…いいよ、七沢。」

僕は相沢を見て言った。

 

「すぐ来るんだろ?」

「ああ、じゃあな…下っ端」

 

 

僕と七沢は無線機を渡すと、生田目の病室から去って行った。

 

「感じ悪い人ですね」

「…あんなやつ、死ねばいいんだ」

 

僕は思わず言ってしまった。

何と言うか、苛立ちがあった。

変わってしまった最後の同期に、僕は苛立っていた。

 

病院を出る際にあの高校生たちとすれ違った。

堂島刑事の見舞いだろうと思って特に気にしなかった。

 

 

 

僕が家に帰り、次の日に署に行くと僕は課長に呼び出された。

「どうしたんですか?」

「いや、実はな…昨日お前と警備を代わった"相沢"なんだが、いわゆる『影人間』として発見された」

「!?」

 

 

影人間。

数年前に東京の近くの町で異常に流行った病だ。

ある日を境にぱったりと無くなった病だ。

 

俺は慌てて、病院へと行くと、目が虚ろな相沢が寝ていた。

 

「相沢!相沢!」

 

僕が相沢を揺さぶるが反応がなく、ブツブツと何かを言っていた。

何があったのか、ベットの横に居た警備の相方に尋ねると、自分が着くと既に倒れていたということだそうだ。

 

 

「…東京の病院にも尋ねましたが、治す方法がないそうです」

その言葉に相沢の親は泣いていた。

 

 

その後、相沢は警察を辞職という形で退職させられた。

話じゃ、高校生が生田目と話していたそうだし、それにどうやら、上司を脅してたみたいだった。

だから、いずれにしても、相沢は退職勧告される予定だったみたい。

 

そして、僕は気が付いた。

相沢の体が徐々に黒くなっていた。

僕はあの黒くなっていく相沢がまるで何かに生気を吸われている気がしてならなかった。

 

そして、時計を見ると5日になった、ばかりだった。

 

そんで、昼間からお前と飲んで気をまぎらしてんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニャルラトホテプ曰く、ヤツはイデアルエナジーを吸い取ったそうだ。」

「…それで、この話は本人から聞いたのか?」

「ああ。七沢というのは悪魔だ。

酔いながらこの西崎という男が話していたそうだ。」

 

シンはため息を吐くと言う。

「…まったく暇をこじらせるとどうでもいいことを」

しかし、シンは腕を組み言った。

「…しかし…イデアルエナジー…か」

 

「興味を持ったか?混沌王」

そこへニャルラトホテプが現れた。

「…恐らく、マガツヒに似たものなのだろう。

いずれにしても、神を倒すには兎に角、今は力が欲しい。

とりあえずは…この事件からか」

 

そういうと、赤い空を見上げる。

 

「…来たようだぞ?目的の人物が。」

ルイは閉まっている、ドアを見ていった。

「ヒホー!!あのヘタレ刑事ホー!!」

「これで…わかるか?混沌王」

 

皆がシンを見る。

 

「さぁ?わからん。ただ…これで、半分は終わったのかと思うと名残惜しいな」

シンはそういうと、音楽を流し始めた。

 

 

 

『Stayin' Alive』だ。

 

 




洋楽のPiano Man聞きながら書きました。
そんな素晴らしい歌とは一切関係ないですものになってます。

シンが足立が来るまでどうやって暇をつぶしていたか。
書いた話です。
感想でも言われていた警官の話を広げてみた。
その関係で54話の最後を修正しています。

あと、本編は頑張って書いてます。
戦闘は本当に省いて書いてます。
表現力の無さが身にしみる。

いい気分転換になりました。



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