仮面ライダーライト   作:リョウギ

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第1写 激写‼︎噂のヒーロー‼︎

《ねぇねぇ聞いた?◯◯◯って噂》

人は皆未知に恐怖する

《知ってる、最近有名になってるアレだよね?何人か犠牲者も出てるとか……》

《何それ?知らない……超怖くない?》

あり得ない、調べてもわからない、そもそも見たことがない

謎は謎を呼び、更に人を惑わせ恐怖させる

《その話、詳しく聞かせてよ》

だが、忘れてはならない。未知はただ恐怖されるだけの存在ではないと

《何々?こんな話聞いてどうすんの?》

《怖いからやめようよ……》

《そうかな? 僕はワクワクするんだ》

人は明かりを手にした。知らないを知っているにする術を手に入れた

《知らないからこそ、ドキドキする。知りたいんだ、きっと》

未知を既知にし、人を前に進めてきたのは、紛れもなく『未知への好奇心』であるということを

 

幻話市 喫茶ラ・ルナ

「《八巻中学校の七不思議八番目新発見》、《夜鳴町の十字路の怪》、《鬼楽神社の神隠し》………」

窓際の小さな席で青年がタブレットを目で追いながらガリガリと頭をかく

テーブルにはメモ帳とペン、数冊の怪奇情報誌が並べられている

「あー……ビビッと来ない……なんだろうな……スランプ……?」

タブレットをほっぽりだした青年ー七義 調は伸びをしてから脱力し、再び頭をかく

そんな油断しきった調の頭にコンっとお盆が当てられる

「調お前、まーたここ編集室代わりにしやがって……事務所にデスクあるんだろ?」

声をかけてきたのはこの店のマスター、月宮 渡だ。不満げな顔をしながらも調が注文したアイスコーヒーをテーブルに置く

「あるにはあるけどさ、こっちのが落ち着くんだよ。大目に見てくれよなおやっさん」

調がほほをかきながら悪態を吐く

はぁ、と渡が大きなため息で答える

「まぁ、別にいいけどさ、あんま騒いだりはするなよ〜」

「わかってるって、大丈夫」

「……新しい都市伝説探し、ってやつか?大変だな」

調は都市伝説やオカルトを調べて記事にするライターである。現在は宵街通信という雑誌専属で記事を書いており、記事自体それなりに人気であったりもする

だが、現在調は絶賛スランプ中なのだ

「何個か面白そうな噂はあるんだ。んだけどさ…ビビッとこねーんだよなぁ……」

「お前さんの勘というか何というかはよく当たるからなぁ。納得行くまで悩んだらいいじゃねぇか」

「いや、締め切りが5日後なんだよ」

「大ピンチじゃねぇか⁉︎」

「大ピンチだよ……」

ずここ…とアイスコーヒーをすすりながら調が陰鬱そうに答える

「人狼………」

ボソッと声をかけてきたのは華奢な印象を受ける女性、ラ・ルナのバイト店員、神宮 祈里である。バイトではあるがかなり長い間ラ・ルナで仕事しており調もすっかり顔見知りだ

「人狼……狼男のこと?」

「うん、私の後輩の高校、その近くの都市伝説」

と祈里が自分のスマホを取り出し、ある画面を見せてくる

ある高校の生徒限定の掲示板サイトらしい。確かに祈里の言う通り人狼の噂の書き込みが目立っている

「社宮高校の人狼……ね……成る程、聞いたことなかったな……」

「調が知らないなんて珍しいな…」

「無理もないと思う、マスター。これ社宮の周りだけらしいし、社宮の教師も隠蔽しようとしてるって灯里が言ってた。口止めされたって」

「隠蔽って……都市伝説相手にさすがに大げさでしょ」

「被害者が出てるから」

祈里の言葉に調の顔色が変わる

「今のところ、灯里が知る限りでも5人。みんな素行が悪い、いわゆる不良みたいな生徒だったらしい。被害者が出たって知られたら学校の品位が疑われるらしいから」

「………成る程な、十分だ」

情報誌とメモをそそくさと片付けて調が立ち上がる

「マスター、祈里ちゃん、ありがと。早速行ってくるわ」

と無邪気そうな笑顔とアイスコーヒーの代金を残して店を出て行く

渡はその背中をしょうがなさそうに微笑んで見送った

 

 

「なんじゃ調?幽霊が怖いんか?」

老人が少年の頭をわしわしと撫でる

ーだって、いきなり出てくるし、どうしたらいいかわかんないし…

「はっはっは、そりゃあな〜幽霊なんて誰も知らんしな」

愉快そうに笑った老人は大きなカメラを取り出して少年に見せる

「なら、調べ尽くせばええ。どうやって会えるのか、何がしたいのか、全部調べてみりゃええ」

ー調べる?

「あぁ、そうだとも。幽霊がどんなのかわかったら、友達にもなれるかもじゃろ?」

老人はからからと微笑みながら。一枚の写真を取り出す

「知らないのは確かに怖い。でもな調、そんな知らないことも誰かを動かす燃料になるってのを忘れちゃいかんぞ?わしもこいつのおかげで、楽しく生きれたからの」

老人が少年に差し出したのはボロボロの写真

夜闇の中、僅かな月明かりに照らされた長いマフラーを巻いた光る目を持つ怪人の写真

ーじいちゃん、これ何?

「こいつか? こいつはな……」

「仮面ライダー、じゃよ」

 

 

社宮高校正門前

愛用のバイクにまたがった調は正門から出てくる生徒をぼんやり眺めている

時間は16時を過ぎた辺り。授業を終えた帰宅部がまばらに下校を始めている時間である

「……調べるとは言ったが……どうするかな……」

一応調はプロのライターではある。取材許可さえ取れれば学校への取材なぞ容易ではあるが、今回はアポ無し訪問であるからそれも少し難しい

「帰る生徒に地道に聞き込みしていくかな……」

「悩んでますな師匠……」

「あぁそりゃあな……」

と自然に会話が成立していて一瞬気づくのが遅れたが、調ははぁとため息をついて隣を見る

「……いつからそこにいた?」

「ついさっき」

調を師匠と呼び、いたずらっぽく笑うこの少女は神宮 灯里。祈里の妹で高校2年生である

調を師匠と呼ぶ理由は彼女が新聞部副部長だからである。ほぼ勝手に呼んでいるようなものだが

「姉ちゃんから連絡もらったから手伝いをしにきた次第であります、師匠‼︎」

「へいへいそりゃどーも。手伝いって言うなら人狼の噂、掴んできたのか?」

「もちろん、持ってきてますよ‼︎」

灯里はお調子者だが調が認めるくらいは調査能力がある。手がけている学校新聞も割とバカにできないクオリティだったりする

「助かる。まずは情報整理したい」

「代金は?」

「ラ・ルナのスペシャルパフェ」

「まいと♪」

上機嫌になった灯里は自前のメモ帳を取り出し、人狼の噂について話始めた

まず、現在までの人狼の被害者は生徒が4人。どの生徒も運動部に所属している、全員2年生という点以外には特に共通点はないらしい。運動部もバラバラだ

次に人狼の目撃時刻。大体早くて19時、遅くて21時くらいらしい。被害者に対して目撃例は2回目と4回目、どちらも20時くらいに目撃されている

最後に犯行現場。これだけなぜか共通点があり、社宮高校飼育小屋の

側で4件とも発生している

「………成る程、わからんな……」

「むぅ……師匠でもわからないか〜」

情報は多いが、人狼にはどうしても繋がらない。飼育小屋に飼われているのはカピバラらしいから奴らがやったとは到底考えられない

………というかカピバラ飼ってんのかここ

「目撃者ってのは誰だ?そういえば」

「どっちも守衛さんだよ。1回目は偶然、2回目はまた発見するのを警戒してたみたい。守衛さんしっかり仕事してるのに、薮川のやつに文句言われてて可愛そうだったな……」

「薮川……?誰だそれ?」

灯里が渋い顔をしながら答える

「うちの生徒指導教員だよ。ただ評判はサイアクだけどね」

曰く薮川という指導教員は通称「もみ消し先生」

自身が面倒と判断するといじめやら何やらとにかくもみ消しにかかるらしい。しかもかなり強引に

今回の人狼事件の隠蔽も彼が主導らしい

「正にイマドキって感じの性悪教師だな…」

「そうそう、あ、あそこで話してるヤツ‼︎あいつが薮川だよ‼︎」

灯里が指差す方にはいかにも神経質そうな眼鏡をかけた痩せ気味の男が何やら怒鳴っているのが聞こえてきた。遠すぎて内容までは聞こえないが

相手は気弱そうな女の子。必死に何か訴えようとしているが、聞き入れてもらえていない

「………なんかこの場面だけで記事にできそうだな……」

「告発しちゃってよ師匠〜アイツいくらなんでも酷いもん…」

「残念だが俺んとこの雑誌では特集できないよ、これは」

と言いつつも一枚だけ写真を撮っておく。一応念のため何かに使えそうとは考えられる

「これ以上粘ってもなんもないな……一旦帰るか…」

「犯行現場を押さえるんですね‼︎手伝います‼︎」

「バーカ、お前は家に帰るんだよ。ラ・ルナまで送ってやる」

「えぇ〜そんな〜………」

渋る灯里を後ろに乗せてヘルメットを被せた調は薮川と呼ばれたあの教師がまだ生徒を怒鳴りつけているのをチラと見てバイクのアクセルを入れた

 

 

17時30分 社宮高校付近のT字路

犯行現場を押さえるために社宮高校に向かっていた調は妙な感覚を覚えてT字路の真ん中で停車していた

時間が時間な上に通学路も近いというのになぜか人っ子一人いない

「………成る程な」

どこか得心のいった様子で調が取り出したのはデジタルカメラ

それを使って辺りを何回か撮影する

撮影した中にはぼんやりと白いモヤみたいなものが写っていた

「やっぱりな……」

調は軽い霊感のようなものがあった。今回T字路で感じたのもその感覚、つまり幽霊がいることを何となく察知したのである

案の定こうして心霊写真ができたわけだが

「変だな……昼来た時は変な感じなかったんだがな……浮遊霊……にしてははっきり写ってるし……」

『ここから離れなさい‼︎』

画像とにらめっこしていた調の耳になんだかやかましい声が響く

デジカメを下ろしてみると声の主はなんと真正面にいた

ショートカットの高校生くらいの女の子で白いワンピースを着ている

いつのまに調のバイクの真正面に立っていたのかまるで気配が感じられなかった

「……なんだ?いつからそこにいた?」

『は?…………えっ⁉︎あんたあたしが見えるの⁉︎』

「いや、見えるも何も……」

泡を食ったような少女の様子を訝しみながらその姿をよく見ると、少女の体は若干透明で、肌も色白を通り越して青白い、極め付けに、少女の脚はくるぶしから先がなかった

「……え?キミもしかして幽霊?」

『そうよ。それ以外なんに見えるのよ……』

「うおおおおおお‼︎マジか‼︎」

『ふえっ⁉︎』

今までの気怠げな態度が一変した調が興奮した様子で叫ぶ

「初めてなんだよ、マジモンの幽霊見るの‼︎やった感激だ……写真、撮ってもいい?」

『へ?い、いいけど……』

「よっしゃ‼︎」

聞くが早いか調はデジカメをしまい、古ぼけたアナログなカメラを取り出すと幽霊少女の撮影を始めた

「いやぁ〜感激だな……この世に幽霊は確かにいたんだ……テン上げだよ、テン上げ‼︎」

『あんたの反応の方がびっくりなんだけど……?というかそれどころじゃなかった‼︎早く逃げなさい、アンタ‼︎』

と少女は調に再度警告する。その様子は確かに切迫詰まって見える

「逃げる?逃げるってなんで?」

『ザワザワするのよ、なんだか……このザワザワがあった時に、あいつが出てきたの‼︎ 早く逃げなきゃ、アンタも危険なの‼︎』

「アイツ……?アイツってー」

キャアアアアアアアァァァァァァ‼︎

調の言葉を絹を裂くような悲鳴が遮る

「⁉︎あの方向は……‼︎」

『………アイツだ……‼︎』

素早くバイクをふかし、調は当初の目的地ー社宮高校に向かう

『ちょっと、アンタ‼︎』

幽霊少女もふわふわ中を漂いながらその後を追う

 

《ルルルルルルルルルルルルル………‼︎》

“ソレ”は鋭い爪をギャリギャリと学校の塀に走らせながらゆっくりと少女に近づいていく

制服を着たーおそらく社宮高校の生徒だろう少女は腰を抜かしたのかその場にへたり込んで逃げようともしない

そんな少女に迫る“ソレ”はギラギラと光る目を更にギラつかせ、少女に向けて鋭い爪を振り上げるその瞬間……

ドガッ‼︎

“ソレ”の背後から何かがぶつかり、大きく吹き飛ばす

ぶつかってきたのはバイクにまたがった青年ー調だ

「大丈夫か?逃げろ‼︎」

ヘルメットを脱いだ調が倒れ込んだ少女に促し、それに正気を取り戻した少女が一目散に逃げ出す

《グル、グルルルルルルルル……‼︎》

調にバイクで跳ね飛ばされた何かは凶悪な唸りを響かせながら立ち上がり、調をギラつく目で睨め付ける

月明かりに照らし出されたのは針のような体毛に覆われた大きな影

逞しい腕と脚の先にはナイフのような鋭い爪、ギラつく目が光る顔には大きく裂けた牙の覗く口、更に人とは明らかに異なる大きな耳と尻尾

「オイオイマジかよ……! 不謹慎だが、こっちもテン上げだな…‼︎」

調の前に立ち上がったのは、万人が描く人狼、狼男そのままの怪物だった

《ルゥオオオアアアアア‼︎‼︎》

人狼は邪魔をされたことに苛立ったのか鋭い爪を調に向けて振るう。間一髪で避けた調は道路を転がるが、人狼は転げた調に容赦なく追撃をしていく

「くっそ、マジか⁉︎ファーストコンタクトが被害者からとか…⁉︎」

あろうことか明らかに命を狙われているこんな状況で調がとったのはあの古ぼけたカメラでの撮影

しかし人狼が許すわけがなく、あえなくカメラは払いのけられ調の側に転がる

「………ッ‼︎」

《ルルルルルルルルル……》

調の喉元に人狼の鋭い爪が突きつけられた

 

駆けつけた幽霊少女は信じられないものを見た

人狼ーではない。少女はアイツが人を襲うのをもう何度か見てきた

調ーでもない。人間なんてもう腐るほど見てきている

信じられないのは調の表情だった

人狼という怪物に爪を突きつけられ、今にも軽く引き裂かれてしまいそうな、絶体絶命としか言えないそんな状況で

彼はー笑っていたのだ

『なんで……笑ってんの……?』

幽霊少女がポツリと漏らす。彼女が見てきた人狼の被害者達は皆怯えきった顔をしていた。失禁していたものもいたかもしれない

当然だ。目の前にいたのは未知の怪物なのだ。怖くないわけが…

「楽しいからだよ……‼︎」

青年はあっけらかんと恐怖を否定した

「確かに、ツメとか牙とか怖いし、めちゃくちゃでかいし、何より普通に生活してたらこんなん知らないしな……」

調は懐から一枚のボロボロの写真を取り出す。そこには月明かりの中マフラーをたなびかせた怪人が写っていた

「でも、それでも分かり合えるかもしれない、友達になれるかもしれない‼︎ だから俺は、知らないからワクワクできる‼︎」

更に伸ばした左手が側に転がるカメラを掴む

ー調の祖父の形見であるアナログカメラを

「じいちゃんが教えてくれた、知らないワクワク、それを俺は信じてる‼︎」

瞬間、調が掴むカメラがまばゆいばかりの光を放った

 

《ル、ルル……‼︎》

突然の閃光に人狼が眉をひそめて後退する

「なんだ……これ……」

光が収まった中、調が掴んでいたのはもう古ぼけたカメラじゃなかった

カメラの原型を留めてはいるが、どこかベルトのバックルのような雰囲気になっている

しかも不思議とその使い方は調の頭に浮かんできた

「こうか?」

カメラだったものをおずおずと調が腰に当てると、それをバックルにして調の腰にベルトが装着される

「おお……マジか……ん?」

今度は手にしていた怪人の写真が光り、一本のフィルムケースに変化した。同時に調のバックの中から飛び出した灯里のまとめていた七不思議ノートから一枚写真が剥がれ、それもフィルムケースに変化し調の手に収まった

「フィルム……?」

見るとベルトには丁度フィルムケースが収まりそうなスロットが左右に一本ずつ空いている

「成る程ね……よっと!」

《仮面ライダー‼︎》

《ナナフシギ‼︎》

《ザ・特ダネ‼︎》

とフィルムケースを収めたベルトから軽妙なボイスが流れ出す

「あとは……シャッターを切らないとな……」

バックル端のトリガーを勢いよく下に下げる

同時にバックルになったカメラが軽いシャッター音を放つ

《ガッシャ‼︎ 激写‼︎》

《仮面ライダー‼︎ナナフシギ‼︎》

シャッターのフラッシュと共に調の正面に巨大なフィルムが出現、影絵のようなシルエットとそれを彩る赤い装飾が重なりもう一度強く光る

《影を駆ける伝説‼︎》

《参上‼︎仮面ライダー‼︎》

光の晴れた中に現れたのは黒い人型のシルエット

ところどころに赤い模様が煌めき、首元には風にたなびくマフラー

そこに立つ怪人はまさしく…

「仮面ライダー……じいちゃんの言ってた……って俺が⁉︎」

 

to be continue……




はい、性懲りも無く完全オリジナルでの仮面ライダーものを書き始めちゃいました……w鎧武×ゆゆゆはもちろん書き続けるのでご安心ください……

読んでいただいた通り都市伝説やら未知の存在の力を使う記者ライダーです。まだまだ作り始めで設定が粗かったり、人狼に続く一般怪人の案で詰みかけてたりとかなり前途多難なスタートしてますが、続けてはいくつもりなので暖かく見守っていただけたら幸いです

それではまた次回をお楽しみに‼︎
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