「仮面ライダー……じいちゃんが言ってた……って俺が⁉︎」
変身した自分の体をペタペタと撫でまわすと調は再び歓喜の声を上げる
「うおおおおおお‼︎マジか‼︎あの噂の仮面ライダーに俺がなってる‼︎ヤベェ超スクープじゃん‼︎」
『ちょっと、あんた‼︎』
「お、幽霊ちゃんちょうどいいところに‼︎ 写真撮っといてくれよ、そこのデジカメでいいから……ってそうか幽霊だから持てないか…」
『バカ‼︎前、前‼︎』
「は?前?」
一旦落ち着いた調が言われた通り前を向くと
《グルルルルルルルァァァァァァ‼︎》
すっかり忘れられて怒髪天な人狼が牙と爪を剥きながら迫って来ていた
「ぬおおお忘れてたあああ⁉︎」
《ルァア‼︎》
「南無三‼︎おりゃあ‼︎」
ドガッ‼︎
《グゥッ……‼︎》
苦し紛れに放った調のパンチに人狼が怯む。どうやら効いているらしい
両拳をぐっぱっと動かして感触を確かめた調は確信した様子で人狼に向き直る
「これなら戦えるみたいだな……よし…徹頭徹尾、取材させてもらうぜ‼︎」
宣言と共に調の反撃が始まる
爪を振り上げた人狼にまずはパンチを一撃、怯んだ隙にさらに2、3発パンチを叩き込む。怯んだ人狼に向けて一発回し蹴りを叩き込み、距離を離す
『あんた、意外と戦えるのね……』
「記者ってのは案外ハードな仕事だからね。まぁ俺のはケンカ殺法の延長だけど」
反撃に慣れていなかったのか人狼は既に消耗してきているらしい。足取りが明らかにおぼつかなくなっている
「まだまだ取材とかしたいしなんならインタビューもしたいけど、被害者も出てるからね。締め切らせてもらうよ!」
《ペンツヨイダー‼︎》
音声と共にベルトから飛び出してきたのは羽ペンのような形をしたナイフ。それを手にした調は慣れた手つきで羽部分を倒す
《シュートモード‼︎》
「ここにこいつを入れるわけか」
ベルトからフィルムを片方抜き出し、ペンツヨイダーのグリップ部分に装填する
《号外‼︎仮面ライダー‼︎》
ペンツヨイダーの銃口にエネルギーがチャージされていく
気づいた人狼が逃げようと背を向けるがもう遅い
「ハァッ‼︎」
《ブライトストライク‼︎》
銃口から放たれたエネルギーが人狼を貫き爆発する
爆炎が晴れたそこには何も残っていなかった
「………ふぅ……たおせた、かな?」
『あんた……そんなんどこから出したの……?』
「俺に聞かないでくれよ。無我夢中だったわけだし」
と変身を解いた調が肩を竦める
そんな中遠くからサイレンの音が響いてくる。先程逃した女子生徒が呼んだのかも知れない
「……つかまると面倒だな……」
頭をかきながら急いで散らばった荷物を掻き集めて調がバイクにまたがる
「お前はどうすんだ?」
『私?』
「……幽霊って、帰る場所あんの?」
『知らないわよ……わかってたら、帰ってるわ……』
幽霊少女が寂しげにうつむく
その様子をしばらく眺めていた調だが、バイクのシートを叩いて
「うち来いよ、とりあえず。幽霊に取材できるなんて千載一遇だしな♪」
と心底楽しげに言い放った調に幽霊少女はちょっと照れた様子ながら、どこか嬉しそうに
『ばっかじゃないの?』
と呟いて座席にまたがった
バイクが向かった先は喫茶ラ・ルナ近くの大きな武家屋敷
『……ここどこ?』
「言っただろ?俺んち」
『ふーん……え⁉︎ここ⁉︎』
驚く幽霊少女を尻目に玄関の鍵を開け調が中に入る
「ただいま〜」
最初は訝しんでいた幽霊少女だが調がしつこく手招く姿を見て渋々家に入る
そしてこの家が調のものだと確信に変わる
『うわぁ……』
家の中にはそこら中に様々な写真やメモが散乱していた。床だけでなく壁にも所狭しと貼られている
どれも怪奇現象やら未確認生物、いわゆるオカルトな事件のもののようだ
『これ……全部あんたが……?』
「そうだよ。全部俺が……いんや、俺だけじゃないな」
『……?』
調がそんな写真やメモの山を掻き分けてずんずんと家の中を進み地下への階段を下りる
「ようこそ、俺のスタジオに」
そこには現像液の入ったトレイが並べられた机、アルバムが詰まった本棚、部屋に張られた糸に吊るされた乾燥中の写真
古臭いながら年季の入った「スタジオ」がそこにあった
「聞いた?聞いちゃった?」
「《社宮の人狼》の噂でしょ?」
「ザッツラーイ♪」
「怖いねぇ、楽しいねぇ♪」
「仲間が増えるかな?増えるよね?」
「「クスクス、ケケケ♪」」
瓜二つの姿をした黒い服の双子は歌うように嗤う
楽しそうに、おどろおどろしく
「あいもかわらずやかましいガキどもだな」
それを黒いフードを被った大柄なコートの男が冷ややかに見下ろす
「あらあら、こっちもちょーこわーい」
「怪奇、爬虫類オトコ……おっそろしーい」
「「クスクス、ケケケ♪」」
「……てめぇら…痛い目に遭いたいみたいだな」
ふざけた様子の双子に男が凄む
「「え、殺していいの?いいのかな?」」
それに双子が笑いながら、しかしどこか殺気のこもった目線を返す
パンパンッ
「はいはいそこまで、喧嘩はよしなさいな」
そんな3人に割って入ったのはターバンやらマフラーやらを巻いた長身の女性
「ダイナも、ダブルとダブラも、折角の仲間で潰しあいは感心しないわよ?」
「……ケッ、ヴォイドに言われちゃかなわねぇ」
「「ごめんなさーい、ヴォイド姉」」
ヴォイドと呼ばれた女性の仲裁にダイナと呼ばれた男とダブル、ダブラと呼ばれた双子が素直に謝罪する
「ねーねーヴォイド姉ー?」
「人狼が死んじゃったって噂ーほんとー?」
ダブルとダブラが首を傾げながらヴォイドに問う
「えぇ、そうね。死んじゃったわ」
「「えぇーそんなー」」
「邪魔が入った……まさか、 アレがまた現れたのか?」
ヴォイドは怪しげに微笑む
「たしかに《社宮の人狼》は死んだわ。アレに倒されてね。でもね、人狼は……いえ、私たちは、人がある限り生まれ続けるの」
ヴォイドが手を広げ空を仰ぐ
「人狼はまだまだ、終わらないわ♪」
「記憶がない?」
そこいらから引っ張り出したポッドでコーヒーを淹れながら調が幽霊少女に尋ねる
『そう。気づいたらこんなになってて、誰にも見えなくなってた。訳分かんないわよ、全く……』
それを聴きながらメモを取り、調が唸る
「死後の伝説に、飲むと記憶を消されるレテの川の伝説に似てるな……まさか実在するのか……」
『………何でメモしてんの?』
「記事のネタになりそうだからだよ。人狼が微妙に不発だったからこっちで書かないと。あ、安心して、インタビューってのは伏せるからさ」
『はぁ……あんた、マジで変人ね……私を見たら、みんな怖がって逃げたり、そもそも気づかなかったり、見ようともしなかったりなのに……人狼の時だって……異常よ』
「……そんなもんかね……」
調はどこか寂しそうに写真立てを手にとった
不思議なベルトに変化したカメラを首から下げた愉快そうな老人と少年がはちきれんばかりの笑顔で写っている、少しだけ色褪せた写真が入っていた
「……信じられないだろうけどさ、俺昔は幽霊怖かったんだぜ?」
『え、あんたが……⁉︎』
「あぁ、そりゃもう女子よりビビり回してた。でもな、そんな俺を変えてくれたのがじいちゃんだったのさ」
コーヒーをすすりながら調が続ける
「知らなくて怖いものはいくらでもある。でも調べたらそいつらもほんとはいいヤツかもしれない。知らなくて怖いものは誰かのワクワクにも、動力源にもなる。そう俺に笑いながら教えてくれた」
形状こそ変化していたが、そのじいちゃんが下げていたものと同じカメラを撫でる
「もう死んじまったけど、そんなじいちゃんのおかげで色んなワクワクを探せてる。あんたともこうやって仲良く話せてるしな」
愉快そうに笑いながら話す調にはもうあの人狼に襲われながら笑っていた不気味さはなかった
その笑顔は、無邪気な少年のそれで……
『⁉︎』
その時幽霊少女が何かに気づき顔をあげる
「……待った、その反応……まさか……」
『うん…このぞわぞわした感じ……あの人狼が出てきた時の……‼︎』
聞くが早いか調がスタジオから飛び出し、幽霊少女がそれに慌てて続く
「場所はわかるか⁉︎」
夜も更けた街中をバイクをとばしながら調が幽霊少女に問う
『こっち‼︎』
それに応えて幽霊少女がバイクを先導する
『ってか待って、あんたまた取材する気⁉︎ いくらアレに変身できるからって、めちゃくちゃよ‼︎』
「取材とかじゃない……それもあるけど‼︎」
少女が見たことも無いような真剣な表情で調が答える
「未知が恐怖を与えるのは事実だけど、俺はそれで終わらせたく無いんだ……俺が、未知へのワクワクで変われたみたいに‼︎」
調が一層バイクのエンジンを吹かしてスピードを上げる
調達が辿り着いたのは社宮高校から少し離れた空き地だった。予想通りあの人狼がそこに佇んでいた。その目前には……
「ひ、ひぃいいいいいい来るなああああああああああ‼︎」
「あいつは……薮川⁉︎」
神経質そうな表情をしたメガネの男、昼間灯里から紹介された薮川という教師に違いない
「あ、だ、誰か知らんが、助けてくれ‼︎ 私はこんなの信じないぞ‼︎」
薮川が調に声かけてきたのに気づき、人狼が振り返る
今回は何故か以前のように獣らしい呻きは聞こえてこない
《………なんで邪魔するの?》
代わりにその裂けた口から漏れてきたのはか細い少女の声
次の瞬間、その輪郭が歪み中から姿を現したのは
昼間薮川に怒鳴られていた女子生徒だった
「こっ、駒田⁉︎駒田なのか⁉︎」
駒田と呼ばれた少女は泣きそうな顔で叫ぶ
「全部コイツが悪いんだ‼︎ コイツが、コイツが‼︎」
あまりの剣幕にその場の全員が固まる
「部活でいじめにあって……ツラくて……だから顧問のコイツに相談したのに……いつでも相談しろって言われたから相談したのに‼︎ コイツは、面倒がってなかったことにしようとして……口封じされて……‼︎ いじめてきた先輩たちから余計にいじめられて‼︎」
「………」
灯里から薮川は面倒ごとは揉み消すタイプと聞かされてはいたが、いよいよ最低極まり無いことをしていたらしい
「ずっと、ずっと‼︎学校も、先輩達も怖くて‼︎ 死のうと自殺サイト探してたらこれをもらったの‼︎この、この力で、逆に周りを怖がらせてやりなさいって‼︎」
駒田と呼ばれた少女が取り出したのは調が仮面ライダーに変身した時に使っていたのとよく似たフィルムケース。より禍々しい造形で狼のようなイラストが描かれている
「これでアレに変身して、先輩達に復讐して周った。そしたら噂になって……みんなが私を怖がって‼︎ すごくいい気分だった……それなのに……コイツは……また揉み消そうと……‼︎」
「ひ、ヒィッ⁉︎」
獣のような瞳で睨みつけられ、薮川が情けない悲鳴をあげる
「もう、もう怖くない……フフッ……だから、コイツは、コイツだけは……‼︎」
《ルーガルー‼︎》
「‼︎やめろ‼︎」
調の制止虚しく駒田はフィルムケースのキャップをひねる。それがスイッチだったのかフィルムケースから底冷えのするような音声とともに黒いフィルムが飛び出し、少女を包み込む
《ヴアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎》
フィルムの塊が弾け、人狼が禍々しい、しかしどこか悲しい雄叫びをあげる
《コイツは、絶対殺してやる……‼︎》
鋭い爪をガチガチと鳴らし、薮川に人狼が向き直る
あまりの恐怖に悲鳴をあげる暇すらなく薮川は気絶した
「………伝説の正体見たり、か……」
どこか寂しそうに呟いた調がカメラを腰に当て装着する
「怖かったんだよな。ずっと…周りもだけど、自分自身の力が」
人狼の被害者は怪我こそしていたが殺害された人は誰もいなかった
この少女、駒田は自分の力も怖かったのだ
誰かを傷つけるのもすごく怖かった筈だ
だから
「怖いまんまで終わらせるか……そんな悪夢も今日で終わりだ。人狼の正体も、君の悪夢も俺が写して照らし出す‼︎」
フィルムケースをドライバーに装填する
《仮面ライダー‼︎》
《ナナフシギ‼︎》
《ザ・特ダネ‼︎》
「そう、仮面ライダー……俺が、仮面ライダー。仮面ライダー“ライト”だ‼︎ 変身‼︎」
宣言と同時にドライバーのシャッターを勢いよく下ろす
《ガッシャ‼︎激写‼︎》
《仮面ライダー‼︎ナナフシギ‼︎》
《影を駆ける伝説‼︎ 参上、仮面ライダー‼︎》
ドライバーから展開されるフィルムに包まれ調の姿が変わる
祖父が追いかけたあの都市伝説、いや、新しい伝説の怪人ーヒーローの姿に
「徹頭徹尾、取材させてもらうぜ‼︎」
調の変化に気づいた人狼が振り返り、激昂する
《邪魔、すんなァアァアァアァア‼︎》
鋭い爪がライトに迫るがそれを易々と受け止める。間髪入れずにもう一方の腕がライトに襲いかかるがそれも受け止められる
「よっと‼︎」
ガツっ‼︎
両の腕を塞がれた人狼のガラ空きの頭にライトのヘッドバットがクリーンヒットする。よろめいた人狼の腹に更に蹴りが叩きこまれる
《ガフッ……‼︎……グゥッ……ヴアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎》
吹き飛ばされ起き上がった人狼は人のものとは思えない悲しい雄叫びを上げ立ち上がる
「そろそろ取材も、悪夢も終わりだ」
ライトがドライバー左側面のダイヤルを巻き上げ、右側面のシャッターを長押しし離す
《ジーガッシャ‼︎ シャッターチャンス‼︎》
ドライバーの音声と同時に人狼の周囲に突然壁が出現する
いや、その壁で囲まれた空間の中にはまだ別のものが…
《……トイレ?》
そう直方体の空間内には見慣れた洋式の便器。外観にはご丁寧に3と書かれた赤い扉が
「七不思議って言ったら…トイレの花子さんとか有名っしょ?あとは……よっと‼︎」
ライトが右足を踏み出すとライトとトイレを結ぶ配置に階段が出現する
「行くぞー‼︎」
助走をつけたライトが階段を一段、二段と駆け上がる
最後の十二段を踏み切り、飛び上がったライトが見えない十三段目を蹴り上げ更に加速をつける
「でりゃああああ‼︎」
《ブライトフィニッシュ‼︎》
ジャンプの最上段に飛び上がったライトから真下のトイレに閉じ込められた人狼へとキックが放たれる
足先にチャージされたキックが人狼へと命中し爆発する
《ギャアアアアアアアアアアアアアア‼︎》
爆炎の中から宙返りしながら飛び出したライトが着地する
「ふぅ……取材完了っと……ん?」
晴れた爆炎の中から出てきたのは倒れた駒田
とその上に浮かび上がる半透明な紫の人狼らしきシルエットが
『あー‼︎あれあれ‼︎あれだよ‼︎』
「うわっと、いきなり出てくんじゃないよ……なんだって?」
『あのモヤモヤ‼︎あれがあのバケモノと同じ感じがするの‼︎』
「……じゃあ、あれが本体ってことか?」
とライトが幽霊少女の言われるままシルエットを訝しげに眺めていると、そのシルエットが突如生きているかのように遠吠えをあげ、どんどんと巨大化していく
「は?え?嘘だろ⁉︎」
《グルアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎》
ゴシャッ‼︎
「げふぅっ⁉︎」
先程の人狼より遥かに巨大なシルエットに肥大化した人狼の形をした黒いフィルムの塊が豪腕を振るいライトを吹き飛ばす
ブロック塀に叩きつけられたライトは咳き込みながら立ち上がるが、そんなライトを尻目にフィルムの怪物は街の方に進んでいく
「ゲホッ、ゲホッ、いや、待った流石に街はヤバイ……‼︎」
何かないかとドライバー周りを探るライトの指にコツンと何かが当たる
「ん、コイツは……?」
ライトが手にした覚えがあったフィルムは仮面ライダーとナナフシギのものだけだったが取り出したフィルムは鎌のような手をしたネズミのようなシルエットが描かれた見たことが無いものだった
「こんなんあったっけ?」
とフィルムを捻る
《カマイタチ‼︎》
《カモン、ウィンドウィゼル‼︎》
同時にフィルムケースがライトの手から離れつむじ風に巻き上げられる。風が晴れた中には何やらもふもふした巨影
「な、なんだこりゃ?」
そこにいたのは巨大なフィルムに巻きついた三匹の細いイタチ
中型のイタチが両の側面で車輪を持ち、中央の大きなイタチは両腕に鎌を装備している
キュイ、キュイィィィィィィ‼︎
鳴き声をあげたイタチは片方の鎌で自分の背中を指す
「え?乗れってことか、それ?」
キュイッ
イタチがライトの問いに頷きを返す
早速背に乗ろうとライトがイタチを掴むと何故かイヤイヤをしてライトを振るい落とす
「なんだよ?乗れってことじゃないのか?」
キューイッ
若干不機嫌なイタチが今度は調が乗っていたバイクを鎌で指す
見るとイタチが巻きついているフィルムに丁度バイクの車輪がはまりそうなくぼみが見つかる
「あ、そーいうこと!」
キュイッ‼︎
満足気に頷くイタチを尻目にバイクにまたがったライトがエンジンを吹かしイタチに向けて走らせる
タイミングよく背中を見せたイタチのフィルムに調のバイクが格納され、ライトがイタチに乗ったような形になる
「うし、これなら‼︎」
キュイー‼︎
ライトがエンジンを吹かすのに合わせ鳴き声を上げ、巨大イタチが街に向けて逃げ出したバケモノを追い始める
フィルムのバケモノは道中のモノをなぎ倒しながら凄まじい勢いで街をかけていく
「ちょーーーーっと待った‼︎」
キューーーーイッ‼︎
バケモノの前に民家の屋根を伝ってきた大イタチが着地する
グルアアアアアアアアアアアア‼︎
バケモノが恐ろしい咆哮をあげイタチに掴みかかる
キュイィィィィィィ‼︎
負けじと掴み返したイタチが鎌でバケモノを切りつけていく。切り落とされたフィルムがバラバラとこぼれ消えていく
チュチュー‼︎ チュー‼︎
車輪を抱えていた両サイドの中イタチが車輪でバケモノを殴打し、その巨体を吹き飛ばす
《号外‼︎カマイタチ‼︎》
「今度こそ終わりだ‼︎」
取り出したペンツヨイダーにカマイタチのフィルムを装填し構えると同時にイタチも鎌を構える
「はあああああああ、でりゃああああああ‼︎」
キュイィィィィィィィィィィィィィィィ‼︎
一人と一匹の掛け声が重なりペンツヨイダーの刀身からの斬撃に合わせてイタチが突撃し、バケモノの巨体が切り刻まれ爆発する
「よっと、ありがとな‼︎」
キューイッ♪
イタチからバイクを分離させて着地したライトが大イタチに手を振ると3匹一緒に手を振り返しイタチたちが空へと帰っていった
爆炎の中には先程のと同じシルエット
『可愛かったわねあのイタチ……』
「なんだって?」
『なんでもない。で、コイツどうすんの?』
幽霊少女がシルエットを指差す。するとライトはさも当然のようにドライバーのカメラ部分を取り外してレンズをシルエットに向ける
「考えてみりゃ、当然だよな。スクープにはこれだろ」
ダイヤルを巻き上げ、シャッターに手をかける
「セイ、チーズ♪」
カシャッ
撮影されたシルエットはカメラのレンズにスルスルと吸い込まれ消えた
『あ、ぞわぞわ消えた……?』
「やっぱこれが正解か。よし……」
ライトが振り返り、バケモノがやらかした惨状を眺める
夜遅いがちらほら人も出てきている
「見られたら面倒だし、帰るか」
バイクにまたがったライトは夜闇に消えていった
後日また騒がしいことに灯里がスクープスクープ‼︎と喫茶ラ・ルナにまで押しかけてきていつぞやのパフェを勝手に注文しながら話してきた内容によると、駒田という女子生徒はあの後一時入院していたがすぐに退院して元気に学校に通っているらしい
なんと調から話を聞いた灯里が新聞部に半ば強引に入部させたらしい最初こそ戸惑っていたらしいが今では仲良くやっているらしい。今度買い物にも行くそうだ
件の先輩とやらはなんと彼女を連れ戻しにわざわざ押しかけてきたらしいが
「なんかムカついたんで、スネに思いっきりローキックして追い出してやりました‼︎」
とのこと。それからは灯里に懲りたのか近づかなくなったという
で、この事件で一番の問題だった薮川だが……
『社宮高校のいじめ・障害事件隠蔽、教師が懲戒免職‼︎ね……』
しげしげと机に広げられた週刊誌の一面を眺める幽霊少女がしたり顔で作業をする調を振り返る
『これ、あんたでしょ?』
「なんのことだか……俺はただ、偶然噂に混じって聞いた話を、気まぐれで同僚に話してやっただけだ。俺の記事はこっち」
と歩いてきた調が別の雑誌を開き見せる
《スクープ都市伝説‼︎夜闇に駆ける謎のヒーロー‼︎》
『うわぁ……』
「なんだよその反応⁉︎ レイの話だけじゃ記事に足りなかったんだから仕方ないだろう?」
『だからって………ちょっと待った、レイって私⁉︎』
「そ、ユウレイだからレイ。いつまでもお前とかじゃアレだしな」
『センス悪……』
「心外だな……これでも2時間は考えたんだぞ?」
『嘘ォ⁉︎』
調の祖父が遺したスタジオは少し賑やかになってその雰囲気が少し柔らかくなった
調の作業代には現像液に浸かったこの街の新しい伝説が誇らし気に写っていた
大分間が空きましてすみません…やっと骨子がまとまってきて展開できるようになりました
都市伝説を力にした仮面ライダーと中々すごいテーマですがこれからもゆっくりとですが続けていきますのでよろしくお願いします
また次回もお楽しみに‼︎