あれから一年が過ぎた。バーテックスの進行もなくただただ平穏な日々が続いていった。
僕は空いた時間を利用して、そのっちを元の体に戻す方法、もう誰も傷つかないようにする方法を探し続けていたが、見つからないでいた。
そんなある日のこと、授業中、友奈の携帯のアラームが鳴った瞬間、いつの間にか友奈と東郷の二人の姿が消えていた。
教室では二人が急にいなくなったことをクラスメイトが驚いている中、僕はこの光景を知っている。
「すみません。少し出ます」
僕は教師にそう告げた瞬間、教師は僕が何を言いたいのか理解するのであった。
僕は学校の屋上を訪れるとそこには友奈たちがいた。
「戻ってきたな……みんな」
「海くん……」
「……悪かったわね。迎えに来てもらって……」
「いいえ、これが僕の役割ですから……」
先輩が申し訳なさそうに言う中、僕は笑顔でそう言うのであった。
次の日になり、僕と先輩はバーテックスについて、勇者についてみんなに話をした。
東郷はそのことを黙っていたということについて怒っていたけど……それでも一緒に戦うことを決めてくれた。
そんなある日、友奈が僕にあることを聞いてきた。
「ねぇ、海くん」
「何だ?友奈」
「私の勘違いなら良いんだけど……どうして辛そうな顔をしてるの?」
友奈には気づかれていたか。みんなに気付かれないようにしていたのに……
「どうしてそう思うんだ?」
「海くん、私達が樹海から帰ってくると何だか一瞬だけど辛そうにしてたから……私の勘違いかな?」
「いや、合ってるよ。前に言ったけど僕は前にも勇者たちを見届けてきたんだ。その頃の勇者システムは今より防御力が弱くてな。彼女たちは傷だらけに帰ってくるんだ……それを見るたび、どうして僕は勇者になれないんだって……一緒に戦えないんだって、守ってやれないんだって……後悔し続けてきたんだ」
「海くん……」
友奈は悲しそうな顔をしている。お前は本当に……
「だから今は見届けるだけじゃなく、僕にもできることがないか探してるし、それに……」
僕はネックレスにつけた指輪を友奈に見せた。
「それは?」
「大切な……本当に大切な人と約束した証みたいなものだ。僕はその人を救うために今も頑張ってる……」
「海くん……」
「友奈、本当ならすべてを話しておきたいけど、僕にはそれができない。だからこれだけは約束してくれないか?」
「何?」
「どんなことがあっても、勇者であり続けてくれ」
「うん、わかった。それじゃ」
友奈は小指を出してきた。そんな小学生じゃないんだし……でもたまにはこういうのもいいかもしれないな
「指切りだ」
「うん、約束守るね」
「あぁ」
僕は友奈と約束をするのであった。お互いどんなことがあっても勇者であり続けると……
家に帰り、古い書物を読み続けているとある記述が目に入った。
「これは……そっか……これなら……」
もしもこの先勇者部の皆が満開をし、散華をしたとしても……これなら救えるはずだ。
「でも……こんな事をしたら……それに僕にそんな覚悟は……」
どうすれば良いのかわからない。ただやれることをひとつだけ見つけた。
それはみんなが散華した際、僕は神樹様に願うんだ。この生命と引き替えにすることを……
書いていて思いましたが、結城友奈の章はあと数話ほど最終話ですね。次回はみんなが散華し、東郷との話になりますがちょっとした改変を入れます。