園子SIDE
大赦の神官たちに勇者部の犬吠埼風とわっしーをどうにかしてほしいと言われたけど、私は断った。ことの成り行きを見守ることにした。きっとカイくんは怒るかもしれないけど……それでも……
「園子様」
一人の女性神官が私の名前を呼んだ。きっとまだ説得を続ける気なのだろうか?
「いくら説得されても私は行かないよ」
「私はあなたの意思に従いますが……上里海様から言伝を預かっています」
「カイくんから?」
きっとカイくんの名前を出せば私が動くと思っているのかな?でも、私は……
「そのっち、お前はことの成り行きを見守るつもりだけど、あいつらを……勇者部のみんなを救えるのはお前しかいない。頼む……とのことです」
「それは本当にカイくんの言葉?」
「はい、そうです。信用するかどうかアナタ次第ですが……彼はきっと怒りますよ」
怒るか……そうだよね。きっとカイくんならそう言うかもしれないよね。
「わかったよ。私の端末を」
私は端末を受け取り、樹海へと向かうのであった。
東郷SIDE
壁の上に立ち、私は壁に傷をつけた。海くんが言うには軽く傷つければ神樹様は異変に気がつくであろうとのことだった。
「東郷さん!?」
「あんた、こんな所で何をしてるのよ!」
友奈ちゃんと夏凛ちゃんが駆けつけてきた。それに風先輩と樹ちゃんも遅れてやってくる。
「東郷……何をするつもり?あんた、壁を破壊して……」
「壁を破壊するつもりはないです。ただこれは……」
「東郷さん?」
「ん?誰かがこっちにくる!?」
夏凛ちゃんがこっちに向かってくる人影に気がついた。それは前に会った乃木園子だった。
「わっしー、駄目だよ。こんなこと……」
「止めに来たのね」
「うん、カイくんに止められるように言われたからね」
やはり彼の思い通りだった。だったら……
私は銃を下ろした。友奈ちゃんたちは何が起きているのか分からないでいる。
「乃木園子……私の役目はこれで終わりよ」
「役目?」
「あんた……何をするつもりだったの?」
「彼に頼まれたの。彼のやろうとすることを止められないように……乃木園子、あなたをここに呼び出してほしいって」
「彼って……海くんのことだよね」
「あいつ、何をするつもりよ?」
「………私達の散華を治すために……」
「もしかして……」
乃木園子は慌ててどこかへ行こうとするが、小さく傷ついた壁から何十体もの白いバーテックスが現れた。
「こんなときに!?」
「カイくん……お願いだからやめて……」
海SIDE
僕は大赦のある一室に来ていた。死装束を身にまとい、手には小さなナイフを握っていた。
「……神樹、彼女たちから奪ったものを返してくれ」
僕は目を閉じ、返事を待ったけど……誰も答えてくれない。
「神樹様は見守ってくれるだけなのか……今、苦しむ続けている勇者部の皆を見てどうも思ってないのか?必要なことだからか?」
僕は手にしたナイフを首筋に当てた。
「それだったら……僕の命で……皆から奪ったものを返してくれ!!」
僕はナイフを首に刺そうとした。だけどそんなときに頭の中にいろんな記憶が浮かび上がってきた。
『上里海くんだよね~私は乃木園子。よろしく~』
『海くんだからカイくんって呼んで良い?』
『本当はね戦うのがすごく怖いんだ。でもお役目だからって思いながら戦ってたの……それに傷だらけになった私の体を見てカイくんはどう思うかなって?嫌いになったりしないかなって……』
『どんなことがあっても、勇者であり続けてくれ』
皆ことを思い出していく……みんなごめんな……
「さよなら……」
園子SIDE
星屑を倒していき、私は大赦に戻った。カイくんは神樹様が祀らわれている部屋にいるはずだと思い、その部屋を目指していくとそこには多くの大赦の神官が集まっていた。
「カイくんは……?」
「園子様……」
「カイくんはどうしたの?」
「上里様は……今……」
私は全てを理解した。カイくんは私達のためにその生命を神樹様に捧げて……
「どうして……どうしてなの?カイくん……」
私は元の姿に戻ると、散華して失った体の機能が戻っていることに気がついた。
「カイくん……カイくん……」
「園子様……」
カイくんの伝言を伝えてくれた神官が一枚の手紙を私に渡してきた。
「これは?」
「上里様からの手紙です。渡すかどうか迷いましたが……」
私は渡された手紙を読み始めた。
『そのっちへ、この手紙を読んでいるということは僕はもう死んだってことだよな。
僕はみんなが辛い思いをしている中、ただ見届けるしかできなかった。
だからこそ自分にもできること探し続けた。そして見つけたんだ。神様に捧げたものを取り戻すのは………その捧げたものと同じ価値のものを捧げないといけないということを。僕一人の命で皆が失ったものを取り戻せるかわからないけど……
ごめんな。こんな形でしかみんなを、お前を……大好きなお前を助けられなくって。
ごめんな。こんな手紙でお別れを言えなくって……
さよなら……僕の大好きなそのっち。できれば僕の分まで勇者部のみんなを頼んだぞ』
「駄目だよ……カイくん……こんな風に助けられても……私、怒ってるからね……ちゃんと貴方の口から聞きたいよ……ごめんなさいって……カイくん、カイくん……うぅ、うああああああああああああ!!」
私はその場で思いっきり泣き叫ぶのであった。もう会えないよ……貴方に
というわけでBADENDはここまでです。海は死に、勇者部の皆を……愛する人を救うという……だけどその結果、残された人は本当に救われたのか?
悲しい結末でした。
次回 Happy End『ハーデンベルギアの花言葉』