「海、よく聞くんだ。これから会うのは上里家にとっては300年も前からの付き合いである家の子だよ。お前とその家の子はいうなれば婚約者同士なんだよ」
父親にそんなことを言われ、僕は喜びなどの感情がなかった。家柄の問題で自由に結婚することができない。
ただ親に決められた道を歩むだけしかできないなんて……
僕は彼女……乃木園子と初めて出会うのだった。彼女は特に僕を警戒したりせず、ただ笑顔で出迎えてくれた。
「なぁ……」
「何?カイくん?」
「お前は嫌じゃないのか?親に決められた相手と結婚するのは……」
僕はそんな事を聞くと彼女はしばらく悩み、僕のことを見つめた。
「私も最初は嫌だなって思ってたけど……カイくんだったから良かったって思ってるよ」
「僕だからって……」
「カイくんを始めてみた時のこの気持ちが、本当に好きっていうものかわからないけど……私は貴方をひと目見てから好きになっちゃいました」
笑顔でそう告げる園子……何というか自由なやつだな……
「僕もお前のことが好きになれるように頑張るよ」
これは幼い頃の思い出……僕とそのっちのはじめての出会い……
「カイくん~」
「幸せそうな寝顔をして……」
そのっちから膝枕してもらっていたのだけど、途中で寝落ちしてしまい、僕がそのっちに膝枕をすることになった。
「好き……か」
あのときは本当にこんな事を考えられなかったな。そのっちといることが多くなってから、次第に僕自身もそのっちのことが好きになってきた。
とはいえお互いしっかりと告白したわけじゃないんだよな……ただ『好き』という言葉だけしか言えてない。
ちゃんとしっかりと告白するべきだよな。
「そのっち、先生が……あっ……」
そのっちを呼びに来た須美だけど、今の僕らの光景を見て顔を真赤にさせていた。
「そ、その……ごめんなさい」
「別に気にしなくてもいいのに……」
ものすごく気まずい空気になったな。するとそのっちが目を覚ました。
「んん~あれ~カイくんに膝枕してたのに~何で私がされてるの~」
「お前が途中で寝落ちしたからだよ」
「そっか~何だか寝心地がいいな~って思ったら……」
何というかマイペースだな。そのっちは……
「先生が呼んでるらしいから行くぞ」
「うん」
そのっちが先に行くと須美が僕のことを見つめていた。
「何か付いてるか?」
「ううん、上里くん、また一人で訓練してたんだね」
「あぁ」
「やっぱり勇者になって御国のために戦いたいから?」
「いや、僕は……」
正直言うべきかどうか悩んだ。銀は僕と大赦の幹部が話しているのを聞いて、知ってるし……そのっちには最初から話してる。須美だけ仲間はずれっていうのはおかしいよな
「……僕は男の子だ。須美たちみたいに勇者になる資格はない」
「………うん」
「お前たちが戦いから戻ってくるたびに……お前たちの傷だらけの姿を見るたびに、僕はどうして一緒に戦うことが出来ないんだろうか……一緒に勇者として戦って、お前たちを守れないんだろうかって……ずっと思ってたんだ。だからいつの日か神樹様が僕を勇者になった時のために訓練を続けてるんだ」
「そ、そんなこと……」
あるわけないって言いたいんだろうけど、須美は口を閉ざした。
「……もしかしたら奇跡が起きるかもしれない。僕はそう信じたいんだ」
「……そっか」
須美もこれ以上は言うまいと思い、これ以上のことは言わなかった。
「なぁ、須美」
「何?上里くん」
「そのっちのこと……守ってくれ。あいつはお前と銀を守るって言ってるけど……」
「わかったわ。私と銀でそのっちを守るから……約束ね」
「あぁ、約束だ」
互いに約束を交わし、僕らは先生のところに行くのであった。
先生の話では次の戦いまで時間があり、ずっと訓練となるといざという時に動けなくなるため、休息期間になるということになった。
その日の夜、何故かそのっちが僕の家に泊まりに来ていた。
「なぁ、なんでまた泊まりに来たんだよ」
「お父さんもお母さんからもOKもらえたんよ。せっかく婚約者同士だからね~」
「理由になってないような……」
「それじゃカイくんとちょっと一緒にいたいとおもったからじゃ駄目かな?」
笑顔でそう言うけど、何というか何でそういうことを恥ずかしがらずに言えるんだよ……
「ほら、カイくん、一緒のお布団で寝よう~」
「それは断る!!」
一緒に寝ること自体ものすごく恥ずかしいことだろ……
「それじゃ~手をつなぎながら寝よう」
「まぁそれくらいなら……」
僕らは手をつなぎ眠りにつくのであった。