そのっちたちの休暇期間はまだまだ続いていたのだが、いつもだったら四人で一緒に行動するつもりだったのが、今日は珍しく僕とそのっちの二人っきりだった。特に須美と銀の二人が用事があるというわけではなく……
「別に仕来たりだからって須美たちも誘えばよかったのに……」
「う~ん、でも二人からしてみれば関係ない人だからね~」
そう言われればそうだけど……
僕らは大橋の近くにある英霊碑まで来ていた。僕とそのっちは英霊碑の周りにある二つのお墓に花を供えた。
「ご先祖様~今年もカイくんと来ました」
「何というかこの人達が始まりだよな。乃木と上里の関わりって……」
お墓に刻まれた上里ひなたと乃木若葉という名前。この二人は神世紀以前よりバーテックスと戦い続けた勇者と巫女だった。
「そのっちはやっぱり血筋なんだろうな……」
「勇者になれたのが?多分そうかもしれないね~」
「僕は巫女の家系だって言うのに、巫女の力も扱えず勇者の力も扱えない……」
大人たちはそのことについては特に責めたりはしてないけど、僕自身考えてしまうことがある
「う~ん、えい!」
そのっちが急に抱きついてきた。僕は突然のことで驚いてしまった。
「ど、どうしたんだよ!?そのっち!?」
「カイくん、また悩んでる?」
「……うん」
「カイくんが悩むと私も何だか暗くなっちゃうんだ~だから笑顔でいてほしいの」
「そのっち……」
本当にそのっちは僕のことをよく見て、元気づけようとしてるな……
「何だか悪いな。そのっちには気を使わせてばっかりだよ」
「えへへ~」
「なぁ、そのっち」
「なに~」
「お前が元気なかったら僕が抱きしめるからな」
僕がそう告げた瞬間、そのっちが抱きつくのを止めるのであった。どうしたのか気になり、そのっちの方を見るとそのっちは顔を真赤にさせていた。
「カイくんに抱きしめられたら……多分だけど私……嬉しい気持ちが一杯で倒れちゃうかもしれないよ~」
「そしたら僕が支えてやるよ」
「もうカイくんは……」
僕らは手をつなぎ、お互い笑顔になるのであった。
そんな僕らを見つめる青いカラスと白いカラスが僕らを見て見つめていたことには僕らは知らなかった。
墓参りを済ませ、あとは帰るだけだったのだが、そのっちは眠そうにしていた。
「おんぶするか?」
「ん~カイくんに迷惑かけちゃうよ~」
「僕は気にしないから……ほら」
僕はそのっちを背負う。何というか抱きつかれたりされるのは未だに恥ずかしかったりするのに、何で僕はおんぶとかは平気なんだろうか?
「ん~カイくん~えへへ~」
いちいち気にすることじゃないよな。こうして好きな人といれるだけで僕は十分なんだから……
一人そう思うのであった。
その日の夜
夕方、そのっちを送り届けたはずなのに、またそのっちが僕の部屋に泊まりに来ていた。
「何でまた……」
「えっとね~今日は何だかカイくんと一緒にいたくって~」
よくとまぁそのっちの両親は許してくれたな。まぁ僕を信頼してくれているということだからか?
「というわけでね。一緒にお風呂に入ろう~」
「ちょっと待った。何でそんな流れになるんだよ!!」
「えっ~だって、この間合宿したときもカイくんは一人で温泉に入ってたでしょ。きっと寂しいかなって」
「あのな、そういうのは……お互い恋人同士で……」
「私達婚約者同士で恋人同士だよ~」
言い訳を間違えた……こういうときは本当にどうすれば良いんだ?というかそのっちは恥ずかしいとか思ってないのか?
「とりあえずそのっち。一緒に入るのはもう少ししてからだ」
「もう少しって?」
「そうだな……中学二年くらいになってからで……」
「中学二年……うん、わかったよ~」
「それまで一緒に入ろうとしたらそのっちのこと嫌いになるからな」
「それはやだな~でもカイくん、約束守ってね」
「あぁ」
僕らは指切りをするのであった。
何というかもうこの二人、子供がいてもおかしくないような……
花結いに海とそのっちの子供でも出すか……