銀が死んでから何日か経った。そのっちも須美もそれぞれ立ち直りつつある。
僕は僕で出来ることを探しているが、何も見つからないでいた。僕は古い書物の中で何かしら書かれていないか探していると、ある日記を見つけた。
「これは……巫女御記?」
僕は何となく読み始める。それは僕の遠い先祖、初代勇者と一緒にいた上里ひなたの日記みたいだった。
書かれている内容は巫女として自分がやってきたことやちょっとした日常の出来事が書かれていた。
「今の僕らみたいなものか……」
ご先祖様の日記は毎日が楽しそうだと分かるように書かれていた。今の僕らと一緒だけど……違うのは僕には勇者としても巫女としての力が無いということだけだな
するとあるページに書かれた内容が目に入った。
『私は巫女としての役目を果たすしか無いけど、ただただ若葉ちゃんたちが……勇者たちが無事に帰ってくるかどうか心配でしょうがなかった。最初はただみんなが帰ってくるのを待つことしか出来ないことをひどく後悔した。だけど、だからこそ私はみんなが帰ってきたらただ笑顔で出迎えることにした。だってそうすれば守るものがあると気がついてくれるはずだから……私がするべきことは彼女たちが戻ってくる場所を守ること』
ご先祖様は勇者たちの帰りを待つことしか出来ないのが悔しかったんだな。だけど帰ってくる場所を守るか……
「それもいいかもな……」
そのっちたちが帰ってくる場所を守る……僕にも出来ることかもしれないな。
すると日記から一枚の紙が落ち、拾うとある日記が書かれていた。
『もしも上里の子孫がある考えに至った場合のことを考えた。それは勇者たちを救うためのものかもしれないけど……きっとそれは残されたものにとっては辛いことかもしれない。だからこそ私はある手段を』
途中から破かれていて読むことが出来なかった。ある考えって……それに残された者にとって辛いことって……
それがなんなのか考えようとするがそろそろ出かける時間だと気が付き、僕は着替えを済ませて家を出るのであった。
そんな僕を見つめる白いカラスに僕は気が付かずに……
待ち合わせの場所に行くとそこには浴衣姿のそのっちと須美の二人がいた。
「カイくん遅いよ~」
「珍しいわね。海くんが遅れるなんて……」
「いや、ちょっと色々とあって……それにしても二人とも浴衣似合ってるぞ」
「えへへ~褒められちゃった~」
「もう海くん、そこはそのっちをしっかり褒めてくれないかしら?ほら」
「ん、そのっち、可愛いぞ」
「も、もうカイくんは……」
そのっちは顔を真赤にさせている。というかわざわざ言わなくてもいいだろう。言う方も恥ずかしいんだから……
「それじゃ行きましょう」
「あぁ、ほら、そのっち」
僕は手を差し伸べるとそのっちはおずおずと手を握るのであった。
それから三人で色んな出店を回っていった。そのっちと須美の二人が協力して射的で大物を落とし、その大物とみっつのぬいぐるみがセットになったものを交換した。それはそのっち、須美、銀の三人みたいだった。
「ん?あれは……」
僕はある出店を見つけ、買うのであった。
須美がゴミを捨てに行き、僕とそのっちの二人で待っている中、僕は……
「そのっち、左手出してくれないか?」
「えっ?どうして~」
「いいから、あと目を閉じてくれないか?」
「う、うん」
目を閉じたのを確認し、僕はさっき出店で買ったおもちゃの指輪をそのっちの左手の薬指にはめ込んだ。
「目を開けていいぞ」
「ん……これって……」
そのっちははめられた指輪を見て、顔を真っ赤にさせていた。
「結婚指輪にしてはおもちゃでごめん。ちゃんとお互い結婚できる歳になったらちゃんとしたものを送るから……」
「カイくん……ううん、これでいいよ」
「それだと小さくって入らなくなるぞ?」
「それまではこの指輪を結婚指輪だと思って大切にするね」
そのっちは僕にそっとキスをするのであった。お互い顔を赤らめている中、
「お邪魔だったかしら?」
須美がジト目で僕らのことを見つめるのであった。
うん、今回もシリアスで……はなくイチャイチャですね。
次回、もしかすると鷲尾須美の章もクライマックスです