このすば!短編集   作:ヒザクラ

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はい、拙い文章でお送りします、またもやカズめぐです。
ちょっと今回の話は原作とは違う設定が多々ありますが、二次創作ということで一つお許しをww

次はギャグ書きたいですね。


妹と寂しんぼと魔性の女

「お兄様!」

嬉しそうな声をあげ、お兄様ことカズマの腕を抱きしめるアイリスを見て、開いた口が塞がらなかった。

今は昼時だろうか。いつものように朝まで起き、今の今まで眠っていたのだが、起床直後にアイリスのような純真無垢な子供の嬉しそうな顔を見て、寝起き特有の気怠さはどこかに吹っ飛んでいた。

(……何でアイリスがここにいるんだ?)

そんな当然の疑問が浮かぶが、未だ嬉しそうにしているアイリスを見てそんな考えはどこかに吹っ飛んでしまった。

妹を愛でるように、いや実の妹などいないのだが気分的な意味で、アイリスの頭を撫でようと手を伸ばし、

「アイリス様をそんな汚らわしい手で触るなぁあああ!!」

「うぉおおおお?!」

急に剣が振り下ろされるが、間一髪のところで避けるカズマ。

「チッ」

「なぁ、あんた本当に国の重鎮なんだよな?! 聞いちゃいけない声が聞こえたんですけど?!」

国の重鎮兼アイリスの側近であるクレアは、カズマを汚物でも見るかのような眼差しをしている。本当にアイリスのことになると見境がなくなるから困りものだ。

 カズマは冷や汗と脂汗をダラダラと流しながらクレアを警戒していると、

「クレア、やめてください。お兄様を虐めるのは」

「え……いや、でも……」

「クレア」

「……も、申し訳ありません」

 アイリスの鋭い眼光による、事態は収縮する。

 カズマはホッとしたと同時に疑問が浮かび上がる。

「そういえば……なんでお前らがここにいるんだ?」

「それは私が説明しよう」

 喋り始めたのはダクネスだ。いつもの屋敷にいるようなラフな格好ではなく、貴族のような恰好をしていた。どこかの社交界にでも行くのか純白のドレスを着ており、金糸の髪は三つ編みで束ねており、肩から垂れ下がっている。

(うん。ホントにこういうの似合わねぇな)

 心でそう呟くカズマの思いは知らず、ダクネスが続ける。

「今日は我がダスティネス家とシンフォニア家による会合があるのだ。とは言っても、ただの食事会なのだがな。それでたまたま近くにクレア殿がいらっしゃるみたいだから、そのついでに私も同行しようと思い、ここに招き入れたんだが……まさかアイリス様までここに来るとは思いませんでした」

「ごめんなさい。その……冒険家としてのララティーナに会いに行くということは、お兄様にももちろん会えるでしょうし……その、なんだか、どうしても会いたくなって……」

 頬を赤らめながら言うアイリスに、思わず感動を覚えてしまったカズマ。

(流石は我が妹……いや、実の妹じゃないけど、お兄ちゃんは感動しているぞ……)

「しかし、雑務等は全てレインに押し付けてしまってな……本当は宿泊込みで厄介になるつもりだったが、急だが夕方までに王都に戻らねばならない。それに今回の会合は、アイリス様は全くの無関係。いきなり王家の者を招き入れるのも気が引けてな……だから――」

「任せろ。アイリスは俺の妹だからな。責任持って預かって――」

「めぐみん。頼んだぞ」

「あれ」

 妹を守るぞオーラをこれでもかと出しながら意気揚々と話を始めたカズマだったが、ダクネスによってその勢いは霧散してしまう。めぐみんは小さい胸を張りながら、

「任されました。下っ端を守るのはお頭の務めですからね。大船に乗ったつもりでいてください」

「なぁ、俺は?」

「助かる。アクアも急に出掛けてしまったからな……大方、ウィズの店でちょっかい掛けているのだろうが……」

「それではアイリス様。我々はそろそろ……」

「はい、行ってらっしゃい!」

「あの、俺は……」

「さぁ、行こうか」

「そうだな。ああ、それと――サトウカズマ」

 誰も反応してくれないのでいじけようかなと考えていたカズマは、クレアに呼びかけられ振り向く。だが、それをひどく後悔した。

 そこには、鬼の形相でこちらを見るクレアの姿だった。

「くれぐれもアイリス様にちょっかいを掛けてくれるなよ。もし姫様に何かあれば――殺す」

 言いつつ白銀の剣をギラリと見せつけ、ダクネスと共に屋敷を出ていく。馬車で来たのだろうか、蹄の音が外から聞こえてくる。時間とともに小さくなるが、カズマはまだ身の危険を感じていた。

「……ホントにアイリスの事になると見境なくなるな……」

「ご、ごめんなさい。本当は良い人なんですよ? 私が湯浴みする時はいつも一緒に途中まで着いていってくれるし、服を着る時もいつも着付けを手伝ってくれるし……」

 それはアイリスの裸体を隙あらば見るつもりじゃなかろうか、とカズマは思う。

 ちょっと本気でアイリスの貞操を心配していると、アイリスが抱きしめているカズマの腕を少し強くする。

「それではお兄様! またゲームで遊びましょう!」

「お、早速か。良いぜ。なんせ俺の勝ち越しで終わってるからな。ここいらでどっちが本当の強者かを決めようじゃないか」

「お兄様何度も負けてた気がするのですが……」

 アイリスの言葉を聞き流しボードゲームの準備に取り掛かろうとして――

 開いていたもう片方の腕に、めぐみんが抱き着いてきた。

「ちょっと待ってください。カズマ。まだ昨日の対戦が途中ですよ? まさか逃げるつもりですか?」

「は? いや、そういう訳じゃ……ってか、何でお前まで俺の腕掴んでんだ。そういうのはアイリスという妹枠で収まってるから。お前みたいなロリっ子は及びじゃないから」

「おい、私のどこがロリっ子なのか詳しく聞こうじゃないか」

 どう考えても体のことである。と言うと爆裂魔法が飛びかねないので胸の内に留めておく。

「お、お頭はお兄様と毎日のように会っているじゃないですか! 私だって本当は……」

 アイリスは声を上げて抗議したが、最後の方は聞き取れないほどの声音だった。顔も伏せていたため読唇術でも読めない。

「た、確かにそうかもしれませんが、ここ最近この男はまた徹夜した後に寝てを繰り返していて最近碌に話もしていないんです! 昨日やっと遊びに付き合ってくれましたが、まだまだ物足りませんね、えぇ! 日課の爆裂散歩にも付き合って貰わないと!」

「そんなのただの言い訳です! お兄様といつでも会えるお頭、そうじゃない私! どっちを優先するべきかは想像できるはずです!」

「いいえ、ここはお頭権限で私を優先にします! 今のうちに捕まえておかないと、またフラフラと不埒な夜遊びをするに決まってます!」

「確かにお兄様は不埒な事をお考えになる人ですけど、それとこれとは別です! 私は今日この機会をずっと待っていたのです! いくらお頭の命令でも、今回ばかりは譲れません!」

 段々とカズマに対する悪口が見え隠れしているが、大人なカズマはそれら全てをスル―する。

 めぐみんの紅い目が煌々とし、アイリスも後に引けなくなったのか、徐々にヒートアップしていく二人の言い争いに危機感を感じたカズマは、さすがに静止に入る。

「お、おい。二人とも――」

「私は!!」

 そう思ったのだが、今日日聞かないめぐみんの大きな声にカズマは黙ってしまう。アイリスも体をビクッと震わせた。さすがに言い過ぎたかもしれないと、めぐみんの大きな声に冷静さを取り戻したのかもしれない。

 カズマとアイリスはおずおずといった風にめぐみんの顔を覗き込む。

 そこには――

「わ、私は……カズマが構ってくれなくて……グスッ……寂しいんです……」

 目に涙を溜めためぐみんだった。

 予想外の行動にアイリスは慌て始める。

(……俺、最近そんなに不愛想だったか?)

 カズマはカズマで自分の最近の行動を思い返していた。

 確かに先ほど言った通り、最近は徹夜続きで食事以外はほとんど会話もしていなかった気がする。それだけでなく、日課である爆裂散歩も最近は付き合いも悪く、アクセルにも行ってない日々を送っている気がする。

 昨日夜遅くにめぐみんがボードゲームに誘ってくれたのが新鮮でつい安請け合いしてしまったが、今思えばとても喜んでいた節があった。

 どうして気付かなかったのか。段々と頬にも涙が伝うめぐみんを見て、居た堪れない気持ちになってくる。

 頭を掻きたいが、両腕が塞がっているのでできない。どうしたものかと思案すると、

「……それでしたら」

 アイリスがボソリと呟く。めぐみんは少しだけ顔を上げた。

「――三人で遊びましょう!」

 満面の笑みで言うアイリスに、カズマもめぐみんもポカンとしていた。

 だがアイリスの言う通りでもある。なにも口喧嘩することでもなかったのだ。

 カズマはフッと笑い、

「そうだな。この困ったちゃんは、俺と遊べなかったのがよほど寂しかったみたいだしな」

「だ、誰が困ったちゃんですか! わ、私は真剣に……」

「はいはい、わかったわかった」

両腕が塞がっているので頭を撫でたかったが断念し、代わりに子供をあやすように言うカズマ。そしてニカッと笑い、

「んじゃ、夕方まで思いっきり遊ぶか!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そろそろ夕焼けが出始めた頃。

アイリスは遊び疲れたのか、ソファーに座っているめぐみんに膝枕され、寝ていた。

アイリスの頭を微笑みながら撫でているめぐみん。カズマはコーヒーを二つ用意し、

「ほい、コーヒー。砂糖入れといたぞ」

「ありがとうございます。まぁ、ホントはブラックでも良かったんですが」

「そう言って飲んだらめっちゃ嫌そうな顔したじゃねーか」

「いえいえ、あの時はまだ13歳でした。成長した今の私なら、ブラックコーヒーなど一瞬で飲み干せるでしょう」

一気飲みは体に悪そうだし、そもそも年齢そんなに変わってないだろ、とツッコミを入れたかったが断念する。アイリスを起こしかねないからだ。

カズマはコーヒーを一口飲んだ後、めぐみんがチラチラとカズマに視線を送っていりことに気付く。

「どうした? 俺に見惚れたか?」

「それは元からです。そうじゃなくて……」

からかう感じで言ったのだが、思わぬカウンターに逆に顔が熱くなるのを感じたカズマは視線を暖炉に向ける。

「今日はすいませんでした。急にあんなことを言ってしまって……」

あんなこととは、構ってくれなくて寂しいと言ったことだろう。正直なところ嬉しかったしそれほど気にはしていなかったのだが、めぐみんがバツが悪そうな表情をしていた。よほど反省していたのだろう。

「別に気にすんなって。俺もあんまり構えなかったし、悪かったって思ってるから……それに、お前のワガママなんて新鮮だなって思ったし、悪い気分じゃない」

「むぅ……なんだか負けている気分になってきましたね」

「え、これ勝負事なの?」

「まぁ良いです。そんなことより、ちょっと隣に座ってください」

コーヒーを机に起き、ポンポンとめぐみんが手でソファーの空いているスペースを叩いた。しかしカズマは少し驚いた顔をする。

確かに空いているには空いているが、アイリスが横になっており、その真ん中にめぐみんが座っている状態。ギリギリ隣にカズマが座れそうな間だが、明らかに狭い。

「いや、狭いだろ。いいよ、俺は」

「いいから座ってください」

「……はい」

目がまた一際輝いためぐみんに危機感を覚えたカズマは、コーヒーを同じく机に置いてめぐみんの隣に座る。

案の定狭く、居心地が悪い。のだが、カズマはそれとは別の危機感を感じた。

(……めっちゃ近い。っつーかもうくっついてるようなもんだろ、これ)

そう、体が密着している状態になっているのだ。相手はロリっ子とはいえ、散々好意をこれでもかと言うほど潔くぶつけてくるめぐみんだ。意識しない方が無理だというもの。

(やべぇよこういう時どうすりゃ良いんだよ肩とか抱き寄せるかいやいや待て待てまだめぐみんとは恋人関係じゃないし仲間以上恋人未満だし下手なことしたら変態扱いされるのは目に見えてる落ち着け佐藤和馬惑わされるなこれは罠だそうこれは巧妙な罠だ落ち着いて素数を数えるんだってダメだわかんねぇ)

まともな考え方ができず、顔を赤らめていることは容易に想像もできる。こんな顔はめぐみんに見せられないのだが。

「ふふ、顔真っ赤ですよ」

「おま、確信犯かよ!」

「シーっ、静かに」

 人差し指を口に当てる。焦りつつアイリスを見るが、起きる気配はない。

「まぁ、ちょっと露骨すぎましたかね」

「で? 何でまたこんなことさせたんだ?」

「寂しいっていうのは本当ですからね」

 言いつつ、めぐみんはカズマの肩に頭を乗せる。予想外の行動に弱いカズマはさらに顔を赤らめ、頬をポリポリと掻きながら目線を明後日の方向へと向ける。

「さ、寂しい思いさせたのは悪かったよ。明日からはちゃんと付き合ってやるから……」

「ありがとうございます」

 お礼を言いつつ、めぐみんは膝に置かれたカズマの手を自分の手と重ねた。

「お、おい、めぐみん?」

「もう少しだけ甘えさせてください」

 めぐみんの紅い目が少しだけ輝いていた。つまりは、この状態に緊張しているということ。しかしお互いに居心地の良さも感じており、文句も言わない。

 カズマは目線をめぐみんに向ける。めぐみんもまたカズマを見ており、その紅い双眸に目を離せなくなっていた。

(……もうこの際、行けるとこまで行くか?)

 めぐみんの好意にはとっくの昔に気付いている。仲間以上恋人未満という関係性は、おそらくアクアやダクネスとの仲間関係を崩さないための線引きなのだろうが、お互いはもう我慢の限界だったのかもしれない。

 彼女の好意に答えてやりたい。

 いつの間にかそういう甘い雰囲気になってしまった。

 カズマは空いた手でめぐみんの頬に触れる。ビクッと体を震わせていたが、それでもめぐみんは何かを待っているかのようにカズマをジッと見つめていた。

 言うなら今だ。

 仲間以上恋人未満という歪な関係に終止符を打ちたい。アクアやダクネスの仲間関係が崩れる可能性もあるかもしれないが、同時にこんなことで仲間関係が崩れるとは微塵も思っていない。

 意を決して、カズマは口を開く。

 めぐみんに、自分の想いを伝えるために。

「めぐみん、俺――」

「アイリス様ぁあああああ!! ご無事ですか?! あの獰猛な野獣にあんなことやこんなことはされていませぬかぁ!!」

「あ、あんなことやこんなこと?! い、一体どんなプレイを……はぁ、はぁ……い。いや、幾らカズマと言えども、アイリス様に手を出せば処刑されてしまう! カズマ! アイリス様に手を……出し……て……?」

 バァン! と勢いよく玄関が開かれ、クレアとダクネスが帰ってくる。二人は思い思いに本音を口に出しながらズカズカと屋敷内に入るが、目にした光景は異常なだった。

 

 カズマがコーヒーを被っていた。

 しかも、淹れたてほやほやの超熱いやつを。

 

「あちゃぁあああああ!? 死ぬ、頭がしぬぅう!!」

「カズマ?! 何でそんな奇行に走ったのですか?!」

「んぅ……あれ? 私、いつの間に寝て……って、お兄様?! どうなされたのですか?! お兄様ーーーー!!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 洗面台まで全速力で走り、頭の上から水を被りなんとか事なきを得る。カズマは再び玄関に戻り、清々しい顔で話を始める。

「いや、めぐみんと話をしている途中でコーヒー健康法っていうのがあるのを思い出してな。なんでも熱々のコーヒーを頭からぶっかけると体の調子が良くなるって言われているんだ」

「凄い! そんな方法があるだなんて!」

「アイリス様に変なこと吹き込むなと言っているだろう! アイリス様、そのようなことはありません! ありませんからコーヒーを用意するのをお止めください!」

 苦し紛れの言い訳にアイリスは信じ切ってしまい、コーヒーを用意しようとすも、クレアに止められてシュンと顔を俯いてしまう。

(正直言ってこいつらが来てくれて助かった……もしかしたらとんでもないこと言うところだったかもしれない)

 もしあのまま続いていたなら、めぐみんに本気の告白をするところだった。もしめぐみんから了承の返事を貰ってしまえば、今の関係が崩れ去るという最悪な状態をなんとか避けることができたことに安堵する。

 しかし、同時に心が酷く痛むのを感じる。めぐみんに告白できていれば、こんな苦しみからも解放されたかもしれないのに、と。

(……俺、本当にめぐみんが……?)

 そんな風に考えると、不思議と体が熱くなるのを感じた。

(おい、嘘だろ? おれが好きなのは、もっと大人なお姉さんとかだぞ?! 何でロリっ子のめぐみんを……)

「それでは我々はこれで失礼する。めぐみん殿と……それとサトウカズマ、お前も一応アイリス様の相手をしてやったそうだな。礼を言う」

「へっ?! あ、いや……妹のためだ、これぐらいお安い御用だぜ!」

「お兄様……」

 アイリスが悲しそうな顔でカズマを見る。まだ別れたくないというのはその表情で伝わってくる。

 また王都にでも行って住み込もうかと思ったのだが、何故かめぐみんの顔が浮かんでしまい、思い止める。

「アイリス。寂しいのは分かるけど、城の人たちにこれ以上迷惑はかけられない。それ以上に、俺は城の人たちに酷いことしちまってるんだ。もう顔向けできないさ」

「サトウカズマ……お前、そこまで反省して――」

「だから、クレアとレインがいない時を見計らって、城に潜入してアイリスに会いに行くからな!」

「貴様全く反省していないだろう?!」

 クレアが騒ぐが、親指を天に向けるカズマを見て、アイリスに笑顔が戻る。

「はい、お兄様! お待ちしております!」

「待ってはいけません、アイリス様! 警備を厳重にしておかなくては……」

 ぶつぶつと呟くクレアをアイリスが引っ張り、屋敷を出て行った。カズマは安堵の溜め息を吐き、

「なんとかなったな……」

「アイリス様のお守り、ご苦労だったな。そ、それでカズマ。先ほどのコーヒー健康法なんだが……わ、私に思い切り掛けてみようとは思わないか?!」

「興味ないからさっさと飯作れ」

「んぅ……おい待て、今日の当番はお前じゃないか。私はもう済ませてるから、三人分だけで良いぞ」

「お前ちょっと感じたろ」

「感じてない」

 いつものやり取りをまるで呼吸するかのように済ませ、面倒だと思いながらカズマは台所に向かう。

 はずだったが、めぐみんがカズマの服の裾をダクネスに見られないように引っ張る。

「ん? どうした、めぐみん……」

 めぐみんの顔を見て、先ほど告白しようとしたことを思い出し、顔を赤らめてしまった。その反応を見たかったかのように、めぐみんはクスクスと笑い、

「待ってますよ」

 そう言い残して、上機嫌でソファーに座り込み既に寝転んでいたちょむすけの頭を撫で始めた。

 カズマは壁を背にして、手で顔を抑えてからボソリと呟いた。

 

「……この魔性の女め……」

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