見やすいように小説の書き方も変えました。こっちの方が見やすいですよねww
めぐみんは不機嫌な表情を隠さずにカズマが座るソファーの隣にドカリと座り込む。急な事にカズマは眉間に皺を寄せるが、気にも止めずにゲームガールに再び没頭する。そんな彼の態度に、めぐみんは頬を膨らませつつ睨み付けた。
先日隣国エルロードから帰還する際中、カズマはアイリスに安物とはいえ指輪をプレゼントしたことは記憶に新しい。アイリスはカズマに対して好意を持っており、指輪なんてものをプレゼントされてしまった以上は家宝にする気満々だろう。
対して、めぐみんが貰ったのはどこにでも売っている煎餅だった。美味かった。確かに美味かったが、そうではない。自分もアイリスのように、指輪なんて贅沢は言わないから何か形のあるプレゼントが欲しかったのだ。日頃からカズマに対して好意をぶつけているというのに、この落差はなんなのだろうかと小一時間問いたいところだ。
めぐみんは不満をひたすらカズマにぶつけ続け、次第にカズマは折れたのか溜め息を吐き、ゲームガールをテーブルに置いてからめぐみんを見る。
「どうしたんだよ、お前。朝っぱらから不機嫌丸出しにしやがって」
「もうお昼です。そんなことより、カズマ。アイリスには指輪をプレゼントしたというのに、何で私には煎餅なんですか。もっと形に残る物が欲しかったです」
思っていたことを全てぶつけるように吐き出したが、それでも怒りは収まらない。めぐみんは言い終わると同時にそっぽを向いてしまう。
だが、我が儘だというのもわかっている。カズマもアイリスに恋心とか、そんな感情で接するという感情で指輪をプレゼントしたつもりはないのだろう。もしそんな感情で指輪を渡してしまったのなら即警察署行きだ。
だからこれはただのエゴだ。ただカズマに構ってほしいだけの我が儘だ。理屈は理解しても、感情だけはどうしようもない。カズマが謝ってくれさえすれば、後はいつも通りからかって終わるだけ。
特にカズマは何故めぐみんがこんなにも怒るのかも理解できていないだろう。この男は肝心なところで鈍感で、ヘタレなのだ。もし自分の意図に気付けたなら、もはや感心すらしてしまう。
今か今かと待ち受けるめぐみん。そっぽを向いているためカズマの表情は見えないが、頭を掻く音が聞こえてくるため、困っていることは間違いないだろう。そんな表情を思い浮かべてしまって、少々可愛いと思ってしまう。
「……わかったよ。何欲しいんだ?」
「じゃあ、私もアイリスと同じ指輪が欲しいです。しかも、ちゃんと左手薬指で、なおかつカズマが嵌めてくれると嬉しいですね」
「おま、それ――」
そう。その行為は、完全に婚約そのものだ。
仕方がないのだ。自分は、本当にカズマのことが好きなのだ。最初に出会ったときはただの変人だと思っていたが、ここまで人の心は変わってしまうのだろうかと、めぐみんは思う。
いつもはクズでゲスだけど、肝心な所はかっこよくて、優しくて、自分の身すらも投げ出せるほどの覚悟も持ち合わせている。そんな彼に惹かれてしまった。それは自分自身も理解している。
この行為もただの我が儘だとわかっていても、アイリスとは違う形でカズマからのプレゼントが欲しいのだ。
おそらくカズマはまたも困った表情をしているだろう。少しばかり悪戯が過ぎたかもしれない。
プレゼントは欲しいが、そこまで困らせるつもりはないので早々に話題を切らせようと思い――ふと、頭に何かが優しく置かれた。
「……まぁ、何だ……そういうのは、正式に恋人になってからとかでも、良いんじゃねぇか……?」
「――」
「言ってくれればちゃんと物買ってやるし、機嫌直せよ」
それがカズマの手だと気付くのに時間は掛からなかった。男特有のゴツゴツとした触感……はしないが、それでも優しく髪を撫でる仕草に、怒りはいつの間にか消えていた。
ズルい、とさえ思ってしまう。意中の男性に優しくされただけでこんなにも心が簡単に変わってしまうものなのか。
頭を撫でる手があまりにも気持ちよくて、無意識に身を捩らせてしまう。めぐみんは改めてカズマの方を向き、
「し、仕方ありませんね……乙女の髪を触るなんて本当はダメなのですが、カズマがちょむすけのご飯を買ってくれるなら許してあげます」
「随分と安いな、おい。しかもどこに乙女なんかいるんいたたたた!! おま、横腹抓るんじゃねぇ!!」
「私のどこが乙女じゃないのか聞こうじゃないか!!」
カズマに体当たりのごとくのしかかるが、本気で怒ってはいない。むしろいつも通りの関係に戻ってホッとしているくらいだ。
次第にいたずら心が芽生え、ついにカズマのズボンに手を掛ける。
「ちょ、おま……! マジでふざけんな!! スティールぶちかましてお前のパンツ盗んでやろうか!!」
「やれるものならやってくださいよ、ヘタレカズマ! 知ってるんですよ? 最近洗濯する時に、私たちの下着を洗う時に興味津々で凝視しているのを!! アクセル中に広めても良いんですからね?!」
「みみみ見てねぇし!! 自意識過剰なんじゃねぇの?! お前のパンツなんか全然見てねぇし、むしろ黒のパンツなんてお子様のお前じゃ不釣り合いだっつーの!!」
「言ってはいけないことを言いましたね!! そんなカズマがどんなパンツを履いているのか、私が見てあげますよ!!」
「きゃああああ!! 襲われる!! めぐみんに……おそ……われ……」
エスカレートしていく戯れにカズマもめぐみんも息を荒げていたが、カズマの声が弱々しくなっていく。視線は完全にめぐみんから逸れ、顔も心なしか青い。
視線の先を辿ると、そこには奴がいた。
わなわなと体を震わせ、ゼル帝のエサを持ったアクアが。
「……ダクネスー!! カズマとめぐみんがパンツ取り合ってるんですけどーー!!」
カズマとめぐみんはソファーから跳ね起き、弁解のためにアクアの後を追うのだった。