第1話:太陽の転生
???
空が暗い。
それは夜だから。
周りは赤い。
それは炎と血に染まっているから。
異臭がする。
周りにあるのはほとんど死体だから。
「君たちはよく戦ったよ。こんなつまらない世界から逃げるためだけに戦った。けど無駄だった。みんな君を除いて死んじゃったからね」
目の前にいる女性の言葉に耳が入らない。
少年は少女達と壊れた世界から脱出しようと共に戦い、少年を残してみんな死んでしまった。
少年を拾った■■は少年を守るために凶弾をその身に受けた。
少年を敵視していた■■は■■の仇を取るも、最後に蜂の巣にされた。
少年をよく絡んでいた■■■は異形の攻撃に真っ二つにされた。
■■■と仲の良かった■■■ちゃんは心を壊され、異形達に食べられた。
少年を愛した■■■■は手にした力を恐れ、自ら命を絶った。
少年が恋した■■■は異形にされてしまい、少女に殺された。
そして、少年と共に歩んだ■■■は胴体を貫かれた体を抱かれていた。
みんな死んだ。
楽しく共に歩んだ少女達が死んでしまった。
「君たちは運命を覆せなかった。私達に殺されることも、後から来る爆弾に殺されることも」
女性はやがて興味を失ったように歩き出す。
「君をもう少し知りたかったけど、もうそんな気は失せたよ。ま、もし………」
女性は間を開けて言った。
「もし、来世ってのがあって再び会うことになれば、君らはまた変えられるかな?ふふふ、運が良ければまた会うこともあるかもね」
と言って女性は立ち去った。
「………………………みんな」
少年は二度と動かない少女達を見る。
「………僕が不甲斐ないばかりに………こんなことになるなんて………」
少年は女性に、自分に、世界に、神に怒る。
「こんな運命なんて知りたくなかった!味わいたくなかった!!でも力がなかった。心と覚悟がなかった!!」
そして運命に怒る。
「もしあいつの言うように来世があるって言うのなら、その来世に理不尽な運命があるなら、そのふざけた運命をぶっ壊してやる!!必ず!!」
その叫びとともにまるで天罰のごとく飛来したミサイルが降り注ぎ、
少年の人生は終わりを告げた。
「オギャーオギャー!」
「まあ、男の子が生まれましたわ!」
「やったぞ!私たちの子供だ!」
「ふふふ、みんなを明るくする太陽みたいだわ」
とある病院にて、ある男の子が生まれた。
彼の名は輝木太陽(かがやきたいよう)。
終末世界を生きていた少年が転生した存在だ。
(いやこれどういう状況ダァああああああああああ!!!?)
少年(赤ちゃん)は心の奥から叫んだ。
数年後…
「すごいわ!太陽ったらこんなに頭がいいだなんて!」
「そうだな。親としてはなが高いよ」
「それほどでもないよ父さん、母さん」
元少年であった太陽は普通の子供に比べ非常に頭がいいことで親達は驚きと同時に歓喜を表す。
(これが家族の暖かさか………)
前世では家族どころか記憶がなかった太陽は家族を知り、心の奥から喜びをかみしめていた。
か、たまに前世の記憶を思い出す。
(あいつらも元気にしてるかな?)
ともに過ごしたかつての仲間達に会いたいとたとえ叶わぬ願いだとしてもそう思わずにはいられなかった。
そして、太陽が生まれて長い月日が流れ、
太陽は高校二年生となり、駒王学園の生徒として生活していた時だった。
ドンッ!
「きゃっ!」
「うわっ!」
太陽はある少女とぶつかった。
「ご、ごめん。余所見してた」
「…ったく気をつけなさい」
冬でもないのにかかわらずお気に入りのマフラーを巻いている少女は落としたカバンを拾って走り去っていく。
その少女を見た瞬間太陽は唖然とした。
「………………ひさぎ?」
そう、彼女は前世の太陽のパートナーであり、依存しあう関係であり、太陽を守るために体を貫かれた来栖崎ひさぎなのだ。
太陽はあれ以来秘密裏にひさぎを調べ上げた。
まず同じクラスメイトであること。
女子剣道部に所属している。(しかもエースと呼ばれている)
親は剣道家。(これは前世の話と同じだ)
上記のように意外と普通だが、太陽にとっては大事なことではない。
そう、太陽は気づいたのだ。
ひさぎは前世の記憶がないのだ。
最初に見た彼女の目が知らない人を見る目だったからだ。
姿が似てるだけの別人か単に思い出せてないかわからないが。
………それと他のことが一つ。
「ねー変わってる趣味持ってるよね樽神名さん」
「ほんとほんと」
「わたし、栗子先輩に告白するんだ」
「それフラグwww」
「はぁ〜最年少フィギュアスケート選手のやちるちゃんかわええな」
「やっべ!風紀委員長の百喰が来たぞ!」
太陽のかつての仲間たちも確認できた。
しかし彼女らも前世の記憶はないと思い、太陽は接触を躊躇う。
(たとえあったとしてもどのツラ下げて会えばいいんだ………)
そんな心の内を感じながら時間が流れ、放課後の帰り道で、
「ん?あれは………」
ある公園に1組のカップルを見かけた。
そのうちの男子は見覚えのある。
「兵藤一誠か。………そういえばあの娘に告白されたって言ってたっけ」
兵藤一誠。
駒王学園の悪い意味で有名人な奴。
四六時中オッパイとかパンツとかエロいことを考える輩で悪友の二人とともによく覗きをやっている。
そのせいで剣道部の女子二人(とたまにひさぎ)と風紀委員長の百喰によく追いかけ回されていたのは記憶に残っている。
そんな一誠に、なんと今目の前にいる黒髪の彼女ができたそうだ。
「さて、いらぬ知識で得たギャルゲーだと告白タイムだが………」
太陽はこっそり近づいて聞き耳をたてると、
「死んでくれないかな?」
………不吉な言葉が聞こえた気がした。
「………えっと、ごめんいまなんて?」
一誠もできれば気のせいであってほしいと意味も含めて再度問う。
「楽しかったわあなたとのデート。でもこれはもうおしまい。わたしのために死んで」
というと女性は黒い羽を生やし、赤白く光る槍を形成し、
ズッ!
「コボッ!?」
一誠の体を貫いた。
太陽side
「イッセー!?」
「あら?なんでここに人間が?」
羽女が何か言ってるがそんなことよりもイッセーを助けないと!
「イッセー!しっかりしろ!!イッセー!!」
「無駄よ。その子は貫かれたんだもの。もう死んでるわ」
羽女が無情な言葉を発する。
「な、なんでこんなことを………」
「下等な人間が至高なる堕天使様が答えると思う?」
彼女は堕天使といったがそんなことよりもこの状況をどうにかしないと。
「光栄に思いなさい。貴様のような下等種族がこの至高なる堕天使レイナーレに命を捧げるのよ」
そう言って羽女はイッセーを殺した光の槍を形成した。
(どうすれば………)
僕がどうやってこの状況を打破しようか考えて…
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
不意に聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。
その音源は入り口におびえた様子でこちらを見ている少女…
「来栖崎!?」
「また人間?」
羽女は来栖崎を見ながら心底うんざりした顔で言う。
「二人も人間が紛れていたなんて…………まあいいわ。どうせ殺すだけだし」
羽女が来栖崎めがけて槍を投げようとしている!
来栖崎は足がすくんで動けないみたいだ。
「ひさぎっ!!」
僕は無意識のうちに来栖崎の盾になるように覆いかぶさる。
ズッ!
「グッ…!?」
か、体が………全身が焼けるような痛みが駆け巡ってくる!!
これが、死ぬ感覚なのか?
僕は間違いなく死ぬだろうが来栖崎を守れ………
「急に動いてどうしたかと思ったけどまぁ二人一緒に始末できたしよしとしましょう」
光の槍は僕を貫いて来栖崎の体に刺さっていた。
「あ………ああ………………」
ああ、ひさぎが僕を守るためにその体を貫かれた光景がフラッシュバックしてくる。
「じゃあねおバカな人間さん。死ぬ羽目になった自分の運命に嘆くことね」
ドクンッ
運命、だと?
ドクンッ!
死ぬことが僕らの運命だと?
ドクンッ!ドクンッ!
なんて情けない。前世から変わってないじゃないか!?
ドクンッ!!ドクンッ!!
力が欲しい!運命なんてもんを破壊する力が!みんなを、ひさぎを守れる力が!
『力が欲しいのか?』
ふと僕の頭に誰かの声がする。
『お前は運命に逆らう力が欲しいのか?』
誰だか知らないけど欲しい!僕は力を手に入れてみんなを守りたいんだ!それを壊す運命なんて糞食らえだ!
『いいだろう。その運命を壊す合言葉がある。しかし、その力はお前とその周りにいる他人の人生の日常を壊してしまうぞ。それでもいいんだな?』
………そうなったら全部と言わないけど責任はとるよ。僕なりのケジメはつける。
『…いいだろう。今から言う合言葉を口にしろ』
謎の声と僕の言葉は同時に言う。
『我、目覚めるは全てを支配せし死の覇王なり。運命を滅ぼし、論理を砕く。 我、不死者の支配者となりて、汝らを我が運命に導こう』
『Bloody conect!』
No side
「うがあああああああああああああ!!!?」
「ま、まさか。あなたも神器所有者だって言うの!?」
堕天使レイナーレは太陽から発する大きな力にあっされる。
太陽の左腕から赤い血で作られた籠手を形成し、左手の甲の部分に赤い目が出現。
その赤い目が天に向かって閃光を発し、まるで生き物のような赤い目の塔が形作られた。
「………ぅうん、なぁに?」
とある民家にいる少女が『何かに呼ばれている』気がしてだらしない格好で締めていたカーテンを開ける。
「………あれは」
少女が見たのは先端に目玉がある光る塔のようなものだった。
ふと塔の目がこちらを見た気がした。
すると塔の目が見開き先端から衝撃波のようなものが広がる。
ズギィッ!!
「グッ!?」
少女は頭を握りつぶされそうな痛みを感じた。
それと同時に膨大な情報が入ってくる。
ゾンビ、生存組合、協定、渚輪区、パンデミック、PAL、ポートラル、政府、爆弾、死、仲間、鹿狩り、最後の男。
「………………………サンちゃん?」
その頃、赤い塔を目撃した少女たちに異変が起こった。
「なんやこれ、うちは一体?」
「お姉ちゃん………」
「くっはっ!やってくれたなあの参謀め」
「あれは………あいつが呼んでんのか?」
「私は………生きているのか?」
「あははははは!やっぱりあなたですのね!私のサン様!」
「くはっ!………はぁはぁ」
赤い目の塔が消滅し、太陽は体を崩す。
いつのまにか貫かれた傷がなくなっていた。
「………よくわかんないけど、動けないなら好都合。死になさい!」
危険な存在と判断したレイナーレは再び槍を形成し、太陽に向かって投げた。
ズバッ!
しかしその槍は真っ二つに切られた。
「なっ!?お前は確かに殺したはず!?」
驚愕のレイナーレ。
それもそのはず、今そこに立っているのは赤いマフラーと黒から白くなった髪をたなびかせ、手にした赤い刀身の刀をもつ少女が叩き切ったからだ。
太陽はその少女をボーッと見ていたら、
「なーに情けない寝ぼけた顔してんのよケツパ」
呆れ混じりの毒舌をかまされたので仕返しに言い返す。
「………起きたてはお前も同じだろ、ひさぎ」
「お前は………一体何者だ?」
レイナーレの問いにひさぎはめんどくさそうに答える。
「………ポートラル所属、来栖崎ひさぎ。前世じゃ剣鬼なんて呼ばれてた女よ」