旧校舎
レーティングゲーム当日、時間は深夜11時40分頃。
オカルト研究部メンバーおよびポートラルメンバーは全員部室に集まっていた。
ガチガチに緊張している一誠以外はやる気を見せているか適当に寛いでいた。
「一誠。緊張してるのか?」
「しょ、しょうがねぇだろ!ゲームとはいえ、ちゃんとした戦いなんて初めてなんだよ!逆に太陽達はなんでそんなに余裕なんだ!?」
「んー、慣れかな?」
「俺、お前が羨ましいよ………」
あっけらんとこたえたアドの言葉に一誠は力が抜けた返事をする。
「そんなに緊張しては戦いに支障が出るだろう。どれ、私が少し解してやろうか」
見かねた礼音さんがなんと一誠の後ろから抱きついた。
「うひょうっ!?」
「どうかな?樽神名君がこうすると相手は落ち着くらしいと言うのだが…」
「むしろ逆の意味で緊張してます!」
顔を真っ赤にした一誠はこう叫んだ。
礼音さんは前世と同じく天然混じってるからスケベの一誠相手には逆効果を与えてしまったようだ。
僕が羨ましけしからんと見ているとグレモリー先輩が睨んでいるのが見えた。
すると部室の魔方陣が光り出し、レーティングゲームの審判役であるグレイフィアが現れる。
「皆さん、準備はお済みになられましたか?開始10分前です。開始時間になりましたら、ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界。そこではどんなに派手な事をしても構いません。使い捨ての空間なので思う存分にどうぞ」
今回が初めてのレーティングゲーム。
その様子は中継で他の場所からも見れるらしい。
「うーん、見られながら戦うのって恥ずいな〜」
「僕はアドに羞恥心があったことに眼から鱗だけどな」
「どう言う意味!?」
とはいえいろんな人が僕らを見ていると知ると慣れない僕らは少し緊張が走るのは確かだ。
「なお、現魔王『サーゼクス・ルシファー』様もこの一戦をご覧になられますので…」
ルシファー。
元は上級天使なのだが、傲慢な態度が災いして堕天使に身を落とし、のちに魔王となったとされている。
七大魔王の一柱であり、七つの大罪が一つ『傲慢』を司る悪魔である。
「そう、お兄様も…………」
「うん?グレモリー先輩のお兄さんって魔王なんですか?」
「ええ、そうよ」
「"紅髪の魔王"こと、サーゼクス・ルシファー。それが部長のお兄さんだよ」
僕の疑問にグレモリー先輩は肯定し、木場が補足を入れる。
「でも、お兄さんなら何で部長と名前が違うんですか?」
「それは前の大戦で亡くなられた、前魔王ルシファー様のご意志を受け継いだからなんだ」
「それで部長さんがグレモリー家の跡継ぎに」
「成る程」
後で聞いた話だが、ルシファーのほかにレヴィアタン、ベルゼブブ、アスモデウスの名を受け継いだ魔王がいるそうだ。
残念ながら『憤怒』のサタン、『怠惰』のベルフェゴール、『強欲』のマモンの名を受け継ぐ相手がいなかったようだ。
部長の家のこと聞いたあと、約10分くらい経つと先ほどの魔法陣が再び展開される。
そして魔法陣の上に乗り転移するが…………。
そこはいつもと変わらない部室だった。
「あれ?」
「何も変わってませんね」
「…おい、外見てみろ」
姫方の呼びかけに外を見ると、紫色の空が見えた。
「ぅわー、まさに別世界って感じ」
「良かった……もしかして、俺の所為で転移が失敗したかと思ったぜ」
イッセーが自分の魔力の無さの所為でオカルト研究部の転移が失敗したと思っていたが無事に転移が出来たことに安堵する。
そして、安堵しているのも束の間。直ぐにグレイフィアの審判を務める自己紹介とフィールドについての説明アナウンスが流れる。
【皆様。この度、グレモリー家、フェニックス家の審判役を仰せつかったグレモリー家の使用人のグレイフィアでございます。今回のフィールドはリアス様とライザー様のご意見を参考にし、リアス様が通う人間界の学舎。駒王学園のレプリカを用意しました】
「レプリカ……なるほど。ここは駒王学園を模したバトルフィールドってところか」
「学園まるまる作っちゃうなんて、悪魔の技術力舐めてたぜ…」
「そのうちもう一つの地球を作ったりしてな」
「ないとは言い切れないのが怖いなぁ」
悪魔の技術力の高さに戦慄を覚える僕だった。
【両陣営、転移された先が本陣でございます。リアス様の本陣が旧校舎、オカルト研究部部室。ライザー様の本陣は新校舎、学長室。よってポーンのプロモーションは互いの校舎に侵入を果たすことで可能になります】
「じゃあ、新校舎に入っちまえば、俺は最強のクイーン並の力がプロモーションできるってわけだ!」
「あらあら、そんな簡単ではありませんわよ」
「え?」
一誠が意気込んでいるところ、姫島先輩がストップをかけた。
「そりゃそうだろう。一誠がプロモーションを狙っているのと同じ様に相手もプロモーション狙ってくるだろうから」
「もし8人全員プロモーションされたら圧倒的にこっちが不利だね」
「そっか……」
僕とアドの説明に一誠は納得した。
「みんな、これを着けてちょうだい」
「部長、これは?」
「小型の通信機よ。これがあれば色々と便利だから」
僕らはグレモリー先輩から通信機を受け取った。
「………待っていたぞイッセーックス。このリアス・グレモリーを救えるのは君だけだ」
「遊ぶなアド」
「誰だよイッセーックスって………」
いきなり意味不明なことを口走ったアドに僕と一誠はツッコンだ。
「じゃあ作戦通りに。一誠、小猫の2人で体育館を攻めて。祐斗は途中で別れてちょうだい。朱乃は頃合いを見てお願いね」
「了解」
「はい、部長」
祐斗と朱乃は笑顔で返事をする。
アーシアは唯一の回復係なのでリアスと共に本陣で待機である。
「そしてあなた達は………遊撃をお願いできるかしら?」
「OK!遊撃だね!………遊撃ってなんだっけ?」
「自分の判断で味方を助けることだよ」
遊撃の意味を忘れていたアドに簡単に説明した。
「オッケー把握。んじゃ私はイッちゃんとこだね」
「んじゃあたしもそっち行くわ」
「私もです」
「ふむ、では私は木場君の援護に回ろうか」
「………では私は本陣で待機しています。
「それじゃあ僕らは………」
「体育館に行くわよケツパ」
「…分かったよ」
そして全員の確認を取ったリアスが一歩前に出る。
「さて、私の可愛い下僕達。準備はいいかしら?もう引き返せないわ。敵は不死身のフェニックス家の中でも有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ!消し飛ばしてあげましょう!」
「「「「はい!」」」」
「………いつからあいつの手下になったの?」
「ひさぎ、多分聞くのは野暮じゃないかな」
体育館
目的地に到着した一誠、小猫、アド、姫方、やちるちゃん、僕、ひさぎは体育館の裏口から侵入する。
コソコソ進んでいくと、塔城ちゃんが足を止める。
「………気配。敵」
その時体育館に大きな声が響いた。
「そこにいるのは分かっているわよ、グレモリーの下僕さん達!あなた達がここへ入り込むのを監視していたんだから」
どうやら侵入がバレていたようだ。
仕方ないので表に出ると、4人のライザー・ファニックスの眷属達がいた。
「グレモリーの戦車さんと、ミラに瞬殺された兵士さんに………ライザー様に汚い言葉を発した女もいるわね」
体育館にいたのはチャイナドレスを着た『戦車(ルーク)』の雪蘭(シュエラン)、双子の『兵士(ポーン)』のイルとネル。一誠を一撃でノックアウトさせた棍使いの『兵士(ポーン)』ミラだ。
小猫が敵の戦車を見て呟く。
「………あの戦車(ルーク)、かなりレベルが高いです」
「確かに。戦闘力なら女王(クイーン)クラスはありそうだな」
「………皆さんは兵士(ポーン)をお願いします。私は戦車(ルーク)を」
「わかった」
「ああ!ブーステッド・ギア、スタンバイ!」
『Boost(ブースト)!!』
一誠の倍加が始まる。
「みんな、悪いけどしばらく敵を引き付けてくれないか?新必殺技を準備しておくから」
「分かったよ。倍加中は好きだらけだからね。ひさぎ」
「はいはい」
『Bloody conect‼︎』
僕の神器でひさぎ達をパワーアップさせ、ライザーの兵士3人と対峙する。
「ライザー様を侮辱した女!今ここで成敗してやる!」
「ご自由に。じゃあそちらの双子よろしく〜」
「あたしらはジェイソンもどきとかよ」
姫方の視線の先には、双子の兵士のイルとネルがチェーンソーを起動させていた。
「逃げても無駄ですよー?」
「大人しく解体されてくださーい♪」
「ハッ!怖がらせたいならホッケーマスクでもつけて出直してきな」
「ツインジェイソン………映画化近し…です」
姫方はくいくいと挑発し、やちるちゃんは何か悪巧み的なことを考えていた。
「お姉さんムカつくー!」
「もう謝っても許さないから!」
イル、ネルが激昂して姫方に攻撃して来た。
「下がってなやちる」
姫方はやちるちゃんを下がらせた後大鎌型神器で防ぐ。
ギャリギャリギャリギャリ!!
大鎌とチェーンソーがぶつかり合い、火花が大量に散る。
「おらどうした?腰入ってねーぞ」
「舐めないでお姉さん!」
「絶対解体してやるんだから!」
双子は負けじとチェーンソーを振るも、姫方のガードを崩せるほど力はないようだ。
やちるちゃんは隅っこで観戦モードである。
「………あんな感じじゃ楽に勝てそうね」
「女ぁ!何をよそ見してるの!」
ひさぎも観戦モードに入るが、無視された兵士のミラは激昂して棍で攻撃しようとする。
スパっ!
「………何か言った?」
しかしひさぎの刀がミラの棍を真っ二つに切った。
武器を失ったミラは激昂から怯えの様子を見せる。
「よっしゃ来たぜ!いくぜ神器(セイクリッド・ギア)!」
『Explosion(エクスプロージョン)!!』
3段階パワーアップした一誠が駆け出す。
まずはチェーンソーの双子、イルとネルに一発ずつ拳を入れて吹っ飛ばし、一誠の行動に気づくも遅れたミラを突き飛ばす。
「よし!必殺技の発動条件が揃った!」
「………なんか嫌な予感がするけどどんなの?」
「くらえ!俺の新必殺技!『洋服破壊「ドレス・ブレイク)』ッ!」
パチン!一誠が指を鳴らすと同時にイルとネル、ミラの服が弾け飛び、発育途中の裸体が展開された。
「「「イヤァァァァァアアアアアアアアアッ!」」」
悲鳴を上げてその場にうずくまる3人。
「アハハハハハ!どうだ見たか!俺は脳内で女の子の服を消し飛ばすイメージだけを延々と、延々と妄想し続け、魔力の才能を、全て女の子を裸にするためだけに使った!これが俺の必殺技!『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』だ!」
「………姫島先輩に野菜とフルーツの皮を魔力で剥いでたのはこのためだったのか」
一誠の煩悩を舐めていた僕は絶句した。
「いやっ!来ないで!」
「最低!ケダモノ!」
「変態!女の敵!」
「最低ね…」
「見損ないました」
「近づいたら殺す」
「変態です…」
「やちるに近づくんじゃねぇ」
「エッチなのはいけないと思います!」
殆どの女性陣からボロクソに言われる一誠。
うん、同じ男として恥ずかしい。
ふとここで耳にしている通信機から音が入る。
『イッセー、太陽、小猫。聞こえる?』
「はい!俺も太陽達も小猫ちゃんも無事です!」
戦いの内容だけは言わぬが花だけど?
『それは結構。でも、朱乃の準備が整ったわ!例の作戦通りにお願いね!』
例の作戦と聞き、アド達に目を向けると察したみんなは頷く。
そして揃って体育館から逃げるように去る。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!逃げる気!?ここは重要拠点なのに!」
「………重要拠点だからこそだよ」
僕はそう言い残して体育館から離れる。
そして………
『朱乃、お願い』
『はい、部長』
姫島先輩の声が聞こえた直後、巨大な雷の柱が体育館へ降り注いだ。
『ライザー・フェニックス様の兵士3名戦車1名リタイア』
グレイフィアさんのアナウンスがフィールド全体にきこえた。
「うへぇ、こわ」
「………一誠から聞いた話だと姫島先輩は敵に対してはかなり容赦ないらしい」
「見事なドS体質だと感心するがどこもおかしくはない」
「何にせよやったなみんな!」
一誠はハイタッチをしようとするが、
「…近寄らないでください」
先程のドレスブレイクが尾を引いているらしく塔城ちゃんに警戒されていた。
「だ、大丈夫だって。味方にまで使わないからさ」
「それでも最低な技です」
「それにイッちゃん状況によっては使うかもしれないからね」
「………くそう、今回ばかりは自分の煩悩が恨めしい」
「否定しねーのかよ」
一誠の煩悩はとどまるところを知らないのだろうか?
「………邪魔な物を消し飛ばせばいいのにです」
「それは相手か?それともやちるの服か?」
「ありゃ?裸族のやっちーが若干期待してる?」
「なにっ!?やちるちゃん裸族だって!?」
「………こいつは」
「ひさぎ、多分死んでも治らないと思う」
まだ4分の一しか減らせてないが、僕らは確実にライザー達を追い詰められる。
僕は心を落ち着かせようと深呼吸し、紫がかった空を見上げる。
奇跡とは予期せぬ偶然から生まれるという話がある。
何もなさそうな地面から埋蔵金が隠されているのがそうだ。
僕の今の状況もある意味予期せぬ偶然だった。
見上げた空の上に『魔女っぽい人影が空を飛んでいる』のだから。
その人影は杖を塔城ちゃんの方向へ向けていた。
「!!にげろぉーーーーーーー!!!」
僕は大声で叫んだ。
「「!!!」」
「?」
僕の叫びに姫方とやちるちゃんは無意識的に横へ飛ぶ。
逆に塔城ちゃんは出遅れてしまった。
そして…
ドガーーーーーーンっ!!
塔城ちゃんを中心に爆発が起こった。
「こ、小猫ちゃーーーーーーーん!!」
一誠が悲鳴に近い叫び声を上げる。
そして塔城ちゃんを攻撃した空飛ぶ人影『ライザー・フェニックスの女王』が言う。
「撃破(テイク)」