ハイスクール感染×少女   作:只の暇人

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第15話:予期できぬ因縁

婚約披露宴会場

 

「俺はオカルト研究部の兵藤一誠!リアス・グレモリーの処女は……俺のモンだァァァァアアアア!!!」

 

その一言に、会場は騒然となった。

 

「な、何を言っているの、あの男!?」

 

“処女”なんて日常ではあまり口にするのも憚られる言葉を放ったイッセーに顔を赤くするレイヴェルを始め、多くの貴族たちがざわめく。

 

「イッセー……」

 

だが、彼女、リアスは別だった。

生まれて初めて受ける、身分も何も関係ないイッセーからの愛の告白。彼女にはそう聞こえていた。

幼い頃からグレモリー家の後継、魔王の妹という肩書きだけで求婚されてきた彼女にとって、初めてイッセーは個人「リアス・グレモリー」としてみてくれている。

リアスの下僕であるイッセーが助けに来た。それだけでリアスの心は熱く燃え上がった。

そのリアスの心を傍で見て感じたのか、ライザーは焦って衛兵たちに命じる。

 

「くっ……取り押さえろ!!」

『はッ!!』

 

一斉にイッセーへ飛びかかる衛兵たち。

 

「ここは僕らが何とかするよ!」

「……行ってください」

 

木場と小猫が盾になるかのようにイッセーと太陽達を阻もうとする衛兵たちに立ちはだかる。

 

「人の恋次を邪魔するものはなんとやら、ですわね」

 

さらに朱乃が援護の雷を放つ。ルーキー悪魔の中でも名が知れた朱乃の一撃は上級悪魔の攻撃にも匹敵する。その事実を知っている衛兵たちは彼らに手を出せなくなってしまった。

 

「貴様ら……何が目的だ!?」

「……お前からリアス部長を奪い返しに来た」

 

イッセーの言葉でその場にいる貴族たちがざわめく。一介の下僕悪魔が主の婚姻の邪魔をし、あまつさえその主をもらい受けようというのだ。彼らの常識からすれば正しく異常である。

だが、それだけでは済まなかった。

 

「上級悪魔の婚姻に下僕風情が口を挟むなどと……。」

「いや、下僕思いで有名なグレモリーのことだ。主を思ってこその行動なのではないか?」

「よもやゲームに不正でもあったのか……?」

 

あらぬ噂が立ち始めたことのよりライザーは苦虫を噛み潰したような表情になる。当然、ライザーがリアスに勝ったのは実力故のことでありそれそのものには不正はない。

だが、リアスを挑発することで自分に圧倒的有利な方法で婚姻を認めさせ、どうあがいても婚姻を成立させられる状況へ誘導したのは事実。不利であるのにも関わらず勝負を受けたリアスにも落ち度はあるが、これは明らかに悪意ある誘導である。

そういった打算が暴露されれば、その足元を掬おうとする政敵に攻撃をする隙を与えることにもなりかねない。焦るライザーは怒鳴り散らす。

 

「き、貴様ら!ここがなんの場所なのかわかっているのか!?」

「婚約披露宴会場でしょ?」

 

何言ってんのお前?と言いたげなアドの表情に、ついに堪忍袋の緒が切れる。

 

「ふざけるんじゃあない!!表へ出ろ!徹底的に叩きのめして―――」

「彼らは私が招待したのだ。手荒なことはよしておくれ、ライザー君」

 

上位悪魔かつ72柱の一柱であるライザーを君付けで呼ぶ者。

真紅の髪を流し、グレイフィアを伴ったその男は……

 

「お兄様!?」

「サーゼクス様!?」

 

リアスとライザーの言葉でイッセー達は会得する。この男こそ、リアスの兄であり現魔王の一角を担う『サーゼクス・ルシファー』その人だと。

 

「どうも彼らは先の決着に異存があるようでね。結婚式に「異議あり!」と乗り込まれるよりもいいだろうから来てもらったんだよ。」

「さ、サーゼクス様!そ、そのようなご勝手は……!」

 

関係者であろう、慌てふためく中年の男性悪魔をサーゼクスはスッ、と出した右手で抑える。

 

「先日のレーティングゲームは非公式戦ながら実に面白かった。数や経験で圧倒的に不利な妹が格上の相手に互角以上に立ち回ったのは実に素晴らしかった。しかし先程も言ったようにゲーム経験のない妹が、フェニックス家の才児であるライザー君と戦うのは少々分が悪かったかな、と」

「……私には、サーゼクス様が『この間の戦いの結果は解せない』とおっしゃっているように聞こえますが?」

「いやいやライザー君、その様な事はないよ。魔王とはいえまだまだ若輩者の私があれこれ言っては旧家の顔が立たない」

「ならばサーゼクスよ、お前はどうしたいのだ?」

 

魔王やリアスと同じ紅髪の男性が問う。髪の色と魔王に対するその態度から、恐らく父親だろうか。

 

「父上、私は可愛い可愛い妹の婚約パーティーはド派手にやりたいと思うのですよ。しかし、この婚姻に主の下僕が異を唱え奪いにやって来る。前代未聞の花嫁をめぐるドラゴンとフェニックスの戦い。これほど面白いドラマはないでしょう」

 

確かに余興としてみれば十分に面白い展開だろう。一人の女をめぐって伝説に刻まれる神獣達が争い合うという場面はなかなか見れないものだ。

 

「ですがサーゼクス様、既に決まったこの婚姻をたかが一人の下僕の我侭で反故にされるような事があれば、これはグレモリー家、ひいてはサーゼクス様への信用問題につながりますぞ!」

 

また別の悪魔がサーゼクスに噛み付く。

この婚姻にはグレモリー・フェニックス両家だけでなくそれに連なる多くの貴族の利権にも関わる大きな事案だ。実を言えば話が纏まった時点でリアスがライザーのもとへ嫁ぐのは決定事項のようなものだったのだ。そこへ絡む富の動きも計算されたもので、ここで保護にされれば多くの損失を産んでしまう。それが彼らには恐ろしいことなのである。

だがそこへアドが反論する。

 

「欲しいモノがあれば力を示して得るのが悪魔だって聞いたんだけど。それに力による現状変更を否定するなら、クーデター政権であるあんたらの存在意義も自己否定することになるよ?」

 

アドの言葉に痛いところを突かれたその悪魔男性は論破される形で押し黙ってしまう。

 

「ははは、なかなか痛いところを付いてくるね。さあ、他に彼らの要求を飲めないという方はいらっしゃらないのかな?まあ、何を言われても先ほどの彼女の反論で封殺されそうだが」

 

その魔王の一言に会場にいる全悪魔が文句を言えなくなった。確かに悪魔の本質と自分たちが現在の地位にいる理由を突かれれば、力を持つ貴族といえども押し黙るほかない。

 

「二人共、お許しは出たよ。ライザー、私とリアスの前で今一度その力を見せてはくれないかな?」

「なんかあたしが出る形だけどあたしよりヒサギンが強いよ」

「ちょっとあんたね。まぁいいけど。一度ぶっ飛ばしてみたかったし」

「解った。ライザー君、異存はあるだろうが……やってくれるかな?」

「……サーゼクス様に頼まれたのであれば断れるわけがございません。このライザー・フェニックス、身を固める前の最後の炎をご覧に入れましょう!!」

 

こうして婚約発表会は一人の女を巡る戦いの場へと変貌したのである。

 

「その戦いちょっと待った〜!」

 

が、それを呼びとめる声が響いた。

 

「なんだ今のは?」

 

イッセーを含めほとんどの人が謎の声に驚く。

驚いていないのはサーゼクスとグレイフィア。

どこか聞き覚えのある太陽とひさぎ。

そしてイラついた表情のライザー。

 

「おい!これから始まる戦いに水をさすな!」

 

ライザーは声の主を知っているようでその人物に怒鳴る。

 

「悪いけどそれは聞けない〜。だって私が会いたかった奴がいるから〜」

「…前に倒したい相手がいると言ったな?そいつがここにいるのか?」

「そうだよ〜」

「………御託はいいからさっさと出てきたらどうなの?」

 

短気なひさぎは声の主を挑発する。

「今から行くよ〜」っと声が聞こえた後、上から一人の少女が降りてきた。

 

その少女は白髪で琥珀色の目をしており、一本の青い棒を持つ白っぽいチャイナドレスを着た少女。

 

「なんだ?ライザーの眷属候補か?」

 

イッセーはその少女を訝しそうにみる。

 

だけど太陽、そしてアドは知っていた。

 

「き、君は確か!」

「ま、マジっすか」

「この時をずっと待っていた」

 

少女の間延びした喋り方は消え、威圧的になった。

 

「私の最強道を踏みにじった女。来栖崎ひさぎ、お前を倒すために私はここにいる!」

 

太陽は少女を知っている。

 

『前世』でひさぎに喧嘩を売り、そして負けてしまった少女の正体を。

 

「生存組合『メルター』が盟主・蚊焼いちごの1番最強隊長。水面鳴音姫。いざ尋常に勝負だ!」

 

少女・音姫はひさぎにリベンジするべくここに現れた。

それに対しひさぎは、

 

「………誰?」

 

と全く覚えていなかった。




感染少女でそれなりに好きな音姫ちゃんです。

ひさぎとのリベンジの話を作るのにこれが1番かと
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