ハイスクール感染×少女   作:只の暇人

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第5話:作られしもの

駒王町・寂れた教会前

 

「ここだな」

 

太陽とひさぎはとある長らく放置されていた教会の前にい

る。

「金髪の少女と黒髪の女性が入っていったって噂の教会。間違いなくアーシアさんとカラス女がいる」

「そうね。さっさと入りましょ」

 

ひとまず先に潜入しようとすると、太陽に呼び掛ける声がしたので、その方向を向く。

 

「一誠………と、たしかグレモリー先輩と一緒にいた………」

「うん、僕は木場祐斗、この娘は塔城小猫ちゃん。よろしくね輝木太陽君」

「うんよろしく」

 

挨拶を交わす太陽。

ふと太陽は数が足りないことに気づく。

 

「あれ?グレモリー先輩と姫島先輩がいないね」

「2人は別行動を取ってるよ。それより気付いているかい?教会から妙な異質の魔力が出ている事に」

 

木場の言葉通り、教会から変な力が零れている。

悪魔歴が浅い一誠でも人間である太陽やひさぎも気付く程の魔力が………

 

「これから教会に攻め込む訳だけど、大丈夫一誠?そこの2人は戦闘慣れしているみたいだけど………」

「た、確かに俺は戦闘慣れしてないし。木場や小猫ちゃんより劣るかもしれないけど」

「兵藤くん。部長が仰ってた事を忘れたの?君には『プロモーション』がある。『兵士』特有の力がね」

「『プロモーション』?」

「普通のチェスと同じく『兵士』が相手陣地の最深部へ入った時、『王』以外の全ての駒に昇格する能力だよ」

 

太陽の説明に一誠はなるほどと納得した。

 

「つまりグレモリー先輩はここを本拠地と認めたわけだね」

「ああ。朱乃さんの『女王』は負担が掛かり過ぎるからまだ無理らしいけど、それ以外なら変化出来るんだ」

「それなら少しはマシかもしれないね。ちょっと羨ましいけど」

「なら太陽くんも、部長の眷属になる?」

 

木場の言葉に太陽と一誠は驚く。

 

「出来るの?」

「もちろん。部長は君に興味津々なんだ。変わった神器を宿している君を気に入ったらしくて」

「………うーん、どうしようかな」

「遊んでないでさっさと行くわよ」

 

と、ひさぎはズカズカと教会へ入っていった。

 

「………来栖崎ってあんな性格だったっけ?」

「………まぁ…うん………あれが素なんだよ」

 

 

 

太陽逹一行は教会の扉を開け、一番怪しいと祐斗から教えられた聖堂まで走る。

長椅子と祭壇、頭部が破壊された聖人の彫刻が不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

「やあやあやあ〜!ご対面!再会だねぇ!感動的だねぇ!」

 

柱の陰から出てきたのは、ひさぎがボコボコにしたはずの神父フリードだ。

 

「あ、ひさぎがボコボコにした神父もどき」

「まだ生きてたの?」

「おぉやおや〜!テメェは俺をボッコボコに痛め付けてくれたクソ女さんじゃあ〜りませんか!しかもそこの雑魚悪魔と雑魚人間とご一緒ですか〜!俺としては二度会う悪魔はいないって事になってんだけど!ほら俺、メチャクチャ強いんで悪魔なんて初見で首チョンパ、だったからね〜!でも、お前らが邪魔したから俺のスタンスがハチャメチャ街道まっしぐら!ダァメダァメ〜。人の人生設計をブッ壊しちゃ〜。だからさ、ムカつくんだよ。俺に恥をかかせたクソ悪魔のクズどもとクソ人間がよぉぉおおおおおおおおっ!」

「笑ったり落ち込んだりキレたり、ほっんと煩い奴…」

「おい!アーシアはどこだ!」

 

一誠の言葉にフリードは祭壇を指さす。

 

「んー、そこの祭壇の下に地下への階段が隠されてございます〜。そこから儀式が行われている祭儀場へ行けますぞ〜。お前らブッ殺せば良いから、先に言っといてやります〜。それに」

 

フリードが指を鳴らすと、また柱の陰から何かが飛び出し、太陽たちの前に現れる。

 

「っ!?何なんだこいつら!?」

 

一誠は驚愕する。

眼前に現れたのは、今まで見た事もない五体の怪人。

暗視ゴーグルのような装備を身につけたような黒い存在で、内一体は巨大な爪を生やしていた。

 

「どうどうどう!すげぇっしょ!?ウォッチャーの旦那が寄越してくれた化け物だぜ〜!こいつらはそこらの悪魔よりも強いし、何よりさっき人間を惨殺しちゃう姿にシビレビレ〜!こんな素敵なプレゼントを贈ってくれてサンキューっ!」

 

怪人は何も語らない。

それゆえか5人は一斉に不快感を覚えさせられた。

 

「太陽。あいつら―――――何なのか分かるか?」

「流石に見た事ない………けどあれは………」

 

太陽は怪人を見た瞬間前世で戦った針金人間が目に浮かんだ。

 

「関係ない。そこの神父もどきはくれてやるから私が全部やる」

 

ひさぎが木刀を構えて前に出る。

 

「っ!無茶だ!あんな怪人を五体同時に」

「聞こえなかった?私がやるっていってるの」

「わ、分かった!セイクリッド・ギア!」

 

一誠が左手に赤い籠手を装着し、祐斗も鞘から剣を抜き、敵に剣先を向ける。

小猫は自分の何倍もの大きさがある長椅子を持ち上げていた。

 

「あんな小さな体で………流石『戦車』だ」

「……潰れて」

 

怪力少女は長椅子を敵へぶん投げる。

五体の怪人は散らばって回避し、フリードは懐から出した光の剣で一刀両断。

怪人たちのうち4体はそれぞれナイフ、ソード、メイス、手斧でひさぎに攻撃しようとする。

 

「遅くて欠伸が出るわ」

 

ひさぎは退屈そうにひらりとかわした後ナイフの怪人をなぐりとばす。

殴り飛ばされたナイフの怪人は壁に激突。

次にソードとメイスの怪人が左右から攻撃してくるが、少女たり得ぬ力で弾きながら2体を切り裂く。

 

すると背後から、手斧の怪人が奇襲を仕掛けて来た。

しかし単調な攻撃だったので回避は簡単だった。

 

「もううざい………死ね」

 

ひさぎは木刀で手斧の怪人の頭を叩き潰した。

 

次に手斧をぶん投げメイスの怪人の頭をぶっ刺し、一瞬にソードの怪人に近づいてその剣を奪い、たまたま近くにいたナイフの怪人ごと一閃して殺した。

 

「さすがひさぎだ」

「余裕だし。そっちはどう?」

 

ひさぎが一誠たちの方を向くと、フリードが左手の銃を乱射しており、祐斗はそれを避けながら攻撃を仕掛けていた。

フリードも祐斗の動きを捉えて斬撃を受け止める。

 

「やるねキミ。かなり強いよ」

「あんたもサイコーだぜ!本気でブッ殺したくなっちまうよ!」

 

鍔迫り合いを中止して距離を取る2人

 

ひさぎは「かませじゃなかったの?」と少しだけ感心する。

 

「じゃあ、僕も少しだけ本気を出そうかな」

 

祐斗の剣に黒い闇がまとわりつき、舌を出しながら斬りかかってくるフリードに対し、祐斗は闇の剣で迎え撃つ。

すると、光の剣が徐々に形を失っていく。

 

「な、何だよこりゃ!」

「『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』、光を喰らう闇の剣さ」

「て、テメェも神器持ちか!?」

 

祐斗も神器セイクリッド・ギアの所有者だった事に太陽と一誠は驚く。

 

光の剣は完全に形を失い、一誠はここしかないと言わんばかりに駆け出した。

 

「セイクリッド・ギア!動けぇぇぇ!」

『Boostブースト!!』

「そんで、プロモーションッ!『戦車』っ!」

 

一誠は『戦車』へと昇格。

フリードが放つ光の弾丸を物ともせず突っ込んでいく。

 

「『戦車』の特性!それはあり得ない防御力と、バカげた攻撃力だぁああああああああっ!」

「グボハアァァァァァァァ!!?」

 

一誠の左拳がクソ神父を後方の祭壇まで吹っ飛ばした。

 

「あの時はよくもアーシアに酷い事してくれたな。一発殴れて少しスッキリしたぜ」

「アハハハハハハ!!すっごい悲鳴だわ!うける〜!」

「ふっざけんな―――――ふざけんなよこのクソがぁぁあああああああああっ!」

 

フリードは二本目の光の剣を取り出すが、ひさぎは「はい残念」といいながらドロップキックをぶちかます。

 

「イタァイッ!」

 

ドロップキックをくらったフリードはまた後方へ吹っ飛ばされ、ひさぎ、一誠、祐斗、小猫が周囲を囲う。

 

「ヒュウッ。俺的に悪魔に殺されるのだけはカンベンしてチョンマゲ!旦那から貰ったミュータントもバラバラ祭りになっちまったし!つーわけで、はいバイチャ!」

 

フリードが閃光弾を使って姿を消した。

 

「逃げ足だけは一人前ね。ま、あとは」

 

ひさぎはずっと居座っていた大爪の怪人を見る。

怪人は仲間がやられたと認識すると戦闘態勢に入った。

 

「グルゥゥ………ガアア!!」

 

怪人は飛び上がってひさぎたちを引き裂こうとその爪を振るう。

 

ヒュンヒュンズバズバッ!

 

「グギイッ!?」

 

…前にどこからともなく緑色のナイフが計6本飛んできて怪人を切り裂き、最終的に揃って怪人の頭を串刺しにした。

 

怪人は力なく崩れ、緑のナイフはどこかへ消えていった。

 

「な、なんなんだいまの?」

「分からない。けど今はアーシアさんを助けないと」

「そ、そうだな。行こう」

 

一誠達はちょっと釈然としないものの祭壇の地下へ進んで行く。

その時太陽とひさぎが後方を見ていたが、しばらくして一誠について行く。

 

「あたしらに内緒で祭りを楽しもうだなんて、ちょっとずるいよサンちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隠し階段を下りていき、進んでいくと、先に大きな扉が見えてくる。

が、ふと扉から異臭が漂っている。

 

「この道の奥……。腐った肉と血の匂いがする……それもたくさんの」

 

小猫が鼻を押さえ、顔を歪めながら答える。

 

「血の臭い?何でそんな臭いが」

「それに腐った肉って言ったよね。………まさかと思うが…」

「今更考えてもしょうがない。早くアーシアを」

 

一誠の言葉に4人人は頷く。

扉を開けると、血の臭いが鼻を貫く程強くなり、彼等の目に信じられない光景が飛び込んできた

 

「な、何だこれ……?何がどうなってんだ……?」

 

さっきの怪人の時と同じように驚く一誠。

それもその筈、辺り一面に堕天使の部下であろう神父逹がほかの神父達を食べていたからだ。

が、食べている方の神父達は皆体が腐り、肉が削ぎ落とされているのが目に見える。

更には3人の堕天使が死体で倒れており、ローブの男が十字架の傍に立っていた。

 

太陽とひさぎは前世の出来事をフラッシュバックさせていた。

 

十字架に貼り付けられている少女に向かって一誠は叫ぶ。

 

「アーシアァァ!」

「……イッセーさん?イッセーさん……」

 

貼り付けられた少女が涙を流す。

ローブの男、ウォッチャーは拍手をする

 

「感動の対面と言うものか。いやはや、私にはよく分からん光景だ」

「ウォッチャー、なんで堕天使達は死んでいるんだ?それにこいつらは………」

 

太陽は物言わぬ屍となった堕天使達と動く死体となった神父達を指差す。

 

「私は観察者。しかし私は特別好奇心が強くてね。密かに持ち出したこのウイルスでどうなるか試して見たくなったのだよ」

「………そんなことのためにこいつらを殺したのか!?」

「人というものは見たことないものに強い好奇心を示すという。ならばそれを試して見たいと思わないかね?彼女らは神器を摘出する儀式をする予定だったが、それではこのシスターが死んでしまうのだ。だから止めた」

「神器を引き抜く。だって?」

「そうだ。彼女の素体なら我々ミュータントにするのも悪くない」

 

聞き慣れない単語に全員が理解出来なかった。

 

「ミュータント?あのクソ神父が言ってた気がするが…それがあんた達の正体か?」

「そうだ。上にいた怪人らしきもの達も見ただろう?彼らもミュータントだ」

「………それで…お前たちミュータントは何が目的だ?」

 

太陽が探りを入れる。

 

「我らの目的はあの方の望む世界を手助けすること。だから私の使命はそれを実現するために様々な世界で実験を行なっている。今回の実験は、『神器所有者をミュータントに変えられるか』だ」

 

それを聞いた太陽はウォッチャーの意図を理解した。

 

「まさか、アーシアを―――――さっきの怪人みたいな化け物に変えるってのか!?」

 

一斉に全員の目が見開かれる。

ウォッチャーはそれを肯定した。

 

「その通り。彼女の神器『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』は人な天使のみならず、光を苦手とする悪魔族も治せる力を持っている。本体をそのままに神器を活用できるミュータントにすればあの方の望みをさらにかなえられるだろう」

 

ウォッチャーはアーシアの顔を掴んで覗き込む。

アーシアの顔には恐怖が浮き出ていた。

これから自分が化け物に変えられる事を知ってしまったら無理もなかった。

 

「ふざけるなああああああ!!」

 

どこからか隠れていたレイナーレが顔を歪ませて光の槍でウォッチャーを殺そうとする。

しかしウォッチャーはあっさりと避けた。

 

「そのために、そのために私を利用していたっていうの!?せっかく私が至高の堕天使になってアザゼル様やシェムハザ様に愛をいただけるチャンスをあなたは!!」

「功績を手に愛をもらう………か。悪いが私………いや、私たちは愛などと価値のないものは興味がない」

 

ウォッチャーは愛を侮辱するように言い放つ。

 

「価値がないだって?」

「ないとも。あの方も我らも愛するなどとくだらんものは興味がない。あるのは好奇心、探求。あの方はそれを求め、我らも従う。余計なものなどいらんのだ」

 

ドズッ!

 

「ガッハッ!?」

 

レイナーレの腹部にイバラの槍が突き刺さった。

 

「堕天使の女よ。愛されるなどと薄汚い幻想を抱きながら死ぬがいい」

 

ズバッ!

 

突如イバラの槍が切られた。

 

「………?珍しいですね。敵同士である堕天使を助けるなどと」

「助ける?違うわね」

 

切った相手・ひさぎは木刀をウォッチャーに向けて答える。

 

「こいつを殺すのは私なの。だから私の獲物を取るんじゃねぇよ!」

「ふむ、面白い娘だ。少し興味が湧いてきたよ」

 

ウォッチャーが腕を天に向けて翳すと生きる屍となった神父達の周りの光の膜が一瞬光る。

 

「アアァァァァァゥ………」

「オ、オオォォォ………」

 

屍神父……ゾンビ達はうめき声をあげながら一誠達に近づく。

 

「な、なんでゾンビ達が………?」

「彼らからすれば君らが見えなかったんだよ。しかし、餌が目の前にあったら堪らずかぶりつきたい衝動は抑えられん」

「………ようは見えなくする結界ってわけか」

「その通り。さぁ君らは彼らにどんな抵抗をするのか。私に見せてくれないか?」

 

ウォッチャーは両手を広げてそう言った。

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