炎のヒーロー達   作:一服

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それはどこかで失敗した未来。

それはもうたどり着くことはできない未来。

それは永遠にやってこない未来。

失敗して、折れて、それでも誰かを救いたかった男の話。


最終話、始まります。


IF ゴール・D・エース

俺は恵まれている。

転生、エースの能力に見た目、恵まれた相棒と仲間、気になる女性も現れた。この人生はきっと素晴らしいものになるって信じていた。

 

 

最初はナツメ。

正確にはナツメの能力を利用しようとしたヴィラン。

やつらの裏にはでかい組織が絡んでた。

 

次はヴィランの基地の子ども。

戦いになったので捕まえた。

調べた結果、無理やり働かされていたそうだ。

 

 

次は、次は、次は、次は、次は、次は、次は、次なんて探せばゴミのようにいくらでも出てきた。

 

ヴィランにさらわれ救助されずそのままヴィランの戦闘員にされているのは星の数。

ヒーロー協会が子どもを無理やりヒーローになるように仕向けた時もあった。

探せば探すほどこの世界の歪みがハッキリと見てとれた。

 

 

だから俺はヒーローを辞めた。

この世界は歪んでやがる。

俺が救われないやつを救済する。

 

だから、

だから、

だから、救われない弱者よ、俺が必ず救ってやる。もう少しだけ待っててくれ。

 

「よう、はじめましてだがその傷だらけの顔は見たことあるぜ?あんたオールフォーワンだろ?」

 

言われて、スーツを着た傷だらけの顔の男は振り向いた。

「そういう君は、ゴール・D・エースくんだね?はじめまして。顔が広く知られているようで私も嬉しいよ。」

顔はほとんどのっぺらぼうだがね!HAHAHA!!

と嗤う彼の体を紫炎が貫く。

 

「下らねぇジョークは結構だ。単刀直入に言う。今すぐに死ね。」

紫炎を纏ったエースが物を見るような冷たい目で告げた。

 

「私はまだ死ぬわけにはいかなくてね。悪いけど君が代わりに死んでくれるかな?」

体を貫かれたはずのオールフォーワンが何事もなかったかのようにそれに答える。

そして、

「『水創造』『雨降らし』『水流操作』そして最後に、『能力拡大』×2」

どしゃ降りの雨が降り始め、オールフォーワンの足元から大量の水が創造され津波となりエースに押し寄せる。

 

「無駄だ。」

エースの体からほとばしった紫炎はオールフォーワンの創造した津波どころか雨雲さえも蒸発させた。

 

「どうやら聞いていた話は本当みたいだ。水がまったく効かないらしい。」

オールフォーワンは腕組みしてから、

「ならこれでいこうか。『土操作』『地面操作』『鉱物操作』『断熱効果』×2『操作能力向上』×3」

オールフォーワンが足踏みをすると地面が隆起し上空以外のすべての方向からエースを襲い地中に閉じ込める。

 

「だから無駄だっていってんだろ。」

地中から火柱がたち、その中から紫炎の翼を生やしたエースが飛び上がる。

そして右腕をあげると、三メートルを越える炎が立ち上ぼり、オールフォーワンの逃げ道を奪いつつ、エースがその炎に熔ける。

 

「どうやら聞いてたより相当に厄介なようだな。」

「『追い風』『向かい風』『突風』『竜巻』『台風』『風力超強化』×2」

その瞬間、オールフォーワンを中心にアスファルトや建物が吹き飛ぶ勢いの豪風が吹き荒れる。これで炎は消える。

 

「炎に風とかバカじゃねぇのか?」

そう、普通の炎なら消えるはずだった。

風を受けた炎は消えるどころかむしろ勢いをまし、オールフォーワンを焼き殺そうとする。

 

「ぬっ、ぐうおぉぉぉ!?!!?!?」

 

「お前がいないだけで世の中はもっとよくなるんだ。とっとと焼け死ね。」

 

紫炎はオールフォーワンを焼き尽くすまで消えることはなかった。

 

「がふっ、がは、げほっげふっ、」

 

オールフォーワンが灰になり消えたところでエースが突然むせ始める。

 

「はぁ、はぁ、はぁー、ふう」

エースがやっと落ち着いたころに、

 

「やはり君の能力は君にあってないんじゃないかね?」

 

「あぁー、くそ、やっぱ影武者かよ。」

 

「当然だろう?君ほどの危険人物を相手するのに私が直接出るのはナンセンスだ。」

再び紫炎がオールフォーワンを襲うが、

「『炎熱無効』」

 

「君はさっきの戦いで体力を消耗しすぎた。昔の相棒くんがいればまた結果は違っていただろうが、これが君の現実だ。」

 

ついに、倒れこんだエースに手を翳しながら、オールフォーワンが問いかける。

「今から私は能力をもらい、君には死んでもらうが最後に言い残すことはあるかな?」

 

 

エースはニヤリと笑い、

「やっぱさぁ、ロケットの固形燃料って便利だよな。」

黒い塊を上に放りあげ火柱をたてる。

固形燃料を巻き込んだ炎の柱はどこまでも延びた。

火柱がやむ頃、そこには誰もおらず空を見上げたオールフォーワンは視線を落とし、

「・・・逃がしたか。まぁいい。」

そう言ってオールフォーワンはその場を去っていった。

 

 

 

「くそっ、やれなかった。」

エースは建物の影から崩れ落ちるように倒れた。

懐から携帯を取り出し、電話を掛ける。

「すぐに団の連中に緊急通告だ。オールフォーワンが現れた。見つけ次第俺に連絡を寄越せ。」

 

「後、俺のいるところに救助を呼んでくれ。倒れて動けねぇ。」

そう言ってから電話を切る。

 

 

ちくしょう、と呟き

「強くなりてぇなぁ。」

帽子で隠されたエースの顔から涙がこぼれた。

 

 




はい。
やっと書けました。

前書きにある通り、エースが世界の歪みを直視してしまった世界です。

きっかけはナツメをさらって悪用をしようとした連中。
次は、ヴィランに利用されていた子ども。
それからは調べれば調べるほど救われなかった弱者がいることを痛感。

そして、最終的にはヒーローを辞めて第3勢力『黄金の夜明け』結成となります。

本編だとその事実に気づいたときから孤児院の経営やボランティア活動に力をいれます。


今回の話ではオールフォーワンと戦ってますが、彼はヒーローとも戦います。

彼は、理不尽にさらされている弱者の味方なので。




彼は自分の能力を勘違いしていた。
炎になって操れるだけの能力ではなかったのだ。
感情の起伏により炎の威力は変わる。
助けたいと思えば思うほど炎の操作性は上がり、怒れば怒るほど威力は上がるのだ。
そして彼の魂をも焦がし、燃えるのだった。



とりあえずこれでネタ切れですね。

もう1話あとがきの最後に書いて終了です。
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