人理を修復した魔術師が異世界からくるそうですよ?   作:sloth.

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第三話 私は穏便に済ませようとしてたんだよ?

(先輩。通信繋がりません)

 

(え?本当に?でも、なんで皆とのパスが繋がってるの?)

 

と、2人で慌てていると、

 

「どうした?御二方」

 

「ごめん。ちょっと考え事してた。召喚された理由とか今の状況とかについて考えてた」

 

『来て、ダ・ヴィンチちゃん』

ダ・ヴィンチちゃんを召喚する。

あれ?召喚サークルも成立してないのになんで召喚できそうな感じなの?

 

「ふっふっふ。私が教えて差し上げよう」

ダ・ヴィンチちゃんの召喚に成功してしまった。

 

「先輩!?え、召喚出来たんですか!」

 

「まず、ここに召喚された原因は、君の部屋に降ってきた手紙のせいだ。そして、サーヴァントとのパスが繋がっているのは、人理を修復した者ということでこの世界では、強化されてるんだよ。つまり、君自身の魔力でパスが繋がっているんだ。ただ、魔力が大量になっても、あれだけのサーヴァントを同時にパス繋いでいるので大半使われている。同時に実体化出来るのは、3人が限界だよ。私も節約のために戻るね。バイバイ」

ダ・ヴィンチちゃんが霊体化する。

 

「な、な、な、何ですか今のはー!」

と、黒ウサギの叫びが森に響いた。

 

 

説明をして一段落ついた所で、一同は黒ウサギの案内のもと、箱庭に向かっていった。

 

「おい、お嬢様たち。俺はちょっくら世界の果てまで行ってくるから。止めてくれるなよ」

 

「ええ」

 

「わかった」

 

そう、十六夜が言い放った。

黒ウサギは上機嫌で前を歩いて気づいていない模様。私は、少しどうするか迷ったが、心配なので、十六夜くんの方について行った。

 

「十六夜くん。私も一緒に行きたい!」

十六夜くんは少し考え、

 

「いいぞ。だが、しっかり着いてこいよ」

 

「先輩。私も一緒に行きます」

そう言って十六夜はコミカルな音とは裏腹に地面を足で砕き、飛んで行った。

そう言うと、マシュが私をお姫様抱っこして、十六夜くんについて行く。

 

森を抜けた世界の果て近くの川の周辺にて、私とマシュと十六夜は立っていた。

 

「十六夜さん。本当に人間ですか!?英霊の私でもついて行くこともギリギリです!それが十六夜さんのギフトですか?」

 

「ヤハハハハ!いや、人間だぜ?まあ、厳密には違うがそれの一端てところだな」

 

「一端で英霊と同じスピードで走れるなんて、下手な英霊なら倒せるんじゃない?」

 

そんな雑談をしていると、

 

「見つけましたよぉ!」

 

 先程の青髪が、急に緋色の髪に変わった黒ウサギが、憤怒の形相と共に私達が通ってきた森から凄い勢いで飛んで来た。

 

「あれ?黒ウサギ髪色ちがくないか?」

 

「ふむ……蒼かったあの髪もとても似合っていたが、その朱色もとても君に似合っているよ、黒ウサギ」

 

「あ、ありがとうございます………じゃなくて!何処まで来てるんですか!」

 

「世界の果てまで来てるんですよっと。そういえば黒ウサギ、お前もなかなか速いな。なんだ?箱庭の住人はみんなそうなのか?」

 

「い、いえ!箱庭広しといえど黒ウサギに勝る脚力を持つ生物は中々いないのですよ!」

 

黒ウサギってすごい人なんだ!こんなに足が速いなんてやっぱりすごい。ランサーくらいの速さだったな。

 

「ま、まぁ、十六夜さんと立香さんが無事でよかったデス。水神のゲームに挑んでしまったかと思って肝を冷やしましたよ」

 

「水神?」

 

「ーーーああ、アレのことかな?」

 

『まだ……まだ試練は終わってないぞ、小僧共ォ!!』

 

 川の水面で横たわっていた、身の丈三十尺はある巨躯の大蛇が勢いよく飛び出してきた。それは彼女の言う水神だった。

 

「水神……!ってどうやったらこんなに怒らせられるんですかお二人とも!?」

 

「いや、ここに着いたら急に出て来て『試練』がどうとか言い出したから、俺を試せるかどうか試させてもらった……まぁ、結果は大したことなかったがな」

 

 『貴様ら……付け上がるな人間!我がこの程度で倒れるか!!』

 

 蛇神の甲高い咆哮とともに、巻き上がる風が、川の水を大量に吸い込むかのごとく、水柱を上げて立ち昇る。あの大量の水でできた荒れ狂う水流に巻き込まれたら最後、普通の人間ならば容易く千切れ飛んでいくだろう。

 

「十六夜さん!下がって下さい!」

 

「何を言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ。これは俺らが売って、アイツが買った喧嘩だ。部外者引っ込んでろよ。」

 

 そう十六夜くんは傲慢に似た面持ちで宣言した。

 

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様らの勝利を認めてやる』

 

「寝言は寝て言えよ駄蛇。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者が決まって終わるんだ。」

 

(俺、ら?)

 

私はもっと穏便に事を構えるつもりだったんだけど…。

 

『フンーーーその戯言が貴様の最期だ!』

 

 蛇神の雄叫びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。

 竜巻のごときその水柱は蛇神の背丈をも超えてなお高く舞い上がる。

 竜巻く水柱が三本。

 それぞれがまるで、化物が他を補食するかのように十六夜に襲いかかる。

 

「十六夜さん!」

 

 黒ウサギが叫ぶ。その時、黒ウサギと蛇神は十六夜が粉々になるのを幻視する。

 しかし

 

「はっ、しゃらくせぇ!」

 

 そう言い放って、十六夜くんは竜巻く激流の中、ただの腕の一振りで嵐をなぎ払った。

 

「嘘!?」

 

『馬鹿な!?』

 

「おお!」

 

 驚愕する二つの声と、感心するような声が一つ上がる。

 それは最早人智を超越した力だった。

 

『むっ』

 

「ま、中々だったぜオマエ」

 

 大地を砕くような爆音。地面を蹴って勢い良く胸元に飛び込んだ十六夜は、そのまま蛇神に蹴りを放った。

 それが当たれば、例えこの大蛇さえブッ飛ばされそうな威力のある蹴りだった。

 当たれば、のはなしだが。

 

「十六夜くん。この神は先の攻撃を防げば勝利を認めると言ったよね。それにこの神も既に戦意は無いらしいし、そろそろ終わりにしよう?」

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