人理を修復した魔術師が異世界からくるそうですよ?   作:sloth.

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第六話 サウザンドアイズ

コホンと咳払いをした黒ウサギは、全員に切り出した。

「そろそろ行きましょう。本来なら色々と歓迎する予定でいたのですが…今日はお流れになってしまいました…」

それを聞いて、全く悪びれもせずにいる十六夜くん。

 

「ありがとう。黒ウサギ。でも私は全然大丈夫だから、気にしないでいいよ」

私も先輩に同意ですと、マシュ。

 

「別に良いのよ立香さん。黒ウサギに無理をしてまで

歓迎されるとわかったら素直に喜べないわ。」

それを聞いた黒ウサギは頭を下げた。

 

「申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが……」

 

「もう気にしてないから良いわ。」

 

「私も気にしてないよ。黒ウサギ。」

飛鳥さんと、耀さんは黒ウサギにそう言って慰めた。

 

「ありがとうございます御二方様!」

それを聞いていたジンは、黒ウサギに今後の行動をどうするか提案を求めた。

 

 

「それじゃあ今日はどうするの?」

 

「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰りください。

ギフトゲームが明日あるので皆さんの鑑定をしに"サウザンドアイズ"に行こうかと」

それを聞いた私達四人は首を傾げる。

「どこだ、そこ?コミュニティなのか?」

 

 

「YES。サウザンドアイズは特殊な"瞳"をもつ者達の群体コミュニティ。箱庭東西南北・上層下層のすべてに精通する超巨大コミュニティです。

皆さんの力の正しい形を把握した方が、引き出す力の大小も変わってきますし。皆さんも自信の力の正体は気になるでしょう?」

そう言って黒ウサギはサウザンドアイズが在るであろう道に向けて歩き始めた。

四人は思うところもあるだろうが、特に反論する材料もなく、黒ウサギに付いていく。

桜が満開に咲いた時に似た花を咲かせる木が綺麗に植えられていた。

 

「先輩!満開の桜ですよ!お花見イベント以来ですね!」

 

「桜の木?でも今って真夏よね?」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ?気合の入った桜があってもおかしくないだろ。」

 

「……?今は秋だと思うけど?」

 

「え?私たちは・・・確かバレンタインイベントが終わって一か月くらいだから、ちょうど春くらいかな?」

 

「イベ・・?まあ、いいわ。どういうことなのかしら、黒ウサギ?」

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から呼ばれたのデスよ。

多分、時間軸以外にも歴史や文化や生態系など、色々違う所があると思いますよ?」

 

「パラレルワールドってやつか?」

 

「近いですが違いますね。正しくは立体交差平行世界論というものです。」

二日ほどは説明が必要なのでそれはまた今度、ということでお願いします。

そう付け加えた後に、

 

「皆さん見えましたよ。あの旗の店が"サウザンドアイズ"デス。」

旗には蒼い生地、絵は向かい合う二人の女神が写されている。

その店の前で看板を降ろそうとしている割烹着の女性に、待ったをかけようとする黒ウサギ。

 

「ま」

 

「内は既に営業時間外です、お客様。」

間髪入れずに宣言する店員。

 

「そんな!まだ閉店五分前デスよ!?」

飛鳥さん、十六夜くんはそんな店員の態度に少し苛立ち、耀さんは我慢せずを貫く。私は、それは客として微妙ではないか、と思いが過り、会話を観察していた。

 

「なるほど、"箱庭の貴族"を蔑ろにするのも気が引けますね。中で許可を取りますのでコミュニティの名を言ってください。」

 

「うっ。」

黒ウサギは焦る。

(確か"サウザンドアイズ"はノーネームはお断りだったはず…不味いです。)

そんな黒ウサギにかわって十六夜は何のためらいもなく言った。

 

「俺達はノーネームってコミュニティ何だが。」

 

「そうですか。どこの"ノーネーム"様でしょうか?宜しければ旗をお見せしてもらえないでしょうか」

 

(…なるほど。名前と旗印を失うとこういうことになるんだ・・・)

 

「いいいぃぃぃぃぃやっほぉぉぉぉい黒ウサギィィィィィィ!!」

そんな声が聞こえた思ったらまた遠ざかっていた。

同時に白い髪をした幼女が黒ウサギを拉致ると共に川に突っ込んでいった。

下がミニスカートになっている黒い着物を纏い、胴を巻く部分の帯は朱色に、余った水色の部分の帯は尻尾のように垂れている。

髪も眉も輝いた白銀色で、ちょこんと白銀の頭から黒い角を生やしていた。将来絶世の美女になるであろう、少しヤンチャさが残った顔は、黒ウサギに抱きつきながらもその豊満な胸に埋まっていた。

その光景に十六夜は眼を輝かせ、店員は頭を抱えた。

 

「……おい店員。ここの店はドッキリサービスが」

 

「ありません。」

 

「何なら有料でも」

 

「やりません」

そんなカオスな空間の中、幼女は顔を胸に擦り付ける。

 

「白夜叉様!どうして貴女様がこんな下層に!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来るだろうと予想してな!!

フフフッ、スーハースーハースリスリ、フホフホ。やはり、ウサギは抱き心地が違うのう!!ほれここかぁここがエエんかぁ!」

親父セリフと共にスリスリと顔を埋める幼女"白夜叉"。

 

「白夜叉!いい加減離れてくださいッ!!」

頭を掴んだ黒ウサギが、ブオンッ!と音がなりそうな勢いで白夜叉を投げた。

 

 

 

 

 

 

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