処遇をどうするかと話し合いをされている間、紐でぐるぐる巻きにされたまま放置プレイされた。あまりに暇すぎたので、見張りのお兄さんとお喋りすることにした。
「なんか、結構みなさん目を見て話してくれますよね」
「は?何言ってんだ、そりゃ普通のことだろ?」
「まあそうなんですけど…なんかこう、目力が強いっていうか?ちょっと気まずいっていうか」
「それはあんたに後ろめたさがあるからだろ」
素っ気なく言われてちょっと辛い。でも帽子のお兄さんは持ってる槍でブッ刺してこようとかしないし。うん、たぶんいい人なんだろうなぁ。原住民だけど。ガチ原住民だけど。
「いやいや、清廉潔白に生きてきた身としては後ろめたさなんてありえないんですけど。…すみません、ちょっと盛りました。でもやましいところなんてないんだけどなぁ」
ありがたいことに、今まで警察のお世話になったことないし。私と話すのはもう飽きたかな、と思ったら、沈黙の後に答えてくれた。
「……もしかすると、目の色かもな」
「目の?色がどうかしました?」
「あんたの目の色がヴァースの色なんだよ」
「ゔぁーす?なんですかそれ?」
「……ヴァースも知らねェか。あー、大地だ。大地の色」
「へえ、ここじゃ土ってヴァースって言うんですか。日本じゃこげ茶色って言ってました」
「ヘェ」
日本語は通じるのに日本のじょうしきは通じないのか。変なの。
「で、地面の色がなんなんですか?」
「…ここじゃ地面は白色なんだが」
「はい?…あっ、らしいですね。じゃあなんだ、大地の色?」
「空じゃ大地ってのは希少で価値あるものなんだよ。だからあんたの目の色は特別なんだろうよ」
「そういえばみなさん完全に黒い目ですもんねぇ」
「完全に黒い?」
「いえ、うちの国の人って黒髪黒目がデフォなんですけど、大半が黒目でなく濃い茶色の目でして。グレーの目とかは外国の方の目の色だし、完全な黒目ってのは瞳孔的にもないっていうか」
「…よく分からんが、お前の国ではさほど珍しいものではないのか」
「むしろみなさんの目の方が珍しいです。クッキリした黒目で目力強くて素敵ですねぇ」
「煽てても無駄だぞ」
「へ?ああ、いや、おだてとかそんなんでなく!」
「ハハッ。面白いな、あんた」
笑われた。割と本気なんだけどなぁ。やっぱ不審者の言葉はあんま信じてもらえないのかな。ちょっとため息を漏らしつつ、脱力しつつで私も笑った。
「…ドーモ」
あっ、話し合い終わったみたいだ。