住めば都とはよく言ったもので   作:シーシャ

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8.ご先祖様の約束なんだって

 

ワイパーさんが武器を振ってるのが見えたから、見学しようと思って近付いてみた。途中で気付かれて無言のまま睨まれたから、この辺ぐらいまでなら近付いてもいいんだな、と判断する。どこもかしこもこころなしかふんわりしている雲の上に座って、ぶんぶん武器を振って軽やかに鋭く動くワイパーさんを眺めた。今日はみんないないんだな。ワイパーさんが一人でいるってなんか珍しい。

 

「みなさんは故郷だからあの島を取り返したいんですよね?」

 

「ーーーああ」

 

答えてくれないだろうな、と思ったのに、ワイパーさんは律儀に返してくれた。この人、結構真面目な人だ。

 

「あの島はどんな島なんですか?あまりよく分かっていなくって」

 

「…どういう意味だ?」

 

「例えば、ご先祖さんのお墓があるとか財産があるとか。移住したんじゃなくて、追い出される形で出てしまったなら、きっとご先祖さんたちの大切な思い出もあるだろうなって思って」

 

地面ってのが貴重なことは分かったけど、別にそれなら雲の上をやめて地上に行けばいいんじゃないか、と思う。それなのに固執してるってことは、つまり、何か大切なものがあるってことなんじゃないかなぁ。

 

「それを聞いてどうする」

 

「みなさんが故郷を取り戻したい気持ちを、上辺だけでなくもっとちゃんと知りたいと思って。…あ、部外者に言えないなら全然いいですよ!?」

 

「………シャンドラの灯だ」

 

「へ?」

 

ワイパーさんが語ったのは、昔々の先祖の話。それはある船長との約束の物語。突然の出来事に引き裂かれた二人の、そして故郷を奪われたことで約束を果たせなかったという、そんな物語だった。先祖代々の墓があるとか、そんな理由かなと思っていた私には、とんでもなくて…どうしても果たしてあげたい約束の物語がそこにはあって。気がつけば、涙が止まらなくなっていた。

 

「ぞ…ぞゔだっだんでずが……っ!ガルガラざん…っ…ノーランドざんにっ…約束……!ゔぅ…っ!」

 

「俺たちは必ずアッパーヤードを取り戻す。そして、大戦士カルガラの無念を…シャンドラの灯をともす!」

 

「ばい…っ!はい、絶対に…、絶対、絶対にっ、カルガラさんとノーランドさんの約束を、果たしましょうね…!」

 

ワイパーさんたちが命をかけてでも、と戦いを挑む理由がよくわかった。そりゃそうだよ。カルガラさんにできなかった約束を、せめて子孫がと願うことは何もおかしなことじゃない。ロマンだ。

 

「チッ…泣くんじゃねえ!」

 

「!…ずびっ…ゔ…ぅゔ…っ!ぅあい…!ぶふっ!」

 

「顔拭け!」

 

「…ん!」

 

投げつけられたタオルで顔を拭いたけど、後から後から涙と鼻水が出てきて止まらなかった。

 

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