俺の軌跡   作:トッシー

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ゲーム中では全く出てこなかった紡績の町。
やっぱり難しいです。
閃の軌跡Ⅱでパルムが出て来た時、違っていたどうしよう。


四話

4月24日 午前8:00

 

アリハはトリスタ駅を訪れていた。

何時もの緑色の制服に袖を通し、再び受け取った『ARCUS』をポケットに。

持っていくべき荷物や武具も揃えて列車の時間を待つ。

 

「ん、なんでアイツらがここに…?」

 

そこにやって来たのは特科クラスⅦ組の生徒たち。

三つ編みにメガネ、如何にも真面目そうな印象を受ける女子。

小柄で子猫を思わせる銀髪の少女。

女の子二人は大変な美少女だ。しかも眼鏡を掛けた女子は大変立派な双丘をお持ちだ。

 

「大変素晴らしい」

 

後は野郎が3人。

金髪の貴族生徒と眼鏡系男子、そして褐色の肌の異邦人の青年。

異邦人の青年は静かに佇んでおり、金髪と眼鏡の男子生徒は互いに背を向けて仏頂面をしている。

3人とも間違いなく文句なしの美男子だ。

アリハは手鏡を取り出して自分の顔とⅦ組の男子達を見比べた。

うん、完全に負けてるな。

 

 

「ん、お前は…」

 

Ⅶ組の生徒達がアリハの存在に気付いた。

 

「君は確か…」

 

眼鏡の男子が思い出したように口を開く。

 

「旧校舎に居たな…。たしかイマソガーリだったか」

 

褐色の青年がアリハの前までやって来る。

そして温和な表情で手を差し伸べる。

 

「サラ教官から話は聞いている。俺はガイウス・ウォーゼルだ」

 

すさまじいイケメンぶりだった。

ガイウスは旧校舎でアリハがⅦ組への参加を拒否した事を全く突っ込まずに歓迎してくれたのだ。

 

「…アリハでいいよ。それより話って?」

 

イケメンは嫌いだが、ガイウスの人となりは嫌いではない。

アリハは思わずガイウスとの握手に応じてしまう。

 

「何だ聞いていないのか?教官も人が悪いな。今回の実習だが君は俺達の班に同行することになった」

 

「マジですか」

 

アリハの脳裏にサラのしてやったりといった表情が浮かぶ。

特別実習、正直面倒くさい。

しかし女子二人は凄くレベルが高い。

これはコレでありかもしれない。

 

「それで?Ⅶ組への参加を拒否した君がどうして」

 

折角ガイウスが突っ込まなかったのに、どうして掘り返すのか?

眼鏡の男子が訝しげに疑問をぶつけてる。

 

「……えっと」

 

アリハは思わず口をつぐんだ。

入学して直ぐに問題を起こして停学処分、とは流石に言いづらい。

直ぐと書くには女子、それは飛びきりの美少女がいるのだ。

アリハの反応に眼鏡の男子はますます表情を曇らせる。

すると金髪の男子は呆れたように鼻を鳴らす。

 

「……ふん」

 

「……なんだその態度は」

 

どうやら態度に気に触ったらしい。

 

「別に…、何時までくだらん茶番が続くのかと思っただけだ。それにコイツの態度で気づかんのか?聞いてほしくないようだぞ?同じ平民なら分かると思ったのだが?」

 

「……くっ…、君は」

 

互いに睨み合い空気が張り詰める。

 

「お、落ち着いて下さい」

 

眼鏡の美少女が慌てて険悪な雰囲気に割り込んできた。

 

「……委員長」

 

「もうすぐ列車も来ますし」

 

「分かった…、済まない委員長」

 

「いえ……えっとアリハさんで良いですよね?」

 

「え、ああ…長い名前だし気軽に呼んでくれていいよ」

 

委員長は軽くお辞儀をすると自己紹介した。

 

「エマです。エマ・ミルスティン、短い実習期間ですがよろしくお願いします」

 

エマの自己紹介に残りのメンバーが簡単に自己紹介していく。

 

「フィー・クラウゼル」

 

「ユーシス・アルバレアだ」

 

「……マキアス・レーグニッツだ」

 

アルバレアとレーグニッツ。

アリハは二人の険悪な雰囲気に納得した。

このエレボニア帝国で絶大な権力を誇る大貴族。

四大名門の一つであるアルバレア公爵家と貴族派と対立する革新派の筆頭であるレーグニッツ知事。

二人はその息子という訳か。

面白いことは好きだが面倒事は苦手なので突っ込まないことにする。

 

「アリオリハヴェリ・イマソガーリ。さっきも言ったけどアリハでいい」

 

自己紹介もそこそこ、少し遅れてもう一組のメンバーも駅に到着する。

アリハは同じように自己紹介。

そしてリィン達がチケットを購入、直ぐに列車が到着した。

A班、B班共に互いの無事と成功をと交わし、それぞれの列車に乗り込んだ。

 

 

 

窓から見える景色が目まぐるしく変化し流れていく。

目的地である紡績の町パルムまで、まだ時間がある。

アリハの正面にはフィーとエマが並んで座っており、エマは景色を、フィーは眠たそうに欠伸を噛み殺している。

 

……萌えるんですけど。

 

二人の美少女の姿にアリハの目尻は下がる。

鼻の下が伸びてしまいそうだ。

ついついスカートから伸びる脚線に目が行ってしまいそうになるが我慢。

そして視線を横に向ける。

マキアスとユーシスはアリハを挟んでそっぽ向いてる。

ガイウスはフィーの隣だ。

 

「そういえば」

 

ガイウスが荷物からカードの束を取り出した。

 

「…それは?」

 

「パルムまでまだ時間がある。少しやってみないか?」

 

「ほう、『ブレード』か」

 

ユーシスはガイウスが出したカードを見て言った。

『ブレード』はここ最近、大流行のカードゲームだ。

カードの数字の合計値を競う単純なゲームだ。

カードの種類は3種類。

1~7までの数字が書かれた『ブレードカード』。

対戦相手が最後に出したカードの数値を0にする『ボルトカード』。

相手と自分のカードを入れ替える『ミラーカード』。

それからカードを相手の合計値を上回るように交互に出しあい、全てのカードが無くなるもしくは、相手の合計値を超えられなくなるまで続けられる。

 

「時間つぶしには丁度いい……おい」

 

「良いだろう」

 

早くもマキアスとユーシスが火花を散らしていた。

コイツラ実は仲良しなのでは?

アリハは思わず脳裏に浮かんだ【マキアス×ユーシス】を振り払った。

 

「じゃあエマちゃんかフィーちゃん、俺と…」

 

「ちょっと待ってください」

 

「…ん、ミラー」

 

「ええぇっ!?ちょっと待ってくださいぃ」

 

アリハは女子とお近づきになろうとブレード勝負に誘うが、女子二人は既に楽しそうにカードを交互に出し合っていた。

ガイウスが優しくアリハの肩に手をおいた。

 

「俺達も始めよう」

 

「……はい」

 

アリハは項垂れつつもガイウスとのブレード遊びに興じるのであった。

マキアスとユーシスは互いに勝った負けたを繰り返しながら最後まで対戦相手を変えず、フィーと委員長は何だか気が合うのか、ブレード勝負そっちのけどカードを手にしたまま談笑している。偶にカードを出しているが決着まで時間が掛かるだろう。

アリハは女子とどうにかブレードがしたいが、この状況では難しい。

結局、最後までブレードの対戦相手が変わること無くパルムに到着してしまった。

 

「ふふ、良い風が吹いたようだ」

 

女子が気になるアリハは当然ガイウスに敵うはずもなく連戦連敗だった。

 

「くっ、これで十六戦八勝八敗……」

 

「屈辱だ。まさか引き分けとは…」

 

「十六回も仲良くブレードしてたのかいっ!」

 

アリハは思わずツッコミを入れてしまう。

 

「「誰が仲良くだ」」

 

「いや息ぴったりじゃん。この調子なら戦術リンクも楽勝じゃね?」

 

「君は……さっきと態度が違うじゃないか」

 

「いやぁ…Ⅶ組の参加を拒否した身としては肩身が狭かったというか…」

 

「ふふ、しかし気を使われるのも此方も逆に気が引ける…俺は今の方がいいと思うぞ」

 

「ん、そうだね」

 

ガイウスの言葉に他のメンバーも納得する。

 

「そうか?じゃあ遠慮無く」

 

「ああ、互いに頑張ろう」

 

やっぱりガイウスは性格イケメンだった。

 

 

 

「ここがパルムか…実は初めて来たんだよな」

 

「あれは…紡績工場かな」

 

駅のホームからでも見える高い屋根からはうっすらと蒸気が上がっている。

 

「はい、家畜や魔獣の繊維を原料にした糸は私達の制服にも使われていますね。昔は全て手作業でしたが、現在は導力機械での大量生産で、その様子は圧巻だそうですよ」

 

 

アリハ達B班はホームを出て改札口から出る。

旅行者や商人、軍人や駅員と様々な人達が賑わっていた。

パルムの町に出ると、一層人々で賑わっていた。

長閑な印象もあったが、職人風の人が少し目立つ。

恐らく工場で働いているのだろう。

立ち並ぶ工場から出入りする人達に意識を向ける。

ぼんやりと眺めていると委員長が皆を纏めるように促した。

 

「皆さん、先ずは宿に向かいましょう」

 

「ああ、どうやら実習内容は宿で渡されるらしいな」

 

「宿は工場の反対側、町の南ですね」

 

一行はエマを先頭に宿屋を目指して歩き出した。

すれ違う人々の表情が目につく。妙にピリピリしている。

理由は恐らく貴族に仕える衛兵『領邦軍』の存在だろう。

アリハ自身も故郷や修行先で見た事があるが、良い感情が生まれなかった。

マキアスとユーシスの家の様に対立する貴族派である『領邦軍』と革新派『正規軍』の構図そのままなのだ。

パルマの町全体の雰囲気はあまり良いものではなかった。

 

 

宿屋に到着すると気の良さそうな中年男性が出迎えてくれた。

 

「いらっしゃい!話は聞いてるよ。サラちゃんの教え子達だな?俺はドーンってんだ。よろしくな!」

 

「はい。これから二日間、よろしくお願いします」

 

「おう、じゃあ早速…」

 

店内は一階は食堂になっており清潔な感じのテーブルが並べられている。

ドーンはⅦ組をテーブル席に促すと、人数分の用紙を持って来た。

 

「コイツに今日の実習内容が書かれてある。サラちゃんの話だと『必須』と書かれた実習意外は別にやらなくても良いんだと。おめえらの判断でやればいい」

 

「なんというか…その…」

 

「適当な…」

 

ドーンの言葉にマキアスは頭痛を感じたらしく、ズリ落ちそうな眼鏡を元に戻す。

 

「取り敢えず内容を確認してみよう」

 

Ⅶ組はそれぞれに配られた用紙に目を通していく。

実習は以下の三つだった。

 

街道の手配魔獣

 

件 名:街道の手配魔獣【必須】

期 限:中

依頼者:領邦軍

内 容:

街道に危険な魔獣の姿が何度も確認されているとの事。

日々激務に追われている我らでは手が回らない。

詳しい話は領邦軍詰所まで。

 

 

工場見学

 

件 名:工場の手伝い【必須】

期 限:短

依頼者:町長

内 容:

紡績工場にて職人達と見聞を深めよう。

そして可能な限り工場での手伝いをしよう。

 

 

精霊の涙

 

件 名:精霊の涙

期 限:長

依頼者:マーヴェル

内 容:

考古学者のマーヴェルです。

詳しい内容は直接お話します。

町外れのレストランでお待ちしています。

 

 

一通り目を通す。

そして互いに顔を見合わせる。

どうやら皆同じ事を考えたようだ。

 

「これってもしかしなくても…」

 

「遊撃士?」

 

「だよな…」

 

大陸各地に存在する支える籠手を冠する捜査と戦闘のプロフェッショナル。

民間人の生活に常に寄り添い、その安全を最優先にする自由騎士。

犯罪以外なら失せ物探しに迷い猫探しから要人の護衛まで、どんな依頼をもこなす所謂『何でも屋』だ。

最近のエレボニアでは、その姿を余り見かけないが…。

 

「教官の考えは分からないが、そういった判断を含めての実習ということか」

 

ガイウスは真剣な表情で口を開いた。

皆も納得したように頷く。

 

「じゃあ早速、実習を開始しましょう」

 

「ああ」

 

エマの号令でⅦ組B班は宿屋を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 




どうせならリィンとは逆の班に混ざってみようと思いました。
色々考えるのは楽しいけど設定とか間違っていたら…。
余りツッコまないでくれると嬉しいです。
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