このお話にはなりたいあたし、なりたかったあたしをめいっぱい詰め込んでみました。
かなり自己満足な部分が目立ちますが、それでも読んでくれると嬉しいです。
あたしは悩んでいた。
好きなものを好きなように身に纏えない辛さで。
人に理解して貰えない辛さで。
あたしはずっと可愛いお洋服を着る事が好きだった。
ロリータ服などが好きでずっと着続けたいなんて思っていた。
でも時間は残酷で、一つずつ歳をとるたびにタイムリミットを感じていた。
周りの女の子達は可愛い服を着て、楽しそうで。
いつのまにか好きな服なんて着れなくなって、スーツばかりを身に纏っていた。
スーツなんて可愛くない。嫌い大嫌い…。
着たくないのにあたしはまた今日も明日もずっとずっと着続けなくてはならない。
そう思っていた。
彼女と出逢う前までは。
「すみません!お隣大丈夫ですか?」
ふらりと立ち寄ってみたカフェで、ツインテールが可愛らしく揺れる女学生に相席を頼まれた。
「えぇ、別にいいわよ。」
「ありがとうございます!ここのカフェの新作が楽しみで楽しみで!えへへっ♪」
可愛いなぁ。
あたしもあんな風に可愛くなれるように努力してた時もあったな。
「お姉さん…?あたしの顔、何か付いてる?」
あ、いけないいけない。つい見つめてしまった。
「ごめんね?若くて可愛い女の子が眩し過ぎて…。」
「お姉さんも充分可愛いよ?ほらっ!パピッとスマイルスマイル!!」
女の子がにこっと笑ってみせる。
「あ、そうだ、自己紹介まだだったよね?あたしは水嶋咲っていいます!」
それが水嶋咲との出会い。
あたしは、それからも彼女と待ち合わせて色んなカフェに行くようになった。
たまに悩み事も相談して。
お洋服の悩みだって告げた。
でも、彼女は何かを隠していて
無理やり聞くなんて到底出来そうにも思えなかった。
「お姉さんってアイドルのプロデュースしてるんだ!」
「えぇ。だからあなたをスカウトしたいな…なんて思っちゃって…。」
ある時、あたしの仕事を打ち明けてスカウトをしてみた。
彼女ならトップを目指せる器だと思ったから。
「あはぁ…すっごく魅力的なお誘いなんだけどあたしには無理だ。」
少し哀しそうに断られた。
「だって、女の子アイドルの事務所なんでしょう?
ならあたしには出来ないよ。だって…あたしは…。」
男だから。と弱々しい声で告げられる。
「ごめんね!あたし先に帰る!またカフェこよーねっ!!」
それ以来、水嶋咲と連絡が取れなくなった。
それから2年程後、いきなり知らないメアドから【今までごめんね。○○って言う番組を見て】と。
少し気味が悪かったけれど、メールの通り見てみた音楽番組にはcafé parade!というユニットが出演していた。
そこには、よくカフェに一緒に行っていた彼女の姿があった。
「え…。」
思わず声が出てしまう。
楽しそうにくるくる回って、踊っている彼女はやはり輝いていた。
理想的な世界で一番可愛いアイドルはそこにいた。
『あのね、あたしは自分らしくいられる場所見つけられたよ!だから、聞いてください!あたしの気持ち。
‘フェイバリットに踊らせて’』
水嶋咲が歌ったその曲は、まるであたしと水嶋咲自身への応援のようだった。
_ホントの自分隠して埋もれているだけじゃ
説得力もキュンともしないでしょ?_
まるであたしに言ってるようで。
思わず涙が溢れた。
『あのね、あたし…あたしがアイドルを目指そうと思った理由をくれた人にようやくメールを送ってみたの。
ねぇ、あのメール見てくれた?
…ごめんね、今の今まで連絡しなかったのはあたしがやりたい事を見つけたからなんだ。
このcafé parade!はあたしがあたしで居られる場所なの。
だから…ねぇ、
あなたも貴女らしく居られる場所を探してみようよ。
あたしも見つけられたんだから、絶対大丈夫!
好きなコトを諦めちゃうなんてそんなのつまらないだけ。
つまんないのはパピッと捨てちゃえばいいんだよ。
あたしからは以上! はいっ!次はロールだよ!』
彼女は明るくマイクを次のメンバーにパスする。
それだけを見てあたしは着替え始めた。
フリルがたっぷりの真っ白なブラウスに、クラシックな黒のスカート。
胸にはリボンを結んで、チョーカーも着けて、頭にはちょこんと帽子。
ガーターベルトに黒いソックス。
ほんのり高めのヒールに、ジェラートのように甘そうなチーク。
チョコレートのようなマスカラにいちごのようなリップグロス。
真っ黒な髪は背中に流して、お出かけコーデは完成。
あたしはあたしでいていいんだ。
あたしがあたしらしく居られるなら、それだけでいいんだ。
何も気にしちゃいけない。
それをおかしいなんて言われて、やめれるような好きなんて…そんなの好きなんて言わない。
あたしがあたしで居られる場所
それが幸せの始まり。
「あら?プロデューサーさん!こんな時間に会えるなんて運命…?」
「ううん、まゆに聞きたい事があったの。」
「まゆでよければ!是非とも!お聞かせください!
それとそのお化粧はどこのメーカーをお使いですか!?何をどうしてますか!?まゆにぜぇんぶ教えてください!」
あ、これ人選間違えたかも。
「あ、プロデューサーさん…コート脱いでくださいよぉ…。うふふ…あら…とてもかっ…かわいい…まゆとお揃い…?まゆ嬉しいです…。」
「あ、まゆさん…とりあえず離れてぇ…。」
「まゆちゃん、とりあえず離れよっか!ね?」
「卯月ちゃんん…まゆの邪魔しないでくれます?」
あ、丁度いい。
「卯月、この服装変かな…」
「とっても可愛くて好きです♪私もそんな服着て見たいなぁなんて思っちゃいます!」
「別に変なんて思わないよ。普通にいいと思う。」
「しまむーだけに聞くのはダメだよ!この天下の未央ちゃんが思ったままの話をしよう!
むしろ今までなんで着なかったのかい!?可愛い!チョー可愛いじゃんか!!」
ニュージェネの3人がそう言ってくれる。
「プロデューサーさんも随分と可愛いじゃないですか!
でも世界一可愛いのはボクですけどねっ!フフーン!」
「プロデューサーさんが世界一可愛いんですよぉ…?」
「ひぃっ!!!???」
なぁんだ。
そんなに気にしなくてよかったんじゃんか。
今までなんで気にし続けたんだか…。なんかアホらし…。
水嶋咲からまたメールが届く。
【よかったら、会えませんか?】
あたしは、アイドル達に戸締りをしっかりするようにと言って事務所を飛び出した。
ねぇ、今のあなたは輝いているかな?
なりたい自分になれているかな?
もしも、そうじゃないとしたら、あたし達みたいに探してみて。
そしたらきっと世界で一番パピッと輝ける場所が見つかる、それがあたし達のanswerだから。
「咲ちゃんっ!!」
ようやく、会えたね。
あたしを変えてくれた大切な友達。
「お久しぶりっ!とっても可愛いじゃんっ!!」
フェイバリットに踊らせてを聞いたのはsideMのライブの直前の試聴でした。
桜庭先生のbecauseがすっごくかっこよくて、きゃっきゃはしゃいでいたのを覚えています。
咲ちゃんの曲はその次に聴きました。
咲ちゃんのこの歌は、元気いっぱいの咲ちゃんそのもので、可愛い!と思いましたね。
ライブではSEMの硲先生とまいたるが引っ叩かれたりめちゃくちゃ笑ったのを覚えています。
その後、CDが発売されてfullを聞いてみると、
まるで誰かへの応援歌のように感じました。
水嶋咲自身への応援、そしてそれを聴いてるファン、プロデューサーへの応援歌のように聞こえたのです。
それからこの曲はあたしの大切な曲になったのです。
あたしはこの曲でかなり励まされました。
まだ聴いたことない方はどうか一度聞いてみてください。
皆様の顔にパピッとスマイルが咲く事を願っています。
長文失礼致しました。