小説投稿自体初めてです。文章力が皆無ですが、どうか温かい目でお読みください^_^
この小説は、「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」と「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の世界観が融合したファンタジーとなります。人気が出れば続編の事もぼちぼち考えていこうと思っています。
まだまだ未熟ですが、多くの方にお楽しみいただける、そんな物語を紡いでいきたいです。宜しくお願い致しますm(_ _)m
普通の少女であるはずのマドレーヌとエリザベスが二つの異世界の仲間に加わることになったのは、決して偶然ではなかった。
「おはよう!」
マドレーヌが教室に入ると、一人の少女が声をかけてきた。
「おはよう、ベス!」
挨拶を返すと、少女——ベスがにっこり笑った。
「昨日の宿題終わった?」とベスが聞いてくる。
「一応終わったけれど、とても難しかったよ!」
「ちょっと見せて!」
「少しね!」
マドレーヌは笑いながら自分の席へ向かう。ベスは話しかけながらついてきた。
マドレーヌとベスは幼なじみだ。物心ついた時から、エリザベス・トッカ——あだ名はベス——と仲良しだった。眼鏡をかけた真面目なベスは、明るくさっぱりしている。マドレーヌにとって大切な友達だ。
13歳になった今も、その友情は変わっていない。運動が得意なベスは運動が苦手なマドレーヌに指導してくれ、マドレーヌもわりかし得意なことでベスを手伝おうと思っている。それが二人の友情なのだった。
この日もいつも通りの平和な一日だった。マドレーヌはその日の帰り際、ベスと一緒に帰った。これもいつものことだ。時々、クラスメイトのルーナやジニーが加わるが、その時はその時で楽しい。
2人は近所に住んでいるので、近くの路地で別れた。
「また明日ね、マドレーヌ!」
ベスが言う。
「また明日よろしくね!」
マドレーヌが手を振ると、ベスはうなずき、元気に駆けていった。マドレーヌはそんな親友を見つめてにこっと笑い、残りの帰路を歩いた。
家に着くと同時に、冬を感じさせる冷気が吹き込んできた。体を冷たくするだけでなく、マドレーヌの心にも冷気が入る。マドレーヌは寒さに身震いした。
「ただ今帰りました!」
家に入ると、玄関口に着くか着かないかのうちに、扉が勢いよくノックされた。マドレーヌはドアの隙間から覗く。ベスだ。
「なに?」とマドレーヌ。ベスは興奮して腕を振り、中に通すようせがんだ。苦笑いし、ダイニングにいる母を呼ぶ。母は訝しげに目を細めてやってきたが、ベスを一目見ると声を上げた。
「まあ、エリザベス!久しぶりね!お母さまはお元気?」
母が言う。ベスはにこにこと笑い、「お久しぶりです!元気です」と答えた。
「さあさあ、上がって」
「ありがとうございます!」
ベスは敷居を飛び越えるようにして玄関に上がってきた。母がマドレーヌとベスを後ろに従え、ダイニングに向かう。広々としたそこに着くと、ベスはさっそく本題に入った。
「今さっき帰宅したらね、お母さんが!」
ベスの声は興奮で震えている。無言で続きを促すと、彼女は目をきらきらさせた。手に持っている紙束を机の上に置く。マドレーヌはのぞきこんだ。
それは紙束ではなかった。分厚い封筒だ。
「ここを見て」
ベスが人差し指を封筒の裏に置いた。そこには濃くにじんだインクで「エマ・ブルームより」と書いてあった。
「誰か分かる?」とベス。マドレーヌはその宛名を見た。最初は誰なのだろうと真剣に考えこんだが、ふと気がついた。これはベス宛ての手紙だ。自分宛てじゃない。そう考えてみれば、彼女の指す宛名に思い当たりがなくても納得だ。マドレーヌは笑いながら、「この宛名の人を知らないけれど、これはベス宛てのお手紙でしょ?それが、私が宛名を知らない理由だと思うんだけど」と言った。だが、ベスは大真面目に「ここ見て、マドレーヌ」と封筒を表に返して見せた。
マドレーヌは腰を浮かせて小さな文字を見る。すると…。
「え!?」
マドレーヌは思わず声を上げた。そこには「エリザベス・トッカとマドレーヌ・ウェントワースへ」と記してあったのだ!
「これが家に届いたの。だから、マドレーヌにも伝えなきゃって思って!いきなり押しかけてごめん」
ベスが笑う。マドレーヌはうなずいたが、心の中には疑問が渦巻いていた。
マドレーヌはエマ・ブルームという人物を知らない。名前を聞いたこともない。思い当たりがないのに自分宛てでもあるなんて奇妙だ。不安がぞくぞくと心に染み込む。
「お母さん。エマ・ブルームという人から手紙が来たんですが、その名前に心当たりはありますか?」
ベスも少し不安げだ。母に聞いている。
「エマという幼なじみがいなかったかしら?姓は忘れてしまったけれど」と母が言う。ベスとマドレーヌは顔を見合わせ、少し明るい気持ちになった。雲の間から太陽の光が射し込んだように、二人の心にも陽射しが照りつけてくる。
「そういえば、エマという子がいた気がする!」
ベスが目を輝かせて身を乗り出した。マドレーヌは頭をひねっても思い当たりがなかったが、二人にそう言われると、いたような気がしてきた。
「そうね!エマっていう名前は多いから、いたかもしれない」とマドレーヌが言うと、ベスはうなずいて「そうだよね!返事を出してみる?」と聞いた。そこで母が「内容を見たら?」ともっともなことを言った。二人は宛名を見るのに一生懸命で、肝心な中身を見ていなかった。ベスが母から手渡されたはさみで封筒の上を切り、厚い便箋を引っ張り出した。マドレーヌが封筒を手に持つと、まだでこぼこしている。逆さにすると、かたいものが手に触れた。
ベスが手紙を読んでいる間、マドレーヌは手に触れたものに見入り、信じられないような気持ちになっていた。興奮で胸がドックン、ドックンと鳴り、その音がベスにも聞こえるのではないかというほどだ。
それは、ブレスレットだった。銀色のきらきら輝くブレスレット。それは、生前に祖母が一時も離さず身につけていたものにそっくりだ。九歳の時に他界した祖母は優しく穏やかで、いつもブレスレットを見せてくれていた。ある日、気になったマドレーヌが「いつもおばあさんが付けているそのブレスレット、そんなに大事なの?」と子供なりに質問したことがある。その時のおばあさんの笑顔はしわしわで、優しげで、昔の思い出をたどるように「もちろん。これはね、マドレーヌ。おばあさんが親友にもらったブレスレットなのよ」と教えてくれた。祖母の声を思い出すと、目頭が熱くなる。
「ね、マドレーヌ、交換。一枚目はマドレーヌ宛みたいだよ。読んでないけどね!」
ベスがマドレーヌの持つブレスレットを取った。代わりに便箋を手渡される。マドレーヌは手紙を読み始めた。ベスの言った通り、一枚はマドレーヌ宛てだ!
「マドレーヌ・ウェントワースへ
私のことを覚えていますか?
私は、あなたの祖母がお亡くなりになったと聞いて悲しみました。私はおばあさまと親しかったのです。あなたに疑われないよう、銀のブレスレットを同封します。それをあなたが身につけてくれるといいのですが。
小学校卒業後に引っ越しました。ウェールズのケインホルム島の古い孤児院の近くです。住所を下に記しておきます。手紙を待っています。近々会えると思います。その時に何もかも話します。
エマ・ブルームより」
なぜエマと名乗る少女は、マドレーヌの祖母と親しかったのだろう?友達の中に、祖母と親しい人などいなかった。祖母は病弱で、滅多に家から出なかったのだ。
エマ・ブルームの字は大人びたきれいな字で、とても同年代の字とは思えない。マドレーヌは顔を上げ、すがりつくようにベスを見た。視線を感じたのか、ベスがブレスレットから目を離し、こちらに向き直った。
「このブレスレットは?心当たりある?」とベス。
「亡くなった祖母のものに違いない」
マドレーヌがはっきり言うと、ベスが手で口を覆い「えっ」と目を見開いて言った。母は電流が体に流れたとでもいうように飛び上がり、ベスからそれを受け取ってまじまじと見ている。
「これは私の母のもので間違いないわ。それにしても、この…エマ・ブルームという人物は奇妙ね。誰なのかしら?私の母の知り合いなんて…。ということは、あなたたちの幼なじみではないのかしらね?複雑怪奇極まりない」
母は額に手をあて、真剣に考えているようだ。
「ねえねえ、返事を出してみようよ!ほら、住所も書いてあるしね。どう?それで謎が解決したりして!」とベスが言う。
「知らない人ならば迂闊なことはできないわ。危ないでしょう」
母が人差し指をマドレーヌとベスに向ける。マドレーヌとベスは隣同士で顔を見合わせ、向かい側に座る母を見た。
「はい、分かりました。私、帰ってお母さんに聞いてみます。エマっていう人を知らないかって」
行動的なベスはすぐに立ち上がり、「じゃ、マドレーヌ、明日学校でね!マドレーヌのお母さん、お邪魔しました!」と帰っていった。マドレーヌは学校の宿題をやるため、残されたマドレーヌ宛ての便箋とブレスレットを手に取り、二階の自分の部屋に上がっていった。
不安と期待を連れて朝がやってきた。起きて着替えを済ませたマドレーヌは、ブレスレットを腕に通した。知らず知らずのうちに涙がこぼれる。これが本当に亡き祖母の形見の品であるならば、大切に大切にとっておくと心に決めていた。下に降り、両親と祖父に挨拶し、ダイニングテーブルについた。
ハムエッグとトーストを急いで口に入れ、いつもよりも二十分早く家を出た。そのため学校に着いたのは、いつもよりも二十分早い七時十分だった。予想通りもう登校してきていたベスは、両腕をひらひらと動かし、走ってマドレーヌの席に来た。
「ハロー!マドレーヌ」
「おはよう!」
二人はにこにこと笑いあった。間髪を入れずに、ベスが「マドレーヌ、私のお母さんは思い当たりがないって。でも、気にならない?」と聞いた。彼女は悪巧みをしている顔だ。マドレーヌは思わず笑い、「ベスが言いたいのは、『手紙を出してみよう』っていうことでしょ?」と言った。ベスが「当たりー!」と手でもう片方の手を打ち、天才学者の真似をしてみせる。
「ね、出してみようよ!気になって仕方がないー!」とベス。マドレーヌはしばし考えた。母には危ないことをしないようにと言われている。それを守らなくてはならない。しかし、とても気になっている今、あっさりと諦められるか?
マドレーヌは厳しい顔をして「危ないからやめよう」と言おうと口を開きかけたが、ベスの期待を込めた目を見ると、その言葉が頭から消え、代わりに新しい言葉が浮かんできた。
「私も気になっているの!返事を出してみよう」
「やっぱりー!!マドレーヌって話を分かってる!今日帰ってから、一人一枚ずつエマ・ブルームに返事を書いて、明日持ち寄って封筒に入れよう!」
「じゃあ、私、家にある封筒を持ってくるね」
「ありがとう!」
そんなこんなで、マドレーヌは一日興奮して授業を受け、終礼が終わるとすぐに帰宅した。宿題を済ませ、明日の小テストの勉強をし、午後九時にやっと手紙を書き始めた。胸が高鳴る。なにしろ知らない相手への手紙なのだ。
「エマ・ブルームさま
お手紙をありがとうございます!私は残念ながら、あなたのことを覚えていません。ですが友人のエリザベスと相談し、返事を出すことに決めました。
あなたはなぜ、私の祖母のことを知っているのですか?教えていただきたいのです。
ブレスレットをありがとうございました。大切に保管します。
あなたにお会いできるかはまだ分かりません。手紙で事情を説明していただけませんか?
マドレーヌ・ウェントワース」
書き終えた手紙の内容を三回読み直し、それを二つ折りにして封筒に入れた。そして、ブレスレットに対するお返しのつもりで、小さな水色のリボンのついた髪留めを同封した。その髪留めはマドレーヌにとって宝物だ。なぜなら、エマ・ブルームの親友である祖母がマドレーヌにくれた品なのだ。色違いで黄色の髪留めと二つセットで、ねだっていた幼いマドレーヌに買ってくれたのだ。それを手放す気になった理由はただ一つ。会ったことすらないエマ・ブルームにほのかな親しみがわいたのだ——。
思いのほか話は着々と進んだ。そのことに一番驚いているのは、当の本人であるマドレーヌとベスだ。
ベスは一週間後、学校でこっそりと封筒を見せてきて、その中からマドレーヌ宛ての便箋と小さな袋を渡してくれた。興奮状態のマドレーヌは昼休みにこっそり手紙を読んだ。一分だって読むのを待てない。
「マドレーヌ・ウェントワースへ
お返事をどうもありがとうございます。
私はあなたのおばあさま、ミイナの親友でした。彼女も私も幼いころ、一緒に生活していました。今はこれしか言えません。ですが必ず、私は近々あなたにお会いできます。私が保証します。もう少し待ってください。冬季休暇まで待ってくだされば、あとはこちらで手配します。
私のeメールアドレスを書いておきます。そうすれば、もう面倒な手紙のやり取りをする必要はありませんね!エリザベスのお母さまにやり取りしていると感づかれてはいけませんから!
そして、あなたは小さな袋に気付いたでょう。これは私とミイナのお揃いのお守りです。ミイナはここを出ていく時、これを置いて出ていきました。今度はあなたが持っている番です。
エマ・ブルームより」
袋の中身は金色の小さな板のようなもので、もうすっかり色あせている。そこには「私たちの友情を誓って…」と彫ってあった。幼い頃、祖母がこんなことをしていたのだと思うと、笑いがこみ上げてきた。
マドレーヌはその日の帰り際、携帯電話にエマ・ブルームのアドレスを登録した。全く知らない相手だが、なぜだか信用できるのだ。ベスも同じようにした。二人は、自分たちだけの秘密にすることを誓い、それぞれの家へと向かっていった。
マドレーヌはエマ・ブルームとメールのやり取りをした。それも頻繁にだ。彼女に何度「事情を説明してくれませんか?」と送っても、帰ってくる答えはただひとつ、「冬季休暇まで待ってください」だった。マドレーヌは落ち込んだが、エマ・ブルームとのやり取りはとても楽しい。彼女は自分の住んでいるところの様子を説明してくれる。平和な美しい屋敷で、何人も住んでいるそう。そして、近々会えると繰り返し言ってくるのだ。
祖母のことをよく知っているエマ・ブルームは、毎日連絡してきて「私は仲間と共に、あなたたちが来れるように手配しています。もう少し待ってください」のような内容を送ってくる。マドレーヌは彼女の言葉を信じていた。早く十一月からの冬季休暇にならないかと、ただひたすら待っていた。
ベスもマドレーヌと同じで、エマ・ブルームとよく連絡を取っているようだ。二人とも、なぜ見ず知らずの人間を信用できるのか、言葉では簡単に説明できない。十三歳といえどもまだ幼さが残っているからかも知れない。あるいは心から優しくしてもらえて舞い上がってしまっているだけかも知れない。だが、二人の意見は一致していた。エマ・ブルームの言葉は現実味を帯びていて、信用できる。
第1話、いかがでしたか?
今回は、主人公マドレーヌと友人ベス宛の謎の手紙がメインでした。ちなみに原作名は「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」となっていますが、まだまだファンタビ要素は出てきません。当分は「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」ワールドです。
また、もし好評だった場合の続編はハリポタの時系列に絡んでいくと思います。
それにしても、「ウィザーディング・ワールド」は素晴らしい作品ばかりですよね。J.K.ローリングさんは神だ!!私は小3の時、親に勧められて賢者の石を読み、ハリーの世界の虜になってしまいました。「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」も奇妙で素敵な世界観が魅力です。しかも、どちらも異世界ファンタジーなのでSSにしやすい!
ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは、第2話でお会いしましょう!