魔法界と奇妙な世界の融合   作:穂月碧

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皆さまおはようございます。穂月碧です。
少しずつUAが増えてきました!ありがとうございます。宜しければ、感想や評価も気軽にお願い致します^_^
それでは、第2話をどうぞ!


第2話 旅行

冬季休暇まであと一ヶ月となった日のことだ。この日は休日。マドレーヌの家にベスがやってきて、二週間後に迫る試験の勉強をしていた。マドレーヌがベスに苦手な数学を教えてもらっている時、ドアがノックされた。

「失礼」

母の顔が扉の隙間からのぞいている。

「お菓子を持ってきたわ。もう三時になるから、少し休憩したら?」と母が言った。部屋に入ってきて、手に持った小さなお盆(パイとクッキーがのっている)をそれぞれの前に置いてくれた。

「ありがとう」

マドレーヌは母から紅茶のカップを受け取り、ベスにも渡しながら言った。

「ありがとうございます!」とベス。母はにっこりした。

と、ベスがこの時とばかりに口を開いた。

「マドレーヌのお母さん。冬季休暇って予定ありますか?」

ベスはマドレーヌに小さくうなずいた。

「えーっと…今のところは特にないけれど、学校の宿題も多いみたいよ。それに、家族旅行が入るかも…」と母が言う。

「そうですか!」

「どうしたの?エリザベス?」

「実は…」

ベスはマドレーヌにまたうなずいた。マドレーヌもうなずき返す。

「私たち、もう仲良くなってから十年も経ったんです!早いですね!だから、冬季休暇に旅行に行ってみたいんです!そう、前から話してます」とベスが言った。母は驚き、「どこに?」と聞いてきた。

「ケインホルム島」

マドレーヌとベスの声が重なる。二人は顔を見合わせ、心の中でお互いを褒める。

「ケインホルム島…何でそんなところに?まさか、エマ・ブルームとやり取りしているのではないでしょうね!?」

母が壁に寄りかかった。相当怒っている様子だ。ベスが慌てて「そんなことはありません!実は、学校で仲のいい友達の…ジニーとルーナが…ケインホルムに遊びに行くって聞いたんです」と言った。とっさに思いついたでまかせだろうか?しかし、母は嬉しそうに笑い、「新しいお友達をつくるのはいいことね。エリザベスのお母さまと相談しておくわ」と言ってくれた。マドレーヌは内心驚いたが、「ありがとう、お母さん。よろしくね」と言った。ベスもにこにこと笑い、「ありがとうございます!」と言った。母は出ていった。

 

ベスが帰ったあと、マドレーヌは母に呼ばれ、下の階におりていった。母はココアのマグをマドレーヌに渡し、自分の隣に座るよう促した。マドレーヌは母の隣に腰を下ろす。ピリピリした緊張がふたりを包み込む。

「エマ・ブルームと連絡を取っているの?」

母が沈黙を破った。マドレーヌは予想していた質問通りだと思った。しかし、嘘をつくと余計に面倒になる。五秒間頭を巡らせ、マドレーヌは口を開いた。

「うん」

勇気を出してまっすぐ母を見る。母の顔がかすかに蒼くなった。

「何をしているの?危ないでしょう!すぐにやめなさい!」

マドレーヌは少しうつむいた。言いたいことを母は分かってくれるだろうか?

「私、おばあさんの知り合いだって知って、会ってみたくなっただけなの」

マドレーヌが言った。すると、母は予想外の動きをした。ハンカチを取り出して涙を拭いたのだ。

「そうね、あなたの気持ちもわかるわ。でも、危ないことだけはしないで。約束して」

「もちろん」

そう答えながらも、マドレーヌは罪悪感に苛まれていた。物わかりのよい母に嘘をつき、eメールのやり取りまでしているのだから…。

「エマ・ブルームとやり取りしているから、ケインホルムに行きたくなったのね?クラスメイトの話は本当?」

マドレーヌはベスの顔を思い浮かべ、「うーん、わからない。でも、私がケインホルム島に行きたい理由は、エマ・ブルームとのやり取りなの」と答えた。母はうなずき、マドレーヌにビスケットをくれた。甘く香ばしいビスケットを口に入れ、マドレーヌは自分の人生が大きく変わっていると実感したのだった。

 

さらに大きなチャンスがめぐってきた。なんと、母の妹のアンナおばさんがケインホルムに移り住んだというのだ。アンナおばさんと電話で話した母は上機嫌で、「マドレーヌ、あなた、ウェールズのケインホルム島に行きたいと言っていたわね。冬季休暇にどう?」と言ってきた。マドレーヌは思い通りの展開に驚き、ぼーっとしながらも「いいの!?ベスも誘っちゃだめ?」と尋ねた。エマ・ブルームの言った通りになりそうだ!

「実は、お母さんとエリザベスのお母さまとで相談して、行くことになったのよ」

やった!マドレーヌは体が熱くなり、興奮で顔を赤らめた。思わず飛び上がる。

「わー!楽しみー!」

母は微笑んで「ホテルは島に一つしかないんですって。そこを予約したわ!あなたからエリザベスに教えてあげてね」と言い、いたずらっぽく笑って「おばあさんの秘密を探りに行きたいんでしょ?」とも言った。マドレーヌは笑って首を縦に振る。マドレーヌは信じられないような気持ちで自分の部屋に行き、携帯を取り出してベスに電話した。はきはきと電話に出たベスに伝えると、「私のお母さんも言ってた!やったーーー!!!」と電話越しに叫んでいる。そして小さな声で「彼女に会えるね」と言った。彼女というのはエマ・ブルームのことだ。電話を切った後、マドレーヌはエマ・ブルームにeメールを送った。ケインホルム島に行けることになった流れを説明したのだ。すぐに返事が来た。「本当に嬉しいです。冬季休暇まであと一ヶ月。もう少し待ってください」だそうだ。

 

そして、冬季休暇前日。待ちに待ったケインホルム島への旅は、明日から二週間だ。マドレーヌは学校の終業式が終わるとすぐに帰宅し、荷造りを始めた。これまでにないほど興奮する。荷造りはすぐに終わったので、マドレーヌは残りの時間をエマ・ブルームとのやり取りをして過ごしていた。

「十一月五日、午前十時きっかりに、ウェールズのケインホルム島にある、戦時中の古い孤児院を訪ねてください。そこで私たちが待っています」というメールを最後に、エマ・ブルームからの連絡は途絶えた。マドレーヌはベスのお家にお邪魔し、二人でベスの部屋に閉じこもった。彼女に聞くと、ベスにも同じ内容が送られてきたそうだ。ベスは探検隊のリーダーぶって「いよいよ怪しくなってきた!この時刻に指定された場所に行けばいいんだね!」と言った。マドレーヌはうなずく。謎の解決まであと少しだ!

二人はどきどきしながら、しばらく考え事に没頭していた。が、マドレーヌが沈黙を破った。

「海に行きたい」

そう言って立ち上がる。

「いいよ」

ベスがニヤッと笑い、マドレーヌの肩をポンとたたいた。

「私、マドレーヌのことならよく知ってるからね!」

「長年の付き合いだものね」

二人はお互いの心情を無言で汲み取った。そして、「行こうか」とどちらともなく言い、ベスの母に「ちょっと散歩してきます」と伝えてから、外に出た。

十分ほど歩くと、新鮮な潮風が舞い込んできた。マドレーヌは寒空の下で靴と靴下を脱いだ。鞄の中に入れておいたサンダルに履き替える。

「さすがマドレーヌ、冴えてるね!私もだよ!」

ベスが声を上げて笑いながらトートバックの中に手を突っ込み、ビーチサンダルを引っ張り出して下に落とした。

「うわぁーっ、砂だらけ!」

砂がモワモワとサンダルを覆ったので、ベスは肩をすくめて砂をきれいにはらった。

「行こう」

マドレーヌはそうベスに言い、ゆっくりとした足取りで砂浜を踏みしめた。鼻から息を吸い込み、そっとかがみこんで波に触れる。氷のように冷たいと思っていたが、予想外の温かい水滴が指に触れた。鼓動が落ち着き、静かで心地よい波の音だけが聞こえる。

鳥が頭をもたげるように、波が持ち上がった。マドレーヌも立ち上がり、手を伸ばして腕を広げる。波は少しずつ近づいてきて、両手に温かい水がかかる。一定のスピードで波打つ海に触れていると、心が洗われて素直な自分になれる。マドレーヌは心を静めたい時、いつもここに来るのだ。いつだって海は自分を受け入れてくれる。ベスはその考えを肯定し、心の内を理解してくれる無二の親友だ。大好きな海は友達のように迎えてくれる。

いつの間にか、ベスが隣に来ていた。二人は波に触れ、沈んでゆく夕日を見つめていた。

 

その夜、マドレーヌはなかなか眠れなかった。緊張と興奮で目が冴え、暗闇に目を凝らして起きていた。明日からの旅行では一体何が起こるのだろうと考え、胸の高鳴りを抑えられない夜だった。ようやくうとうとし始めたのは、午前一時過ぎ!五時間後にはアラームの音で目を覚まし、眠い目を擦りながら起き上がった。それと同時に、素晴らしいことが起こる予感がして、マドレーヌは胸を抑えた。いよいよ今日から旅行だ!!

朝食を急いで飲み込むと、ベスと彼女のお母さんがやってきて、玄関のベルを鳴らした。二人とも大きなカバンを持っている。ベスの顔は期待で輝き、一睡もしていないように見える。

「おはよう!マドレーヌ~!!」とベスが駆け寄ってきた。そして、耳元で「いよいよだね」とささやいた。マドレーヌは満面の笑みで「そうね」と答えた。

 

期待に満ちた旅の最初はつまらなかった。船での長旅はだんだん飽きてきてしまい、気がつくと眠っていた。だが、ケインホルム島到着のアナウンスが流れると、マドレーヌはベスと手を握り合って興奮した。霧でよく見えないが、大きな島がそびえ立っている。崖のようにでこぼこした威厳のある島。ここに祖母の秘密が隠されているのかと思い、エマ・ブルームにも会えると思うとわくわくする。いよいよだ。待って待って待ち続けたこの日が、やってきたのだ!!マドレーヌは幸福感でいっぱいだった。謎を解くきっかけになることは間違いないだろう!

船が港に到着した。マドレーヌは母、ベス、ベスのお母さんと連れ立って、村に一つしかないホテルに向かった。そこは期待外れの汚いホテルで、どこもかしこもぼろぼろだ。しかし、そんな宿泊所も、マドレーヌの期待を失わせはしなかった。明日は十一月五日だ。明日になればきっと全て理解できるだろう。半日をホテルの部屋でぼーっとして過ごし、かび臭い肉と小さなトーストだけの夕食を食べたあと、部屋に戻ってきてベッドに横たわったマドレーヌはそう考えていた。時差ぼけと長旅の疲れで、すぐに眠りに落ちた。

 




第2話、いかがでしたか?
今回は、マドレーヌ’s motherそそのかし、海でまったりするマドレーヌ&ベス、旅行の始まりという内容でした。
せっかくなので、マドレーヌとベスについての文でも載せておきましょう。詳しい事は読んでいくうちに分かると思いますが、一応参考までに…。

マドレーヌ・ウェントワース
…本作の主人公。読書好きで、特に魔法ファンタジーが好き。明るい性格で、心優しく誰にでも親切。文系が得意で、幼少期から小説作りが趣味だった。幼なじみかつ家が近いエリザベス・トッカとは親友同士の間柄。
黒髪と鳶色の瞳をもち、髪型はひとつ結び。アーモンド型のきれいな色合いの瞳と整った顔立ちを、両親から受け継いでいる。
生真面目な性格ゆえ、何でも重く受け止めてしまいがちな面もある。勇敢で仲間を見捨てることのできないたちで、仲間から信用されている。彼女の性格のよさからか、友達も多い。

エリザベス・トッカ
…愛称はベス。マドレーヌ・ウェントワースのよき親友。運動神経がいい。ピアノにかけては天賦の才能があり、マドレーヌをはじめ、家族や学校の友達など、多くの人に尊敬され、認められている。
キャラメルのような色味の髪と淡いブルーの瞳をもち、青い眼鏡をかけている。
さっぱりした元気な性格で、あまり何事でも気にしない、おおらかな気性の持ち主。真面目で仲間のために尽くす優しい少女でもあり、戦いでもマドレーヌと共に仲間のために命を落とす覚悟でいた。また、非常に寛容で、仲間を気遣うことも多い。

※この“仲間”が誰かは物語が進んでいくうちに分かりますのでお楽しみに!(意味深)

ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは、第3話でお会いしましょう!
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