シャドウランもっと流行れ。

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シャドウランナー”とあるサムライの場合”

 ―――喧騒、怒号、笑い声。そんな音が周りから発せられる中、君はチラリと周りを見渡す。ある者は異様に度の高い酒をラッパ飲みし、ある者はソイフードをつまみにチビチビと、中には酔い潰れたのかグッタリカウンターに突っ伏している者もいる。ここは、第六世界のストリート、その一角の何処にでもある酒場の一つ。名は、『死神の休憩所』。

 

 君は今、この酒場で用心棒をしている。昔、この酒場の店主に世話になり、その恩義から格安で引き受けているのだ。ストリートでは、感情より実利が優先されることが多い。その為、君はかなり稀な例と言えるだろう。そうするのが"賢い生き方"と言うやつらしいが。

 

 時は深夜の0時、君は短い休憩時間に手早く食事を済ませようと、ソイ・ハンバーガーに手を伸ばそうとする。そしてその寸前、君の携帯端末――コムリンクの中から急に声が聞こえてきた。

 

『おーい、何してるんダ?……飯か。そんな事よりかまってくれヨ~。ヒマ!!』

 

 君は、その声を聞き"またか……"と思いながら、自身のコムリンクとサイバーアイをリンクさせる。すると、君の目の前に白人の元気の良さそうな美少女が現れた。とは言っても、その姿は強化現実で生み出された虚像なのだが。

 

『オ!やっと反応してくれたゼ。オイオイご主人、たまに話そうぜ~……ン?さっきも話した?あれは仕事の話だからノーカン!!』

 

 彼女は、君が昔とある仕事で襲撃した研究所で、研究用として捕らえられていた亜知性体で在る。

 …そう、彼女はプログラムの進化系とも言われることもある、あの"亜知性体"なのだ――"AI"と言ったほうが解りやすいだろうか?まあ良い。

 君は、その研究所からお目当てのデータを隔離ノード――メインコンピュータの事――を抜き取りそのまま逃走をしたのだが、そのデータの中に彼女が紛れ込み、そのまま君のコムリンクに居着いてしまったのだ。そのせいでかなり酷い目に君は合ったのだが…それはまたいつか、機会があれば話そうか。

 

『ナーナー、そういや最近コレ以外の仕事受けてねえけど、大丈夫なのか?カネ』

 

 そんな事を彼女は、君がソイ・ハンバーガーを食べているのを見ながら言う。確かにコレばかりしか仕事を受け無いのもあれだなあ、そんな事を君は考える。だが、そんな簡単に仕事は見つからない。そう考えていると…

 

『どうせ"仕事なんてそう簡単に見つからない"とか考えてるんだろ?そんなご主人にいい知らせダゼ!』

 

 …どうやら、思っていたより君の助手は優秀なようだ。

 

『何でも、最近ここらでバカやったサムライに賞金が掛けられてるようダゼ?お値段なんと二千新円!!それと、ここらで規模のデカいギャングに喧嘩売ったサイバーリムの男がいるようでな?そいつも首一個で二千新円らしいぞ?』

 

 ほむ、そいつらは相当のバカをやったようだ。首一つで二千新円とは、今頃賞金稼ぎ共が血眼になって探しているだろう。それだけあれば一か月は暮らせる。そう、君は思いながらソイ・ハンバーガーの最後の一口を頬張ろうとする―――その時だ、

 

 

 パンッ

 

 

「アァンッ!!お前何言ってるか解ってんだろうなぁオイッ!!」

 

「そっちこそ殺られる準備出来てんだろうなぁッ!!ゴラッ!!」

 

 乾いた銃声、そして響き渡るドスの効いた怒号。どうやら、店の奥に居る銃を持った二人の男から発せられたものらしい。周りは銃声を聞いてすぐ、逃げたりニヤニヤしながらそちらを見たりしていた。男二人はお互いを睨み合いながら銃を突きつけあっている。見たところ、それなりに双方武装をしているようだ。流石に取っ組み合いは程度はともかく、派手な銃撃戦を店の中でやられるのは御免被る。

 

『アチャー、休憩中にお仕事案件ダナ、ご主人。どうする?アイツら軽く調べたら鋼入りだったけど』

 

 …鋼入り、それは一定以上の肉体改造を――特に反射強化を――している事を意味する。要は強い、それこそそこら辺のチンピラが挑んでも余程運が悪く無ければグリッジしなければチンピラの肉塊が出来るだけだ。…だが、君もコレ暴力でおまんまを食っている人種である。その程度で引き下がるわけにもいかない。そう思いながら君は、静かに席を立った。

 

『ま、ダヨナー。それじゃあアシストは任せロー。相手がサムライならアテの独断場だゼ!』

 

 そう、AIは言いながら消える。恐らく相手のサイバーウェアに侵入し、動きを止めようとでもしてるのだろう。有りがたい事だ、そういった頭を使う事は正直苦手だからな。そんなことを思いながら、君は男達に近づく。

 

「テメエ急に近寄ってきてんじゃねえゾオイッ!!」

 

「ンァッ!!テメエら見せもんじゃねえんだぞゴラッ!!」

 

 …どうやらかなりチンピラ度がお高い様子。これは骨が折れそうだ。さて、これを落ち着けるにはどうするか…余り暴れたくはないのだがな、店に傷が付くのは頂けない。そう、君は考える。

 

『ご主人!!こいつらさっき言ってたこ賞金首と近所のギャングに追われてるバカ!』

 

 そう、君はAIから聞いたとたん「前言撤回」と言うテロップが頭に浮かび上がり、男二人を捕まえる――店を血で染めたくない――方法を考える。これでも修羅場馴れしている君の頭脳は的確に状況から最善の策を練りだす。そして、AIに作戦を話した後、それを実行に移そうと、賞金首の方に近づく。

 

「アアッ!!オイと止まれって言ってるだろうがアァッ!!」

 

 そう言い、賞金首の方がもう片方の手で銃を持とうとする…が

 

「ッガ…!?」

 

 その瞬間、銃声とともに賞金首の両腕から血が噴き出す。何が起きているか状況が掴めない無いまま腕を抑える賞金首。そして、その一瞬が命取り。君は、目にも止まらぬ速さで男に組みつき…

 

「ッガあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ」

 

 力任せに右足をへし折る。そうすると、賞金首の男は痛みからか泡を吹き気絶する。根性のない奴だ、まあ楽になるからいいが。そう君は思う。

 

「んな!?何が起こってんだ!?クソッ!クソッ!!何で体が動かねえんだッ!!クソッ!!」

 

 …そんな事を考えていたら、彼方も粗方終わっていたようだ。ん?どうしてサイバーリムの男の体が動かないのかって?それは…

 

『フハハハハハハハ!!私に入れないマトリックスなど無いのダヨ!!あ、メガコーポはムリ!!』

 

 そう、AIの仕業だ。彼女は君が賞金首を相手取ってる合間に、事も無さげにマトリックスからサイバーリムの男のコムリンクに入り込み、サイバーリムの男のサイバーリムを全て停止させたのだ。流石だ、そう君はAIに言う。

 

『どうってことないサ!!それよりまた今度一緒に出掛けようゼ!!マトリックスに!!』

 

 …まあ、頑張ってくれたのに何もしないのはダメだな、そう思いながら君は、二人の男を拘束する。

 

「おうおう、休憩時間中に悪かったな!」

 

 奥から、妙に強そうな初老のおっさんが出てくる。そう、あのおっさんこそこの酒場の店主なのだ。

 

「さてと、こいつらの身柄はギャングと企業に送り付ければ良いな?ああ、勿論ピンハネなんぞせんから安心しろ。こちらが格安で仕事を頼んでる身だからな、これくらいはするさ。」

 

『酒屋のおっちゃん!!今度何時休み取って良いカ??』

 

「ん?ああ、AIちゃんかい、次の休みは明日だが…それがどうした?」

 

『ヨッシャ!!ご主人!!じゃあ明日出掛けようゼ!!』

 

 君はそれを聞き、今日は世話になったしたまには相手しないとな、そんな考えを巡らせながら、店の裏に止まったワゴンに拘束された男たちを運ぶ。

 

 

 

 

 時は2072年、近未来の、サイバーパンクと魔術が出会う辛く厳しい世界。そんな世界でも、彼らはこうして生きている。

 

 さて、最後になるが、この世界で一番有名なこの警告を君に贈ろう。

 

 

 

 

 「背中に気をつけろ。ためらわず撃て。弾を切らすな。ドラゴンには絶対、関わるな。」

 

    ―――ストリートの警告

 

 

 

 

 




とりあえずシャドウランの導入的なの書きました。
シャドウランもっとはやれ。

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