やはり俺の現実逃避はまちがっている。   作:ソロ

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他作品を投稿してしまう大失態。
18時台に閲覧した方申し訳ないです!


第32話 最前線へ

 

 

小町を後ろに載せて、’最大限’気を配って、夕暮れの道を走る。ポケモンG〇実装当時の『影響』を覚えている人ならわかるだろう。『便利』な物によってもたらされた社会問題の1つである。

 

そして、そのゲームで’何か’が起きている。壺井さんから送られてきた座標に俺は方向を変えた。

 

 

 

交通規制がかけられた場所の路肩に停車する。

すでに21時か。

 

「お前らも来たのか。」

 

「おお、明日奈さんと和人さんじゃん!」

 

バイクから降りると、話しかけられる。

 

「おっせーぞ、キリの字、バサカ!……おっ、明日奈や小町ちゃんも一緒なのか。」

 

「キリト君があんまり乗り気じゃないので、引っ張ってきちゃいました。あとじゃんけんで勝ったので。」

 

壺井さんたち、元ギルド《風林火山》のメンバー5人が俺たちに近づいてきた。少数ながらも攻略組の一員で、リアルからの友人だったらしい。

 

「うーし、みんな2人にいいとこ見せるぞ!」

「「「「おー!」」」」

 

 

……そろそろか

 

ポケットから小さな筒状の機械を出す。

 

「「「「「オーディナル・スケール起動!」」」」」

 

俺たちの服装、いや《装備》が変わる。

 

 

そして、《世界》が広がる。

 

―――既視感のある石畳の西洋的なフィールド。

 

現れたモンスターは、《刀》を持つ巨大なトカゲ人間の武士。

 

「あれはアインクラッド第10層ボスモンスター《カガチ・ザ・サムライロード》!」

 

「本当に、SAOのボスそっくり。」「そうなんですね。」

 

「今の俺たちはソードスキルを使えない。だが攻撃パターンが昔と同じなら。」「アドバンテージはあるよな。」

 

 

 

―――ざわざわ

 

「ユナちゃん!」「歌姫キター!」「これで勝つる!」

 

「みんな準備はいい?さあ、戦闘開始だよ。ミュージック、スタート!」

 

幻想的な曲が流れ始め、降り立つ白髪ロングの美少女が歌い始める。俺たちの各種ステータスがアップする。これはこのゲームの仕様である。

 

―――わいわいガヤガヤ

 

「いこうぜー」「おもしろくなってきたー」「しびれるぅ」「夜戦だ夜戦だー!」「うわー」「ぎゃー」「ヒャッハー!」「マジ、ヤべーイ!」「ちょっとタンマ!」「銃じゃあんま効かないな。」「でも、接近戦は怖いよ。」「なんだもうゲームオーバーかよ。」

 

 

キリトは、無骨な《剣》を見ているままだ。

しかし本能的に、俺たち同様、トカゲ武士の攻撃を躱す。

 

風林火山のメンバーの連携がボスを押していく。2人のタンクが敵のタゲを取り、3人が遊撃していく。しかし、どこか動きにキレがない。

 

 

「身体が重い…やはり《仮想世界》とは違うな。」

 

そう言って、彼は踏み出し、ボスに勇敢に向かっていく。その走り方はまるで《キリト》のような動きだ。だから無残にこけた。

 

 

 

俺はため息をつきながら、前線に出る。

 

なんて緊張感のない戦い(ゲーム)だ。

 

 

ボスの振り下ろした刀を、下から両手剣を振り上げ、弾きかえす。

 

(スイッチ)心の中で伝えあう

 

小町が片手剣で、すれ違いざまに斬る。

 

 

ボスのHPはあとちょっとというところ。

なぜかトラのアバターにしているプレイヤーが肩に載せた《銃》のバズーカの弾を放つ。

 

「ラストあたっくいただきぃ!……やべっ。」

 

歌うユナに向かっていく弾を『2位』が、単発の《剣技》で防ぐ。

 

「大技が来るぞ。タンクのやつはついてこい!」

 

 

HPが少なくなって、ボスが特殊な動きをするようになった。

 

抜刀して出された2つの剣閃を、アクロバティックに、躱す。

 

その動きはまるでパルクールだ。

 

まだ実装されたばかりのゲームで、既視感のある《剣技》に対応できるのは、熟練のプレイヤーだけだろう。もちろん、リアル剣士もいるかもしれないが。

 

風林火山のタンクと協力して、ボスの《剣技》を防いでいく。

 

 

ダメージディーラーのエイジが一太刀浴びせて、

 

スイッチ

 

明日奈のリニア―がボスを貫き、砕け散る。

 

 

 

―――ファンファーレが鳴った。

 

「すっげーな。」「なんであんなに。」「俺何もできなかったよー」

 

「ボスモンスター攻略おめでとー。ポイント、サービスしておいたよ!」

 

「おお!」「やったぜ」「ラッキー!」

 

「今回、一番頑張った人にご褒美をあげるね。……今日のMVPはあなた、おめでとー!」

 

「いいなー。」「キマシタワー!」「ひゅーひゅー」

 

ユナは明日奈のもとに近づいていき、頬にキスをする。

 

ファンは羨ましがっていて、和人は動揺している。

 

「じゃあ、まったねー!」

 

手を振りながら笑顔で去っていく。

 

 

 

俺はメニューを開き、《ランキング》の一覧をスクロール。

 

2位の名前は《エイジ》、1位の名前は《》。

2位のプレイヤーの名に見覚えはない。

 

それにもしかして1位の空白って《英雄》に扮した《魔王》じゃないだろうな……。

 

 

いまだ収まらない騒ぎに、俺は顔をしかめていた。

 

 

 

***

 

 

ALOでの、いつメンのたまり場は、誰かのホームであることが多い。例えば比較的広い場所で、キリト宅、エギルやリズベットの店が挙げられる。最も広い場所と言えば、この《奉仕部》のギルドホームである。ともかく今日も真夜中に俺たちは集う。住んでいるところが離れていても、いつでも直接顔を合わせることができる。

 

しかし、ALOから、いや《仮想現実》から離れていっている者は多い。

 

 

「いやー、ARで戦うボスも本家同様の攻撃パターンとはいえ、生身で動きまくったから、身体バッキバキだぜ。」

 

「よくそんな人数で倒せたな。」

 

「ミカヅキさんが頑張ったからでーす!」

 

「そりゃあ、攻略組が9人もいたしな。」

 

今日の話題は、ホットなもの。

《オーディナル・スケール》のボス戦らしい。

 

「キリト君、バテバテだったけどねー。」

 

「お兄ちゃん、運動不足だから…」

「呆れた。」

「キリトさん…」

 

「ぐっ、AR戦闘に慣れてないだけだよ……。そうだ、ユナっていう子も応援に来てくれたな、最後にはボーナスくれた……」

 

その言葉に驚愕したファンが騒ぎ始める。それぞれ立ち上がり、いくつかのグループに分かれて、会話が始める。お喋り好きな女子が多いこの空間で、今まで全員座っていたことが奇跡だ。

 

 

「そういえば、ライブはみんな行けるのよね。」

 

「そうそう。楽しみだね、ユキノン!」

 

「シノちゃん、ホントありがと!」

 

「運がよかっただけよ。」

 

それはユナのファーストライブのことである。ユイユイと抱きしめ合っているユキノンや、妹と抱きしめ合っているシノンがくじに当たったおかげでいつメンは全員参加のようだ。

 

「あたしたちは強制的に参加なのですけどね。」

 

「そんなグウェンも楽しみらしいです。」

 

「ちょ、なんでバラすの!」

 

帰還者学校の俺たちは、行事として全員参加が義務付けられる。俺はファンでもないし、騒がしいだろうライブに参加したくはない。詩乃や小町の生歌を聞いていた方が何倍もいい。

 

 

「そういえば、本当にSAOのボスだったんですか?」

 

「そうだな。第10層の……」

 

「ああ、あのトカゲか。」

 

今思えば、あいつ2刀流だった気がするぞ。《二刀流》スキルではなく、モンスターだからデメリットのない《剣技連携》をしていた気がするぞ。

 

「へー、ま、攻略組じゃないあたしたちは見たことないけどね。」

 

「何か起きているのかな……?」

 

「私たちのほうも調べてみているのだけれど…。」

 

雪ノ下の実家の調査でも分からず、仮想課が情報をくれないということは、よほど巧妙に隠しているのだろう。だからこそ、気を引き締めなければいけない。

 

「エイトはどう思う?」

 

「さあ、どうだろうな。……ただ、この状況に横槍を入れてくるやつらは、いるかもしれないな。」

 

―――空気が重くなる。

 

 

 

「ナーヴなんとかとはちがうんだよね?」

 

「ナーヴギアよ。」

 

「5文字くらい覚えろ。そうだな、たしかにゲームオーバーで死ぬことはないな。」

 

「ししょ……エイト、あまり無茶するじゃないですわよ。」

 

「ミカヅキさんもですよ。」

 

「エイトの手綱はしっかり握っておくわ。」

 

「任せてね!」

 

ほんと、いいやつばかりだ。

だからこそ俺たちは、彼女たちを危険にさらしたくない。

 

相棒は最前線へと向かう。

 

 

 

 

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