萌え声クソザコ装者の話【and after】   作:青川トーン

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ややセンシティブな思いつきです
解釈違い…?の可能性あり、刺さないでくだち!


fall

 梅雨の中で私の18の誕生日が来た。

 すっかり歌手が本業になってしまって、ここしばらくおりんどころか加賀美詩織としても配信してませんでした。

 

 世間の目も、目覚ましい技術の発展や新しい話題に行ってしまい私はなんだか置いていかれてしまいそうで寂しいと思いました。

 

 自分でも非日常が日常になってしまっていて、麻痺してしまってるなとは思います。

 命を燃やして駆け抜けて来た日々を思い返してみれば、もう一度同じ事を繰り返したい、だなんてとてもではないが思いません。

 

 というか同じ事が出来るかと言えばNO。

 よくその時の私はそれを選べたのかと疑問に思うレベルです。

 

 後悔も失敗もある、けれどおかげで今がある。

 ありがちな言葉の意味を私は本当の意味で知れた。

 

 だから過去の私にウソをつかない様にしよう、約束を守ろう。

 

『せっかくなのでスーパーメタノイアRTAやりますわよ』

「誕生日にRTAを走る女」「そうわよ(便乗)」「あら付け合わせのミックスベジタブルが何かいってらしてよ(お嬢様部)」「50年前のゲームでしてよ!?」

 

 最近何故かリスナーとかファンにお嬢様口調が流行っている、というか実際に私のファン層に女性ファンが増えている。

 ついでにアンチの女性も増えている。

 

 おまけに夢女も増えている……ツブヤイターで私に口説かれたいという謎の集団に私は困惑した。

 

 そして、それを見た翼さんがニヤリと笑ったかと思うと私と写った自撮りを載せて宣戦布告し、クソバズっていました。

 

 この一年、翼さんはすっかりヤンチャになってしまわれた……スケートボードでスタントマン顔負けのアクションをしたり、ロックやメタルにも手を出し始め……ついでにアニメの主題歌を歌ったり、それはもうあらゆる事に挑戦していた。

 それは新しい何かを学ぶ事で、自分自身の新しい一面を見つけ出す事……。

 

「詩織ぃ……誕生日だというのに私とのイチャイチャよりもRTAを優先するのか?」

 椅子に座り画面に向き合う私を後ろから抱くのは髪を下ろした翼さん。

 コメント欄が「あら^〜」で埋まる。

 

 そう、翼さんがこうして滅茶苦茶挑戦している原因は私にあった……翼さんの新しい側面を見せられる度に私は感極まってより深みへと堕ちてしまう。

 より深く翼さんを愛してしまうのです。

 

『RTAは中止して、今日は翼さんとのイチャイチャを見てもらいたいと思います』

「おりん即堕ちRTA」「何故か走者が一人しかいないRTA」「世界記録更新おやめなすって!」

 

 こうして翼さんに想われる事に、私は喜びを感じている。

 でも同時に解釈違いに感じている私もいる。

 

 翼さんの愛と歌をもっと多くの人に行き渡らせて、世界を翼さん色に染めたい、だというのに翼さんの愛と歌を独占してしまいたい矛盾。

 

 いえ、私が翼さんに独占されている……!?

 翼さんが愛おしすぎて全てがわからなくなりそうです。

 

『ほら、情けない顔を皆に見てもらおうな詩織』

『ひゃへ……』

「あら^〜」「むっ!」「おどりゃ加賀美詩織!羨ましすぎて妬ましいわ!」「センシティブすぎですわ!」

 

 ああ……私は一体どこまで堕ちるのでしょうか?

 翼さんにどこまで落とされてしまうのでしょうか?

 

 期待と歓喜に思わず心が震えた。

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