萌え声クソザコ装者の話【and after】   作:青川トーン

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再生

 

 こういう無茶をした時は大体、長い間寝てる気がします。

 体は……万全、自切したはずの肩も無事だし、何処にも余計な穴は開いてない。

 私が起きた時には、翼さんやマリアさんは日本に帰って来てるし。

 エルフナインちゃんも無事二課もといSONGが保護、聖遺物の欠片も無事に届いた。

 

 しかしイガリマとシュルシャガナ、つまりは切歌ちゃんと調ちゃんのギア以外が新しい敵……アルカノイズとオートスコアラーによって使い物にならない状態にされてしまい、強化改修の計画が立った事。

 

 そして私と入れ替わりで立花さんがメディカルルーム入り。

 

 というかこのメディカルルーム……いつも私か立花さんが入ってますよね。

 そろそろ私物とか置いたほうがいいんじゃないでしょうか。

 

 と近くに居たスタッフに私が聞いた説明はここまで。

 

「詩織!よかった、目を覚ましたんだな!」

「ええ、ちょっと無事じゃありませんでしたけど無事に復活しました。しかし翼さんも大変でしたね……」

「……ああ」

 

 せっかく平和になって夢を追えると思った矢先にこれですからね、ホントに。

 許すまじアルカノイズ、許すまじオートスコアラー、許すまじキャロル。

 

「起きたか、詩織くん」

「いやはや、随分長く寝てました……で簡単な状況は聞いてます。で、私の状態は体は万全ですけど、色々話をしなきゃならなさそうですね」

 

 今、この場所に居るのは司令、翼さん、クリスさん、そしてエルフナインに……画面に向き合ってる藤尭さんとあおいさん。

 

「詩織さん……あの時は巻き込んでしまってごめんなさい……でもおかげで無事にここまでこれました」

「まあ巻き込まれたのは自分からですから、気にしないでください」

「それでも……」

「まぁ感謝だけは受け取りますよ」

 

 エルフナインちゃんも無事でよかった、それで十分だ。

 

 っと一人滅茶苦茶バツが悪そうな人がいますねぇ。

 

「なぁーにショボくれてんですかクリスさん」

「……ショボくれてなんて……ただアタシが間に合わなかったから、ノイズなんかに遅れを取ったから……」

「じゃあ、罰として今度ホラゲー配信で許します」

「はぁっ!?今はそれどころじゃ」

「なんですか怖いんですか」

「こ……こわかねぇ!けどここで言うような事じゃねぇだろ!?」

「まぁ、クリスさんへの罰はそれで十分でしょう。むしろクリスさんが無事だったのでオッケーです」

 

 ぶっちゃけると、目が覚めた時。

 あのアルカノイズの攻撃がシンフォギアの防御を無効化した事を思い出して、背筋が凍る様な思いをした。

 

 もし、誰かが居なくなっていたならどうしよう。

 そんな不安で一杯でしたが、皆無事……いや立花さん病室送りになってますね……。

 

 はぁ、それもそうですが……。

 

「司令、エルフナインちゃんから聞いてますか?私の事」

「…………ああ」

「死の淵から炎を纏って復活、まるで……いえ、そのままフェニックスです」

「その件は、もう決着がついている」

「どういう形で?」

「……SONG協力員である君が救助中にエルフナインくんが持っていた聖遺物の一つを使って倒れた、という事になった」

 

 ……そういう、決着になったのですか。

 

「私のギアの事は」

「そんなものはない」

「……戦う力は戻りました」

「そんなものはない」

「今だって炎を出そうとおもえb」

「ふざけるな!!!!」

 

 ……ッ!!

 

「君のメディカルチェックの結果は「人間という事になっている」!これ以上自分を削るな!命を大切にしろ!これ以上……これ以上ッッ!」

 

「なぁ……どうしたんだよ!オッサン!?」

「司令、いえ叔父様、一体……」

 

「………すみません、司令……でも確認しておく必要があるんです」

 

 司令が、こんなに怒りをあらわにするのなんて、初めて見ました。

 翼さん達も、驚いています。

 それ程の事なんでしょう。

 

「………君は、詩織くんは……検査の結果……「シンフォギア」そのものとなっている」

 

 シンフォギア、そのものですか。

 

「基本となる身体機能は人間と変わらない、だが心臓に融合した「赤い羽根の様なモノ」を収納した結晶が完全にシンフォギアシステムと一致、アウフヴァッヘン波形も検知されている……」

 

「そう、ですか……覚悟はしてましたからそこまでダメージはないですが……やっぱり私、人間じゃ」

「人間だ!誰が何を言おうと!君は、君は普通の少女だ!」

 

 ……そうですね、心までは人間である事を捨てたつもりはありません。

 

「すみません、そしてありがとうございます」

 

「これは、極秘中の極秘、決して口外するな、この場に居る者だけの秘密とする」

 

 ……本当に司令は、優しい人だ。

 優しすぎて、どうしようも出来ない自分に怒りを感じてしまってる。

 

 そんな人の重荷になってしまってる自分が少し嫌になりますが、それでも。

 

「この胸のシンフォギア、いえ区別する為に「フェニックスギア」とでも呼びましょうか……これは私の命そのもの、みたいです。炎を使った時「何かが減る」感じがしました、だからもう使う事はしません、それは約束します、絶対にです」

「詩織くん……」

 

 この胸のギアで戦うのは、本当に最後の手段とします。

 おそらく、このギアを使い続ければ私は「今度こそ、確実に死ぬ」。

 

 

 だけど、この現状で「戦える」のは。

 

 

「ですが、代わりに再び「イカロス」を纏う事を許してもらえますか?今、マトモに動けそうなのはアレだけでしょう」

「しかし……アレは侵食への対策も、完全な修復も出来てない!」

「動けるかどうかだけ……」

 

 さすがに「私そのもの」を使うに比べれば、司令も「少しだけマシ」と反応をしてくれました。

 

「それならすぐにどうにか、出来るかもしれません」

 

 と思わぬ答えが来ましたね、エルフナインちゃんから。

 

「侵食と修復のどっちですか?」

「おそらく両方、です。ただ強化改修までは行かない事を前提とすればですが」

「そんな事が出来るのか……!?」

 

 司令も驚きの声を上げる、確かにアレがどうにかなればイカロスは貴重な戦力になる。

 

「はい、天羽々斬、イチイバルと共に見させてもらったイカロスとその「蝋」のデータから、侵食が始まる前に「焼却」してエネルギーへ再変換すれば、侵食は防げますし、出力自体の上昇にも役立ちます……ただ」

「ただ……なんですか?」

「その焼却が長く続けばイカロスの中の聖遺物の欠片である「蝋」までもが焼却されてしまい、ギアとしての装着が出来なくなります」

「どのくらいの時間だ?」

「まだそこまではわかりませんが、そう長くは持たず完全に中の聖遺物が燃え尽きてしまいます」

「……そういえば、「蝋」の予備なら沢山あるじゃないですか」

 

 そこかしこにサンプルとしてばら撒く程の予備があるんです、どうにか使えないでしょうか?

 

「それなら……それをカートリッジとして「交換」できれば、継戦時間は上がりますね……改修の際に取り外し可能に出来ないか試してみます」

 

 やっと使い道が見つかりましたね、いやよかったよかった。

 

「それが可能なら、状況は少しはマシになるかもしれんな!急ぎイカロスの封印指定の解除申請を行う!エルフナインくん……プロジェクト・イグナイトに続き、頼めるか!」

「はい!」

 

「なぁ、詩織……色々話がぶっとんで付いていけなかったんだけど……結局またイカロスを纏うってのか?」

「はい」

「詩織……あれは一度は貴女の身を蝕んだギアだ、本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫になる、と思います」

「思いますってなぁ……」

 

 やってみなきゃ結果はわからない、だから……。

 

 

「果報は、特訓でもして待ちましょう」

 

 

 二度も人間やめりゃ、慣れるってものです。

 でも、前と違って簡単にこの命、使いませんよ。

 

 

 私は、生きます。

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