萌え声クソザコ装者の話【and after】   作:ゆめうつろ

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きらめき

 

 向こうにはどんな装者が居る、かですか

 この世界でも同じ様に適合できるとは限らないし、皆ワケ有りなので少し名前は伏せさせて貰いますが

 そうですね、例えば……

 

 繋ぐ手の彼女は、凄く強い人です、実際に装者としてもなんですけど、何度だって諦めずに手を伸ばし続ける人助けのプロみたいな人です……

 それに心の強さでは、はっきりいって敵う気がしません、ただし勉強はダメですね私と同レベルです

 

 銃使いな彼女は、そうですね……結構言葉が強いというか典型的なツンデレですね、意外と話しやすい相手です

 ただ突っ走りがち……いや、私達全員どこか突っ走りがちな面があるんですけど、結構繊細なんですよね

 でも将来は歌で世界を平和にしたい、なんて夢を持ってたり、表面だけで判断してもらいたくない子筆頭ですね

 

 銀の手のあの人は、母性ですね、母親ってああいうのをいうんでしょうね……私はよくわからないんですけど

 悪い事以外なら何でも出来る凄い人ですよ、あの人は……でもトマト嫌いだったりちょっと子供っぽい所もあったりするんですよね

 

 鎌のあの子は、常識人と自称してるものの結構お馬鹿……恥ずかしながら私同様に装者学力テストをすると下半分に入る子ですね、おまけに語尾にデスっていう安易なキャラ付けですよ

 でも底抜けに明るくて、元気なので子供らしい子供って感じますよねそこだけは

 

 鋸のあの子は、無口でクールで、鎌の子の相棒というかストッパーって感じですね、でも見た目クールでも心の中に熱いものをもってるのは皆と同じですね

 

 そして最後に、翼さん

 あの人がいなければ私がここに今生きている事もなかったでしょう

 勇気を、生きる希望を、世界に色をくれた

 世界に希望を届ける為に日夜装者としても、歌手としても活動してて

 海外進出まで果たしたんですよ?

 

 それでですね、何より向こうだと翼さんの方から私の事を友達だ、って言ってくれて

 もう、本当に私は翼さん無しでは生きていけないんですよ

 

 あ、また早口で気持ち悪くなってましてたかすいません

 

 とにかく皆、頼れる仲間です

 

 で、私なんですがそんな皆の活動を知ってもらう為に、世界に皆を応援してもらう為に広報をやっていました

 

 最初は流れでそうなってしまったんですけど、世界の為に戦っている人達が居ると知ってもらいたい

 いつか困った時に手を貸してまでは行かなくても、応援してくれる人が居るっていいじゃないですか?

 

 まぁ私個人の想いなんですけど、一緒に歌ってくれれば万々歳ですね

 歌は私達、装者の力でしょう?

 

 

-----

 

「お前がお仲間さんを大事に想っているのはよく伝わったよ、羨ましいよ……まったく」

「それは、まあはい……」

「……もし叶うなら会って見たい、かな」

「……叶う可能性は0ではありませんね、こうして私が居る様に、何かしらの理由で向こうの世界と繋がって、会える可能性もありますよ、むしろ繋がってくれないと、私が困るんですけど」

「そういやそうだな」

 

 いっそのこと、二つの世界が一つになってくれればいいのに。

 

 奏さんが生きてて、皆も生きてて、ノイズはいなくなって。

 でもそれはきっと無理だ。

 

 こっちで死んでいて、向こうで生きている人、こっちになくて、向こうにあるもの。

 沢山矛盾がある。

 だから多分無理だ。

 

 でも、私が帰ったなら、また奏さんは一人で。

 

 …………

 

 結局は、全部エゴで、何が正しいだとか何が間違ってるかなんて、結果でしか語れませんよね。

 

 無責任かもしれないけれど。

 

「もし奏さんがいいなら、私と友達になってくれませんか」

「……なんだそりゃ」

「ずっと一人で戦って来た奏さんを少しでも元気付けられる様にと……」

 

 

 

「無理だな、だってお前は元の世界に帰るんだろ?そしたらまたずっとお別れだ、あたしは……もう失いたくない」

 

 

 少しの沈黙の後に、奏さんはそう答えた。

 

 ……全部が全部上手く行くとは限らない、ですね。

 

「……すみません、変な話しちゃって」

「いいんだ、お前がなんだかんだあたしの事を気遣ってくれてるのはよく伝わった、でもこれはこの世界のあたしの問題だ、いつか自分で解決するさ」

 

 やっぱり私に出来る事は、少ないですね……私は無力、です。

 

 

「でも、仲間にならなってやらなくもない」

「えっ」

「帰るまでは、一緒に戦ってくれるんだろ?」

「はい」

「じゃあ仲間だ」

「はい……はい!」

 

 ……結局、私は自分が心細いから、誰かを求めていた。

 それだけなのかもしれません。

 

 気遣うつもりが、気遣われて……まったく私はダメな子ですよ……

 

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――まったく、世話の焼ける奴だ

 

 奏は内心溜息をつく、目の前の少女は誰に似たのか不器用で、積極的で。

 その誰とは言われなくても翼だ、翼に影響されてる、しかもその翼は別の世界の奏の影響で変わった翼だ。

 だからなんとなく分かる、分かった。

 

 まるで預けられた親戚の子を見ている様な気分、が近いと奏は感じた。

 

 だけど、まるで知らない環境にいきなり放り込まれたなら、こうもなるとも感じる。

 本当によく似た違う世界から来ているのなら、いや未知のあのシンフォギアと話から間違いなく違う世界の住人だとは確信していたが、不安にもなるだろう。

 

 一人ぼっちで、帰る場所もない少女。

 

――放っておいたら、翼になんて言われるかわからないからな

 

 ずっと、ノイズへの復讐だけを考えてた筈だった、戦う事以外を全て捨てて、歌う事さえ捨てた自分の姿なんて見て欲しくなかったと思っていた。

 

 だけど無くした何かを思い出した様な、そんな気がした。

 


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