萌え声クソザコ装者の話【and after】 作:青川トーン
最近は某エミカスとかよんでました。
詩織もピロシキにしたいなと思いました。
東京番外地、かつてフィーネとの戦いで大きな被害を受け、いまだ復興されていない場所で「黒いノイズ」の出現パターンを検知し、ヘリで6人の装者達は現場へと向かいながら「最後の打ち合わせ」をしていた。
「もう一度確認するわ、私と雪音と立花の3人で絶唱を「束ね」て、アガートラームの力であの黒いノイズで「ゲート」を開く、作戦時間は60秒、もしそこで詩織を見つけられなければ捜索は中止、戻ってきてもらう事になるわ」
「……」
「翼、もしも詩織が見つからなくてもこれが最後という訳ではないの、だから絶対に帰ってきて。もしも別の手段で詩織が帰ってこれたとしても貴女だけがいなくなってたら、彼女がどう思うか、貴女ならわかるでしょう?」
「なんなら代わりにアタシが行ってやってもいいんだぜ?」
この作戦で自由に動く事が出来る装者はクリスと翼の二人のどちらかだけだ。
鍵となる響とマリアは外せないとして切歌と調は「ゲート」を開いている間、無防備となる3人の装者を守らなければならない、そしてゲートを開く為には最低でも3人分の絶唱のエネルギーがなければ厳しい。
つまり一人しか行けないのだ。
「冗談はよせ雪音、詩織を助けに行くのは私の役目だろう、私は大丈夫だ……心配するなマリア、必ず詩織を連れて帰ってくるさ」
翼の心の中には不安があった、だがそれ以上に、大事な友を失う事が耐えられなかった。
「そろそろ着くわ、まずはノイズを減らさなきゃ始まらない、切歌!調!お願いね」
「任されたデース!」
「マリア達の邪魔は絶対させないから、安心して」
「詩織を助ける為とはいえ無茶すんじゃねえぞ、特にお前が倒れたら話にならないんだから!」
「わ、わかってるよクリスちゃん」
「絶唱の負荷はアタシも背負えるわかってるなら、それでいい」
「詩織奪還作戦01」これが最後の希望ではない、けれどチャンスではある。
必ずその手を掴んでみせるという想いを込め、翼は聖詠を唱える。
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同じ頃、詩織と奏も出現したノイズの迎撃へヘリで向かっていた。
「向こうの世界」とは違い、廃墟となっていた街もこちらでは繁華街、日暮れが近く帰宅ラッシュと重なったせいで人に溢れていた。
一刻も早く到着し、ノイズを倒さなければならない。
「本当に大丈夫なのかよ」
「大丈夫ですよ、私のギアも強化されたので」
「そうじゃなくてよ」
ここ連日、詩織は二課において聖遺物「ブリージンガメン」の起動の為のフォニックゲインの供給、裏ではフィーネの手によって胸の切開による「フェニックスギア」の物理的摘出の上でバリアコーティングの強化まで行っていた。
そのおかげでつい昨日には奏のガングニールのバリアコーティングの強化にも成功したが、詩織の体にはかなりの負荷が掛かっている。
「この世界で、槍と炎を携えているのは私達だけです」
「……ッ!」
その言葉はかつてのライブ会場での再現の様で、奏は思わず後退る。
「私は信じてますよ、二人なら今度こそあのカルマノイズを倒せるって……だから」
だがその手を詩織が掴む。
「信じてください、奏さん。そして乗り越えていくんです、過去を」
前に進む勇気を、それは詩織も同じであった。
カルマノイズは帰る為のただ一つの手がかり、けれど放っておけば多くの人が犠牲になる。
故に倒さなければならない。
もしも帰れなくなってしまっても、この世界で生きていく覚悟を。
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鋸と鎌がノイズを切り裂く。
「今更ノイズ、ものの数じゃないデース!」
「油断は禁物だよ!ほら!」
破壊したノイズの残骸から新たに灰のノイズが立ち上がる。
敵の数が多い、再び現れた少女型の黒いノイズは破壊された片腕が再生していないらしく積極的には動かないが、とてもではないが絶唱を打ち込めるという状態でもない。
「クソッ!とにかくノイズを片付けないと話が始まらねぇ!」
ガトリングの掃射で灰のノイズを蹴散らすが、その数は一向に減らない、こうしている間にも「向こう」からの攻撃で黒いノイズを倒してしまう可能性もある。
この作戦には一つ大きな問題がある、それは詩織と向こうにいるガングニールの装者が黒いノイズを倒してしまう事。
そうなってしまう前にゲートを開かなければならない。
故に。
「マリアさん、クリスちゃん……翼さん…!」
響が作戦開始の合図を出すと同時に灰のノイズが突然崩壊し始める。
「向こうでもおっぱじめてやがるな!」
どうやら灰のノイズも、向こう側の世界の影響を受けるらしく、突然崩壊する事がある。
それは向こうでの戦端が開かれた事を意味する。
「頼むぞ、マリア……雪音……立花……!」
「時間は」
「私達が稼ぐデース!」
Gatrandis babel―――
響を中心に前にマリア、後にクリスが並び、三人の絶唱が重なる。
「セット!ハーモニクス!」
「S2CA!トリニティトルネード!」
切歌と調が黒いノイズまでの道を切り開き、三人のアームドギアをフレーム状に連結させ、クリスがミサイル四機をブースターとし。
一番前にいるマリアが左手を黒いノイズの中心に突き立てた。
「開けェエエエエ!!!」
するとまるで爆発の様の様にノイズの体が膨張変形し、円形の灰色の鏡面が出現した。
「行ってください!翼さん!」
「ッ!待ってろ……!詩織!」
そして、開かれた鏡面のゲートに翼が飛び込む。
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振りかざせば、炎が舞い、灰のノイズが跡形もなく消滅していく。
しかし、劣勢だ。
「くそっ!随分あたしらも人気になっちまったな!」
――そうですね、でもノイズはノーサンキューですが!
その場に立っていたのは一人、奏だけ。
詩織はやはり肉体的なダメージが大きく、早々に奏のガングニールにアームドギアとして「ユナイト」し、サポートに徹する事になっていた。
劣勢の理由は単純だ、カルマノイズがもう一体増えたのだ。
前回戦った個体はどうやら前回のダメージが残ったままで積極的には動かないが、もう一体はそうではない。
触手を持ったタコ型のノイズは積極的にこちらへ攻め立ててくる。
――とにかく、まずはあのタコを殺りましょう、あの人型がやる気になる前に!
「おう!」
奏の歌をメインに、詩織があわせて合いの手を入れる。
リハーサルは無しの「即興のデュエット」。
シンフォギアは共鳴する事でより強力になる。
「炎を!」
『燃やせ!』
灼熱を纏ったガングニールの一撃がノイズの触手を吹き飛ばし、賑やかしの様な灰のノイズを炎が呑み込み、破壊が辺りを覆う。
「命を!」
『燃やせ!』
詩織が飛び込んでくるノイズを炎を操って迎撃し、防御する。
奏が逃げ腰のカルマノイズを追撃し、攻め立てる。
『ここにいる』
「だから」
『絶対に!』
「生きる事を!」
「『諦めない!』」
そしてついにタコ型のカルマノイズをガングニールが貫く、そして突き刺したままのアームドギアの刀身が開いて基部から赤い閃光が放たれた。
内部から焼かれたカルマノイズが耐え切れずついに爆発四散。
「残りはアイツだけだ……」
――……行きましょう
この調子なら、あのカルマノイズも倒せる。
「本当に、いいのか」
――振り出しに戻るだけ、生きているのだからそれでいいのです
カルマノイズを倒してしまえば、帰る為の手がかりは無くなってしまう。
それでもいいと、詩織は言う。
覚悟を決めて、カルマノイズにアームドギアを向けたその時、突然カルマノイズが膨張し――その姿を灰色の鏡面へと変えた。
そして。
青い影が飛び出した。
「な……!」
――どうして……!?
その姿を二人は知っていた。
そして彼女もこちらを知っていた。
「奏……!」
今、世界が繋がった。