萌え声クソザコ装者の話【and after】 作:ゆめうつろ
「悪い待たせた」
「そんなに待ってませんし大丈夫ですよ」
「……久々にその格好見たな」
「それは、まあわた…いえボクは有名人ですから……?後ナンパ対策」
クリスさんと二人ですからね、ナンパされると面倒ですし、そもそも私も随分有名になってしまいましたから。
久々の男装ですから、少々気合を入れて来ましたよ。
それにしても……日本に戻ってきて早々特訓をすると聞いていたんですが、何故街に出るんでしょうか?
「んじゃ、それっぽく腕でも組んで行くか?」
「それはお断りしますよ!それで何処に行くんですか?」
「なんだよつれねえな……まずは映画館だよ」
「『特訓』ですよね!?なんですか映画館って……で、デートじゃないんですから……」
「……いや特訓だぞ?」
「ちょっと司令に毒されてませんか?普通の人間は映画を見ただけでパワーアップできませんて!?」
確かにシンフォギアシステムは「イメージ」が大事です、アームドギアの形成なんかは心象が影響されるのはよくわかりますよ。
分かりやすいのは響さんのガングニールが槍ではなく拳だったりするのとか。
クリスさんも心境の変化で最近は「弓」を使う様になってるのも知ってますし……そういう私自身もコロコロとアームドギアを変えてますけど……。
「詩織のアームドギアのコントロールにピッタリな映画を見つけてな」
せ……洗脳されてる……。
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「もっとこう広範囲に向けて吐けないのかよ?」
「クリスさん……私は大怪獣じゃありません、女の子です」
見せられたのは空飛び火を吐く大怪獣同士の戦いでした……。
確かに炎のイメージにはピッタリでしょう、ですが私は女の子です……口から火を吐く大怪獣じゃありません。
「だって詩織、吐くの得意じゃん」
「なんて失礼な事を言うんですか!?」
私のギアの特性上、本部でのホログラムを使った訓練が出来ないので政府が所有する屋外訓練施設を使わせてもらっている。
おかげで気兼ねなく熱線も撃ちまくれるし、クリスさんが着地できないように地上を地獄にすることも出来る。
「『置き技』は卑怯だろ!?」
「卑怯もクソもありませんよ!焼けたくないなら降参したらどうですか!」
「そんなに怒る事ねーだろ!?」
「怪獣扱いされたら私だって怒りますよ!」
流石にクリスさんが本当に焼けてしまっては事なので炎を退かして、地面を元に戻す。
「ふー…さすが大怪獣おりんだ」
「クリスさん、豚の丸焼きをご存知ですか」
「冗談、冗談だ。それはともかく、戦い方の練習にはなったろ?」
なったといえばなりましたけど。
「それはそれとして、クリスさんを燃やしたい気分なので後で配信で「うたずきんにセクハラされた」と言っておきます」
「そっちの燃やすのは勘弁してくれ」
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『かわいい声をしてますけどねぇ!私の事を火を吐く大怪獣扱いしてるんですよ!あのうたずきんちゃんはぁ!』
「吐くのはおりんの十八番」「一理有る」「草」「消化液は吐かないの?」「人にアドバイスを求めておきながら文句をいう加賀美詩織とかいう女」
さすがに無い事を言うのはあれなので「うたずきんにアドバイスを頼んだら怪獣扱いされた」という真実だけ伝える事にしたのに、どうして誰も私を庇ってくれないの……どうして……。
『私だって女の子なんですよ!?怪獣扱いされたら傷つきますよ!?』
「いまさら」「いまさら」「女(として)死(んでる)力」「やっぱ嘔吐が悪いよなぁ」「嘔吐怪獣おりん」「街を燃やすんじゃねえぞ……」「でも女子力なら間違いなくうたずきんの方が上だし…」
『きさまらァ……!!』
「おりん激おこで草」「まぁ知名度怪獣みたいなもんやし…」『うたずきん>おりんムキムキで草^^』「うたずきん居て草」「笑われてて草」
結局今日一日は、クリスさんに煽られ倒されてた気がする。
私クリスさんに何かしたかな……。