萌え声クソザコ装者の話【and after】   作:青川トーン

78 / 150
XVまで後二ヶ月だ!!!!
ということでエタってない証明の為にちょっとした番外編をば


番外編:大義

 

 

 人は誰も傷つけず、何も奪わずには生きられない、どんなに頑張ってもちょっとした事で誰かを傷つけてしまう事だってあるし、大事な何かを奪われない為に相手と戦わなければいけない時だってある。

 

「やめろー!」

「ヴァッハッハッ!ブゥゥウウン!!」

「悪の天才科学者め!」

 

 

 そろそろ夕焼けが赤くなってきた河原でヒーローごっこをする子供達を眺めてながら自分の正義を今一度考えた。

 

 未来さんと響さんが戦った時の事を思い出す、あの時の自分は少しイカれてしまっていたし、未来さんも正気ではなかったが。

 

 もしも、皆を救う為に「敵」になる事になったら私はその時、戦えるだろうか?

 

 例えば身近というか、ありえる想定として「イグナイトが暴走した」時に打ちのめして、正気に戻すぐらいなら私はいける気がする……というか最悪司令が叩きのめして終わりそうな気がする。

 

 だがそう、マリアさん達がF.I.S.として月の落下を止める為に世界と敵対した様に……「正義の為の悪を貫く」事は私には出来るだろうか?

 

 ……そうなる前に相談しろと言われそうだけど、それでも考える。

 

 

 きっとその時の私は選んでしまうだろう、それが皆を傷つける事になっても、皆を助ける為に自分を生贄にする事を選べてしまうだろう。

 

 それは皆が私の裏切りと死という傷をいつか必ず乗り越えて、前に進めるであろうという「信頼」と私の独りよがりな「願い」の上で成し遂げられる。

 

 

 だが皆の進むべき道の礎となり、忘れられない何かになれるならそれもありかと思ってしまった。

 

 我ながら最低な発想だ、いくら皆の事が好きだからといってこれは愛の歪みが大きすぎる、修正が必要だ。

 

 

 

 それはそれとして、皆とそれ以外の人達を選べと言われたなら私はどっちを選ぶだろう。

 

 例えば、翼さんがピンチな一方でこの間のバルベルデの時みたいに大勢の人を乗せた飛行機が狙われているとなった時。

 

 

 私は……翼さんが望まない事だと知っていても翼さんを助ける為に大勢見殺しにする。

 それを背負うのは私一人だけであるならまだしも、きっと翼さんの大きな重石になってしまう。

 

 なら、翼さんを犠牲に大勢救うかとなれば……。

 

 それは私がきっと耐えられない。

 

 だからきっとそんな状況になったら両方助ける為に自分を犠牲にするだろうし、最悪両方助けられずに自死する。

 

 

 

 

 何が楽しくてこんなクソみたいな想定をしているんだろう。

 

 あーシンフォギア装者になんてなれなければー!ただの配信者であれればー!

 ……なんて思う事もあるけど充実はしているんだよなぁ。

 

 私は自分の運命を見つけてしまった、どうあがこうと昔みたいな無価値で、無意味で、何もない自分には戻れない。

 

 「戦う」選択をするだけの力を得てしまって、私が死ねば悲しむ人達だって出来てしまったし、命を捨ててでも守りたい人達だって出来てしまった。

 

 これが人生の重さかぁ~!ろくでもないな。

 

 

「何を転がってるんですか詩織さん!?」

 

「あっ響さんと未来さんじゃん」

 

 横ローリングしながら河原の土手を転がっているとどうやらお出かけの帰りらしき響さんと未来さんに見つかった。

 

「いやーちょいと自分の人生について考えてましたらろくでもないな~ってなりまして転がってた次第で」

「どうしてそこから転がるんですか!?」

「そこに斜面があるから」

 

 とはいえこんなクソみたいな想像は聞かせるもんじゃありませんし適当に誤魔化して忘れるに限る、響さんと未来さんの仲のよさで浄化されたい。

 

「最近分かってきたけれど詩織さんも時々響みたいに突飛な事するね……」

「未来!私は詩織さんみたいな変な事しないよ!?」

「今なんかとても失礼な事が聞こえたんですが」

 

 未来さんはともかく響さんにまで変人と思われているとは心外ですよ。

 

「だって詩織さんは文句のつけようもなく変な人ですし……普通の人はシンフォギアを纏った状態で料理の配信なんてしませんよ」

「響、普通の人はシンフォギアを纏えないし。それを言ったらシンフォギアを纏える皆が変な人みたいだよ」

「アレはコス衣装の方です!それにコスプレ料理配信は普通!普通の文化です!」

 

 確かに言われて見れば装者皆どっか変な所あるかも……。

 

 翼さんは防人だし。

 マリアさんはアイドル大統領だし。

 クリスさんはやっさいもっさいだし。

 切歌ちゃんはデスデスデースだし漢字かけないし。

 調ちゃんはめっちゃ無口だし。

 響さんはこのザマだし。

 

「いやいや~それはないない」

「ないよね」

「いーや!あります!アメリカの料理バラエティ番組とか重火器で料理してますよ!」

「それはバラエティだからだよ!?」

「いいですか!一年後にはオリジナルシンフォギア衣装を着たアイドルとか絶対出てきますから!シンフォギア衣装は一般性癖です!」

 

 そうそう、あのシースルードスケベインナーもなれればカッコイイですし!調ちゃんと切歌ちゃんの体のラインとかめっちゃスケベ。

 

「あの詩織さん……性癖に一般も何もないと思うよ……普通にアウトだよ」

「うん……さすがの私もちょっと性癖発言はちょっと引くよ……そういう目で見られてたってちょっとショックだよ」

 

 アッ!!!!違う!いつもの癖で定型が出ただけなんです!

 

「あの違うんです聞いてください距離をとらないで」

「詩織さんこわいね未来」

「そうだね響」

 

「ごめんなさい!!違うんです!すまんなんです!!」

 

 

 この後、なんとか誤解を解いたが。

 私は心に消えない傷を負った。


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。