萌え声クソザコ装者の話【and after】   作:青川トーン

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明日の為に

 

 

「みなさーん!お待たせしましてすみません!」

「ったく!おせーぞ詩織!」

「デスデスデース!」

「これで皆揃ったわね」

 

 翼さんのライブがあまりに楽しみすぎて寝付けなくて集合時間に少し遅れてしまうなど……なんという不覚!

 しかし切歌ちゃんと調ちゃんが居てくれて助かりました……開始時間まで寝てたらと思うとぞっとしますよ!本当に!

 

 

「こうやって皆で翼さんライブを見られるなんて本当に私は嬉しいですよ!」

「全員で会場で見るってのは確かに初めてだな」

「そういえば今回はマリアさんが観客席側ですね、どうしてなんですか?」

「二人での歌もいいけれど、私だって時には翼一人の歌を聞きたい事もあるのよ」

 

 

 そうですよね、マリアさんと二人での歌もすごくいいですけど、翼さんだけの歌も私は大好きです!

 

「ほら、そう言っているうちに始まるわ」

 

 会場の照明が切り替わり、翼さんが登場!盛り上がる会場!いよいよ翼さんのステージの始まりです!

 

「皆!今日は来てくれてありがとう!」

 

 

 色々あったけど、こうして皆に歌を届けられる。

 翼さんの夢がこうやって叶って……

 

 

『ああ、僕からもプレゼントがあるんだ、お祝いのね』

 

 

 ――え?

 ん?なんですか?サプライズ?こんなのスケジュール表には……

 

『ほうら!上を見上げてごらん!』

 

 

 夜なのに太陽……?

 

 って眩し―――

 

 

………

 

 

 あれ……?ここは何処……?皆は……?翼さんは……?

 

 

「ここだよ、ここ」

 

 ……お前はッッ!!

 

「あんなに沢山居たのに残ったのはたったのこれっぽっちさ、軽いねえ人の命ってのは」

 

 え……

 

 なんですかこの黒い消炭は……それにこの景色は……なんで私だけ生きて……

 

「ほらそれが君の大事な者達だよ」

 

 あ……ああ……!

 

「ひどいねえ投げ捨てるなんて」

 

あああああああああああああああッッ!!!

 

 

 

 

「あ゛ぁあああああッッ!!!!」

「おい!詩織!しっかりしろ!」

「しっかりしやがれ!おい!おっさん!詩織を止めろ!」

「任せろッ!」

 

 動かない!手が!!!あいつを殺す!殺すゥ!!!皆が……皆が!!!

 

 

「しっかりして!詩織さん!!!」

「まずいです!なんとかして詩織さんを落ち着かせてください!」

「くそっなんてバカ力してやがんだ!リミッターが外れてやがるのかよ!?」

「緒川ッ!!影縫いをしろ!」

「はい!」

 

「殺すゥ!!!!この手で!!お前の顔を引き裂いてやるッ!!」

 

 報いを!皆の仇を!!

 

「詩織ッッ!!大丈夫だ!皆ここにいる!私も……だから!戻ってこい!」

 

 翼さん……の声……?

 

「止まった……?」

 

 あれ、皆が……いる?

 

 

「皆さ……ん?ご無事で……?」

「当たり前だろ!アタシら死ぬかよ!」

「マリアさん達に助けて貰ったんです」

 

 

「よかった、落ち着いたか詩織くん」

「影縫いも効かなくて少しひやっとしましたよ」

 

 

 ……よかった……よかったっ……!!

 

 司令、緒川さん、エルフナインちゃん、響さん、クリスさん、そして翼さん……皆居る……でもあれ…?

 

「マリアさん達は……」

「Linker無しでのギアを使用で検査中だ、無事だ」

「……よかった、誰も、誰も死んでいないんですね!みんな無事なん……ですね!そうですよね翼さん!」

「……ああ」

 

 ……違う、死んだのは皆じゃない。

 私が守れなかったのは、あの施設に居た人達で……。

 

 それでも皆が犠牲にならなくてよかったって……。

 

『日本一のバカですよ!』

『訂正しろ日本一有名なバカだ』

 

 あの人達を、私を見てくれていた人達を守れなかった?

 

 

「う、おえ」

 

 

「オイオイオイ!おっさん!エチケット袋を!」

「緒川ッ!」

「間に合いません!ゴミ箱で!」

 

「―――ッッ!!」

 

 吐き癖、治さないとですね……。

 

 

 

………

 

 

「お見苦しいところとか、汚見苦しいところをお見せしたりしてすみませんでした」

「いえ、とにかく落ち着いたのならよかったです……バイタルも正常値、特に異常も見当たりませんでしたが……アダムの……あの敵の攻撃を吸収した事でエネルギーが許容以上に体を循環してたのが、さっきの暴走の原因でしょう」

 

 エルフナインちゃんに触られている場所が少しくすぐったい、錬金術か何かで測っているのでしょうか?

 それにしてもあの敵、アダムとかいうんですか。

 次にあったら絶対息の根を止めてやる。

 

 

「……それでどうして皆さん、ここに?」

「詩織さんの状態の確認と、それともう一つ「賢者の石」のデータを取る為に」

「賢者の石……?」

 

 そういえば聞き覚えのあるような……。

 

「賢者の石、ラピス・フィロソフィカス……パヴァリア光明結社の錬金術師達がファウストローブとして纏い、私達はそれに敗れた」

 

 ……そういえば響さん達の援護に向かえって指示はそれで。

 ああ、思い出してきた。

 

「私のフェニックスギアは……そういえば賢者の石だって……」

 

 確かあの錬金術師の一人の……そうカリオストロだっけか……アレが言ってましたね。

 

「アタシらのイグナイト……ダインスレイヴの天敵みたいな能力を使ってきやがって、無理矢理イグナイトを解除されたんだよ」

 

 そんな効果があったんですか、この賢者の石に!?

 

「ですから対抗手段の手がかりを探す為に詩織さんの賢者の石のデータを取りに来てたのですよ」

 

 なるほど……。

 

 

 もしかして私のせい……?

 

 私がカリオストロに賢者の石のデータを取らせたから皆を危機に……?

 

 

「あ、詩織さんが考えている事が一目で分かった」

「それはないぞ詩織」

「バカかお前は!」

「無いぞ詩織」

「無いですね」

「詩織さんの考えている事は見当違いですよ、いくらフェニックスが賢者の石と同等だからといって完全にイコールという訳ではありません。検知されるエネルギー波形パターンが違うので完全に別物でしょう」

 

 

 ……は、恥ずかしいし……申し訳ない……

 

 

「ったく、お前はなんでもかんでも自分のせいだと考える癖をやめろ!」

「そうだぞ詩織、何か悪い出来事があったのは自分のせいだと思い込んで背負おうとするのはお前と雪音の悪い癖だ」

「はーっ!?何を言ってやがるんだこの先輩は!?」

「はは……」

 

 

 そうですよね、私はそんな大きな存在じゃないし、私一人が世界の方向を決めれる訳じゃない。

 それにまだ私達にはやるべき事がある、後悔や反省で止まっている暇はない。

 

 

「とにかく!詩織くんも無事に目が覚めたとなれば、俺達のやるべき事は一つだ!」

 

 

「勝つ為の特訓だ!」

 

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