『な、なんなのですか?!』
『仮面ライダーバーチャル。リアルとバーチャルを再び繋ぐ!』
ビシっと人差し指をU・のらきゃっとに向けると刃はふとあることを思った。それはさっき流れた変身音のことだ。
『というかなんですか?ウビバタイムって…』
『良い変身音声でしょ?いやぁカッコいいですねぇ!こう、ビシッと仮面ライダーらしくないですか?』
『いや、確かに最近の仮面ライダーのベルトってよく喋りますけど…』
『あ、のらのら来てますよ?』
『え?』
『何一人で、ブツブツ喋ってるのですか!』
接近して来たU・のらきゃっとの爪をギリギリでかわすと刃はホッと安堵した。
『ちょっとばあちゃるさん!何がどうなっているのか説明してください!』
『えーっとですね。あ、また来てるのでかわしながら聞いてください』
『え!?うわっ!』
刃はU・のらきゃっとから逃げ出しばあちゃるの声に耳を傾けた。
『まず変身中は僕の声は君にしか聞こえないんですよねぇ、はいはいはいはい』
呑気に話しているばあちゃるに刃は少しイラっとしたが、そのお陰か平常心のままのらきゃっとの攻撃をかわすことが出来ているのだ。
『逃げてばかり。奈良(なら)これはどうですか?』
突然U・のらきゃっとの姿が消え、刃は辺りを見渡した。建物や地面から音が聞こえてくるがU・のらきゃっとの姿は確認出来ず、刃は後ろから攻撃され仰け反った。攻撃された方を見ても姿は既になくまたしても背中を攻撃された。
『くっ…。移動している音は聞こえるのに…』
『いやいやいやいやいや〜、君はまだまだですねぇ』
『…随分呑気ですね。あと君じゃなくて生陽刃です』
『じゃあジンジンにアドバイスの時間ですよ。少し失礼しま〜す』
ばあちゃるがそう言うと仮面の複眼が光り次の瞬間勝手に体が動き、横にズレるとズレた所からU・のらきゃっとが姿を現した。そして再び体が動き右手の拳がU・のらきゃっとに当たり火花を散らした。
『え?ど、どういうことですか?』
『ちょっと体を借りたんですよ』
『いや、そうじゃなくてなんで攻撃をかわせたんですか!?』
『まず一つ、のらのらは死角を狙っていること。次に壁や地面から聞こえる音からして空中では軌道を変えれず、線で移動していること。そして最後に攻撃した後一度止まっていることですよ』
『たった二回で見抜いたってことですか!?』
『ばあちゃる君は天才AIですからねぇ、はいはいはいはい。大丈夫です、きっとジンジンにも出来ますよ』
フラフラと立ち上がったU・のらきゃっとは再び姿を消したが刃は慌てることなく落ち着いて目を閉じた。
『今です!』
『そこだぁぁぁぁぁ!』
カッと目を開くと自分の左斜め後ろを向き拳を繰り出すと確かな感触があり、そのまま拳を振り抜くとU・のらきゃっとの姿が現れ、そのまま吹き飛んでいった。
『あ、当たった…』
『フゥゥゥゥゥ!良いですねぇ!バッチリでしたよ!』
『こ、こんなこと…』
U・のらきゃっとは立ち上がるが体から火花が散っていた。
『さぁ必殺技のチャンスですよ!ベルトの…』
『これで決める!』
《アップデート!》
刃がばあちゃるバーチャルメモリーの上部分を押して右足にエネルギーを集中させ、再び上部分を押す。
《バーチャル・レジリエント!ばあちゃる!》
刃は地面を駆けるとU・のらきゃっとから少し離れた場所で右足で地面を蹴り、走った勢いを利用して必殺のライダーキック”バーチャル・レジリエント”を食らわせた。キックが当たるとU・のらきゃっとは火花を盛大に散らし爆発と共に無数の黒いデータに散らばった。
黒いデータが消え去ると友人の姿が現れ刃は近づくが、どうやら気絶しているらしく刃はホッと胸を撫で下ろし、変身を解除した。
「ふぅ、疲れた…」
『ちょいちょいちょーい!最後ばあちゃるくんの言葉無視してませんでした!?』
「あ、興奮のあまりつい…」
「えぇ…。あ、それよりのらのらのバーチャルメモリーが近くにありませんか?」
ばあちゃるがそう言うと刃の足元にはのらきゃっとバーチャルメモリーが落ちており、拾い上げると真ん中に刻まれているのらきゃっとのアイコンが灰色に染まっていた。
「灰色…?」
♢
「これでライダーが2人…。REALが本気で動く前に探さないと」
少し離れたところから刃を見つめてそう呟く少女は、頭に付けたピンクの双葉のようなカチューシャを揺らしてその場を去った。
「刃と!」
『ばあちゃるくんの!』
「『バーチャルYouTuberコーナー!』」
『フゥゥゥゥゥ!』
「ウビバ!ウビバ!」
『はい、このコーナーではね、僕とジンジンがバーチャルYouTuberについて紹介していくコーナーですよ、はいはいはいはいはいはい』
「まず第一回目はこの人!」
《ばあちゃる》
『はい、僕ですよ僕!ばあちゃるくんですよー』
《ばあちゃる
チャンネル名…【世界初?!】男性バーチャルYouTuber ばあちゃる
登録者数は2018年八月の時点で8万人を越えており、動画自体は微妙なのが多いが、持ちネタの貫通や分身、企業案件における紹介の丁寧さ、更には動画外で他のバーチャルYouTuberに弄られている等、自身の動画以外ではかなり面白さを発揮している》
『ちょいちょいちょーい!なんか紹介酷くないでふか!?ばあちゃるくんの動画面白いでしょ!?』
「いや、確かに面白いのありますけど、だいたい誰かとコラボしたときが真価を発揮してますよね?」
『えぇぇぇぇ…』
「はい、という訳で以上バーチャルYouTuberコーナーでしたー!」