なんだ。こんなところにあったのか。執務室に備え付けられた棚から一冊のノートを取り出す。
「司令、それは?」
今日の秘書艦は陽炎。駆逐艦の中では最高練度を誇り、事務仕事もそつなくこなす、艦隊の屋台骨の一人だ。
「昔つけていた日記さ。昔といっても一年ほど前だがね。去年の秋ごろに北大西洋まで軍を出しただろう? その時の報告書にまぎれていたんだ。真夏は深海棲艦の強力な個体が出現しやすいからな。資料をまとめておきたかったんだが……そうか、こんなところにあったのか」
「どんなこと書いていたの? ねぇ、見せてよ」
陽炎が首をかしげると、赤毛のツインテールがふわりと揺れる。中身を見せることは流石にしないが、駿河に移ってからのことを書いてあるとだけ告げた。
「ここに来てからけっこう経つわねぇ。そら鎮守府も大きくなるわ」
横須賀に戻ってもよかったのだが、思いの外ここが気に入った者が私含め多く増築してまで駿河に居着いてしまった。180名ほどいるのでかなり大規模と言ってもいいだろう。他の鎮守府へ移っていた艦娘もここに集結している。指揮系統がスムーズになるというメリットもあるのだが。やはり大所帯は兵站が厳しい。次の大規模作戦に備えなければならないというのに。
とはいえここに全艦揃っているわけではない。太平洋艦隊と欧州艦隊を設け、それぞれ任にあたってもらっている。海外艦は極力地元で活躍させたい。まぁ、何人かは手元に置いて運用しているが。
夏にはまた欧州方面の友軍を支援しに行かねばならないだろう。大本営から指示が出ないと分からないが、勘としてはイタリアでの戦闘を予想している。やはり備蓄量が心配だ。先の大規模作戦でも燃料不足に悩まされた。
「親潮、元気にしてるかなぁ。あいつくらいなのよね、ちゃんと姉として扱ってくれるの」
親潮は友軍支援に出向している駆逐艦の一人。初風や磯風もここにはいない。欧州の敵は強い。あまり無理をしていないといいのだが。
「で、見付けたってことはまた日記書くの? 司令は三日坊主だからなぁ。ちょっと心配。ねぇ、秘書艦が持ち回りで書くなんてどう? 司令はそもそも一日の艦隊運営について報告書書いているから飽きるのよ。ね? どう?」
「まぁ、陽炎がそこまで言うなら。確かに私は日々の報告書を書いているし、秘書艦にはそういったものを求めてなかったらいいかもしれないな。ただ、陽炎が書くのはけっこう先なんじゃないか?」
すると陽炎はあっと短く声をあげた。気付いていなかったらしい。まぁいい。そうして私の日記帳は秘書艦たちの日記帳になった。
ほぼ一年ぶりの更新になっちゃいましたが、初期設定から少し変えました。持っている艦は極力出したいので、ほとんどの艦を駿河に集めましたが、持ってない艦は持ってないのでしょうがないので海外にいることにしました。そうしたらイベドロで合流しても不自然さが緩和されるのではないかという考えです。親潮はいません。欲しい。
読んで下さる方がいるかちょっと分かりかねますが、春イベは甲乙丙丙丙でフレッチャー以外の新艦は手に入りました。岸波やゴトランドも手に入り満足。E5でめっちゃ頑張ってイントレピッドと邂逅できたのが嬉しかったですね。あと任務で必要なのになかなか出逢えたなかった春雨ともついに邂逅。ただ雲龍は手に入りませんでしたね。悲しい。
ぶっちゃけ就活でウルトラスーパー忙しいですが、頑張ってちまちま書きます。夏イベは完走&プレイ日記も全編書きたいですね。流石に去年の初秋イベを思い出して小説にするのは無理。
ちなみに通常海域は6-2まで来ました。そこも小説にしたいかも。