ドールズフロントラインで使える支援部隊に、NTW-20を始めとした狙撃部隊が居たらというお話。



ゲームの性能であまりいい話を聞かないNTW-20ちゃんというロマン砲を活躍させたくて書いたお話です。
気まぐれで書いていきます。

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#1 107小隊

S09地区は鉄血製人形の巣窟だ。PMCであるG&K社はこの地区で作戦を展開している。。

戦術人形同士が戦い、銃弾と榴弾の雨嵐を作り出しては互いに破壊し合う。そんな戦闘が、この地区の至る所で行われている。

 

グリフィン所属の第107小隊は、この作戦を統括する司令官の指名により、S09地区での作戦に参加していた。

 

 

 

『107小隊。君達の北方およそ1kmに鉄血小隊の存在を確認した。107小隊は直ちに向かい、これを撃滅せよ。』

 

「HQ、こちら107小隊、NTW-20。北方1kmの鉄血小隊の撃滅を了解。行動開始します。オーバー。」

 

NTW-20は通信を終え、小隊メンバーへの無線を開く。

 

「こちらNTW-20。これより北方1kmの鉄血小隊の撃滅を開始する。PPS-43とUMP-9を前衛に展開しつつ接近。潜伏のち奇襲をかける。戦闘開始後、Mk23は前衛の援護。私は敵の後衛を狙撃する。行動開始!」

 

『了解。』

『了解!』

 

PPS-43とUMP-9、そしてMk23は迅速に移動を開始する。

 

対してNTW-20はそれと比べると移動が遅い。銃本体の重量で30kg、弾薬や装備を含めるとさらに多い重量を抱えて戦場を駆けているのだ。

だがそれで疲れることはない。戦術人形は武器に見合った性能を持つため、並の人間では鈍重になる装備でも問題なく行動は出来ていた。当然、同じ戦術人形でかつ軽い武器を扱う者には劣ってはいるが。

 

地形情報を照会し、鉄血小隊の予測位置を狙撃するための効果的な場所を割り出す。

そうして鉄血小隊からおよそ500m程離れた建物の屋上へと、NTW-20は移動する。

 

そして分解された銃を組み立てる。

NTW-20は全長が2mにも及ぶほどの巨大な対物ライフルである。そのため、長距離の移動のときには分解して運び、現地で組み立てて使用する。

20mmにも及ぶ口径を持つバレルを取り付け、二脚を展開し北の方角へと銃を向けて置く。

 

弾倉を入れずに銃を構え、鉄血小隊が居ると思われる方角をスコープで覗き偵察する。

その隣で、編成拡大で増えているダミーのNTW-20戦術人形は、観測手として双眼鏡を使って偵察を行っている。

 

「見つけた。方位006、距離487。予想より近い位置に居る。」

 

観測手から報告。

NTW-20は小隊メンバーへ向けての共有を行う。

 

「鉄血小隊を発見。方位006、距離487。UMP-9とPPS-43からはおよそ200mの位置ね。視認出来る?」

 

『こちらUMP-9。…鉄血小隊を視認しました。』

『こちらPPS-43。同じく視認。』

 

「了解。こちらが発砲後、二人は前進して敵を引き付けて頂戴。Mk23は二人の援護を。」

 

『了解!』

 

 

NTW-20はボルトレバーを引き、弾倉を入れてレバーを戻す。重厚な音と共に20×82mm弾が薬室内へと装填される。

 

スコープを覗いて鉄血小隊を見る。

多くの黒い機甲を纏った人形や自律兵器が周囲を警戒して動いていた。

観測手はその中で迫撃砲を持つ自律兵器を確認した。

 

「敵集団左後方、迫撃砲を確認。優先的に破壊すべき目標です。」

「第一目標を迫撃砲に設定。」

「距離527。西向きの風2m。」

 

NTW-20はスコープの調整ノブを観測手の情報を頼りに調整を行う。

呼吸を一定のリズムで行い、タイミングを計る。息を吐き、一瞬呼吸を止める。

ピタリと、スコープの景色が止まった。

 

まっすぐトリガーを引き、ストライカーを落とす。

轟音。そして凄まじい閃光と強烈な反動。

NTW-20のストックに内蔵されたショックアブソーバーがいくらかの反動を吸収するも、大口径弾の反動はそう抑えられるものではない。

NTW-20は反動を抑え、素早くボルトを動かし次弾を装填する。

 

「目標に命中。次目標、後方の狙撃部隊。距離496。」

 

20mm弾は敵迫撃砲を粉砕した。

無惨にも砲身はひしゃげ、それを動かしていた機関部も動く気配を見せない。

 

「攻撃開始。」

 

短く無線にそう告げると、前衛のサブマシンガンたちは狙撃に気を取られている敵の注意を引き始める。鉄血人形は素早く応戦し、前衛のPPS-43に無数の弾丸をお見舞いする。

 

「ぐっ!」

 

数発、PPS-43のダミーが銃弾を受けダメージを受ける。

応戦するも、7.62mmトカレフ弾はあまり効果がないようだ。。

 

「こいつら、かなり練度が高い!あまり保たないかもしれない!」

 

UMP-9が叫ぶ。

鉄血人形の攻撃力は、そう時間をかけずにこちらの前線を押し切るだろう。

NTW-20の任務は、その前に敵を撃滅することだ。

 

 

閃光、そして衝撃。

 

後方から飛来した弾丸が、鉄血人形を貫く。

膨大な運動エネルギーが飛散し、人形の生体部品と機械部品をバラバラにまき散らす。

 

さらに着弾。

鉄血部隊の二割が狙撃で削り取られる。鉄血人形も不可視の攻撃に混乱しているようだ。

 

 

箱型弾倉を取り換え、3発の弾薬が入った弾倉を新たにセットする。

同じようにボルトレバーを引き、弾薬を装填。

 

「次、敵前衛部隊。距離410。右に2修正。」

「標的を確認。」

 

衝撃、着弾。

鉄血人形の前衛のダミーが弾け飛び、思わず足が止まる。

 

 

「今だ!」

 

UMP-9とPPS-43がすかさず突撃し、弾丸の雨を食らわせる。

前衛部隊がやられ、後衛は丸裸。二人はさらに前進する。

 

それから3分。鉄血部隊は全滅した。

 

 

「被害報告を。」

『こちらPPS-43、ダミーを1体やられたわ。』

『こちらUMP-9。こちらもダミーを1体やられました。』

『Mk23よ。こちらに損害はないわ。』

『了解。私も損害なしだ。司令部に報告を行う。』

 

 

部隊の損害は軽微。

敵の攻撃力は侮れなかったが、決定的な被害を受ける前に片を付けることができた。

 

「HQ、こちら107小隊。鉄血小隊と交戦し、敵小隊を撃滅。指示を待ちます。」

『こちらHQ。107小隊は周辺を警戒し待機。次の指示まで待て。』

「HQ了解。オーバー。」

 

 

「みんな、司令部の指示あるまで待機。周辺警戒を怠らないでね。」

『『了解。』』

 

 

 

ふう、と一息つくNTW-20。

 

彼女はこの107小隊のリーダーであり、この小隊の狙撃手。遠距離から一方的に必殺の一撃を叩き込む、戦場の悪魔。

そんなNTW-20の能力を生かし、狙撃による敵の撃破を主とする小隊。それが第107狙撃小隊であった。

 

『相変わらず凄い威力ね、ダネル(NTW-20)。』

「ありがとう。でも貴女たちが居ないと、私の力も発揮できない。それを忘れないで。」

『ふふっ、ダネルはいつもそんな感じなんだから。そんな感じじゃ可愛げがないよー?』

「私にそんなものは必要ない。いいから周辺警戒。」

『はーい。』

 

この地域の鉄血部隊にはあまりいい噂を聞かない。なんでも強力な個体が、敵の司令部に陣取っているらしい。

NTW-20は気を引き締めて、周辺警戒を行う。

 

107小隊の戦いは、まだ始まったばかりだ。



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