sognando   作:ricca

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由美に怒られた高木はでいそいそと車に向かいながら、成宮のことを思い出していた。

あの人の雰囲気もそうだった。何か秘密があるような、あの感じ。

北条さんといい成宮、っていう人物も一体何者なんだろうか………。

 

「……あ、しまった」

車の鍵を落としてしまった高木は拾おうとした時、隣でしゃがみ込む人の影が目に入った。

「何か考え事でもしてたんですか?」

しゃがんで車の下を覗き込んでいる北条の口調は相変わらず興味が無さそうだった。

「…ま、まぁね……」

佐藤さんと松田さんのことも気になるし、元カレだなんとかって言われたら気にしない方がおかしい。

そうだ、松田さん……。元カレって本当なのだろうか。彼は一体……。

「………これって…」

北条が何やらぽつりと呟くのが聞こえた、と思った瞬間

 

「逃げて!」と彼女に勢いよく腕を引っ張られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ぐらっと目の前が揺れたかと思うとドン、と爆発音が響く。

由美と成宮と話していた佐藤は急いで振り返った。

高木の車が止めてあったはずの場所からは煙が上がっていた。

パレードの人だかりはパニックで混乱が起こり始める。

遅れて到着した目暮警部はしかめっ面をしながら、観客に早く避難するように呼びかけるよう伝えた。

 

 

「今のでっけー音、なんだ?」

「爆弾よ、車が一台吹っ飛んだみたいね……」

「吹っ飛んだ車…あれ、高木刑事の車じゃないですか?」

「考えられるわね。誰かがあの車に近づくの人ごみの中から見えたから…」

「あ…ちょっとコナンくん!」

コナンは高木の車の場所まで駆けていってしまった。慌てて残された彼らも追いかける。

 

 

 

 

 

「…高木くん!」

炎上している車に近づこうとする佐藤の腕を掴んで阻止したのは成宮だった。

「…何考えてんだ!危ねェぞ!」

「だって……高木くんが…!」

 

 

 

 

 

あの時みたいに…… あの中に、彼がいたら……

 

 

 

 

 

 

「……高木さんは無事ですよ。ちょっと煤で汚れてますけど」

言葉通りスーツが汚れ息のあがった高木と対照的に落ち着いている北条がひょっこりと側から出てきた。

「……高木…くん?」

「高木刑事!無事だったの?」

駆けつけたコナンが声をかけた。

「うん…まぁね。危機一髪ってところだったけど……」高木は苦笑いを浮かべた。

「車の下に不審な紙袋があったので…恐らく爆弾だと。急いで彼の腕を引っ張って逃げてきたんです」北条は息を大きく吐いた。

「……それに…送られてきたFAXは“連続爆破事件”のものとよく似ているんでしょう?」高木の方を振り返って北条は彼の目を見つめた。

高木は黙って頷くしかなかった。

 

目暮警部は犯行に使われたのはプラスチック爆弾であることや無線式であること、そして警察の人間を狙った犯行であることを伝える。

佐藤はスーツの煤をはらっている高木に声を掛けた。

「高木くん…」

「佐藤さん、心配…おかけしました」

「……よかった、怪我は?」

「大丈夫です、北条さんに助けられちゃいました」へへ、といつものように高木は緩い笑みを浮かべる。

「ねえ…高木くん…」

「はい?」

「………ううん、何でもない。何でもないわ」

佐藤は何か言いたげな表情を見せたが、すぐにその場を離れた。

 

 

 

 

「あの……目暮警部」光彦はおそるおそる声をかける。

「もしかしたら……僕のビデオに犯人が写っているかもしれません……」

「テープも残ってるし、盗まれたビデオもゴミ箱から見つけたんだ!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

近くの電気屋の中で捜査員と少年探偵団達はビデオを確認するも、手がかりになりそうなものは得られなかった。

子供たちに高木がさんざんいじられている所では目暮が呆れたように彼に目を向けた。

そんな中、再び爆弾が破裂したという報告もあがる。

ただ優勝パレードの道順で事件が起こっているということから、警察の人間が狙いではなく優勝したチームに対する嫌がらせの線があがってきた。

目暮は優勝パレードの道順に捜査員を配備するよう伝える。

 

「そしたら僕も……」

「高木くんはダメよ。さっきの爆破でもしかしたら顔を知られたかもしれないし危ないわ」

「でも……」

「ここで北条さんと待機してて」

佐藤はそう言い残すと、成宮を連れて出て行った。

 

 

 

探偵団と阿笠博士、そして残された高木と北条はもう一度ビデオテープを巻き戻して確認をするもおかしなところは見当たらない。

ただ何かに気づいたコナンは何度かテープを確認すると、「何も写ってないからテープを隠滅しようとした」と言って外へ走って行ってしまった。

慌てて追いかける探偵団と博士。高木も後を追おうとした。

「…彼、すごいんですね」北条は静かに呟いた。

「…え?」

「ほら、さっき一人でテープを何度か巻き戻して、何かに気がついていたでしょう?」

「ああ、コナンくんだね。確かに何かとよく気がつく子だけど……」

「私も彼と同じように気がついたんです」

「爆弾事件の手がかりってこと…?」

「ええ、だからすごいな、と思って。“普通の”小学生なら気がつくことないのに」

北条は高木に微笑みかける。その笑みはもう既にこの事件も何もかもを見透かしたような笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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