「し、白鳥くん!」
「…救急車呼んでください!」
佐藤と北条は爆破した車へ駆け寄った。高木は北条に言われた通り携帯電話を取り出し救急へとつないだ。
コナン達も二人の後を追った。
車は焼け焦げており至る所から煙が上がっていた。近づけば近づく程痛いくらいの熱さが襲ってくる。車の側には仰向けで頭から血を流した白鳥警部が倒れていた。
「大丈夫?白鳥くん…」佐藤は白鳥の顔を覗き込みながら尋ねた。
「ええ……佐藤さん、これを……」白鳥は一枚の紙切れを佐藤に手渡した。それを受け取った佐藤の表情はみるみる怒りへと変わっていく。
「…救急車呼びました、すぐに来ると思います……」高木も心配そうに白鳥に駆け寄る。
「急性硬膜下血種…早く連れてかないとヤバいわよ」灰原はぽつりと呟いた。
「こんなこと誰が…」
「ひでえよなぁ…」
「…狙いは警察官……ガセネタを入れて捜査をしている隙に車に爆弾をしかけたんだろう……起爆装置はドアを開けると安全ピンが外れもう一度開けると着火する仕掛け…でもどうしてすぐに白鳥警部は……」コナンが淡々と話す。
「…彼女にどうしても伝えたかったんじゃないのかしら」北条はコナンの疑問へ答えるように目線を合わせた。
「白鳥警部が彼女に手渡したのは犯人からの犯行予告文…“彼”を吹っ切る為のチャンスなのよ、きっと」北条は何かを考えるかのような表情で白鳥と佐藤を見つめていた。
すぐに白鳥のことは本庁にも伝わり、爆破された車の中にあった予告文と同じ内容のFAXも本庁に届いていた。
松本管理官はすぐさま部下に捜査を始めるよう指令を下す。
「……車、回したぞ」本庁にいた成宮が到着すると同時に佐藤は車に乗り込んだ。
「…えっ佐藤さん!?」高木は驚いたような声を出す。
「目暮警部の指示、待たなくてもいいんですか…?」
「いいのよ、それより高木くんは子供たちを送ってあげて。北条さんは…」
「私は一旦本庁に戻ります。調べたいことがあるんです。何か分かり次第高木さんに伝えますから」北条はまっすぐ高木を見た。
「…そう、なら北条さんは千葉くんと一緒に本庁へ。高木くん任せたわよ」佐藤は早口でそう伝えるとどこかへと走り去って行ってしまった。
***
「……この犯人、あんたは絶対捕まえたいんだろ」
佐藤を隣に乗せて車を走らせている成宮は、前を向いたまま言った。
「……ええ。吹っ切らなきゃ」
「そうか……なら俺も協力してやるよ」
予想外の言葉に佐藤は驚いたような顔をする。
「変わりたいんだろ?事件が解決すれば、あんたはきっと前へ進める。あの“松田くん”から縛られることは無くなる」
「…成宮、くん」
「………まあ半分くらいは俺達警察官を狙ってる犯人に腹が立ってるんだがな」成宮は悪戯っぽく笑った。
「…それで、何でこの犯人は警察官狙ってんだ?……後ろのガキにも聞こえるように言ってやれよ」成宮はルームミラー越しに笑いかける。
「…ガキ?……コナンくん!?」
「えへへ…ごめんなさぁい」コナンは苦笑いを浮かべた。
佐藤は7年前の爆弾事件を淡々と話した。
―…そして高木の車に乗っている少年探偵団とともに犯行予告文の暗号を解いていくと一つ目の爆弾は東都線の電車内―…。すぐさま目暮警部に佐藤は連絡を入れた。
***
連続爆弾事件という大きな事件が起こっている為か、本庁にある資料室には誰一人としておらずしんと静まりかえっていた。
北条は貸しきり状態の資料室の扉を開け明かりをつけると、無線のイヤホンマイクをつけ、側にあった椅子に腰掛けた。
「……もう既に対象は見つけてあります」北条は低い声で話す。
「………ええ。任務は必ず」
イヤホンマイクのスイッチを切ると北条は探し出した資料をぱらぱらと捲り、足を組んだ。
北条の見ている資料は、爆弾事件ではなく―……過去何ヶ月間かの新聞だった。
「共通ワードは、“工藤新一”……」
北条は静まり返った部屋にぽつりと言葉を零した。