二度目の高校生活はIS学園で   作:Tokaz

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第15話を投稿します。
今回は初の前後編になりました。

今回は新たなクラスメイトのサブキャラが出ています。
彼女らは名前は原作にある名前を使わせて貰いましたが、性格などは良く解らない為、こちらで設定しています。
彼女らのファンの方がいたら、すいません。

それでは、第15話をご覧下さい。





第15話 パーティー・ナイト 前編~代表就任

 

 

~志狼side

 

 

 クラス代表決定戦の次の日、朝のSHRの時間。教壇には真耶先生と、その横には織斑先生が腕を組んで立っている。

 いつもの朝の光景だが、いつもと違い織斑先生の目の下にクマがあり、かなり疲れているようだった。今朝はトレーニングにも来なかったので、昨日の事後処理が忙しかったのだろう。

 そして、教室に織斑の姿がなかった。

 

「皆さん、おはようございます。昨日はお疲れ様でした。特に志狼君、セシリアさん、お2人の戦い振りは素晴らしいものでした。これからも頑張って下さいね」

 

「「ありがとうございます」」

 

 真耶先生の挨拶が終わったのを見計らい、1人の生徒が手を挙げて、皆が気になっている事を聞いた。

 

「山田先生。質問いいですか?」

 

「鏡さん? 何ですか?」

 

 彼女──(かがみ)ナギさんが尋ねる。

 

「織斑君がいませんけど、どうしたんですか?」

 

 そう言われた真耶先生は、気まずそうな視線を織斑先生に向けた。

 

「皆も昨日の織斑の暴言は聞いただろう。その罰として織斑は1週間の懲罰房行きとなった」

 

 織斑先生の言葉に皆がザワついた。懲罰房とは学園の地下にある座敷牢のような所らしい。食事は1日1食しか与えられず、薄暗い室内で延々と反省文を書かされると言う学園で執行される罰の中でも最大級の罰なのだそうだ。

 事実上の停学であり、これ以上の罰は不名誉退学しかないらしい。

 そんな懲罰房行きに今年最初に処された者が、自分のクラスから出るとは思わなかったのか、皆の表情には驚きと呆れ、中には当然と言う顔をしている者もいた。

 

「皆も織斑の暴言、暴論はさぞ不快に思った事だろう。姉として、保護者として謝罪する。本当にすまなかった」

 

 そう言うと織斑先生は姿勢を正し、皆に向かって頭を下げた。

 これには俺を含む皆が驚き、慌てて止めに入った。だが、これで織斑の株が更に下がった事だろう。

 この学園には織斑先生目当てで入学して来た熱心なファンが大勢いるのだ。彼女達が弟のせいで先生が頭を下げた、なんて知ったらどうなるか。

 俺は織斑が懲罰房から出て来ても居場所がなくなっているんじゃないかと思ったが、奴の自業自得なので気の毒とは思わなかった。

 

 

「さて、気を取り直してクラス代表を決めたいと思います。代表決定戦の結果、代表を決める権利は志狼君が得ました。志狼君、誰を指名しますか?」

 

 俺は昨夜決めた事を口にした。

 

「はい。まず織斑は不適格ですし、俺もやる気はありません。よって、最初に推した通り、セシリアを代表「異議あり!」──?」

 

 俺の発言を遮った声の方を向くと、1人の生徒が手を挙げていた。

 

「山田先生、発言してもよろしいでしょうか?」

 

「四十院さん? ええ、どうぞ」

 

 彼女──四十院神楽(しじゅういんかぐら)さんは席を立ち、俺を見ながら言った。

 

「私はクラス代表には結城志狼さんに就任して欲しいと思います」

 

「ちょっと待ってくれ。前にも言ったが俺は代表に相応しくない。だからセシリアを推薦したんだが?」

 

「その相応しくない理由は素人の自分ではクラスマッチなどで勝てないから、でしたよね。ですが、昨日の試合で貴方はセシリアさんに勝ちました。初陣で代表候補生を破った方がクラス代表に勝てないとは言えないのでは?」

 

「うっ」

 

「私はこの1週間貴方の事を見ていました。貴方は授業態度も真面目だし、訓練も積極的に受けています。朝は早くから織斑先生とトレーニングしてますし、相川さんや布仏さんのような知り合ったばかりの娘達からも慕われています。そんな貴方がクラス代表に相応しくないとは私には思えません」

 

 この娘本当に良く見てるなあ。思わず感心と呆れが半々のおかしな顔をしてしまった。すると、

 

「私も賛成! 志狼さんって最初一悶着あった篠ノ之さんともいつの間にか仲良くなってるし、織斑君とは・・・・まあ、そっちは昨日の件でアウトだけど。とにかく、明日奈さんやセシリアさんみたいに昔から知ってる娘や清香や本音みたいに学園で知り合った娘からも同じくらい慕われてるって事はそれだけ人望があるって事じゃないかな? だから私も志狼さんにクラス代表になって欲しいです!」

 

 今度は鏡ナギさんが四十院さんの意見に乗って来た。更に、 

 

「私もさんせー。志狼さんってお兄ちゃんって感じがするし、私1人っ娘だからずっとお兄ちゃんが欲しかったんだあ。だから、クラスのお兄ちゃん、じゃなくて代表になって欲しいでーす」

 

 谷本癒子(たにもとゆこ)さんまで。今まで話をした事のない娘達から次々と代表就任を要請されて、気が付けば大半の生徒が賛成していた。ああ、コレは駄目だ。

 

 

 

「えーと、それでは志狼君の代表就任に賛成の人、手を挙げて下さい!」

 

 真耶先生が言うとクラスのほぼ全員が手を挙げた。挙げてないのは、女尊男卑主義者の3人だけだった。

 

「と言う結果なんですが、どうします志狼君?」

 

 真耶先生が苦笑しながら言う。こんなの断れる訳ないじゃないか!

 

「・・・・分かりました。クラス代表、お引き受けします」

 

 俺がそう言うと、教室内は拍手と歓声に包まれた。

 

 

 

 

 こうして俺は1年1組のクラス代表に就任した。

 副代表にはセシリアに就いて貰い、他のクラスに遅れる事1週間、我が1年1組はようやく正・副代表が揃ったのだった。

 ただ、代表の就任に付随して、クラスの皆から俺に「クラスのお兄ちゃん」と言う称号が贈られた。何だコレ?

 

 

~side end

 

 

 

 

~箒side

 

 

 私は今、学園の地下にある懲罰房に向かっている。昨夜からここに入っている一夏に食事を持って来たのだ。

 最初、織斑先生に一夏に面会したいと言うと、渋い顔で拒否された。それでもしつこく懇願すると、食事を持って行く時に同行を許して貰えた。

 

「織斑先生、聞いてもいいですか?」

 

 私は地下への長い階段を降りながら、先を行く織斑先生の背中に声をかける。

 

「何だ?」

 

「一夏への罰ですが、暴言を吐いただけで懲罰房行きは流石に厳しすぎませんか?」

 

 私はちょうどいい機会なので、朝から疑問に思っていた事を聞いてみた。

 

「だろうな。普通なら暴言くらいでこうはならん。織斑の懲罰房行きは私の独断だ」

 

「な!? いくら何でもあんまりです!」

 

 私が思わず食ってかかると、

 

「落ち着け。織斑を守る為には必要だったんだ」

 

「え!?」

 

「織斑は例の暴言で学園中の生徒を敵に回した。中には危険な思想を持つ主義者もいるんだ。あのまま寮に置いておいたら襲撃されかねん。だから監視が行き届いた懲罰房に入れたんだ。これなら厳罰を与えたように見えるし、織斑の身も守れる。一石二鳥だろ?」

 

「な、成る程。でも1週間は長すぎませんか?」

 

「いや、(ほとぼ)りが冷めるにはそれくらい必要だ。と、着いたぞ」

 

 織斑先生の話を聞いてる内に私達は懲罰房に到着した。

 懲罰房は2つの部屋が連なった構造で、手前の監視室と奥の懲罰室の2つで構成されている。私は織斑先生と監視室に入り、室内にいた教員と交代した。

 

「織斑、食事の時間だ」

 

 織斑先生がマイクに向かって話す。監視室は懲罰室側の壁が一面マジックミラーになっていて、こちらからは室内が見えるが、向こうからは壁にしか見えないそうだ。

 織斑先生の声に反応して、机に伏していた一夏が動いた。

 

『千冬姉? やっと飯かよ』

 

 立ち上がり、ノロノロと小さな取入口からトレーを受け取る。

 

『何だよ。たったこれだけかよ』

 

 一夏が食事に悪態を吐く。無理もない。食べ盛りの男子高校生の食事としては量も少なく、質素な献立は健康志向の一夏でも物足りないのであろう。

 

「我慢しろ。お前は罰を受けている身だぞ」

 

『あー、はいはい。分かってるよ』

 

 悪態を吐きながらも、ほぼ1日振りの食事だ。一夏は机にトレーを置いて食べ始める。

 その様子は、何と言うか荒んでいた。大人しく食べてはいるのだが、その態度の端々から今の状況が不服だと発しているように感じた。

 チラリと織斑先生を見ると、苦い顔をして一夏を見ていた。私が感じるくらいなのだから織斑先生、いや千冬さんも当然感じているのだろう。一夏が全く反省していない事を。

 

 

 やがて食事を終えた一夏がトレーを返すと、畳の上で寝転んだ。

 改めて見ると何もない部屋だ。監視室から見た側にはトイレと洗面台があり、部屋の中央から奥が一段高く、畳張りになっている。そこには畳まれた布団と古めかしい木製の机があるだけの殺風景な部屋だ。

 こんな所で1週間も過ごすのかと思うと、正直ゾッとする。一夏はよく悪態を吐いてられると思ったが、それもまだ初日だからかも知れない。

 

 

「どうする箒。一夏に話があったんだろう?」

 

 千冬さんが声をかけて来た。確かに、私は一夏に話があってここに来たのだ。だが、一夏の様子を見て私は怖じ気付いていた。

 今の一夏は心が荒んでいる。そんな状態でまともに会話が出来るだろうか? 誰だって心が荒んだ時は攻撃的になり、心にもない言葉が出る事もあるだろう。

 だが、そんな言葉こそ本人も意図しない、偽りない真実の言葉であるのかも知れない。

 

 

 私は迷った末に千冬さんに頷いて、席を代わって貰った。

 

「一夏、聞こえるか?」

 

 緊張に声が少し震えている。マイク越しで良かったと心から思った。

 

『ん? この声は箒か?』

 

「ああ、私だ。調子はどうだ?」

 

『いい訳ないだろう。こんな所に入れられて』

 

「そ、そうだな、すまん。・・・・一夏、聞きたい事があるのだが、いいか?」

 

『・・・・何だよ?』

 

 私は息を吸い、意を決して話し始める。

 

「一夏、昨日言ったのはお前の本心なのか?」

 

『・・・・・・』

 

「男は女を守るもの、これはいい。お前らしいと思う。だが、女と戦う時は手加減しろとはどう言う事だ? お前は昔からそんな風に思っていたのか? 私はお前にとって真剣に相手をする価値もない存在だったのか!? 答えてくれ、一夏!!」

 

『うるせええええーーーっ!!』

 

 私の問いかけに怒鳴り返す一夏。一夏が私を怒鳴るなんて初めてで、思わず硬直してしまう。

 

『さっきから聞いてればゴチャゴチャうるさいんだよお前は! ああ、そうだよ。女なんか真剣に相手出来る訳ないだろ! 男と女じゃ体の作りからして違うんだ。そもそも何の為にあらゆる競技が男女別になってると思ってんだ、当たり前の事だろうが!!』

 

 何だろう? 急に視界がぼやける。

 

「い、一夏──」

 

『そもそもお前だって昨日俺を蔑んだ目で見てたじゃないか! 忘れてねーぞ!』

 

 ああ、もう駄目だ。何にも見えないや。

 

『今更理解者ヅラして反省しろってか!? 知るかよ! だいたい──』

 

 一夏の声が聞こえなくなり、不意に体の左側に温もりを感じた。

 

 そちらを見ると、千冬さんがマイクを切って、私を抱きしめてくれていた。もう、認めてしまおう。私は泣いていた。

 

「千冬さん・・・・」

 

「すまん箒、本当にすまない・・・・」

 

 もしかしたら千冬さんも泣いているのかも知れない。何の涙だろう? 悲しみ? 悔しさ? 何かは解らない。ただ、涙が溢れて止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 ───この日、私の初恋は終わった。

 

 

~side end

 

 

 

 

~志狼side

 

 

「え、パーティー?」

 

 昼休み。いつものメンバーで昼食を摂り終えた所、彼女──鏡ナギがやって来て、今夜パーティーをしようと提案して来た。

 

「パーティーなんて出来るの?」

 

「うん。夕食の時間が6時から7時半まででしょ。その後で、自分達で準備と片付けをするならOKだって」

 

「で? 何のパーティーなのさ」

 

「ん~、表向きは志狼さんのクラス代表就任パーティーなんだけど、要はクラスの親睦会。それに、織斑君の件で暗くなった気分を盛り上げよう、的な?」

 

「ふむ。いいんじゃないか?」

 

「ホント!?」

 

「ああ、表も裏も理由は理解出来るし、でも、今夜いきなりって大丈夫なのか?」

 

「それは大丈夫。ちゃんと食堂のオバちゃんにも山田先生にも許可は取ったから」

 

「織斑先生は?」

 

「それが、織斑先生どこにもいないんだよね~」

 

「そうか、なら仕方がないか。皆はどうだ?」

 

 皆に聞くと、全員がOKとの事だ。

 

「良かった。それじゃパーティーの件で相談があるんだけど、この中で料理が得意な人っている?」

 

 鏡さんの質問に皆を見ると、清香、静寐、本音、セシリアが顔を背けた。

 

「清香や本音、セシリアは分かるけど静寐は意外だな」

 

「私、出来はするんですけど、得意かと言われると、ちょっと・・・・」

 

「成る程、そう言う事か」

 

 静寐は何でもそつなくこなすように見えたからちょっと意外だった。

 

「分かるって言われた私達って・・・・」

 

「えへへへー」

 

「くっ、何と言う事でしょう。こんな事ならチェルシーに教わっておけば・・・・」

 

 出来ない組が何か言ってるな。

 

「じゃあ、志狼さんと明日奈さんは料理が得意なんだ?」

 

「ああ、明日奈は料理が趣味で、家でも料理は明日奈に任せていたくらいだしな。かなり上手いぞ」

 

「もう、良く言うよね。兄さんの方がずっと上手いのに」

 

「え、そうなの?」

 

「そうなの。確かに家では私が料理を任されていたんだけど、特別な日、例えば私の誕生日とかには兄さんが作ってくれたりするの。そうすると、そっちの方がずっと美味しいの」

 

「へえ、そうなんだ。楽しみだなー」

 

「因みに鏡さん。君は?」

 

「えーと、食べ専って事で・・・・」

 

「それで? 他に料理が出来るのは何人いるんだ? 後、予算はどれくらい?」

 

「・・・・えーと、」

 

 この反応、まさかとは思うが何も決まってないんじゃ・・・・

 

「参加する人数は? どういう方式のパーティーにするの? 食べ物や飲み物の種類は? それと幹事は君だけ?」

 

「・・・・・・」

 

 うわあ~、この娘思い付きで突っ走る娘だわ。こりゃあ参った。

 

「・・・・鏡さん、話し合おうか」

 

「ふえっ!」

 

 鏡さんが俺をじっと見つめながら、

 

「・・・・怒らないの?」

 

「怒りはしないよ。ただちょっと呆れてるけどね」

 

「うっ」

 

「でもね、クラスの親睦を深めようとか、暗くなった気分を盛り上げようとか、パーティーを開きたいって君の気持ちはとても尊いものだから反対はしないよ。ただ、こういう事は計画的に進める事。折角パーティーを開いても皆が楽しんでくれなきゃ意味がないだろう?」

 

「志狼さん・・・・うん!」

 

「よし、それじゃ詳細を詰めようか。皆、協力してくれるかい?」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 俺達はパーティーについての話し合いを始めた。時間が限られている為、どこまで出来るか分からないが、彼女──ナギの気持ちは無駄にしたくはない。俺達は時間の許す限り、意見を出し合い、準備を進めた。

 

 

~side end

 

 

 

 

~明日奈side

 

 

「それでは、結城志狼さん、クラス代表就任おめでとうございまーーーーすっ!!」

 

「「「「おめでとーーーーっ!!」」」」

 

 

 午後8時。1年生寮の食堂の一画を借りて、パーティーが始まった。

 ナギがクラス全員に声をかけた所、30人中25人が参加している。参加してないのは3人の女尊男卑主義者と織斑君、それと箒。

 箒は午後の授業から姿が見えないので織斑先生に聞くと、体調を崩したというので少し心配だ。パーティーが終わったらお菓子を持ってお見舞に行こうかな、と思ってる。

 

 話し合いの結果、夕食後の事なので、セシリアの提案で夜のティーパーティーと相成った。ティーパーティーなので食事ではなくお菓子をたくさん作って、紅茶とおしゃべりを共に楽しんで貰おうと決まり、いざ、お菓子を作ろうとした所、作れる人が私達兄妹と四十院さんの3人しかいなかった。

 流石に3人で30人近い人数分のお菓子を作るに手が足りないので、出来るけれど得意ではないと言っていた静寐に手伝って貰い、4人でクッキーやマドレーヌなどの焼菓子をメインに作った。

 紅茶はセシリアが持っていたものを快く分けてくれたので、それをいただく事になった。(兄さんが言うにはもの凄く高価(たか)い紅茶らしい)

 

 それぞれがお菓子を食べてはあちこちでおしゃべりの花を咲かす。私達が作ったお菓子を皆が美味しいと言って食べてくれる。そんな些細な事がとても嬉かった。

 

 隣に座る兄さんはさっきからナギ、神楽、ゆっこの3人と話をしている。彼女ら3人共、パーティーの準備をしている内に仲良くなり、名前で呼び合うようになった。因みにゆっことは癒子の愛称の事。

 

「そうか、初日の件が解決した後で俺から話しかけてたのか」

 

「はい。思い出していただけました?」

 

「ああ、完全に」

 

「でも、あの時の志狼さん、カッコ良かったよ! まるで犯人を追いつめる名探偵みたいだった!」

 

「うん。面白かったよね~」

 

 話の内容は入学初日の事件の事らしい。後から話を聞き、箒からも謝罪されたけど、いきなり濃い1日だったと聞いて、生で見れなかったのが残念だった。

 

 そんな風に皆で楽しくおしゃべりをしていると、不意に兄さんが席を立った。

 

「どうしたの兄さん?」

 

「ああ、用意してたものが丁度冷えた頃だから取って来る」

 

 どうやら兄さんはまだ何か用意してたらしい。

 

「そう。手伝いはいる?」

 

「そうだな、1人か2人、神楽、ナギ、少し歩くけど手伝ってくれるか?」

 

「「はいっ!」」

 

「えー、私はー?」

 

「ゆっこは危なっかしいからお留守番」

 

「ぶうー」

 

 むくれるゆっこを置いて、2人を連れて兄さんは食堂を出て行った。

 

 

 

 連れて行くのに私を選んでくれなかった事が少しだけ寂しく思えた。

 

 

~side end

 

 

 

~?side

 

 

 お腹が空いた。

 久し振りの日本が懐かしくて、ついあちこち回った結果、銀行もATMも閉まっちゃって、今、私の財布の中には元しかない。逸る気持ちを抑えきれず、空港で両替しなかったのは失敗だった。

 幸い、先に送られてた学生証でモノレールには乗れたから、何とか学園には到着したけど、学園内に入るのでもう一悶着あって、ようやく学園の敷地内に入れた時には私は空腹と疲労でヘトヘトだった。

 

「うう、学園本校舎って、一体どれなのよ~」

 

 周りは既に真っ暗で、似たような建物がいくつもあるからどれがどれなのかサッパリ分からない。

 

「大体何で案内してくれないのよ~! もう!」

 

 そう、学園に入るのでモメた時、学園の職員らしき人が来て私の身元を照会してようやく入れたんだけど、その人は学園本校舎の1階にある総合受付に行くように言って案内図を渡すとどこかへ行ってしまった。

 

「何て不親切なのよ! 全くこれだから日本人は!」

 

 外国人に冷たいのは日本人の悪い所だ。単一民族で構成されてるからっていつまで排他的なんだか! そんな時、

 

 グウウウ~~~~ッ

 

 私のお腹が大きく鳴った。うう、お腹空いたよ~~。

お腹を押さえてへたり込む私。そんな時、微かに人の声が聞こえた。私は立ち上がるとその声に向かって走り出した。

 

 

~side end

 

 

 

~志狼side

 

 

「そうか、神楽にも分かったのか」

 

「はい。これでも私、昨年の全中で3位に入賞してるんですよ」

 

 俺と神楽、ナギの3人は本校舎の食堂の冷蔵庫を借りて冷やしていたデザートを持って、1年生寮に戻っている所だ。作ったのは自家製ホールプディング。大き目のボウルに入れたプリンの素を冷やして固めるだけの割と簡単なものだ。カスタードとミルクの2種類をふたつずつ作ったので、俺がふたつ、神楽とナギにはひとつずつ運んで貰ってる。本当は寮の冷蔵庫で冷やしてたかったのだが、あいにくそちらには今日の夕食のデザートのフルーツゼリーが冷やしてあり、入らなかったのだ。

 寮への道すがら、俺達に接点のある初日の事件について話していたら、神楽がかつての本音のようにわざと打たれたのだろう、と聞いて来た。俺が肯定したらちょっとドヤ顔をした神楽は何だか可愛かった。

 

「あれ? 昨年の全中って言うと、もしかして箒と当たったのか?」

 

「はい。準決勝で彼女に敗れました」

 

「そうか、それじゃ2人は以前から知り合いだったのか」

 

「いえ、それが・・・・」

 

 そう言う神楽は、悔しそうな、悲しそうな複雑な顔をしていた。何だろう?

 

「違うのか?」

 

「私から見ればそうなのですが、篠ノ之さんは、その、私の事を覚えてなかったんです」

 

「「!?」」

 

「試合の後、面を取って言葉を交わした事も彼女は覚えてませんでした。入学2日目の放課後、剣道部に入部した時に彼女も一緒だったんですが、その時こう言われました。“初めまして”と。彼女に何の印象も与えられなかったのかと思うと悔しいやら悲しいやら・・・・」

 

「神楽・・・・」

 

 話していたら、落ち込んでしまった神楽の背中をナギが優しく叩く。しかし、おかしな話だな。

 

「言葉を交わしたそうだが、何て言ったんだ? その時の箒におかしな所はなかったか?」

 

「そうですね・・・・まず、彼女の剣は酷く荒れていました。だからこう聞いたんです。どうしてそんなに荒れているの、と」

 

「箒は何て答えた?」

 

「何も。ただ驚いた顔をして去って行きました。まるで自分の剣が荒れてる事を初めて指摘されたかのようでした。それともうひとつ、名前が違ったんです」

 

「名前が違う?」

 

「ええ、あの時彼女はこう名乗っていました。篠田法季(しのだほうき)、と」

 

「・・・・・・」

 

 篠ノ之箒が彼女の本名のはずだ。ならば大会に偽名で出ていた、いや、中学に通っていた事になる。そんな事が出来るのは・・・・とその時、

 

「ちょっと、あなた達!!」

 

 暗がりから何かが飛び出した。

 

「「きゃああああーーーっ!!」」

 

 飛び出した何かに驚いて、神楽とナギが悲鳴を上げる。俺は2人を庇うように何かの前に立ち塞がる。

 果たして暗がりから飛び出した何かは、街灯の灯りの下で見ると、黒髪をツインテールにした小柄な少女だった。 

 

「あなた達! 本校舎ってどこにあるか教えて!!」

 

 彼女は切羽詰まった顔で言うと、

 

 

 グウウウ~~~ッ

 

 大きな音が鳴り響いた。

 

 

 

~side end

 

 

 

 

 




読んでいただき、ありがとうございました。

今まで出たサブキャラ達のイメージキャラクターを紹介します。
これは、あくまで筆者のイメージですので、原作並びに皆さんのイメージとは違うかもしれませんが、ご了承下さい。

相川清香  「ラブライブ」の星空 凜
鷹月静寐  「ラブライブ」の園田海未
谷本癒子  「ラブライブ」の小泉花陽
鏡 ナギ  「ラブライブ」の矢澤にこ
      (髪を下ろした状態)
四十院神楽 「ガールズ&パンツァー」
      の五十鈴 華

1人だけ作品が違いますが、以上になります。
尚、本音はメインヒロイン枠です。

次回、後編の予告を少々。

志狼達の前に現れた謎の少女の正体は!?(笑)
まだ出てない新聞部副部長の出番はあるのか!?(笑)
第16話「パーティー・ナイト 後編」
次回、志狼が箒の過去に迫る!

ご期待下さい。

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