二度目の高校生活はIS学園で   作:Tokaz

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今回は生徒会長が酷い目にあいます
今回は微エロ展開があります。

上記が嫌な人は読まない事をお薦めします。


それでは第22話、ご覧下さい。


第22話 花と散る

 

 

~一夏side

 

 

 箒が変だ。

 

 あの模擬戦の後、鈴と一緒に寮に帰った俺は何やら用があるらしい鈴と別れて、自室でシャワーを浴びた。

 シャワーから上がってしばらくすると箒が戻って来たんだが、その時から様子がおかしかった。声をかけても返事をせず、足が地に着いてないかのようなふわふわした足取りで部屋に入って来ると、自分のベッドに腰掛けてボーッとし出した。

 すると突然「くふふふっ」と笑い声を上げたり、枕に顔を埋めて足をバタバタしたり、シーツにくるまってベッドの上をゴロゴロと行ったり来たりと、奇怪な行動を取り出した。

 流石に気味が悪くて何度も声をかけたが、箒は自分の世界に入ったまま出て来なかった。どうするべきか悩んでいると部屋のチャイムが鳴った。誰か来たらしい。俺は藁にもすがる思いで扉を開けると、

 

「やっほー、一夏♪」

 

 何故かボストンバッグを抱えた鈴が立っていた。

 

「鈴? どうしたんだ?」

 

「ちょっと箒に用があってね。いる?」

 

「いるにはいるんだが・・・・」

 

「?何よ、はっきりしないわね。まあいいわ、お邪魔するわよ」

 

 鈴は中に入ると、箒を見て固まった。箒は先程と変わらず、端から見ると不気味な奇行を繰り返していた。

 

「さっきからあの調子でいくら声をかけても聞こえてないみたいなんだよ。いい加減気味が悪くて」

 

「気味が悪いって・・・・アンタも結構酷い事言うわね。まあいいわ」

 

 そう言うと鈴はポーッと座っている箒の耳元で一言何か呟くと、

 

「な!なななな何を言ってるんだ!!って、あれ、鈴?」

 

 耳まで真っ赤に染めて、箒が復活した。

 

 

~side end

 

 

 

 

~箒side

 

 

 私は幸せの真っ只中にいた。

 志狼が言ってくれた言葉やそれに込められた気持ちを思い出すだけでISを纏ってないのに空を飛べそうな気分だ。

 しかし、あれが壁ドンかあ。成る程、確かにいいものだった。半ば視線が固定されるからお互いしか瞳に映らず、吐息すら感じる距離で見つめ合う。も、もしあのまま志狼がキスして来たら、私はきっと拒めなかったろう。

 ううう~、わ、我ながら流され易いと思わなくもないが、私とて年頃の女なのだ。そう言う事には人並みに興味がある。いや、抑圧された生活を送っていた反動からか人並み以上かもしれない。

 中学の頃、クラスメイトの話に興味のないふりをしながら聞き耳を立てていた時に出て来た壁ドンや顎クイ、お姫様抱っこなどの行為。憧れていたその1つを体験して私は浮かれていた。さっき志狼からして貰った事のその先を妄想していた、そんな時、

 

「志狼にキスでもして貰ったの? 箒」

 

 突然聞こえたその一言で、私は幸せな妄想の中から現実に帰って来た。

 

「な!なななな何を言ってるんだ!!って、あれ、鈴?」

 

 反射的に否定してからその一言を言ったのが鈴である事に気付いた。

 

「ふうーん、流石にキスはまだだったか」

 

「り、鈴? ひょっとして私が志狼を好きな事・・・・」

 

「え? バレてないとでも思ってたの? もう皆知ってるわよ?」

 

「えええええーーーーっ!!」

 

 え? 皆知ってる? 皆ってどこまで? 私極力抑えてたつもりなんだが・・・・

 

「え? あれで? アンタ隠し事下手ね。クラス中だだ洩れだったわよ?」

 

 つまりはクラス中知れ渡っていると言う・・・・うう~、は、恥ずかしくて明日皆の顔が見れない!

 

「まあ、今更なんだから諦めなさい」

 

 ううう~、ってあれ? さっきから心の声に鈴が返事してるような?

 

「・・・・しっかりしなさい! アンタさっきから全部口に出してるわよ!」

 

「えええ!!」

 

 驚いて隣りの鈴を見ると、呆れたような半目で私を見ていた。

 

「アンタ少し落ち着きなさい! ほら深呼吸!」

 

「あ、ああ」

 

 言われるままに深呼吸を何度かすると、ようやく落ち着く事が出来た。

 

「すまない鈴。もう大丈夫だ」

 

「そう? それじゃあ本題に入るけど、部屋を替わって欲しいのよ」

 

「?・・・・つまりは今鈴のいる部屋に私が移って、鈴がこの部屋で一夏の同居人になると言う事か?」

 

「そうよ! さっき一夏から聞いたんだけど、元々幼馴染みって事で同室にされてたんでしょ? なら私にも資格があるわ! だから替わって?」

 

「ふむ・・・・いいだろう。但し、条件が2つある」

 

「条件? 何よ?」

 

「何、難しい事じゃないさ。1つは引っ越す時に荷物の整理を手伝う事。バッグに詰めたり、運ぶのに手を借りたいんだ」

 

「そのくらいならお安い御用よ! それでもう1つは?」

 

「もう1つは同居人と寮長の織斑先生にきちんと許可を貰って来る事。勝手に部屋を替えて後で怒られたくないからな」

 

 私がそう言うと、鈴は顔を青くした。

 

「う、そっか。許可取らないとマズイよね?」

 

「そりゃあマズイだろう。・・・・ああ、そうか」

 

 そう言えば鈴はつい先程問題を起こしたばかり。そんな身で部屋替えなんて言い出しても上手くいくとは思えない。

 

「はあ、分かった。先生の所には私も同行しよう。お前は先に同居人の許可を貰って来い」

 

「! ありがとう箒! それじゃ、ちょっと行って来るわ!」

 

 そう言うと鈴は風のように去って行った。さて、私は荷物を纏めるとするか。クローゼットの中からバッグを取り出すと、一夏が声をかけて来た。

 

「なあ箒、部屋を替わってもいいのか?」

 

「別に構わないよ。元々部屋替えの申請はしていたしな」

 

「え!?」

 

「そもそも恋人同士でもない男女で同室なんて最初から無理があったんだ。幼馴染みだから他の知らない娘と一緒にするよりましだろうって理由で同室にされてたんだし、鈴が替わってくれるなら正直大歓迎だよ」

 

「そ、そうか・・・・」

 

 それっきり静かになったのを怪訝に思い、視線を向けると、一夏は何やら呆然と立ちつくしていた。

 

「一夏? どうかしたのか?」

 

「え!? あ、いや、何でもない。あ、俺も手伝おうか?」

 

「気持ちだけ貰っておく。だが、女の持ち物に触ろうなんてデリカシーに欠けてるぞ。それとそろそろ下着の整理をしたいんで向こうを向いてくれないか?」

 

「!ああ、すまない」

 

 一夏は慌てて向こうを向くも、その場に立ちつくしたままで、私には何か言いたそうに見えた。

 

「何だ。何か言いたい事でもあるのか?」

 

 私が手を止めずに聞くと、躊躇いながらも一夏はこちらを向いて、

 

「箒は本当に─「お待たせー! 行きましょ箒!!」・・・」

 

 発しようとした言葉は鈴によって防がれてしまった。

 

「ああ、分かった。一夏、話があるなら後でいいか?」

 

「ああ、いや、何でもないんだ、忘れてくれ・・・・」

 

「そうか? それじゃ、行って来る」

 

 一夏にそう言って私は鈴と共に部屋を出た。一夏がこの時、何を言いたかったのかは結局分からないままだった。

 

 

 

 結果として、私と鈴の部屋替えは千冬さんに認めて貰えた。部屋替えを申し出ると、千冬さんは大きなため息をひとつ吐いて、了承してくれた。別れ際にそっと耳元で「色々すまなかった」と言われたのが妙に印象的だった。

 

 許可を得た私達は早速私の荷物を纏め、引っ越しをした。途中、私の下着を整理しようとした鈴が私のブラのカップ数を知って逆ギレしたりもしたが、元々荷物が少なかったのもあり、1時間程で引っ越しは完了した。

 私の新しい同居人は同じクラスの神楽だった。彼女となら同じ部活でもある事だし、上手くやって行けそうだ。

 

 

~side end

 

 

 

 

 

~志狼side

 

 

「ただいま~っ」

 

 時刻は午後8時。随分と遅くなってから明日奈が疲れた顔をして帰って来た。

 

「お帰り。随分遅かったな」

 

「うん、もう参ったよー。いきなり新装備が完成したから来てくれって言われてもねえ」

 

 そう、明日奈に掛かって来た1本の電話。それは明日奈の専用機の新装備が完成したと言う連絡だったそうだ。この新装備の完成により、彼女の専用機は設計当初の性能をようやく発揮出来るようになると言う。

 明日奈が今まで専用機を持ちながら中々展開しようとしなかったのはそのせいらしい。

 

「それでね。新装備のインストールと性能テストをするから明日行く事になっちゃって、織斑先生に事情を説明して欠席届とか書いてたら遅くなっちゃって・・・・あーもう! かんちゃんに悪い事しちゃったよ~」

 

「心配するな。お前の代わりは俺が務めたし、簪は根に持つような娘じゃないよ」

 

「うん、ありがとう兄さん。それでね、明日は朝から研究所に行って、そのままお泊まりになると思うの。そうしたら次の日は家に帰って雪ちゃんの様子を見て来ようかなって」

 

「うん、それがいい。雪菜と、いたら父さんにもよろしく伝えてくれ」

 

「うん、分かった」

 

「さて、腹が減ったな。夕飯にしようか」

 

 俺がキッチンへ向かいながら言うと、

 

「え!? もしかして待っててくれたの?」

 

 明日奈が驚いていた。俺は冷蔵庫の中を見ながら何が出来るか考えていると、不意に明日奈が背中に抱き着いて来た。

 

「どうした?」

 

「ん~、何となく♪・・・・ねえ! 久し振りに一緒に作らない?」

 

 さっきまで疲れた顔をしていた明日奈が満面の笑顔で提案して来た。

 

「ふむ・・・そうだな、やるか?」

 

「うん!!」

 

 こうして俺達は久し振りに2人で夕食を作った。大した材料がなかったのでメニューはオムライスだったが、不思議といつもより美味しく感じた。

 

 

~side end

 

 

 

 

 

~?side

 

 

 ふっふっふ、いい事を聞いたわ。

 

 明日の夜には彼は1人きり。計画決行の大チャ~ンス!

 私の罠に掛かって、簪ちゃんから引き離されて無様に泣くがいいわ! 

 そうと決まれば今ある盗聴機だけじゃなく高解像度の監視カメラも設置しなくっちゃ! 明日の授業中にでも早速忍び込んで設置するとしましょう。でも最近授業をサボり気味だからバレたら虚ちゃんに何をされるか、ううん、大丈夫、バレなきゃいいの!

 

私は心に浮かんだ小さな不安を捨て去って決意する。

 

 覚悟なさい、結城志狼! 私の可愛い簪ちゃんを毒牙に掛けようとする、貴方の化けの皮をはがしてあげるわ!!

 

 

~side end

 

 

 

 

~志狼side

 

 

 金曜日。この日の午前中は初のIS実技授業だった。

 今まで座学ばかりでISに触れる事が出来なかった一般生徒は、いよいよ実機に触れると今朝からワクワクしていた。ただ、初回となる今回は真耶先生の模範操縦を見学するだけらしい。

 見学だけだが体操服に着替えるように指示されたので、俺と織斑も数少ない男子更衣室で着替えてからアリーナに入ると、そこには楽園が広がっていた。

 

 IS学園の女子用体操服はブルマだった。

 あの前世紀の遺物と言われ、現在はそう言うお店でしか見る事が出来ないはずのあのブルマを見目麗しい美少女達が履いているのだ。これを楽園と言わず何と言おうか!?

 

「あ、志狼さま」

 

 俺が来た事に気付いたセシリアが近寄って来た。白い太股が実に眩しい。眼福ではあるのだが、

 

「・・・・なあセシリア、その、恥ずかしくないのか?」

 

 俺がそう聞くと、セシリアはキョトンとした顔をした後、頬を赤らめて言う。

 

「え? ああ、この格好ですか? 確かに少々恥ずかしくはありますが、ISスーツに比べれば・・・・」

 

 成る程。露出度と言う点では然程変わらないと言う事か。俺はISスーツをあんな風にデザインにした篠ノ之束博士に密かに感謝した。

 

「集合!!」 

 

 そうこうしている内に先生達がやって来て、授業が始まった。

 

 

 真耶先生の模範演技が始まった。基本から応用、果ては瞬時加速のような特殊技まで。高い操縦技術を見せる真耶先生に皆の先生を見る目が変わっていた。

 この後、俺達専用機持ちも飛ぶように織斑先生に言われ、俺とセシリア、織斑の3人はそれぞれ機体を展開し、指示通りに飛ぶ事になった。

 流石にセシリアの急加速、急上昇はスムーズで、俺も何とか付いて行けたが、織斑はまだ上手く飛べないようで、フラフラしながら上昇して来た。試合の時はそれなりに飛べてたのにおかしな事だ。

 今度は地上200mの高さから急降下して地上10㎝で停止しろとかなり無茶な事を指示された。それでもセシリアは見事に成功。続く俺は果敢に挑戦するも、地上50㎝で停止してしまい、失敗。「ISに触れて1ヶ月足らずとしてはまあまあ。精進するように」とお言葉をいただいた。

 最後の織斑は大失敗。急停止出来ずにアリーナに墜落し、大穴を空けてしまった。織斑先生からは大目玉を食らい、クラスメイトからは失笑されていた。

 授業はそこで終ったが、織斑は自分で空けた穴を塞いでおくよう命じられ、助けて欲しそうにこっちを見ていたが、誰も手を貸そうとはしなかった。

 

 

 

 

 昼休み。昼食を摂った後、本音と共に整備室へ。簪と合流して昨日の事故の調査結果を虚さんに聞きに行った。

 結果として、バーニアに使った部品の一部に古い物が混ざっていて、耐久性が劣化していた為に起きたらしい。結果的に耐久性のデータが録れて良かったとも言えるが、簪を危険な目に合わせた事に虚さんは気落ちしていた。

 今回の件は整備科長である自分の責任だと謝罪する虚さんに簪は謝罪を受け入れ、改めて専用機を完成する為に協力を依頼した。虚さんはクラス対抗戦までに必ず専用機を完成させる事を約束した。

 早速今日から破損した部分の修理をするので、俺達にも協力して欲しいと言われたので放課後は整備室に集合する事となった。

 

 

 

 

 放課後。本音と共に整備室へ向かい、打鉄弐式の修理を手伝う。打鉄弐式は打鉄の後継機の為、使ってない打鉄の脚部パーツをそのまま流用させて貰い、改造を施す事になった。

 今日は虚さんと黛先輩が用事で来れないので、本音が中心になって作業を進める事となった。最初は心配していたのだが、作業が進むにつれ、その心配は無用だと分かった。本音の整備技術は黛先輩に勝るとも劣らない程高かったのだ。

 後から聞いた話だが、本音は1年生にして既に整備科の次期エースと目されていて、本来1年生の今の時期に入り浸る事が許されない整備室に自由に出入りする権利を有していると言う。

 普段ののほほんとした様子は鳴りを潜め、真剣かつ楽しそうに作業する本音の姿に俺はつい見蕩れてしまった。

 

 この日は俺と本音、簪の3人しかいなかったので夜9時までかかったが、修理は完了した。肝心のプログラム修正は浅葱に頼んだら、わすか5分足らずで修正したものを送ってくれた。改めて『電子の女帝』の凄さを思い知った気がした。

 

 

 

 

 

 作業を終えた後、本音と簪にお呼ばれして彼女らの部屋で一緒に夕食を摂る事になった。本音は食べる専門なので、簪と2人でキッチンに立つ。

 簪は料理は一応出来ると言うレベルで、本来はお菓子作りの方が得意で、中でもカップケーキには自信があるそうだ。今度ご馳走してくれと言うと、はにかみながらも頷いてくれた。

 今夜のメニューはがっつりと豚の生姜焼きにした。焼肉のタレとチューブの生姜で味付けしただけの簡単なものだが、2人共美味しいと言って、残さず綺麗に食べてくれた。

 

 

 

 

 

 簪の淹れたお茶を食後にいただいてから部屋を辞する。彼女らはこれから大浴場に行くと言う。こう言う疲れた時には足の伸ばせる大浴場が羨ましい。今夜は明日奈がいないのでゆっくりとシャワーを浴びて寝ようと部屋の扉を開けると、

 

 

「お帰りなさい。ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?」

 

 

 裸エプロンの美少女がそこに立っていた。

 

 

 

 

 

 人は予想もしてない事態に遭遇すると、思考が停止するらしい。目の前の衝撃的な光景に意識を奪われ、俺は何も考えられなくなっていた。

 外側にはねた水色の髪と赤い瞳の整った美貌はどこかで見た気がしたが、どこで見たのか思い出せない。エプロンで隠していても、隠しきれない豊満な胸とくびれた腰。見えそうで見えないヒップラインと抜群のプロポーションをした美少女だった。

 俺は1度扉を閉めて、目の周りを軽くマッサージする。よもや溜まった性欲が幻を見せたのかとも思い、深呼吸してからもう1度扉を開ける。すると、

 

 

「お帰りなさい。私にする?私にする?それともわ・た・し?」

 

 

 今度は一択だった。

 幻ではない、魅力的な美少女からのお誘いに、断れば彼女に恥をかかせる事になると思い、俺はそのまま誘いに乗る事にした。

 

「一択ならば仕方ない。君にしよう」

 

 俺は彼女を素早くお姫様抱っこで抱え上げると室内に入り、ベッドを目指す。

 

「え?あれ?あの、ちょっと待って!って、ひゃん!!」

 

 彼女をベッドに放り投げると短い悲鳴を上げた。そのまま覆い被さり彼女の唇を奪う。

 

「ちょっと待っ、んんん!むふうぁ!ちゅっ、ん、んんん───!!」

 

 彼女の両手を押さえつけ、口腔内に舌を入れて荒々しく蹂躙する。

 

「んっ、ちゅっ・・・んむっ、ちゅっ、あふっ、ずずっ、あん❤ ふぁ、んちゅっ、ん・・・ずずず──っ!!」

 

 どのくらい時間が経ったろうか。彼女の口内に舌を這わせ、唾液を交換し、唇を蹂躙し尽くしてゆっくりと唇を離す。彼女と俺の間に架かった銀色の橋がプツンと切れた。

 

「あふう❤ はあ、ふう・・・・」

 

 彼女は息も絶え絶えで、酸欠なのか意識も朦朧としていた。口の周りは唾液でびちゃびちゃで、心なしか彼女の美貌が蕩けているように見えた。

 

 

~side end

 

 

 

 

~楯無side

 

 

 何が何だか分からなかった。

 

 計画では結城志狼を誘惑し、襲って来た所を返り討ちにして、その瞬間を録った映像を基に簪ちゃんから手を引かせるはずだった。

 でも実際にはあっと言う間に抱き上げられベッドに連れて行かれると、唇を奪われ、なすがままになってしまった。

 こんな事まで許すつもりはなかったので、何とか離れようとした途端に口内に何かが入って来た。ヌルヌルと這いずり回るものが彼の舌だと分かると最初は気持ち悪くて首を振って外へ出そうとしたけど、ずっと口を塞がれている為に息が苦しくなって意識が朦朧として来る。すると、口内を這い回る舌の今まで感じた事のない感触が心地好く感じるようになって来た。

 散々口内をかき回されると今度は唾液を啜られた。自分の唾液を他人に啜られるなんて想像した事もない事態に私が更に混乱してると、今度は彼の唾液を流し込まれてそのまま飲み込んでしまった。唾液を飲み、飲まれる内に彼に対する抵抗感が薄れて行く。後はただ、彼から与えられる快楽に溺れるだけだった。 

 

「あふう❤ はあ、ふう・・・・」

 

 何も考えられない。ただ苦しいのと気持ちいいので一杯だった。

 

 彼の手が私からエプロンを剥ぎ取る。

 

「? 何だ、裸じゃないのか。中途半端だな」

 

 そう、流石に裸は恥ずかしかったので、私は下に肩紐のない白いビキニを着ていた。

 更にビキニのブラを剥ぎ取られると、これ以上は本当にマズいと感じ、残る気力を総動員して彼に交渉を持ち掛ける。

 

「待って! これ以上は駄目よ! 私の負けを認めるからもうやめて!!」

 

 そう言うと、彼は不思議そうな顔をして、

 

「? 負けも何も別に勝負してる訳じゃないだろう。君が誘って俺が受けた、それだけの話だ」

 

 そうだった。彼を罠に掛けようとしていた私にとって勝ち負けはあっても、彼からすればどうでもいい事なのだ。

 別の手を考えないといけないのに、思考が全く働かない。そんな時、以前女性誌で読んだ処女は面倒がられる、と言うのを不意に思い出した。

 

「わ、私! その、は、初めてなの!!」

 

 言った途端に恥ずかしさに顔が熱くなる。何カミングアウトしてるんだ私は!でも、これで彼が止めてくれれば───

 

「そうか・・・・分かった、ちゃんと優しくしてやるからな。大丈夫、すぐに気持ち良くなるから」

 

 彼は微笑みながらそう言って、軽く頭を撫でてくれたけど、違うのよ!

 

「いや、それは嬉しいんだけど、そうじゃなくて、んむっ、ちゅっ、んんん───!!」

 

 彼に唇を塞がれ、再び快楽の海に投げ出される。後はただ、嵐のようなその海に翻弄され、溺れるだけだった。

 

 

~side end

 

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。

次回は簪の専用機がお目見えする予定です。

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