女神たちの休日   作:藺草影志(OVERBLOOD)

5 / 5
Everyday with Neppgea.

――ラスティション 朝――

 

 

TV「こちらが本日ラスティションの都心部に新装開店したショッピングモールです、ここでは主に電化製品をはじめとするコンピューター類を多く取り扱っており――」

 

 

ノワール「ラスティションは相変わらず機械類ばかりね」ズズッ

 

 

ユニ「……………………」

 

 

ユニ(これ……絶対に来るわね)

 

 

ユニ「ごちそうさま!」ガタッ

 

 

ノワール「ユニ、もういいの?全然食べてないけど……」

 

 

ユニ「お姉ちゃんごめん、わたしクエスト行ってくる」ガタッ

 

 

ノワール「い、今から?一人で大丈夫なの?」

 

 

ユニ「ボーンフィッシュの大群なんてわたし一人で楽勝だよ、わざわざお姉ちゃんの手を煩わせたくないし」

 

 

ノワール「でもほら、万が一ってことが……お昼からならわたしも空いてるし、一緒に付いていけ――」

 

 

ユニ「いいからお姉ちゃんはお仕事してて。それじゃあ行ってきます」タタッ

 

 

ノワール「あっ、ユニ――!」

 

 

バタン

 

 

ノワール「………………」

 

 

ノワール(うぅ……せっかく姉妹仲を良くするチャンスだったのに……)ションボリ

 

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

――お昼――

 

 

ユニ「……よし、完璧」

 

 

ユニ(武器も磨いたし、クエストも終わったし、今日の日課はこれで終了)

 

 

ユニ「…………」チラッ

 

 

ユニ(わたしの勘が確かなら、そろそろのはず……)

 

 

トントン!

 

 

ユニ「!」

 

 

ユニ「はい、どうぞ」

 

 

ネプギア「ユニちゃん!」ガチャッ

 

 

ユニ「やっぱり……来ると思ってたわ」

 

 

ネプギア「あのね、あのね!実はラスティションに新しいショッピングモールが――」

 

 

ユニ「冒頭で述べたから省略していいわよ、それで?」

 

 

ネプギア「一緒にいこっ!」キラキラ

 

 

ユニ「はぁ、しょうがないわね」

 

 

ユニ(よし!)

 

 

ネプギア「ありがとうユニちゃん!ほんとは断られるじゃないかと思ってドキドキしてたよ~」

 

 

ユニ「今日は偶然クエストも終わってるし、特にやることもないから仕方なくだけど」

 

 

ネプギア「それでも嬉しいよ、ユニちゃんと一緒に行きたかったから」ギュッ

 

 

ユニ「ふん……//」

 

 

ネプギア「さっそくいこっ、ほらほら早く」

 

 

ユニ「ちょっと、引っ張らないでよ」

 

 

ユニ(ネプギアと二人きりでお出かけ♪やること早く終わらせて良かった♪)

 

 

ノワール「………………」ゴクリ

 

 

ノワール(よし……自然な感じで……)

 

 

ノワール「ユ……ユニ、このクエストなんだけど今暇かしら?時間があるなら一緒に――」ガチャッ

 

 

ネプギア「あっ、ノワールさんこんにちは」

 

 

ノワール「へっ……ネプギア?」

 

 

ユニ「お姉ちゃん、今からネプギアとテレビでやってたショッピングモールまで行ってくるね。ラスティションからは出ないから遅くなっても心配しなくていいよ」

 

 

ノワール「へっ、えっ、また今から?」

 

 

ネプギア「はい、ユニちゃんお借りします」

 

 

ユニ「それじゃあいってきます」

 

 

ノワール「そんな、せっかく仕事終わらせて――」

 

 

ガチャッ バタン

 

 

ノワール「………………」

 

 

ノワール「また……」ガクッ

 

 

ノワール(……はっ!……もしかして、避けられてる?)

 

 

ノワール「………………」

 

 

ノワール「」グスッ

 

 

ネプ「やっほーノワール!遊びに来たよー」

 

 

ノワール「ネプテューヌ……」ジワッ

 

 

ネプ「な、泣いてる!?ノワールの目にも涙!?それとも二次創作特有のキャラ崩壊!?」

 

 

ノワール「……ふふっ♪」

 

 

ネプ「ノワール待って!それユニちゃんの武器!通称重火器って言って仲間に向けたら絶対ダメなやつ!」

 

 

ノワール「だから敵に向けてるじゃない」ニコッ

 

 

ネプ「ごめん!話聞くから!嘘だと言ってよ、ノワール!」

 

 

ノワール「……はぁ」

 

 

ネプ「あれ……突っ込みは?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

ネプギア「うわぁ~すごいね!」

 

 

ユニ「そうね、思ってたよりずっと大きい……」

 

 

ネプギア「このエスカレーター透明ガラスでできてて内部までバッチリ観察できるようになってるよ」

 

 

ユニ「…ネプギアって時々ずれてるわよね、メカオタクなのは知ってるけど」

 

 

ネプギア「まずはジャンクショップから回ろっか、良いパーツがあるかも」

 

 

ユニ「こんなおしゃれな場所にそんな胡散臭いお店があるわけ――」

 

 

ネプギア「さすがに8店舗もあるとどこから見るのか迷っちゃうね」エヘヘ

 

 

ユニ「そんなにあるのっ!?ジャンクショップって普通は目立たない路地裏とかにあるものよね!?」

 

 

ネプギア「あはは~ユニちゃんたら古いなぁ、現代っ子にとってジャンクショップは今や身近な存在だよ?」

 

 

ユニ「そんな現代っ子ばかりの世の中嫌でしょ!ジャンク店が正規店より増えたらそれこそ本末転倒じゃない!?」

 

 

ネプギア「あっ、ここのお店は出力パーツの専門店らしいよ。良いパーツが見つかったらユニちゃんのも改造してあげるね」

 

 

ユニ「いいわよ!明らかにグレーゾーンな気がするし!」

 

 

ネプギア「だいじょうぶだよ~ギリギリ合法だから」ガシッ

 

 

ユニ「ギリギリはいやぁ!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

ネプギア「えへへ……ここ最高だね、来てよかったぁ」テカテカ

 

 

ユニ「ネプギアの誘いといえ……来るんじゃなかった」ゲッソリ

 

 

ネプギア「はいこれユニちゃんの分のパーツ、帰ったら銃に取り付けてあげる♪」

 

 

ユニ「えっ、いや、今はゲイムギョウ界も平和だし、そんなでたらめに強い武器は……」

 

 

ネプギア「?」ウズウズ

 

 

ユニ(あっ、これ絶対ネプギアが取り付けてみたいだけだ)

 

 

ネプギア「ユニちゃん!次はあのお店行こうっ!」

 

 

ユニ「ネプギア、いくら何でも買いすぎじゃない?ジャンク品とはいえ、そんなに買うとお小遣いが――」

 

 

ネプギア「パンフレットによると、正規では手に入りにくいライフルパーツの横流し品とかを主に取り扱ってるんだって」

 

 

ユニ「ネプギア、行くわよ」ガシッ

 

 

ネプギア「あれ?これってグレーゾーン……」

 

 

ユニ「あのスコープは……まさか!?」

 

 

ネプギア「……うん、気のせいだよね」

 

 

ユニ「はあぁ~このフォルム……アタシの愛銃に装備させてあげればもっとスタイリッシュでかっこよくなるはず……//」

 

 

ネプギア(ユニちゃんが楽しんでくれてる……良かった)ニコッ

 

 

ユニ「いっそのこと見た目重視で武器を初期装備のライフルに変更すれば――」

 

 

ネプギア「さすがにダメだよ!危険種に襲われたりしたら詰んじゃう!」

 

 

ユニ「あっ……」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ノワール「それでね、ユニと仲良くなろうとわたしなりに努力してるのよ。なのに――」ブツブツ

 

 

ネプ(愚痴を聞かされて3時間半、用意してきたおやつもとうとう底をついたよ……)

 

 

ノワール「ユニったら、まるでわたしを避けてるみたいにタイミングが悪くて、この前も――」ブツブツ

 

 

ネプ(適当に聞き流すとまた怒られそうだし、上手く切り上げるには……よし、同情作戦だ!)

 

 

ネプ(どんな人だって自分の話や考え方に共感してもらえると安心感と信頼を覚えるという……!)

 

 

ネプ(腕利きの歯医者さんなどは患者が小さな子供の場合、痛いだの怖いだのと泣いているとまずは『これは痛かったねぇ~』と笑顔で同情した後に治療に望むらしい!)

 

 

ネプ(さぁ、このノワールの正直どうでもいい無限ループ話を切り上げるタイミングは――)

 

 

ノワール「――なのよ、これってやっぱり嫌われてるのかしら……」

 

 

ネプ(ここだぁー!)

 

 

ネプ「そうかもねぇ、ユニちゃんもお年頃だし。あはは――」

 

 

ノワール「!」ガーン

 

 

ネプ「あははは……はは……は………?」

 

 

ノワール「…………」ズーン

 

 

ネプ「あ、あれれ……ノワール?」

 

 

ノワール「そうよね……やっぱり嫌われてるわよね……はは……」シュン

 

 

ノワール「はは…………ぐすっ、うぅ……」

 

 

ネプ(余計に悪化したぁ~!?)

 

 

ネプ(はっ!そういえば……)

 

 

ネプ(イースンが言っていた、自嘲的な謙遜や皮肉に下手に同情をすると余計に悪化してしまうと……)

 

 

ネプ「の、ノワール……?」

 

 

ノワール「わたしってどうしてこうなのかしら……いつも素直にユニのことを褒めてもあげられないし……そういえばこの前も――」

 

 

ネプ(今度は自虐ループぅ!?)

 

 

ノワール「ネプテューヌとネプギアみたいな関係が良いって呟いてたし……やっぱりわたしのことなんか――」

 

 

ネプ(これどの選択肢えらんでも『継続して話を聞く』以外にないよね!?)

 

 

ノワール「でも、わたしはわたしなりにユニのことを考えて――」

 

 

ネプ(ネプギア、ユニちゃん!早く帰ってきてぇ!)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

――夕方――

 

 

ネプギア「すっかり遅くなっちゃったね」

 

 

ユニ「それよりもこの荷物の量……持って帰れるかしら?」

 

 

ネプギア「心配ないよ、そんな時のためにこれ持ってきてたんだ」ジャジャーン

 

 

ユニ「なにこれ?」

 

 

ネプギア「この前余った部品で作った折りたたみ式リアカーだよ」

 

 

ユニ「地味にすごい!?というか今どこから出したの?」

 

 

ネプギア「どこって……もちろん所持品からだよ?」キョトン

 

 

ユニ「ずっと前から思ってたけどゲイムギョウ界ってほんとになんでもありよね……ボスの使いまわしとか日常茶飯事だし」

 

 

ネプギア「お姉ちゃんもノワールさんと遊ぶって言ってたし、ひとまずこのままユニちゃんのところに帰ろっか」

 

 

ユニ「そうね、さすがにプラネテューヌまでこれを引きずる気力は無いわ」

 

 

ネプギア「ええっ!?」

 

 

ユニ「いや、逆になんで驚いてるの?」

 

 

 

ネプギア「今日は楽しかったね」ニコニコ

 

 

ユニ「まぁ、退屈ではなかったわ」

 

 

ネプギア「えっ……ユニちゃん、楽しくなかったの?」

 

 

ユニ「あ、いや……その……」

 

 

ネプギア「そっか……ごめんね、わたし……」シュン

 

 

ユニ「っ……ああもう!楽しかったわよ!ネプギアと一緒だったから一人でいるよりずっと!//」

 

 

ネプギア「……!ユニちゃん……」

 

 

ユニ「これで満足……?//」プイッ

 

 

ネプギア「……うん!」

 

 

ネプギア「えへへ、ユーニちゃん♪」ギュッ

 

 

ユニ「ちょっとネプギア……!//」

 

 

ネプギア「またわたしと一緒にお買い物行ってくれる?」

 

 

ユニ「……時間があったらね//」

 

 

ネプギア「ほんと?わーい、ありがとうユニちゃん!」ギュッ

 

 

ユニ「きゃっ……あうぅ……//」プシュ~

 

 

ユニ(ネプギアの胸が思い切り腕に……//)

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

ノワール「そしたらユニが笑顔でありがとうって言ってくれて」ペラペラ

 

 

ネプ(今度はノロケ……)

 

 

ノワール「全く、できる妹を持つと苦労するわよね。ネプテューヌもたまにはネプギアに何か――」ペラペラ

 

 

ネプ「………………」マッシロ

 

 

ネプギア「ただいま~!」

 

 

ユニ「お姉ちゃん、遅くなってごめんね」

 

 

ノワール「ユニ……!」

 

 

ネプ「ネプギア!!ユニちゃん!!」

 

 

ネプギア「お姉ちゃんどうしたの?ずいぶん真っ白だけど?」

 

 

ネプ「聞いてよネプギア!お昼からずっとノワールが――」

 

 

ネプギア「あっ、そんなことよりもユニちゃんの武器に買ってきたパーツ組み込まないと!」

 

 

ネプ「そんなこと!?」ガーン

 

 

ネプギア「お姉ちゃんまた後でね~」フリフリ

 

 

ネプ「………………」ポツン

 

 

ネプ「そんなこと……わたしの悩みが、そんなこと……」

 

 

ネプ「…うっ……」バタリ

 

 

ネプ「」チーン

 

 

 

ユニ「お姉ちゃん……」

 

 

ノワール「ユニ……聞きたいことがあるの」

 

 

ノワール「っ……ユニはわたしのこと、どう思って――」

 

 

ユニ「はい、これお土産」

 

 

ノワール「――へっ?」

 

 

ユニ「お姉ちゃん今日はわたしの代わりにずっとお仕事してくれてたでしょ?だからせめてものお礼と思って」

 

 

ノワール「これ……リボンのヘアクリップ?」

 

 

ユニ「お姉ちゃん、いつもありがとう」ニコッ

 

 

ノワール「ユニ……」

 

 

ノワール「ううん……わたしのほうこそ、いつもありがとう」ギュッ

 

 

ユニ「お、お姉ちゃん……?//」

 

 

ノワール「あなたは、わたしの大切な妹よ」

 

 

ユニ「……!」

 

 

おしま――

 

 

ネプ「まだ終わってなぁーい!」

 

 

ノワール「のわっ!?」ビクッ

 

 

ユニ「ネプテューヌさん!?」

 

 

ネプ「ユニちゃん聞いて!ネプギアが……ネプギアが……!」ポロポロ

 

 

ユニ「どうしたんですか!?ネプテューヌさんが泣くなんて……!」

 

 

ネプ「ネプギアはわたしのことなんてどうでもいいって言ったぁ~!うわーん!」ビエェ

 

 

ユニ「ええっ!?お姉ちゃん!どうすれば……!?」

 

 

ネプ「最近のネプギアはわたしに冷たいんだよ!この前一緒におやつ食べようとした時も――」

 

 

ノワール(あっ、これ無限ループだわ……)

-----------------

end.


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。