幼少期編が長すぎるという指摘が多数ありましたし、自分も確かに長いし意味がないと思いましたのでバッサリいかせてもらいました。
今後、以前投稿したものは改めて加筆・修正したものを番外編なりで投稿したいと思いますので、期待しないでお待ちください。
―――転生した。
いきなりで悪いが、事の始まりを思い出してみる。
自分でもよくわかっていないのだが、気がついたら記憶にない部屋で椅子に座っている状態だった。それだけだったなら、ただ単に誰かに眠らされている間に運ばれたとしか思わないだろう、…普通なら。しかし自分でも、なぜかそれは違うという意識があった。
自分はすでに死んでいる…。
正気なら思いつかない考えが頭にこびりついてしまって離れてくれなかった。死んだときの記憶は全くない。そもそも自分が誰で、何処で暮らしていて、どんな一生を過ごしたのか……どうしても思い出せない。だから知らない部屋にいつの間にか居ることについても、自分が思い出せないだけで実は自分で部屋に入って、そして椅子に座った…?
……思い出せない。
そんな時、"それ"は唐突に語り掛けてきた。
―――姿かたちを見せない"それ"は、自分には何も言わせてくれないうちにただ向こうが一方的に喋っていただけだが…、まぁ要約すると、自分は元の世界では死んだので異世界、…ぶっちゃけ漫画の世界に転生してくれと頼まれた。
いろいろと事細かく説明してくれる気はないらしく、ただ原作に関わってくれさえすればあとは好きに暮らしてもらって構わない…と、それだけを絶対条件として自分が
…自分がなんで死んだのかも、どんな名前で他に家族はいたのか結婚していたのか等々……、転生する世界のことも、生まれ変わる姿かたちも何もかもに"それ"は答えるつもりはないらしく、ただ一つの問いに対する返答だけを求められた。
転生するのか、しないのか
「はい」か「いいえ」、もしくは「YES」か「NO」。
自分に許された答えは肯定か否定かのどちらかしか許されていなかった。自分の質問に一切の返答はなされずに、"それ"は自分が知っているという漫画の世界、そして好きだというキャラに転生するかどうか…。
五里霧中のなか、自分は選択をしなければいけない―――。
―――なんか面倒くさくなったので難しく考えずにOKだしてみた。
いやーなんかシリアスっぽい雰囲気だしてみたけど、自分そんなに重い人間ではないので。
どっちみち自分、やっぱ死んでるみたいだし。それなら次の人生をくれるっていうラッキーチャンスをくれるっていうなら、ここは素直に貰っておくべきでしょう。
ってなわけで、OKだした直後に様式美的な感じでボッシュートされた。
床がきれいさっぱり無くなったと思ったら椅子に座ったまんま真っ逆さま。…軽く言ってるみたいに聞こえるだろうけど、この時は物凄い悲鳴を上げながら必死に椅子にしがみついていたからね?なにせ急に消えたからね、床。そしたら真っ逆さまだよ、見えた下は真っ暗闇でどこにも光なんてなかったよ。
あれは怖かった……。
いつまでも暗黒の闇の中を落ち続ける恐怖。
…いまでも夢に見る。
トラウマは今はどうでもいいか。
最初にも言ったがいきなりで悪かった。
オレが言いたいのは転生したという一つの事実。
"あれ"がどんな存在だったのだとか、どんな
なので気にしないことにした。
だって転生してからすでに十四年の月日が流れている。
…と言っても前世を思い出したのは三歳の頃なので実質―――、いや、やっぱり思い出そうが思い出してなかろうが、自分は自分なので十四歳でよしとする。
とにかく、オレは今年で中学三年生。
今は受験する高校を選ばなくてはいけない時期。
オレが在籍しているこの
かくいうオレもこの国で一番有名な高校に進学することを決めている。
仕方がないことなんだ、オレを転生させた存在に言われているからね、原作に関われ…って。
それに同じクラスの友人も、
今もそのことで友人と話しているところだ。
「おお、やはり君もボクと同じく
「
「もちろんだとも!やはり
はっきり言って、メガネをかけた真面目な委員長という言葉で言い表せてしまう男。
少々規律を重んじるあまりに周囲と衝突することもある、…けれどオレにとっては良い友人。
「たしかにな。これまで数々のトップヒーローたちを輩出してきた雄英。入学するのは至難ということだが、オレと天哉ならまず落ちることはないだろう」
この友人が合格することは間違いないだろう。
このまま原作通りに進むのならまず入試で落ちることはない。
「しかし雄英の入試は筆記試験はともかく、実技試験では"
「心配することはないだろう。飯田の"個性"ならその機動力と蹴りの威力があれば大丈夫だろう。オレが保証する」
「ありがとう。そう言ってもらえると安心できる。だが、そう言う我愛羅くんこそ君の"個性"ならばどんな相手だろうと圧勝できると思うぞ」
そう言って親指を立たせる天哉は、いかにも爽やかっ!という笑みを浮かべる。
この友人は実に大真面目な顔で恥ずかし気もなく、気障なセリフを吐いてくるので油断ならない。それでもそのセリフが本当に心の底から思っているということが分かってしまうので質が悪い。
"個性"。
この"個性"という単語を耳にし、そして実際に目で見た時には驚いたものだ。
そして直ぐにこの世界がどんな世界なのかを理解した。
"個性"とは。
この世界の総人口の約八割が有している何らかの"特異体質"に対して用いられている通称のことである。
それは友人である飯田の場合なら足にエンジン機関が付いており、それはもう速く走れる。
そしてオレの場合は―――
『シャハハハハ!良いこと言うじゃねェか、飯田よぉ!オレ様がいりゃああのオールマイトだとか云う筋肉も一捻りよ、だろ
オレの腰にぶら下がっている瓢箪から少し甲高い声が発せられ、オレと天哉の話しに割り込んできた。
「
『ケッ!仕方ねェだろうが、こっちは暇で暇で退屈してんだ、たまには話に交ぜろや。なぁ、かまわねェよな飯田?』
「もちろんだとも!しかし、学校内での"個性"使用は原則禁止されているのだから、他のクラスメイトに聞かれないように注意しなければなるまい。本来ならば規則を破らぬよう注意するのだが…、守鶴くんもつらいだろうからな」
やはりいいやつだな……。
そんな天哉に迷惑をかけるのは心苦しいが有り難い。
オレの"個性"はこの瓢箪……ではなく、単に瓢箪に化けているだけで実際の姿は違う。
―――ここまで引っ張ってきてしまったが、ここいら辺で自己紹介をしておいた方がいいだろう。
オレの今世での名は『
個性は"砂漠"と呼称され、能力は発現時に生まれた"
容姿の方は原作と
…ほぼ、と言うのは実は原作と違い眠ると守鶴に体を乗っ取られるという心配がなかったために、不眠症に悩まされることはなかったので目の周りに隈がない。それと額に『愛』の文字も入れていない。
あとは、普通に眉がある。…オレも不思議に思ったが、たぶん守鶴の影響を受けなかったおかげだと考えている。原作のナルトも母親の胎内にいた時から、母親に封印されていた九尾の影響を受けていたためにヒゲが生えていたのだと思う。原作の我愛羅のほかの家族には普通に眉あったしね。
それら以外は我愛羅そのもの。
ついでに家族構成は父と母、それに二人の姉兄がおりオレを含めての五人家族。
転生時に言われた通りにオレが好きな漫画のキャラに転生させられた。
相変わらず前世の自分に関する記憶だけは思い出せないが、それでも自分が好きだった漫画のことくらいは思い出すことはできた。
―――思い出すことはできた…が、その記憶によると自分が転生したキャラと転生した世界はそれぞれ原作が違うはずなんだが…。
容姿及び能力は『NARUTO』の我愛羅、世界は『僕のヒーローアカデミア』。
"あれ"はたしかに転生させるときオレが好きな漫画のキャラに転生させるとは言っていたが、世界に関してはただ
つまり知っているというだけで、オレはこのヒロアカの世界についてはほとんど知らない。
まだ読み始めたばっかで、ほんの数巻しか記憶にない。
そんなのじゃあ碌に知らないのと同じだろう。
そんなわけで、この世界がヒロアカの世界だと気づいたときは驚いたし、なにより中学に入学してクラスメイトに飯田天哉の名前を見つけた時には運命を感じた。―――男に運命を感じてしまったとき、腕に蕁麻疹が出てちょっと意識が無限の彼方へと飛びかけたがそこは我愛羅クオリティ、ちゃんと周囲にバレないように堪えてみせたさ!
説明が長くなってしまったのでこれで最後にしよう。
オレはこのヒロアカの世界に我愛羅として転生し、そして目覚めた"個性"から守鶴という相棒を得た。
最初は転生させた存在から"原作に関われ"という指示が頭にあったが…、この世界で生きていくうちに自分の中にたしかな目標として確立された想いがある。
それは"ヒーロー"という生き方。
職業としてではない、その生き様に憧れた。
幼い子供の頃に抱いたその憧れを『
だからオレはヒーローになるために雄英を目指す。相棒と共に。
そのための第一歩が、オレと守鶴のヒーローアカデミア。
『おい我愛羅、聞いてんのか!オレ様をあのオールマイトとかいうおっさんと闘わせろ!どっちが強いかハッキリさせてやる!』
―――なんだけど、この相棒は血の気が多すぎるようで困る…。